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インターネットを駆使した情報分析から、決算書の読み方、企業財務分析まで! 定価 本体 1,600円+税 ◆目次 A5判 267頁 |
●海外投資を楽しむ会:編著 ISBN4-8402-1293-7 |
オンライン証券会社なんかどうだっていい!?
本書はそのタイトルの通り、99年4月に出版した『ゴミ投資家のためのインターネット株式投資入門』の続編です。
実は、最初は本書に収録したパートも含めて、1冊の本にする予定でした。ところが、制作しているうちに予想外に分量が増えてしまい、このままでは百科事典のような本になってしまうということで、マニュアル部分を後回しにして、最低限のアウトラインだけで1冊目を刊行することになったわけです。
前作をお読みになって、「インターネット株式投資の本なのに、肝心のことがあんまり書いてないなあ」とお思いになった方もいらっしゃると思います。それには、こういう事情があったわけです。
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「インターネット株式投資」というのは、たんに証券会社の窓口に行くのをやめて、ネット上で株式の売買をすることではありません。それだけであれば、通信取引(電話取引)とどっちが便利か、という話にすぎません。
実はアメリカでも、E*TRADEなどが登場した初期の頃には、「オンライン・トレーディングは通信取引の単なる一変種にすぎない」という見方が大勢でした。「通信取引なら電話料金は証券会社負担だからコストがかからないし、人間相手だから複雑な注文や細かな質問にも対応できる。オンライン取引はパソコン好きの一部の投資家のオモチャにはなるかもしれないが、一般の投資家には見向きもされない」と、既存の証券業界の“専門家”たちは異口同音に唱えていたものです。
これがいかに途轍もない勘違いであったかは、その後、たった数年で明らかになりました(かつては世界最高のリテール証券会社の名をほしいままにしたメリルリンチは、そのシェアを年々新興のオンライン証券会社に奪われ、深い迷路の中をさまよっています)。
金融ビッグバンの日本では、変化はもっとドラスティックです。
外為法が改正された98年4月当時、アメリカのオンライン証券会社を使って外国株を売買するのは、まだほんの少数派でした。99年10月からの株式売買料自由化も、「どの証券会社が生き残るか」という、業界内の話でしかありませんでした。
ところが今、相次ぐ新興オンライン証券会社の参入によって証券業界は、「自分たちに果たして未来はあるのか?」という深刻な問いを突きつけられています。そればかりか、ニューヨーク証券取引所の夜間取引開始やNASDAQジャパンの創設などで、日本の証券市場そのものがいずれ消え去る運命にあるかもしれません。まさに、100年にいちどあるかないかの巨大な変化が、大蔵省による過保護行政の下で惰眠をむさぼっていた日本の金融システムを襲おうとしています。考えようによっては、こんなに面白いショーはありません。見逃す手はありません。
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この本では、インターネットを使った実際の株式売買について、まったく触れていません。前作でオンライン証券会社Datekの利用法を説明したということもあるのですが、売買そのものはクリックひとつでできてしまうので、とくに説明するほどのことはないからです。
そのかわりこの本では、「インターネットを使ってできる、株式売買以外のすべてのこと」を扱っています。
当たり前ですが、通信取引では売買の指示しかできません。ところがいったんインターネットの世界に目を移せば、そこには百花繚乱、玉石混交の投資情報の世界が広がっています。それを一言で表現すると、専門家集団が独占していた投資情報の凄まじい「大衆化」です。実はここに、「インターネット株式投資」の本質があります。オンライン・トレーディングが爆発的に広がった最大の秘密が、ネット上に氾濫する投資情報だからです。これこそが投資家にとって、何ものにも替えがたい魅力でした。
本書では、アメリカ株投資に関係する数々のサイトの中から、初心者でも十分に使いこなせるものを選んで、その魅力と活用法を紹介しています。残念ながら日本では、東証や証券業協会、あるいは個々の企業など、投資家に対してデータを提供する側が閉鎖的なために、こうした投資情報サイトはまだまだ貧弱です。しかしそれでは、「インターネット株式投資」の本当の魅力はわかりません。
その意味でも読者のみなさまにはぜひ、本書を参考に実際にインターネットにアクセスして、アメリカ株投資の奥深い世界を探検していただければと思います。どれも私たちがふだん利用しているサイトですから、特別な知識は何一つ必要ありません。
私たちのつたない試みがみなさまに新しい体験をお届けできれば、これほどうれしいことはありません。
海外投資を楽しむ会