※このページは、書籍『中源線建玉法』第四版(4冊完結)の第一部を忠実に再現しています。
※『中源線副読本』とは、この書籍にて勉強した先達が悩んだポイントを解説したものです。(定期毎に改訂)

        中源線建玉法

        第一部  解説

1.売買の練習と上達……………………………… 4
2.売買をするための道具………………………… 6
3.上達のステップ………………………………… 8
4.おどろくべき成果………………………………10
5.陳雅山について…………………………………12
6.後人の研究………………………………………15
7.大引法に歩がある………………………………16
8.実験が大事………………………………………19
9.現実の売買結果…………………………………21
10.利用方法について………………………………29
11.投資家への提案…………………………………34
12.女性投資家からの報告…………………………40
13.中源線のソフト化………………………………42
14.中源線研究会と研究部会報……………………44
                      
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第二部以下の総目次

第二部 本文

  第1篇 序論
1.変化の傾向……………………………………………………… 9
2.実践者の立場……………………………………………………10
3.強弱観と建て玉…………………………………………………11
第2篇 騰落
1.値動きの集約……………………………………………………15
2.順行と逆行………………………………………………………15
3.八項目の法示……………………………………………………17
4.陰陽分岐点………………………………………………………18
第3篇 建玉
1.仕掛け……………………………………………………………23
2.手仕舞い…………………………………………………………24
3.記号………………………………………………………………25
第4篇 運用
1.増し玉禁止………………………………………………………29
2.総資金量…………………………………………………………29
3.富致………………………………………………………………31

第三部 注解

第1篇 序論の注解
  注1〜注2…………………………………………………………… 2
第2篇 騰落の注解
 注3 ………………………………………………………………… 2
中源線の引き方……………………………………………………… 5
キザミについて……………………………………………………… 6

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注8 転換の二条件 ……………………………………………  8
注9 42分転換の条件 ………………………………………… 11
注10 再転換の規定 …………………………………………… 12
第3篇 建玉の注解
注14……………………………………………………………… 16
グラフ、法示の出現、売買、残玉の例 その1…………………18
同   その2…………………20
注21 記号……………………………………………………… 27
第4編 運用の注解
注22……………………………………………………………… 28

第四部 実験

1.資金量の規定 ………………………………………………… 2
2.利用方法と最終形態の実例 ………………………………… 5
3.キザミと特別規定 ……………………………………………12
相場をする者の立場から(1)………………………14 
          〃 (2)………………………17
特別規定とは何か …………………………………… 19
キザミおよび特別規定一覧
株式 ……………………………………………20
商品 ……………………………………………21
  特殊研究
枚数、規定などの変更 ……………………………… 23
TーBondの中源線 ……………………………………29
銀相場中源線研究会報告 …………………………… 30
16年間の損益出現の研究 ……………………………34
4.1971年〜1990年の売買記録 …………………………40〜99

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1.売買の練習と上達

 中源線そのものの解説に入る前に、相場をする、すなわち「売り、買い」
ということについて、証券会社、商品会社の営業上の説明とは全くちがった
角度から、それも基本的なものを、いくつか考えてみよう。
 それによって、利益を得るためにはどうすればよいか、一般の人が誤った
先入観のために失敗を繰り返している、また、あまりに遠いまわり道をして
いるのを、正しくすることができるし、そして、合理的に実行するようにな
り、目標が定まることによって自分自身の上達を自覚し、大いにはげみにな
るからである。
 まず、売買を「技術」的な見地からみる。すなわち、基本的でありながら
盲点となっている売買技法をあらためて考えてみるのだ。
 世にあらゆる技術、たとえばピアノを弾く技術、水泳の技術などと同じと
考えればよい。すると、次のような道筋を辿ってゆく。

準 備-予備知識、心構えなど
 ↓
練 習-基本技術の習得。繰り返しで納得する
 ↓
上 達-やり方がわかり、応用がきくようになる
 ↓
自 立-身についたものとなる

 こんな当然なことを、一般の投資家が全然実行していないのは、おどろく
べきことだ。業者やセールスマンの甘い勧誘に乗せられる、ということより
も、投資家自身の認識が問題であろう。
 ピアノを買っただけで練習もせず、いきなり演奏会に出る、あるいは、準
備運動も練習もせず「手足を動かせば進みますよ」といわれて水に飛び込む
のに似ている。大切なのは「如何に手足を動かすか」なのである。

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相場技法(そうばぎほう)
 相場の知識ではなく、売買の実技のこと。だから材料の分析などは厳
密には技法とはいわない。水泳における手足の動かし方、ゴルフでのボ
ールの打ち方に相当する「売買のやり方」のこと。
 ゴルフ練習場ではボールの打ち方を覚える。それはボールを打つこと
はゴルフの基本であり重要だからだ。しかし、それがゴルフのすべてで
はない。相場においては売買の一部分を練習することは不可能で、だか
ら、技法の練習といっても、小さいながら「仕掛けから手仕舞い」まで
を一貫しなければならない。
 昔から、仕掛けを重視した練習方法には(1)ためし玉から出発する方法
(2)サヤ取り(ヘッヂ)の建て玉から出発する方法(3)規格化された出発点を
決める方法の三つの系統があるといわれている。
                (実践用語・相場技法・基礎事典)
この三つの方法
 ためし玉から出発する方法−ためしに買って(売って)みて、波に乗
れると見極めてから本玉(ほんぎょく)を入れる。
 サヤ取りの建て玉から出発する方法−株ならコスト・ダウンのやり方、
商品なら〔期近(期中)買いの先売り〕の建て玉から波に乗る
 規格化された出発点を決める方法−指数、ケイ線などの統計上の確率
を信頼し、出発点を求めて波に乗る
であり、いずれも、同じことを繰り返すことによって上達してゆく。だから
この三つのうちのひとつ(自分の性質に合うもの)を選んではじめるべきで
ある。
 水泳における泳法のちがい(平泳とかクロールとか)と同じで、ひとつが
出来るようになれば(水に浮き、進むようになったのだから)、他も見よう見
まねで下手ながら出来るようになるのに似ている。
 あとは「上達」である。
 ついでながら、相場のプロの売買法を分類してみても、大きく上記の三つ
に分類(もっと細かく分けることも可能)できることから、やはり、これらは

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売買技法の出発点でありながら、そのまま(というのは極端だが、そう言っ
てよいくらい)プロの技法に進んでゆくことができる、といえよう。
 中源線はこの三番目の方法に相当する。そして、指数は端数が出るし、平
均線も同じ、また現実の値動きと遊離して実行しにくい、という欠点がある
が、中源線は、この点で実用的である。そして、周囲にプロ(資金は小なり
といえども、売買益で生活できるひと)が何人も出ていることでもわかる。

