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目次

推薦者まえがき
序文

第一部 勝つシステム――CAN−SLIM
 まえがき――超成長株から学ぶ
 第1章 C(Current Quarterly Earnings Per Share=当期四半期の一株当たり利益)――どれだけあれば十分なのか?
 第2章 A(Annual Earnings Increases=年間の収益増加)――意味ある成長が認められる銘柄を探す
 第3章 N(New Products, New Management, New Highs=新製品、新経営陣、新高値)――適切なタイミングで買う
 第4章 S(Supply and Demand:Small Capitalization Plus Big Volume Demand=株式の需要と供給)――総資本が小さく株式需要が高いこと
 第5章 L(Leader or Laggard=主導銘柄か、停滞銘柄か)――あなたの株はどっちだろう?
 第6章 I(Institutional Sponsorship=機関投資家による保有)――数社であっても意味がある
 第7章 M(Market Direction=株式市場の動向)――どう見極めるべきか?

第二部 最初から賢明であれ
 第8章 証券会社で口座を開く
 第9章 銘柄選択や投資時期を誤ったらいつ売るか
 第10章 いつ売って利益を確定するか
 第11章 分散投資、長期投資、信用取引、空売りについて
 第12章 オプション、店頭銘柄、新規公開株などについて
 第13章 ミューチュアル・ファンドで一〇〇万ドル儲ける方法

第三部 投資のプロになる
 第14章 一九五三〜九三年の素晴らしい成功銘柄の事例
 第15章 チャート読解術を身に付け、より良い銘柄をより適切なタイミングで買う
 第16章 ティッカー分析の技法――ニュースの影響
 第17章 最良の業界、最良の川下業種を見抜く
 第18章 年金基金・機関投資家のポートフォリオ管理を見直す
 第19章 投資家に共通する一八の誤り

推薦者まえがき

 強気相場で株式投資を始める個人投資家が増えても、相場が弱気に転じると売り遅れて大きな損を出したり、含み損を抱えたポジションを「今売ると損が出る」と考えて塩漬けにしてしまう人がいます。また、マーケットに回復の兆しが見えると「今度は株を買ってみよう」と最初は意気込むものの、株はギャンブルの一種であるという固定概念が頭をもたげ、興味はあっても株を買った経験がない人も少なくないのではないでしょうか。

 野球やポーカーにルールが存在するように、ある一定の投資原則を持っていなければ、株式相場という大きなゲーム場でやみくもに戦っても、最終的な勝者になることは決してできません。とはいえ、白紙の状態から自分ひとりの力でより完璧な投資原則を練り上げるのは非常に困難です。

 全米で一〇〇万部以上を売り上げてベストセラーとなった本書は、デイ・トレーダーと長期投資家以外の、投資経験者だけでなく将来の投資家を目指すすべての人にとって、自分なりの投資原則を作るための基本を、かみくだいた言葉で非常に明快に提示してくれています。

 著者のウィリアム・オニール氏とは、四〇年以上にわたって株式相場にかかわり、自らも株式投資で財を成し、「マーケットの魔術師」のひとりとして絶大なる尊敬を集める、伝説の人物でもあります。

 本書で詳述されているウィリアム・オニール氏の考案した「CAN−SLIM」手法を簡単に説明すれば、収益成長の条件を満たし、機関投資家によって保有されており、なるべく資本が小さく需要の旺盛な株で、相場をけん引する主導銘柄を、適切なタイミングで買う――ということでしょう。

 この手堅いルールを投資原則の核に据え、あとはそれをあなたの性格や好みに合わせて少しずつ調整すれば、地図を持たずに異国の街をさまようような心もとなさは消えてなくなるはずです。もちろん売り時に関する原則も述べられています。またオニール氏は他にも、証券会社の選び方や投資家の陥りやすい過ちなど、実地に役立つ有益なアドバイスを与えてくれており、株に興味のあるすべての人たちに、ぜひともお薦めしたい一冊です。

 最後に、本書の翻訳にあたってくれた竹内和巳氏、松本幸子氏、増沢和美氏、編集・構成していただいた阿部達郎氏(FGI)、組版をお願いした細田聖一氏(マイルストーンズ)、装丁をお願いした江畑雅子氏(キュー・グラフィック)には心からお礼を述べたいと思います。

