←相場読本シリーズ Vol.13→
『個人投資家のための原油取引入門』
〜100問100答でわかるしくみと分析ノウハウ〜
2001.10.25発売!!
定価 本体 2,800円+税 /A5判 288ページ/ISBN 4-939103-48-X
著者●渡邉勝方
目次
→お申し込みはこちら
<こちらをクリックすると40ページ以上立ち読みできます。 PDFファイル 472KB>
著者紹介
渡邉勝方(わたなべ・かつのり)氏
1982年、東京大学経済学部を卒業後、(株)トーメン原油部、エネルギー市場部、石油製品部にて、原油および石油製品の現物取引、デリバティブ取引に携わる。うち1986〜1990年まで米国トーメン社ニューヨークにてNYMEX(ニューヨーク商業取引所)のデリバティブ(原油先物およびオプション)のディーリングを専任。以来、通算取引経験19年。
現在は、日本ユニコム株式会社・調査部長として、商品市況分析、取引プログラム開発、および石油先物ディーリングに従事する。2002年、春に『個人投資家のためのガソリン灯油取引入門(パンローリング)』を発売。
著者の渡邉勝方さんは、2002.04.05放送のbloombergにテレビ出演しました。
テレビ出演した「緊迫する中東情勢と原油価格」の様子を 日本ユニコム株式会社で調査部のホームページの中にてサウンド・レポートとして掲載されています。 是非、ご視聴ください。
21世紀最初のモンスター商品「原油」がついに2001年9月10日、東京工業品取引所上場!
すでに上場されているガソリン、灯油は、上場後わずか2年で、世界一の取引高をほこるほどになった。そして、それを上回る期待をされる原油がついに上場した。この原油取引について、いちばん早く、一番よくわかる本が本書なのである。
原油取引で勝つための一般的常識から分析方法、売買テクニックなどを100問100答方式でわかりやすくまとめてある。原油を取引しようとする人は必読である。
はじめに
この本は、金融資産保全のための原油先物取引に関心をよせる個人投資家の人々を、主な対象としています。原油先物市場とはどのような世界なのかという疑問と、どう取り組めばよいのかという具体的課題に対し、実践家(トレーダー)の立場から、100問100答形式で解説を試みたものです。
2001年9月10日、日本の商品先物界に一大エポックが刻まれました。長年の念願がかなって、東京工業品取引所(東工取=TOCOM)に「原油」先物取引が上場されたのです。
この上場により、世界の原油市場は早晩NYMEX(ニューヨーク商業取引所)の軽質低硫黄原油、IPE(ロンドン国際石油取引所)のブレント原油と並ぶ、世界の三大原油先物取引所時代を迎えることになるでしょう。
脱稿した2001年9月14日時点では、取引開始からまだ5日しか経っていませんが、初日には24,000枚(=240万キロリットル=約15百万バレル)の出来高が記録されました。これは、取引所予想のなんと8倍、日本の1日あたり石油消費量の3倍以上です。その後の取引も1〜2万枚の大商いとなったことで、内外の市場関係者に東工取原油先物の有用性が強く印象づけられました。
9月11日には史上最悪の米国同時多発テロ事件が勃発し、世界の原油価格指標であるNYMEXが、4日連続取引停止という異例の事態に見舞われましたが、この間の東工取原油は、IPEブレント原油と高い連動性を示して、世界の原油価格が時々刻々どのような価格で推移しているのかを映し出し、指標機能を果たしました。
1999年7月以降、東工取、中部商品取引所に順次上場された日本初のエネルギー先物であるガソリンと灯油は、上場後わずか2年のうちに、日本の商品先物市場の出来高全体の約4割という驚異的シェアを占めるに至りました。さらに、東工取ガソリンが出来高において、ニューヨークのガソリン先物市場と比肩される世界最大の石油製品先物市場にまで急成長を遂げた実績からみて、「原油」という大型国際商品の登場により“三拍子”そろった日本のエネルギー先物が、内外投資家の人気をますます博すであろうことは、疑う余地がありません。
さて、東工取原油のユニークさは、対象となる原油が「中東」原油であるという点です。
原油といえば、中東産原油が埋蔵量の67%を占め、世界中に輸出されている世界経済の血液であることは広く知られていますが、東工取原油先物の対象は、この「中東原油」の指標であるドバイ原油とオマーン原油の平均価格です。