2.売買をするための道具

 次に、売買をするための「道具」について考えよう。ピアノの練習にはピ
アノがなければならず、これは当然で、相場においてはなにを指すのか。
 また楽譜に相当するものは何か。
 プロの間で一般に云われている「相場師の三種の神器」をみよう。
 これは「相場師に必要な道具三種」。だから「売買の成果をあげるために必
要不可欠な三つのもの」で「場帖、玉帖、資料」のことである。
場帖(ばちょう)−値動きの記録。自分の売買に有効に利用でき
るような記録の
          仕方をする            
玉帖(ぎょくちょう)−自分の売買を記録する。碁や将棋の棋譜
          に当たるのは売買譜だが、その原型になる記録。また損益の
          計算帖も含める。現在の建玉一覧表を特に値板(ねいた)と
          いう
          
資料−統計資料、スクラップブック、新聞の綴じ込み、グラフ
などだが、客観的なもの。一般資料、専門資料にわける
          
 一般の相場の下手なアマチゥアは、この道具のすべてを証券会社、商品会
社に依存している。道具は業者に用意させ、自分はお客だ、と威張ってそれ
を利用しているつもりであろう。業者が果たして、心の底からお客の味方で
あろうか。あくまでも営利事業であり、慈善事業をやっているのではない。
 また、業務用の道具が、個人の利益を得るための道具として適しているも
のではない。さらに、道具は売買をするときにこそ必要であることを思えば

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この「三種の道具」こそ、真に最低限度必要なものといえる。
 そして、それは

自分で読む
自分で書く
自分で決断する

ことが大事で、それでこそ自己の向上があり得る。

 中源線はあとで述べるように、長い歴史をもち、多くの人の実地に使用さ
れてきたにもかかわらず、酒田罫線法における売り線、買い線のような、い
わゆる「ザル碁、ヘボ将棋の手法」に堕落していない。それは、興味本位で
なく、売買の基礎技術習得のためにのみ用いられたからかもしれない。
 だからこそ、売買の道具として、また系統立ったひとつの売買方法として
確立してきたのであるし、いま、われわれが、あらためて統計をとってみて
もまた売買に使用してみても、さらに中源線を単に「機械的売買法」とし
て用いて計算してみても(他の多くの類似のものと、コンピュータによって
比較しても)その優位は歴然としている。

 過去十数年、商品仲買店を経営していた頃から、研究部の会員で、真剣に
売買の上達を望んでいた人たちに、本人の同意を得て多くの練習→上達の記
録をとってみたが、最も短期間に、確実に、アマチュアの最大欠点であると
ころの「材料探し」や「当てもの売買」から抜け出せたのは
 中源線による基本技術の習得
だった。
 端的に云うと「目がさめる」のだ。
 (1)売買の出発点を求める(2)分割の仕方を覚える(3)手仕舞いの要領を体得す
る(4)仕掛けの失敗の処置ができるようになる、のに非常に早いのだ。あとは
その人の努力による「上達」だけである。
 次に、アマチュアの欠点の是正というこよに目を向けてみよう。

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3.上達のステップ

 知識的な勉強を相当に積んでいながら、技術に目が向かなかった投資家が
「目がさめる」と抜け出すのは早い。
 その、目がさめる前の例を示そう。
 或るニュースでA株が暴騰必至、大化けの可能性あり、とみて(セールス
マンからの電話でも)買う。しかし、期待に反し、仕方なく「塩漬け」とな
る。次のニュースでB株を買う、次はC……と次第に持ち株は増加する。
 資金いっぱいになったあとは、引かされ巾の少ない銘柄を処分して、新し
い銘柄を買う。次第に騰がってきた銘柄は或る程度の利益をみて売るが、売
ったあとで暴騰することになる。
 すなわち、常に引かされた銘柄ばかり持ち続け、将来、市況好転の際、い
ちばん早く時流に乗る「引かされ巾の少ない銘柄」を売り、あるいは期待し
た「大化け」が現実にはじまったところで売ってしまう。
 極端にいうと、時流に乗る株を手放し、沈む株を手持ちに繰り入れる、と
いうような「手持ち株の悪化」のための努力を続けて一生を終わる。
 信用取引、商品相場の場合は、以上の経過が短期にあらわれ、それに「泥
棒に追い銭」と全く同一の増し玉が加わる。

 こういう投資態度は、売買法を観念的なものと考えているアマチュアに共
通するもので例外はあまりない。また個々の人の性質によって多少の片寄り
がある。そして、ここから抜け出せたら、もう初段の腕前である。
 ヘボ将棋でも面白ければよいが、相場においては、それではいけない。
 抜け出すには
 銘柄を限定すること
 分割売買をすること
 見込み違いは処置を早く
ということに気がつくが、まだ「知っただけ」で「出来るようになった」の

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でもなければ「上手になった」のでもない。
 つまり、実行力をつけ、上達してゆく具体的な方法が、わからないし、だ
から練習できない。
 それを教えるのが、中源線建玉法である。

 中源線建玉法(ちゅうげんせんたてぎょくほう)−名前は古くさいが、
変更する必要はない。日本の本間宗久の三昧伝(さんまいでん)が相場の聖
書といわれながら、なんら具体的な売買法の記述がなく、後人の偽書の疑い
も濃いのに対し、中源線は簡略ながら全部が具体的に規定されている。
 陰線、陽線、分割売買(仕掛けと手仕舞い)のすべてに規定がある。
 その規定を忠実に、つまり「機械的に売買」してもよい。途中の規定を
無視するのもひとつの方法である。分割売買だけ取り入れてもよい。自分
の判断でいくつかの単位の売買を加えるのもよい。
 第四部の「実験」でも述べるが、株の二銘柄だけを中源線による売買で練
習し、一年半後には勤めをやめて売買益だけで生活できるようになった人も
いるのだ。もちろん、この人は、中源線を使いこなし、自己の売買技術を固
めるため、それなりの努力をしたのだが、基準はあくまでも中源線である。
はじめに述べたように、そのままプロに移行できたのだ。

 多くの研究家とそれぞれ専門銘柄を決めて統計をとってみても、あまりに
うまく出来ているので、改良の余地はない(のべ数百年の統計。また毎年1
月に集まって、前年の結果と意見を交換している。後述)。
 しかし、規定どおり売買して、必ず利益が出るとはいえ、規定は規定、そ
れをステップとして上達を勝ちとるのは実践者自らが実行力をつけることで
ある。
 統計と売買をくりかえしてきた私たちとちがって、これから理解しようと
いう人は解説、実験、利用方法、売買経過、成功した人たちの実例など、な
るべくたくさん読んで、確信を深めることが必要である。それが実行力となる
のだ。次に、中源線そのものの説明に入ろう。

