足立武志の「中長期投資家のための“超・実践的”ヒント集」

日本国債格下げが意味するもの

01月31日
先日、格付け会社により日本国債が格下げとなりました。総理大臣の「疎い」発言にはあきれてしまいましたが、そもそも日本国債が格下げとなった理由はなんでしょうか?

「財政再建が進まず、日本の借金が今後も増え続ける可能性が高まったから」というのはあくまでも表向きの理由です。そんなことはとっくの昔に皆知っていることです。なぜこのタイミングで日本国債を格下げしたのか、という観点で考えられなければ、うわべだけの情報に流されてしまいます。

また、今回の格下げにより、日本の財政が破たんする恐れがさらに増したとする論調もあります。でも、外国為替市場では日本円が買われているのです。いつ財政破たんをしてもおかしくない国の通貨が買われるのは矛盾していると思いませんか。

もちろん、日本の抱える借金が莫大であることは事実で、将来は財政破たんを含めた危機的な状態になるかもしれません。しかし、少なくとも現時点では国債格下げの報を受けても円安にならない、金利も上昇しない、これこそが真実なのです。通貨が高く、金利も低い状態で破たんするはずはありません。したがって、日本国債を格下げした意図は別のところにあるのです。

将来日本は破たんするかもしれないと脅されて、数年前の円安時に外貨へ投資した方も多いでしょう。しかし、実際にはその後大きく円高となりました。今では日本円は世界で最強の通貨になっているのです。本当に日本の破たんを心配するのは、日本円が他の通貨に対して大きく全面安となり、長期金利の水準が4%、5%と上昇してからでも遅くないと個人的には思います。

誰が何と言おうとも、ニュースで何が報じられようとも、まずは何か出来事が起きたとき、マーケットがどのような動きをしているかを確認するようにしてください。
ヨーロッパ諸国で財政危機が相次いでも、ドイツの株価は逆に上昇しました。これが何を意味しているのかが分かれば、ヨーロッパ諸国で財政危機が相次いだ本当の理由が自ずと見えてくるのです。

増資銘柄の潮目が変わった?JVC・ケンウッドのストップ高

01月06日
本日(1月6日)特筆すべきことといえば、増資を正式発表したJVC・ケンウッド(6632)がストップ高まで買い進まれたことです。
それに刺激を受けてか、増資懸念で軟調な動きがつづいているりそなHD(8308)も、将来の増資正式発表後のアク抜けを先取りするかのように大幅高となりました。

昨年は、数千億円規模の増資を行った東京電力をはじめ、増資をする企業が相次ぎましたが、そうした企業の株価は希薄化懸念(増資により株数が増え、1株当たりの価値が薄まること)によって、大きく値下がりしていました。
しかし、本日のJVC・ケンウッド株の目を見張る動きをみると、「増資銘柄=株価軟調」という流れが終焉しつつある感じがします。この背景には日本株全体の相場環境が良好になっていることもあるでしょう。
相場環境が良くなると、悪材料が出ても「材料出尽くし」などと前向きに解釈され、株価は下がらなくなるものなのです。

ただ、信用評価損益率の改善や、高水準で推移する騰落レシオなど、過熱感が高まりつつあるのも事実です。今のところ、中期的には強気を維持しながら、短期的には要警戒、少なくとも株価がすでに大きく上昇した銘柄の現時点からの新規買いには慎重にすべき局面ではないでしょうか。



最近の出来事より-先人たちの教え

01月03日
明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

昨日、ユニクロで買い物をした時にレジでくじ引き券をもらい、当たりを引きお年玉3000円をゲットしました。
店員がくじを確認したときのちょっと驚いた反応が印象的でした。よほど当たりが少ないのでしょうか。
私はくじ運が結構強いのです。

くじ運といえば、生まれてから今まで、おみくじで凶を引いたことは一度もありません。今年の初詣でも大吉でした。

そのおみくじには「縁談」「待人」「探し物」などの他「相場」についての運勢も記されていたのですが、そこには「売れ持てば損」と書かれていました。
ちなみに、妻(末吉でした)のおみくじには「下がる思い切れ」とありました。

これはまさに損切りの大切さ(持ち続ければ損が膨らむから売りなさい)や下降トレンドでは株を持つべきではない(下降トレンドであれば今よりさらに下がるから思い切って売りなさい)ことを教示してくれているのではないでしょうか。

下降トレンドでは株を持たないことや損切りを実行することの大切さは私自身何度も繰り返しお伝えしている点ですが、これは相場で負けないための知恵として昔から言われてきたことなのでしょう。相場で生き残るために必要なことは、今も昔も変わらないのですね。

唯一気がかりなのは、私のおみくじも妻のおみくじも、「下がるから持ち株を売りなさい」と書いてあるように思えることです。これについては、今すぐにではなく、上昇トレンドがストップしたら実行しようと思っています。

2010年の日本株を振り返る

12月30日
本日で今年の株式市場は終了しました。日経平均株価の終値は10228円92銭で、昨年の終値10546円44銭と比べて317円52銭(3.0%)の小幅な下落となりました。
しかし、個別銘柄、特に個人投資家が好むような中低位株はこの1年間で値を下げたものが多く、そのため多くの個人投資家は、2010年はマイナスの運用成績で終わったのではないでしょうか。

では今年は利益を上げられることができない年だったかといえばそうではありません。今年は3月〜ゴールデンウィークと、11月はじめ〜現在の2回、利益を上げるチャンスがありました。
例えば11月はじめ〜中旬に、多くの個別銘柄の日足チャートで上昇トレンド入りの兆し(25日移動平均線が下向きから横ばい〜上昇に変化し、株価も25日移動平均線を超える)がはっきりと現れました。この時点で買っておけば、11月はじめから現在まで続く上昇相場の初期段階で買い仕込むことができました(結果論でなく、筆者もこのタイミングで買っています)。
そして、株価が25日移動平均線を下回り上昇トレンド終了の可能性がみえたら利益確定売りを出せばよいのです。
なお、日足チャートだけでなく週足チャートも上昇トレンド入りしていて、安く買い仕込みができている銘柄であれば、25日移動平均線を株価が下回ったとしても、13週移動平均線を下回るまでは売らずに粘ってみるのも一法です。

騰落レシオが12月9日に163.4%と過去最高を記録し、現在は調整局面にあります。25日移動平均線を株価が下回ってきた銘柄も出てきました。
もし今回の上昇相場に乗り遅れてしまったという方は、上昇トレンド中の株価が調整して25日移動平均線に近づくタイミングや、25日移動平均線を下回ってしまった銘柄の株価が再び25日移動平均線超えとなったタイミングを待って買うのがよいのではないでしょうか。もちろん、万が一のときに備えて損切り(このケースであれば25日移動平均線割れが損切り目処)も必須です。

2011年はうさぎ年。株価も大きく跳ねることを期待して2010年最後の文章といたします。皆さま、よいお年をお過ごし下さい。


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