二〇〇一年一月   後藤康徳(パンローリング株式会社)

序文

 アメリカは成功した新興企業群における世界のリーダーです。そうした企業の多くはコンピューター、通信、テクノロジー分野の企業であり、それ以外には医療、小売り、レジャー、エンターテインメント関連の企業もあります。投資家は、新時代のアメリカを形成している、革新的で成長速度が速い企業を見極め、そうした企業に投資するために必要な技能と知識を身につけなければなりません。

 しかし、どのようにして購入する株式を選別し、どのようにして株式購入に伴うリスクを最小限に抑えればいいのでしょうか。そして最も重要なのは、どの時点で保有している株式を売るかということです。本書ではそうした疑問すべてに答えていきます。

 本書では、簡潔で利用しやすいCAN−SLIMというシステムを提示します。CAN−SLIM手法は、一九五三年以降の大きな成長を遂げた全銘柄に関する詳細な分析に基づいています。CAN−SLIMの七つのアルファベットはそれぞれ、過去の成長銘柄に共通する重要要素の頭文字をとったものです。つまりこれは理論的な手法でも学術的手法でもなく、株式相場の実際の動きに根ざしたものなのです。

 CAN−SLIMは、投資経験の有無にかかわらず個人投資家が利用できる最良の手法です。この手法を詳しく解説するわれわれの無料投資セミナーと有料の終日講座には、これまで二〇万人以上が参加しました。CAN−SLIM手法を用いることで前年に五〇%あるいは一〇〇%の収益を上げた詳細について、どの会場でも多くの参加者が率先して語ってくれます。

 デービッド・ライアンはアメリカ投資チャンピオンシップ大会でこの手法を初めて使用し、三年連続で優勝しました。彼は公認会計士が監視する実在口座の自己資金を運用し、平均して年間一〇〇%以上の運用利回りを上げました。彼は現在、ニューUSAミューチュアル・ファンドのポートフォリオ・マネジャーとなっています。

 セッド・モーゼスは一九九一年、この大会にCAN−SLIM手法で参加し、運用利回り三七九%という大会記録で優勝しました。われわれの仲間のリー・フリーストーンは、同じ年に同手法で二七九%の利回りを上げて二位になり、九四年には二三四%の利回りで優勝しました(ダウ工業株三〇種平均の同年の上昇率は一三・七%でした)。このほかにも無数の実例がある。ボルティモア大学のダン・ラニングは九四年に一一五%の利回りでUSAトゥデー・チャンピオンシップで優勝。ニューヨーク州コールド・スプリング・ハーバーのジェイ・プリスコは九五年にCAN−SLIM手法を使ってフィデリティ・インベストメント・チャレンジで一三五%という素晴らしい利回りで優勝しました。

 本書を二、三回読めばその内容をすべて理解できるでしょうが、その内容を積極的に実践することによって、だれもが投資での成功をさらに大きくすることができると思います。最も成功しているアメリカの新興企業を利用し、収益を得る術を身につけない手はないのです。  本書の執筆には長い年月を要したました。私が金融市場の戦場で過ごしてきた年月も四〇年を数えています。本書は読者にとって、危険な戦場ですべての投資家が直面する落とし穴に陥るのを避ける助けになると思います。

 長い目で見ると、アメリカの株式市場は常に成長を続けています。産業界が新たな製品、新たなサービス、新たな技術革新を生み出しているからです。そうした優れた製品やサービスを生み出す企業こそが、常に株式投資の勝者たる人々の多くを支えています。

 過去一〇〇年間、株式市場は二五回の弱気相場での下落局面を経験しました。それら弱気相場は、その前の強気相場による上昇に対する当然の修正でした。そのたびに株式相場は回復し、最終的に新たな高値を更新してきました。したがって、無数の陰気な終末論者の言説に惑わされてはなりません。連中はほとんど金を儲けたためしがないのです。その上、私は功を成した悲観論者にお目にかかったことがありません。