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 4.おどろくべき成果

 ひとつの系統立った売買の法則をつくる、また改良する、ということは、
やってみると、たいへんな仕事である。
 だいいち、わかりやすく売買の記録をつけるのでさえ、相当な労力を要す
る。
 顧客別勘定元帳から、売買と枚数(株数)、損益などの順序を復元してゆ
くことでも、あまりのわずらわしさに、1時間と根(こん)をつめていられ
ない。
 それを、グラフを首っ引きで、規定を変え、売買を変え、結果がどう変わ
るか、比較し、検討してゆく。そして、実際に売買してみる。やりやすいか
どうか。現実の効率はどうなっているか、をみる。これを続けた。

値巾の小さな保合い相場
値巾の大きい往来相場
一本調子の上げ下げ

のそれぞれに特長ある値動きがある。
 あとからなら、よくわかるのだが、これからどうなるか、というと全くわ
からない。
 だから、すべての動きに平均して効率のよいものをつくらなくてはならな
い。
 或る年には、利益が大きく出るが、翌年は大きな損失となる、というので
は実用性に欠けてくる。
 紙の上での計算でも、延べ何十年かの動きについて、しらべてみなければ
ならないし、現実の動きにあてはめるのは、最低で5年間を連続して、現実
に売買する値をとってみなければならない。
 単なる思いつきで決めては、非常に危険なのである。
 中源線の確認と改良についても、そうであった。

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 あとで、くわしく述べるが、小豆のたった1枚ずつの売買、また、株でも
一銘柄を追って1,000株単位の売買で手数料差し引き年間相当な利益を出す
ことが出来るようになったのは、ほんとうにおどろくべきことだと思う。

 信じられないかもしれないが事実である。
 そして、法則さえ知っていれば、女子でも、小学生でも、1ミリ方眼紙を
使って、終値の折れ線グラフさえ引ければ売買できる。簡単すぎるじゃない
か、といわれるかもしれない。
 しかし、人間には、自己主張、自分の意志を通そう、という気持ちがある。
 だから、法則どおりに売買する、という一見簡単なことが、容易でなくな
るのだ。
 心理的な抵抗があるからだ。
 私は、およそ20年来、その間には、中源線を捨てようか、と思ったことも
何度かあったが、また思いなおして、統計をとりはじめる。そんなことをく
りかえしてきた。
 会社の経営から離れた48年の1月になってから、何人かの有志の協力を
得て、ようやく、他人に見せてもはずかしくないものを一応完成した、と自
負している。

大引の折れ線グラフを引く
法則は
 1.陰陽(売り相場、買い相場)の転換の規定
 2.増し玉(買い増し、売り増し)の条件3つ(転換のときを含む)
 3.手仕舞いの条件3つ

 これだけで売買してゆくのである。
 結果は……、着実な成果があがってゆくのだ。

 以下、陳雅山の伝説から実験売買までのひととおりを解説してみたい。

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5.陳雅山について

 私が図書館に通いながら、相場書を手当たり次第に読んでいた昭和25年こ
ろ、陳雅山の伝説があることを知った。
 しかし、陳雅山は清の中期の人、というだけで、生年・没年など全く不明であった。
 そのうちに、次第に次のようなことがわかってきた。
  1.彼、または彼の親しい友人は
     富致録
   という一書を残した
  2.この本の中に、あるいは別に
 中源線建玉法
   あるいは
     中源線秘法
   または
     九数正法(きゅうすうしょうほう)
   という売買法がある。これは彼の創見した売買法である
  3.彼のその非凡の才は、生前はほとんど評価されず、死後、彼の遺産
を整理した友人によっ
   て明らかにされた
  4.中源線による売買は、非常に現実的であり、中国社会の観念的な
様式の中にあって異色で
   ある
 これ以上のことはほとんどわからないまま過ぎたが、30年頃だったか、前
後して陳雅山の遺稿と称する本を2冊見ることができた。
 その頃はコピーなんてないから、手で写したわけだが、そのひとつが、こ
の「中源線建玉法」なのである
 もう一冊は
      富致九数正法
と称するもので、これは、あとでくわしく述べるが、週足を平均する、いわ
ゆる平均足の一種である。

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両書とも、比較的大部なものであるが、私が写したのは、重要部分のみで、
前後の冗漫な「人生論」や、易および九星の成立から歴史的発展や、その「経
済陰陽循還九星説」は省いてしまった。
 もっとも、以後流布本を手に入れてはいるが、これら、相場と無関係な陰
陽、九星や、道学的部分?は圧倒的に「九数正法」に多い。
 その部分を読んでいると、あまりに馬鹿馬鹿しく、いったいこれで、きび
しい相場に立ち向かえるのだろうか、と不安になってくる。
 いや、それどころか、おまじないの本を読んでいるような錯覚をおこすく
らいである。

 夏の時代、禹氏洛書九畴の理を発見し、陳氏、この廻教原理に基づき
中源富致の相場売買法を創見せり。

このあと、くわしく陰陽相剋の理論が述べられてあり

  経済倫廻の法則、相庭の陰陽においてもまた然り、襟を正さずんばあ
るべからず。

あるいは

 富致に致数を山し、録数を山したるもの、天地人にて川なすときは棒
線の山となり、また棒線の川となる。

これは意味がわからない、しかし

  天の規、地の範、人の理、これ合一せるとき、大利を生ずるものと知
るべし。

こんなところぐらいまではがまんできる。しかし

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 この法は、一週間以前に、高低を予知する算数を解説するものなれば
    銀、米、株式、生糸
などに用いれば、その利甚大なり。

 とあるが、これで、この書は明治になってからの偽書、あるいは後人の加
筆であることがはっきりしてしまう。
 くどくなるが、どんなものだかわかるから例として、激動暗示の解説をあ
げてみる。

  千姿万態の変化のうちに騰落を演ずるのが相庭であり、その変化のう
ちに異常性を我われに認識させ、波乱と特異現象を予知させるのが激動
暗示の特徴である。
 空間勢力暗示線の諸点が、実際の相場の中に入っており、時間勢力暗
示線の諸点が、実際の相場の高低のそとにある場合は激動暗示であり、
高値の上に法則で割り出される陽点を算出し、安値の下に陰点を算出す
るのが、いわゆる人位の天地破りの波乱暗示である。

 何となく意味はわかるが、そうかといって実際にグラフに描いてみると全
くわからない。
 こんな説明と、抽象的な天地陰陽論がくどくどと述べてあり、売れといっ
ているのか、買えといっているのかさえもはっきりしないのである。