日本は99.8%を輸入原油に依存し、しかも中東原油に石油輸入の85%超を依存しています。さらに、大半のアジアの石油消費国も日本同様、中東原油に石油輸入のほとんどを依存しています。一方、欧米は域内に米国産原油、北海原油、アフリカ原油、ロシア原油などの供給ソースが多様化しているため、中東原油依存度は2〜3割と低く、アジアの中東原油へのニーズの切実さとは比較になりません。中東原油はその意味において、東京(アジア)でこそ値付けされるべきものと確信します。
今後、世界の中東原油依存度が、徐々に上昇していくことが確実視される中で、東工取の中東原油価格公示というグローバルインフラ機能は、さらに高まることでしょう。
原油といえば、サウジアラビアを盟主とするOPEC産油国が価格支配権を握り、思いのままに価格を吊り上げていた1970年代を想起される人が多いのではないかと思います。
私が商社の原油部に配属された1982年は、そのようなOPECによる価格支配の時代から、原油が市況商品として解き放たれる時代へのまさに転換期でした。
4年後の1986年には、サウジアラビアによる政府公示価格(GSP)の放棄という形でOPECカルテルが崩壊し、NYMEX原油やブレント原油に価格形成の場を委ねるに至りました。
1980年代の後半からは石油業界だけでなく、さまざまな金融機関が原油先物市場に取引参加した結果、1990年代から同市場は、金利先物、株価指数先物、為替先物などと並ぶ、大型金融派生商品としての地位を確立し、今日に至っています。
金融派生商品の中でも、とりわけ原油は値動きの荒さで群を抜くハイリスク商品といえます。
東工取原油先物の場合も、NYMEXやIPE原油先物との高い連動性が必然視される中で、それは避けられない宿命でしょう。しかし、それは同時に、自己責任でこの市場に挑戦してみようという投資家にとっては、ハイリターンの果実を得る機会でもあるのです。
筆者はこの十数年間、原油先物のトレード、とりわけNYMEX原油先物にかかわってきました。
この間、儲けもしましたが、時に予想外の激しい値動きに翻弄されたことも多々ありました。そして、失敗するたびに、なぜうまくいかなかったのかを常に自問し、自分のノウハウとして蓄積していきました。本書の意義は、筆者の原油市場に対する長年の観察(反省録)をベースに、トレーディングの実践的課題(どうやって利益を獲得するか)を、原油先物初心者に解説する点にあります。
おそらく、先物初心者の人には、いささか濃すぎる本かもしれません。そんな人には、木原大輔先生(日本ユニコム顧問)著の『入門の金融 商品先物取引のしくみ』(日本実業出版社刊)や、宇佐美洋先生(一橋大学客員教授)著の『先物とオプションの世界』(時事通信社刊)など、商品先物全般についての定番入門書を、まずは熟読することをお薦めします。
本書は、PART1「基礎知識編」、PART2「トレード実践編」、PART3「リスク解説編」の三部構成になっています。
それぞれ活用の仕方については、各PARTのイントロで述べていますが、100問100答形式ですから、どこから読んでもかまいません。ただし、トレードをすでに開始されている人は、PART2から読み始めるとよいでしょう。
本書の作成にあたっては、多くの方々から、ご協力をいただきました。
まず、原稿を持ち込んだ即日にポジティブな返事をいただき、原油上場日から出版日が遠のかぬようにと、出版予定を繰り上げてくださった、パンローリング社の後藤康徳社長。
その後藤社長に紹介の労を快くとっていただいた、オプション取引の専門家であり、私の同僚でもある増田丞美氏。
装丁、編集ともに工夫を凝らしていただいた、マイルストーンズ社の細田聖一氏。
原稿全部に目を走らせていただき、改善個所を指導してくださった、木原大輔先生と宇佐美洋先生。
原油先物への熱意にご理解をいただき、種々資料を提供していただいた、東京工業品取引所企画部の、小野里光博理事部長と山岡博士課長。
執筆や資料作成に際し、粘りと工夫で協力していただいた、日本ユニコム調査部の大串氏、北野氏、藤澤氏。
ここに記してお礼を述べます。ありがとうございました。
2001年9月14日
著者 渡邉勝方
→お申し込みはこちら
Topへ