 一九六〇年代初頭、ウィリアム・オニール・アンド・カンパニーはアメリカで初めて、株式相場の日足を記録するコンピューター・データベースを発明しました。七〇年代にはわれわれが、機関投資家向けの「データグラフ」というサービスを開発しました。今日では六〇〇を超す大手機関投資家に、幅広い調査サービスを提供しています。さらには、銘柄の日足チャートを記録した個人投資家向けサービス「デイリーグラフ」を毎週発行しています。

 一九八三年、私は新しい経済・金融専門の全国紙『インベスターズ・ビジネス・デイリー』を創刊しました。『インベスターズ・ビジネス・デイリー』紙は、ビジネスマンや一般投資家にとって重要な情報や関連情報を提供する能力と品質を大きく向上させてきました。全国の各都市で販売され、同紙はアメリカで最も急成長した新聞となり、一世紀の歴史を持つ『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙から徐々に市場シェアを奪いつつあります。

 CAN−SLIM手法が本当に機能するのか、まだ確信の持てない読者に対して言えば、ウィリアム・オニール・アンド・カンパニーは一九六三年にシンテックス株で得た利益だけで創業し、『インベスターズ・ビジネス・デイリー』紙はピック・N・セーブ、プライス・カンパニー、アムジェンの株式で得た利益で創刊、事業拡張を行ってきたのです。

 本書の完成に向けて原稿に目を通し、編集し、図表を作成し、アドバイスし、タイプし、際限のない原稿変更をタイプし直してくれた仲間に深甚なる賞賛と心からの謝意を捧げたいと思う。特にアン・ジャーハード、キャロリン・ホフマン、ジーニー・キム、ジム・ラン、スタンリー・リュー、ダイアン・マリン、ミルトン・ペリン、キャシー・ラッセル、リンジー・シャドレーク、キャシー・シャーマン、フランク・スパイラーズ、スーザン・ウォーフルの各位に感謝します。また妻のフェイ、第一版のビル・セービン、本書(改訂第二版)の版元であるマグローヒル社とフィリップ・ラッペルから多くの価値ある助言を受けたことを記させてもらいたい。

 ウィリアム・J・オニール

パート1 勝つシステム――CAN−SLIM

 

まえがき――超成長株から学ぶ

 本書では、株式市場における超成長株を選別する方法と、読者の損失と誤りを大幅に削減する方法を的確に示すとともに、投資に関するその他の事項も取り上げていく。

 過去、株を売買した人々のほとんどがぱっとしない結果に終わったり、資金を失ったきたのは、間違いなく知識の欠如によるものである。しかし資金をみすみす失う必要はないのだ。

 本書では、読者が投資でより大きな成功を収めるために必要な知識と技能と方法とを提供している。

 アメリカをはじめとした自由な国々に暮らす人々は、老いも若きも、職業や教育、生い立ち、経済力にかかわらず、株式を所有することができるし、必ずそうすべきであると私は確信している。本書はエリート向けではなく、どこにでもいる、暮らし向きを向上させたいと思っている数百万人の普通の人々向けに書かれたものである。

 少額の投資からスタートできる

 あなたが一般労働者や投資の初心者ならば、最初から多額の資金は必要ない。ほんの五〇〇ドルか一〇〇〇ドルで投資を始め、所得と貯蓄の増加に合わせて金額を上乗せしていけばよいのだ。私自身は社会人になったばかりの二一歳の時、たったプロクター・アンド・ギャンブルの株を5株を買って投資をスタートさせた。

 あなたが生きている現代は、無限のチャンスに満ちた素晴らしい時代、そして卓抜した新しい発想や新興の産業、先端技術の時代である。しかし、こうした特別な状況を理解し、それを生かす方法を身につけるには、本を読んで勉強する必要がある。

 チャンスは万人に開かれている。あなたは今、新時代のアメリカを目の当たりにしているのだ。米国は高度テクノロジー、医療技術、コンピューター・ソフトウエア、軍事力、革新的な新興企業の分野で世界をリードしている。ロナルド・レーガンの下で共産主義者の社会主義体制は歴史の灰塵に帰し、自由とチャンスに満ちたアメリカの体制が、世界の多くの国々にとって最大の成功モデルとなっている。

 現代では、単に働いて給料を得るだけで満足していてはいけない。人生において自分が望むことをやり、行きたい場所に行き、欲しい物を手に入れるには、賢明に貯蓄と投資を行うことが絶対不可欠である。投資で得る副収入とそれ以外から得る利益によって、目的の達成が可能となり、真の安全を手に入れることができるようになるのである。