 一方「中源線建玉法」という本は、毎日の終値のみを続けてゆくもので、
解説中にはやはり
九津
天 地 人
などという、中国社会特有の表現があることは仕方がないが、それも平均法
とくらべると全く少ない、そのうえ売買指示は非常にはっきり明示されてい
る点に好感がもてるのである。

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6.後人の研究

 中国は銀本位制であった。いつの頃からそうであったかわからないが、相
当古く、数千年前からではなかろうか。
 いまでも、香港では、為替店の店頭で銀相場の売買が行われているそう
である。
 清の国は満州族の太祖が1616年建国、金と称したが、その子太宗が清と改
め、辛亥革命で中華民国が成立(1911)するまで続いた。
 なお
   アヘン戦争     1839〜1842
   明治元年−45年   1868〜1912
   本間宗久の生没   1717〜1803
であるから、清の時代をおよそ想像できるだろう。

 次に、前項で述べた、伝説のうち、わかりにくい言葉、あるいは気になる
点などについて述べてみよう。

 「洛書九畴の理」の「洛書」というのは、河図洛書の「洛書」で、洛水
を禹が治めたとき現われた亀の背中にあった図であり、書経の「洪範九畴」は
これからつくったといわれる。だから「九畴」のことで、いわゆる九星であ
る。
 これは、数学の方では「魔法陣」といい、気学の方では「盤」といっている。

    =======
    =4=9=2=
    =======
    =3=5=7=
    =======
    =8=1=6=
    =======

 たて、よこ、ななめ、どこの列を合計しても15になる不思議な図というこ
とで、後世これが九星となったが、これで相場がわかるとは思えない。

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「易」も同様である。
「倫廻」は仏教でいう倫廻のことで、これも相場とは無関係であろう。
「相庭」は、そうば、と読むが、日本の江戸時代にこう書いたもので、米
相場の流れを汲んでいるように思えるのである。

 次に「週」についてである。
 清の中期は、七曜いわゆる月火水木……によって仕事がなされていたか不
明である。
 「紅楼夢」(清の乾隆年間の小説)を読んでも曜日は出てこない。
 日本では、明治5年から官庁では日曜は休みになったが、それでも、一般
では長い間、旬と半月によって仕事がなされていた。
 週によって相場が行われていたかどうかということは、多くの人に聞い
てみたが、清の時代においては否定的である。

 「銀、米、株式、生糸」に応用、というが、これは明治の四大相場、すな
わち、横浜の洋銀、生糸、兜町の株、蛎殻町・堂島の期米であって、明らか
に清のものではない。

7.大引法に歩がある

 くどくどと、述べたが、あるいは、陳雅山の残したものに、平均法と大引
法の両方があり、それが、後人に研究または加筆されて変化していったのか
もしれない。
 しかし、両方を引いて、現実に売買してみると、絶対に大引法に歩がある
のである。
 平均法は非常にわかりにくく、説明にあげてある例のような事象が出るこ
とも少なく、それも売りか買いかはっきりせず、また、それがわかったとし
ても、現実の動きと離れてしまって、売買しにくいのである。

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 また、上回わり売り、下回わり買い、といっても、どの程度の上回わり、
下回わりを指すのかわからないし、「あくまでも以上は基本であり、応用は諸
子の習学と経験による」では、ほんとうに迷ってしまう。

 大引法は、平均法にくらべると、簡単で、幼稚な感じがしないでもないが
平均法では、売買の決定までにも不明な点がある、のとちがって、非常に明
快なのである。そのうえ、売買数量の増減によって、危険を分散する考えが
如何にも相場を長年経験した者の投機術であることがわかるから、この点単
なる上下の予見ではなく、売買術として地に足のついた感じなのである。
 これは、私が相場師たちの売買の記録(売買譜)をつけていて、特に感じ
たことで、いわゆる“当てもの”から一歩出ているように思うのだ。
 だから、私は専ら大引法を重視していた。
 そして、何かと実用になるようにしたいと思っていた。
 また、たまたま、華僑の相場好きの人に、私が業界紙に載せた文章の切り
抜きをみせて、中源線について尋ねてみた。
 その答えは「くわしくは知らないが、大引けのグラフで色を変えてゆく売
買法ですよ」ということであった。
 
 どちらが正統か否かはどうでもよい。利益をあげられればよいのではない
か、と思っている。
 「投資日報」に載せた私の随筆を再録してみよう。

伝説というが或る相場師

   中国−昔の支那は銀本位制をとっていた。
   だから、銀相場があった。そして、清(しん)の中期、陳雅山という相場師
  がいた。
   彼は青年のころから相場に志し、死にいたるまで商内を続けた。
   彼が売買していた間には、巨万の富を得たどころか、大儲けした、

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  という噂すらたたなかった。
   それほどに、彼の売買は目立たなかったのである。
   しかし、彼の死後、残された遺産は数百万両(アヘン戦争の賠償金と
  同額ぐらい)にのぼることがわかり、いかに着実に相場で利益を得てい
  たか、それが、人々を驚かせた。
   さらに、書房からは、おびただしい相場書、資料とともに彼自身の研
究ノートが発見され
  た。
   その一部は「富致録」と題して、ごく少数が版刻された。
   しかし、それは、ごく表面だけのもの、すなわち相場理論のようなも
   のに過ぎず、彼の秘奥としていたものは「中源線」と呼ばれるケイ線で
   あり、売買法であったという。
    中源線は、世界にも例をみない、逆張りの売買法を法則化したもの、
   といわれるが、その神髄は生前に刎頚(ふんけい)の友にのみ伝えられ
  た、という。

   以上は伝説である。
   日本の本間宗久と好一対をなす伝説で、そして、宗久の時代とほとん
  ど同じであるが、模倣ではなさそうである。
  
   また、好感がもてるのは、本間宗久が高利貸しの資本の蓄積によって政
  治に進出したのに対して、こちらは官位を望まず、死ぬまで相場を張り
  続けた、ということ、さらに、天資機才をもち百戦百勝、なんていうの
  とちがって、刻苦の末に自分なりの売買法を持った、ということだ。
  
   私の手もとにある「中源線建玉法」は、この流れのひとつであろう、
  と思われるのだが、現実にどうであろうかと、ここ三年来、ごく少ない
  枚数でやってみている。
   机上の空論では仕方がないからである。

 次に思うことは、昔から行なわれ、生き残ってきた売買法には、一般的に
次のような条件をもっているはずだということである。

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1.材料を無視している
2.ケイ線、または判断に用いる素材は単純である
3.売買数量の規定がある
 すなわち、そうでないと実用性がないことになるからである。
 大引法は、この条件をそなえている。
 また、別な伝説によれば、陳雅山が死ぬまで用いていたのは大引法だとい
う話もあり、流布本の記述は、大引法の方が首尾一貫しているし、後人の加
筆が、あまり加わっていないように思えるのである。

 結論は、やはり大引法のような、はっきりと売買を指示する方法をとり、
これを日本の相場に合うように、労をいとわず統計をとって改良してゆくの
がよい、ということになったのである。

8.実験が大事

 アメリカのウォール街にリトル・ブック・ストア(Little Book Store)と
いう、日本語に直すと「可愛いい本屋」という変な名の古本屋がある。この本
屋は、相場の本の専門店である。
 世界の各国語の本が並んでいる。アメリカにゆく友人に頼んで行ってもら
った。そして「ウォール街の智恵」とか、ケイ線書を買った。
 友人の話では、私の書いた本も並んでいて、それには白い帯がかけてあり、
英語で題名と簡単な内容がタイプで打ってあった、という。

 こういう本屋に、中源線の本がないか、と思って、さがしてもらった。
 ニューヨーク、香港、シンガポール、に見当をつけて探してもらったが、な
かなか見つからない。

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 しかし、そのうちに前述のように、本を探すよりも、実験した方がよい、
目的は考証にあるのではなくて、儲けることなのだから、やってみなくては
わからない、ということになって、実験を続けた。
 そのことは、第四部の「実験」のところに書いてあるが、なかなか結果が
よいのである。
 ただ、なまじっか、相場のことを知っているために、売り線が出ても売ら
なかったり、損切りドテンが続くと、まただまされる、とやらなかったり、
そんなときにかぎって大きく当たるもので、線の指示どおりにやったときは
いずれも大きく取れている。

 何年だったか、小豆の年間の利益が1枚ずつの売買で35万円余になってい
たことがあった。(詳細な売買記録をとる以前)。
 このときでも、もし指示どおりやっていたら50万円以上も利益になってい
たはずなのである。
 1枚が5万円のときであるから、規定どおり、6枚分30万円の資金ではじ
めたとしても約2倍の利益があがったことになる。

 中源線には、個人で改良したいろいろなやり方があるそうだが、私も、こ
れを改良しようとして、ずい分苦心した。
 統計にしても、小豆の開所以来の足を何度もひいたし、また、上場株から
バンクーバー証券取引所の株にまで、手当たり次第にやってみた。
 しかし、現在までのところ、私が改良できた点はくわしくは、あとで「実
験」「注解」などそれぞれのところで述べるが、主として建て玉の規定であ
り、細かい、陰陽を逆にした、ことを含めて12ヶ所ある。

 しかし、原本の規定は基本的にそのままであり、また骨子はいささかもか
わっていない。

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9.現実の売買結果

 世間には、機械的に売買して儲かるやり方がたくさん考案されている。し
かし、その方法で売買した実際の成果が発表されたことは一度もない。
 その理由は、現実に利益が出ないからである。
 グラフの上では、確かに利益が出るように見える。しかし、実際に売買す
ると利益にならないのは、限月のサヤがあることと、法則で売買の規定が出
た値段と、実際の売買値とに差があること、また、線の色が変わった(陰陽
転換した)根元からグラフの上だけで損益を計算してしまうこと、手数料を
除外してしまうこと、この4つである。(株には、サヤの問題はなく、権利落
ちがそれだが、他の3つはやはり同じように錯覚と計算ちがいを起こす)。

 たとえば、小豆などで、新穀限月に大きなサヤがつくことがあるが、先月、
旧穀限月を買ったのに、先物足では新穀限月に続けて、その値で利食いした
ような計算をしているのは、それこそ机上の計算でしかない。
 月をまたぐと限月がちがってくるのに、計算上は先物のグラフの上だけで
計算すると、サヤ分だけ食いちがってきてしまう。
 また、法則で「売り」か「買い」かの指示が出て、それから売買するのに、
法則で指示の出た値で計算すると、実際に翌朝寄付で売買する値とちがって
くる。
 大体、陰陽に色分けする法則は、転換時は順張りが原則だから、実際の買
い値は指示の出た値より高く、売り値は同じく安くなってしまう。
 また、手数料の計算がされなければならない。これは意外に大きいもので
ある。
 もうひとつ、グラフ上の計算で、重大な誤りは、陰陽が転換したときに、
転換したひとつ前の値で計算するための錯覚である。
 これは、現実に線を引いてみるとよくわかる。
 たとえば、陽転したとする。

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 陽線が一本つく。その陽線は安値から高値に向かって引かれる。いわゆる順行線
である。
 この順行線が引かれて、はじめて「買い」になったのだから、この順行線
一本目が引かれた翌日の朝の一節が実際の買い値になる。
 ところが、グラフをみると、順行線一本目はすでに陽線だから、その陽線
の下部、すなわち、前日の終値が買い値のような錯覚をおこす。
 損益計算は、あくまでも、実際の売買値でなければ意味がないから、陽線
一本目、陰線一本目の翌日でなければならない。

 以上、損益計算がグラフ上と現実と食いちがうのは
  1.順行線の前日との差
  2.転換値と翌日の売買値との差
  3.サヤ分の差
  4.手数料の除外
の4つで、このうち、特に(1)は、計算上決定的な結果をもたらす。
 (2)と(3)と(4)は、値巾はそれほど多くなく、平均して手数料を含めて、手数
料の4倍から6倍くらいだが、それも、積もると意外に大きい。一回の売買
で、(1)を含めると机上の計算より、手数料の約10倍くらいのロスをすること
になり、絶対に利益にならない。
 だから、売買法則においても、これら、(2)(3)を防ぐことを考えなければな
らず、それは「逆張り」以外にはない。
 中源線は、転換の法示が2つ、売買の法示が6つ、となっているが、この
売買の規定6つのうち、ひとつは転換時の建て玉で順張りであり、これは仕
方がないが、あとの5つは逆張りである。
ここに、中源線の有利性がある。

 試みに、47年1月の小豆、48年1月の松下電器について売買経過を説明する。
 これでも

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  1.中源線の8項目(売買法示は6項目)どおりに忠実に売買したもの
  2.中源線の陰陽の転換毎にドテンしただけのもの
の2種類を解説するとよいのだが、ここでは理解を深めるため(1)だけについ
て少しくわしく説明する。

 中源線は1単位ずつ売買する。
1単位は1枚(株ならば1,000株)でも5枚でも10枚でも50枚でもよい。
陰陽転換したら1単位。これを1/3という。
増し玉は1単位ずつ2回。3単位以上は建玉しない。
手仕舞いは、1単位、2単位、3単位と3種類ある。
だから、規定は
  陽転
  陰転
  建て玉増加 1/3(陰陽転換のとき)
        2/3 途中の増し玉
        3/3 同
           これ以上は建てない
  建て玉減少 1/3 手仕舞い
        2/3 〃
        3/3 〃    (建て玉なしとする)
の8つである。
 このうち、転換時の建て玉1単位(1/3)は順張り、あとの増し玉も、手仕舞
いも、すべて、すべて逆張りで行なう。第四部の解説、会報の売買記録、説明、実験
および、計算はすべて1単位を1枚としてある。
 実際の売買についてはわかりやすいので、47年1月の売買で説明する。