 第1の秘訣#1

 株式市場の成長銘柄を見分ける方法を学ぶ第1ステップは、過去の主導株を検討し、多くの成長銘柄に共通する特徴のすべてを知ることである。それによって、劇的な株価上昇の直前にそれらの株式がどのような値動きを示したかを知ることができる。

 またそれ以外にも、当時公表されていた四半期収益報告書の内容、過去五年間における当該企業の年間収益の推移、当時の株式取引の規模、劇的な株価上昇前の株価水準、各企業の発行済み普通株式数の状況、最大の成長銘柄の多くが重要な新製品を有していたり経営陣の入れ替えを行っていたこと、そうした銘柄の多くがその産業全体で起きた重大な変化に伴う産業集団の大きな変化と切っても切れない関係にあったことなども知ることができる。

 過去に好成績を上げた主導株に関して、この種の実務的かつ常識的な分析を行うのは容易であり、私はすでにそうした包括的な研究を完成させている。時系列分析においてわれわれは、株価上昇率を基準に、過去四〇年以上にわたって毎年の成長銘柄を選び出しているのだ。

 われわれはこの研究を「最大成長銘柄の記録」と呼んでいる。この研究は一九五三〜九三年までの期間を網羅し、現代の株式市場における成長銘柄上位五〇〇社について詳細に分析している。この中には以下のような株式が含まれている。五八年一月から六〇年五月までの期間に株価が二五ドルから二五〇ドルに急騰したテキサス・インスツルメンツ。六三年三月から六六年六月までの間に株価が一六〇ドルから一三四〇ドル前後まで急上昇したゼロックス。六三年下期のわずか六カ月間に株価が一〇〇ドルから五七〇ドルに飛躍したシンテックス。七八年から八〇年までの間の株価上昇率一〇〇〇%のドーム石油と同一五九五%のプライム・コンピューター。八二年から八七年までの間の上昇率三五〇〇%で幸運な株主を興奮させたリミテッド・ストアーズ。そしてシスコ・システムズは株式分割による影響を除いた水準で、九〇年一〇月から九四年三月までの間に株価が一・八八ドルから四〇・七五ドルに上昇した。また、ホーム・デポとマイクロソフトはともに八〇年代から九〇年代初頭にかけて株価が二〇倍以上に上昇。ホーム・デポは八一年九月の株式公開から二年もたたないうちに二〇倍を超す大幅な株価上昇を見せた前代未聞の銘柄のひとつであり、さらに同社の株価は八八年から九二年までの間に一〇倍超の上昇をした。これらの企業に共通しているのは、刺激的な新製品と新たなコンセプトを生み出してきたことである。

 過去の株式市場における魅力的な主導銘柄すべてに関する集中的な研究から導き出された、それらの共通の特徴と成功の秘訣に読者のみなさんは興味がおありだろうと思う。本書ではその全事項について、われわれがCAN−SLIM手法と名付けた覚えやすい簡単な体系で説明していく。

 CAN−SLIMの七文字のアルファベットは、一流の成長銘柄が株主に巨大な利益をもたらす前の段階に示した七つの主要な特徴をそれぞれ表すものである。成長銘柄を選別する方法を身につけることは可能で、だれでも世界の最良な企業群の部分所有者になることができる。さあ、すぐに取りかかろう。以下にCAN−SLIMの七文字のそれぞれの意味を簡単に紹介しておく。


C=Current Quarterly Earnings――当期四半期の1株当たり利益(どれだけあれば十分なのか?)
A=Annual Earnings Increases――年間の収益増加(意味ある成長が認められる銘柄を探す)
N=New Products, New Management, New Highs――新製品、新経営陣、新高値(適切なタイミングで買う)
S=Supply and Demand――株式の需要と供給(総資本が小さく株式需要が高いこと)
L=Leader or Laggard――主導銘柄か、停滞銘柄か(あなたの株はどっちだろう?)
I=Institutional Sponsorship――機関投資家による保有(数社であっても意味がある)
M=Market Direction――株式市場の動向(どう見極めるべきか?)

 では、さっそく第一章から読み進めてほしい。


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