 46年12月に売り建てした1枚の玉が越年玉として繰り越された。
 1月10日、戻りで「1単位を売り増し」の規定(法示)が出た。
 翌11日朝一節6月限を1枚新規売りする。

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 これで、建て玉は2枚の売り建てとなった。
  1枚 5月限 14,800(新規番号 46年の64)
  1枚 6月限 13,600(新規番号 47年の1)
 この2枚を維持していたが1月18日の大引で転換、すなわち陰線が陽線に
変わる規定が出た。
 そこで、いままでの売り玉は全部手仕舞いして、新規に1/3(1単位、ここ
では1枚)買い玉を建てることになる。
 仕切り番号(47年の1)
   限月 売値   買値  仕切り日 手数料  損益  年初来損益
    5 14,800  13,960   1/19  5,000 +28,600
    6 13,600  13,810   1/19  4,800 −13,200  +15,400
 そして、新規の建て玉は
 新規番号(47年の2)
   1月19日 6月限 1枚 買い値 13,810
となる。
 この買い玉に
 1月25日の下がったところで、買い増し規定が出て、26日朝、6月限、1
枚、14,630円で新規に買い(新規番号47-3)合計買い建て玉は2枚になる。
 相場は上がったが、1月29日の押しで、さらに1枚の買い増し規定が出た。
 翌日は日曜日。月曜日、1月31日、前場1節
   6月限 1枚買い 15,540 (新規番号47ー4)
 これで、買い玉は合計3枚、全量建て玉、あとは買い増ししない。
 1月31日、暴騰したところで、「2/3手仕舞い売り」の規定が出たので、(47ー2)
と(47ー3)の買い玉を手仕舞うことになった(1枚は残す)。
 仕切り番号47ー2、2月1日
   限月 売値   買値  仕切り日 手数料  損益  年初来損益
    6 15,840  13,810   2/1   5,000 +76,200 + 91,600
    6 15,840  14,630   2/1   5,000 +43,200 +134,800
となる。

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これで、次のような経過になっている。
 新規売買は4回 仕切り(手仕舞い)売買は2回
 損失手仕舞い1枚 利益手仕舞い3枚
 年初来損益合計は手数料差し引き+134,800円
 現在残りの建て玉は1枚買い建て(番号47ー4)

 次は、株式についての売買例を示す。銘柄は松下電器。
 48年1月。701円の1,000株買い建てが47年からの越年残玉。しかし、この
701円の買い建て玉は、47年12月5日大引での買いの規定によって翌6日寄付
に買ったもので(この買いで合計3,000株になった)、そのあと、12月22日大引
で2単位売りの法示が出て、23日寄付2,000株手仕舞い、この玉が残ったのだ。
 48年1月6日、陰転。よって月曜の寄付(826円)で
     買い建て玉を手仕舞い
すると同時に1/3(1単位)新規に売り建てした。
 1月11日の大引が戻ったところで、1/3売り増しの規定が出た。
 翌12日、811円で売り建て、合計2,000株の売り建てとなった。
 1月16日には1/3手仕舞いの規定が出た。1/3手仕舞いとは、中源線の規定で
は「2/3残玉があればよい」という意味で、現在3/3(3単位)の売り建てがあれ
ば1/3手仕舞って2/3の残玉にするのだが、以上のように、現在は2単位しかな
いから、16日に1/3手仕舞うの規定が出ても〔法示―|、残玉―供△茲辰毒
買せず〕で見送り。
 17日、1単位売り増し規定。翌朝780円で1,000株新規売り。
 24日、1単位売り増し規定。しかし、すでに3単位あるので売買せず。
 27日、1単位手仕舞い規定。3単位売っているので、陰転のとき売った826
円の玉(新規番号48-1)を手仕舞いする。(29日、月曜、寄付743円。仕切
番号48ー2)。
 天井で動きが荒かったので売買頻度が高いが、ごく短期間で多くの例が示
せた。この記録は次のようになる。(24日の|―は普通は記録しない)

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月日 法示 売 残 新規 売値 買値 枚 仕切 仕切 手数料 損益 年間損益
      買 玉 番号       数 番号  日  取引税

        ―1    826  701 1 1  1/8  9,000 +113,522 +113,522
  2,478
1/6  陰 2― 1― 1  826  743 1 2  1/29 9,000 + 71,522 +185,044
                            2,478
11 |― 1 ―II― 2  811    1
16 ―|
17 |― 1― III― 3  780    1
27 ―| ―1  II―

 このようにして、売買を続けるわけである。
 その間
    陰線(売り線)、陽線(買い線)の転換
    買い増し、売り増し
    建て玉の1/3、2/3、建て玉全部の手仕舞い
のすべてが、規定されている。
 相場が如何に、変則的な動きをしようとも、突発的なニュースや材料が出
たとしても、それは、値の動きに現われるのだから、材料にとらわれてはい
けない。
 だから
    規定されていないことはやってはいけない
    規定に例外はない
のである。
 ここは「こうすべきだろう」の「だろう」という推定はないのだ。
 推定やカンをすべて排し、線による規定によって売買を続けてゆく。
 もちろん
     これでは無味乾燥ではないか
といわれるかもしれない。
 しかし、規定は規定、応用は応用である。
個人で、自分の相場技法を活用しようとしても、基礎になる基本の規定が

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確立していなければ、結局、すべてが推定による売買の連続になってしまう。
 また、それでなければ基礎技法の習得のために用いられることはなかった
はずである。
 この件については、別の章にもくわしく説明してある。

 さて、これらの「機械的売買」の結果はどうなっているか。
 以下、現実に売買した記録に基づいて、年間の実績を列挙してみる。
 注意 1.筆者が、その頃は商品相場を専門にしていたため、実験売買は
     商品のほうが多い。小豆は東京市場で1971(昭和46年)からいまま
     で21年も継続して行なわれていて、今後も続けるつもりである。
    2.商品相場において、売買の規定の出た翌日の寄付がストップ高
     ストップ安で商内が成立しなかったときは、そのあと実際に商内
     が成立した節の値、またその日に注文が入らなかったときは、翌
     日にでも、実際に売買された値で計算してある。
    3.小豆の表2は陰陽転換時のみの売買。記録としては重要ではな
     いので、48年の売買で中止した。
    4.東京海上の昭和49年6月4日の新規売りからの記録は信用取引
     で手数料、日歩、管理料を差し引いている。
    5.1989年4月より消費税が導入され、取引税も委託者の負担とな
     ったので、これらの諸経費はすべて差し引いてある。
    6.1971(昭和46)年〜1990(平成2)年の詳細な記録は第4部に掲載
     してある。

小豆(東京市場)
 1971(昭和46)年  年間22回転換、手数料差し引き + 244,600円
 1972(昭和47)年  年間18回転換、手数料差し引き + 482,600円
 1973(昭和48)年  年間25回転換、手数料差し引き −  10,600円
 1974(昭和49)年  年間20回転換、手数料差し引き − 112,100円
 1975(昭和50)年  年間12回転換、手数料差し引き + 164,600円

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 1976(昭和51)年  年間22回転換、手数料差し引き + 292,000円
 1977(昭和52)年  年間27回転換、手数料差し引き + 458,600円
 1978(昭和53)年  年間18回転換、手数料差し引き + 314,600円
 1979(昭和54)年  年間17回転換、手数料差し引き +  63,800円
 1980(昭和55)年  年間18回転換、手数料差し引き + 261,700円
 1981(昭和56)年  年間21回転換、手数料差し引き + 914,200円
 1982(昭和57)年  年間13回転換、手数料差し引き + 460,000円
 1983(昭和58)年  年間23回転換、手数料差し引き + 430,100円
 1984(昭和59)年  年間15回転換、手数料差し引き + 603,300円
 1985(昭和60)年  年間11回転換、手数料差し引き +  15,200円
 1986(昭和61)年  年間18回転換、手数料差し引き + 694,000円
 1987(昭和62)年  年間14回転換、手数料差し引き + 354,000円
 1988(昭和63)年  年間14回転換、手数料差し引き −1,125,200円
 1989(平成 1)年  年間13回転換、手数料
   取引税、消費税差し引き  + 510,073円
 1990(平成 2)年  年間17回転換、手数料
   取引税、消費税差し引き  + 405,298円

小豆表2(東京市場)
  46年  年間22回転換、手数料差し引き + 62,200円
  47年  年間18回転換、手数料差し引き + 203,400円
  48年  (10月11日、新規番号48-20の手仕舞いまで)
  10月11日まで20回転換、手数料差し引き
 + 163,000円

小豆(東京市場)10垠て(1/6縮尺・5円=1分・2捨3入7捨8入)
  52年(51年の越年残玉〔―掘佑魎泙52年11月7日手仕舞いまで)
     年間19回転換、手数料差し引き  + 695,000円

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毛糸(東京市場)
  49年  (6月3日の供戎卦番号49-1)
  6月3日を含め5回転換、手数料差し引き + 477,800円
  50年  年間7回転換、手数料差し引き  + 197,400円
  51年  年間3回転換、手数料差し引き  + 312,900円
東京海上
  49年  (6月8日の機修ら売買開始。50年1月7日手仕舞いまで)
  6月8日を含め4回転換。手数料
  取引税、日歩、管理料差し引き   + 279,909円
  51年  (越年玉―掘法年間8回転換
 手数料、権利落処理金加減  + 106,500円

注意 以上の売買結果は、注記の例外を除きいずれも12月末で損益を〆切                                        
  っている。年末は区切りがよい(実践家で年末に建て玉をゼロにする
  人もいる)からである。しかし、損益計算は〆切っても、売買は越年
  残玉として続けてゆき、越年玉の損益は次年度の損益としている。こ
  ういう「売買は区切りなく続け、損益は一年毎に区切る」方法は、実
  験売買の特長である。よって、見せかけだけの損益ならば、年末でな
  く、適当な月で区切ることもできることになる。上記の年末の損益の
  区切りは、如何に、中源線がすぐれているか、を示している。

10.利用方法について
 これらの売買結果をみてどう思われるか。
 1枚、あるいは1,000株単位の売買、それも、転換から、分割仕掛け、分
割手仕舞いのすべてを規定どおりに行ない、手数料を差し引いてこういう結
果になる。
 すべてが規定された固苦しい売買を実行したにしては利益が少ないじゃな
いか、と思われるか。

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 あるいは、何も考えず、大引の折れ線グラフを引き、そして機械的に売買
しただけで、こんなによい結果になるとは信じられない、と思われるか。
 これらの結果はすべて年の始めから終わりまでになっている。しかも、上
記の結果の途中には損切り手仕舞いも含まれているのだ。
 また、一般の、たとえば株式などの値上がり計算や利益計算では手数料を差
し引かず、値上がり幅だけで表示しているが、上記のすべては手数料を計算
した実質損益なのである。
 手数料というのは意外に大きく、特に取引所キザミで売買する小豆などで
は転換回数が多いから、年間約50万円前後にある(たとえば58年の小豆は年
間転換回数23回新規番号50仕切番号26までで418,300円である)。
 もし、多くの銘柄のグラフを引き、中源線の規定を当てはめて、成績のよ
い期間だけ抜き出して例示したら、それこそ驚くべき利益となって、とうて
い誰も信用しなくなってしまうだろう。

 なによりも、注目しなければならないのは、手数料を計算しても
     損にはならない(ところの確率を持っている)
ことである。もちろん、この場合の確率は当たり外れの%のことではなく、
損しないやりかたを中源線の規定が持っている、ということである。
 小豆の13年間で損になった年が1回だけあるが、これとても13年間の利益
からみれば2.6%でしかない。
 なんとすばらしいことではないか。
 利益を出すことの困難なことは、経験者がいちように言うことだが、損し
ないことは、そのまま「利益を出せる」ことと同じなのである。

 すると、さらに次のようなことも考えられてくる。
   1.中源線の長所を生かすように努力し、また短所を補ってゆけば、
    もっとよい成果があがるのではないか
   2.保ち合い、小動きのときは成績は良くないはずだ。だから、そ
    ういうときは休み、動き出したら乗るようにしたら、たとえ損切

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    り手仕舞いがあっても取り返せる。こんな利用方法はどうだろう
    か。
など、と思われるかもしれない。
 そういう考え方は正当である。

 中源線がのべ数百年の統計によって確認され、またこれだけの実験売買に
よって実証されたとはいえ、完璧であるはずがない。あくまでも、統計的な
確率を基礎にしているだけである。
 云いかえると、個性を持たない(中源線には中源線としての個性があるが、
それは上記のように統計によるのみで、売買当事者の個性を考えない)もの
であり、また、画一的、悪くいえば万人向きのものであり、さらに、あらゆ
る値動きに対処すべき売買であるから、基本的なものである。
 しかし、ベテランのみが使える売買法ではなく、また法則はあくまでも実
践的である。
 つまり、世の多くのケイ線法のように「相場の見方」のみで、どうやって
出動し、どう建て玉を操作し、どう手仕舞い(損切りを含め)すべきか全く不
明なのとちがって、あくまでも「具体的な売買方法」を示すものであり、だ
からこそ、解説のはじめに述べたように、プロが売買技法の基本を習得する
ために使用されたのであり、使いこなして個性ある売買法に脱皮できるのだ。
 もちろん、そんなことはめんどくさい、このままで十分だ、というのならば
それでもよい。それも上手な利用方法のひとつといえよう。

 利用方法がげ鮴發里呂犬瓩暴劼戮燭茲Δ法売買上達のステップとしての
利用はすでに示した。
 上記の「中源線の長所を生かして……」という考え方を「正当である」と
いったが、あまり欲に走ると、統計的確率が崩れてゆくことも考えなくては
ならない。
 だから、上手に利用する、つまり、「使いこなす」といえばよくわかるがそ
ういう方向にゆくべきなのだ。

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 第四部の「利用の最終形態の事例」でくわしく述べるが、中源線による練
習売買一年半で、プロとして自立した人もいるし、私が松下の売買で、ちょ
うど損切り規定が続いて意気消沈していたときに、同じ中源線で同じ松下で
利益をあげている人もいたのだ。
 中源線の利用方法、といっても

    1.規格化された売買法の確率を利用する忠実な実行
が基本になって
    2.気楽な売買方法としての利用法
    3.二銘柄の併行売買と、そのうちの一銘柄の選択売買
    4.数銘柄のグラフを引きながら出動を限定してゆく方法
    5.それらにおいて、自分の性格を生かし(たとえば中間で休む期
     間を置く、あるいは分割回数を変えるなどし)てゆく方法
などが一般的だが、専門的上達を志して
    6.基本を習得しながら、自分の売買の欠点、長所を探り、自立を
     目指す利用法
    7.特別規定をつくり、それをとり入れた利用法
      (特別規定はあとで一覧表として示す)
もあろう。
 おそらく、読者も上記のどれかに入るのではないだろうか。

 考えてみれば、そして具体的な技法も含めて分類すれば、もっと多くのや
り方があるかもしれない。
 しかし、「儲けよう」と青い顔をしながら、歯をくいしばって売買しても、
それは欲が先に立ち、そのため目がくらんで失敗してゆく。「当て屋」を目
指しても、当てようとするだけでなく、売買方法を合理的に実行することに
よって当たらなかったときの損失を軽減できることに気がつけばよいのだ。
それが第一歩なのである。

- 32 -

 中源線の確認と統計をとりはじめた年に協力を頼んだり、また申し出てく
れた人は十数人あった。一応の完成をみてから毎年1月の日曜日に集まって
話し合いの場を持っている。
 それぞれの人は、自分の専門の銘柄をもち、売買しているし、応接間を改
造してコンピュータを入れている人もいる。
 もちろん会合は、前年の成績、新しい研究や発見、中源線の改良などのた
めである。だから、私を含め、この人たちが引いてみた、また売買してみた
銘柄は数えきれないし、統計も、のべ数百年にわたるものになろう。
 52年1月に集まったのは15日であった。それが正式な会合になってから5
年目である。
 その日の結論は

     中源線の規定に改良するところなし

であった。(研究部会報52年1月号所載)
 その結論はもう5年も続いている。
 或る年に、或る銘柄が不振であたとしても、その銘柄のその年間を利益
にするために、規定を変えてみると、多くの不合理が生ずるのである。
 中源線に臨時の規定を設けてみても同じである。ただし、実践者の性格に
基づく欠点を補う特別規定はそのかぎりで有効な利用方法といえよう。
 相場というものはそういうものであろう。また、規格化した売買方法とい
うものも、まさにそういうものであろう。

 中源線の実証、および、読者の研究のために、46年1月以降13年間の売買
記録の明細は、第四部の「実験」の第4章に
 月日 法示 売買 残玉 限月 売買値 新規番号
 損益計算(売値 買値 枚数 仕切番号 仕切日 手数料 損益)
 年間損益増減
 備考

- 33 -

と、詳細に一覧表として数十頁にわたっている。
 そして、この記録は今後も続けて発表してゆくことはもちろんである。

 また、現在、私のところで、中源線を引いているのは下記の銘柄である。

   平和不動産 松下電器 日本石油 小西六
       (そのほかの銘柄も臨時にひくことがある)
   小豆 中国大豆 米国大豆 精糖 粗糖 金 銀
   ゴム 毛糸 綿糸40 生糸 乾繭

           11.投資家への提案
                (1)
以上で、中源線についてのアウトラインは理解されたことと思う。

  中源線を基本にしてプロ的な売買を行ない、これを職業としよう。

という鋭い目的であっても

  確率を基にして気楽な売買をしていこう

というのんびりしたものであってもよい。

  中源線は規格化された売買基準であり、過去の統計の最大
  公約数的な値動きを踏まえて組み立てられ、多くの実験を
  積み重ねられた売買法である

ことを承知していればよい。
「自己の確立」すなわち、他人頼り、情報におどらされる売買、証券会社、

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商品会社のいいなりになる売買から脱皮し、証券、商品会社を「利用」して
利益を生み出していこう、とするには、もうひとつ、中源線がごく特殊なも
のではなくて、普遍性をもっている、ということを知っていると、なお理解
が深まってゆく。
「人の顔ほど売買技法はある」というのは
     期間的な狙いのちがい
     ためし玉の活用の有無
     売りか買いかの片寄り
     玉の増し方
     分割方法
     分割の基準
     ツナギ活用の有無
の組み合わせが無数に出来、ひとによって好き嫌い、得意不得意に片寄りが
あることを指しているのだが、中源線が、それらの細かい点において片寄り
がなく、また、大筋においても如何に正しいか。すなわち
  利益をあげるための心構え(をあらわすやり方)
について、いくつかの例をあげてみる。

 或る高名な資産家、というよりもプロの投資家として、名前をいえば誰でも
知っている人だが、このK氏に48年12月に会ったとき
 いま建設株を買っているんだ。
 大成建設だ。それとソニーだよ。
といって伝票を見せられた。
 見たら大成建設は一日に2,000株ずつ毎日買っている。
 何十億もの資産家で大相場師が、大成建設(200円)を2,000株ずつなのだ。
 しかし、毎日寄付に成り行きで買う。1カ月25日で50,000株買える。予定
では10万株買う、といっているのだが、10万株買うのに1日2,000株、2カ月間
毎日買っているのだ。そして49年の前半はソニーと大成をやる、といっている。
 すなわち、2銘柄に限定しているのである。そして、自分でグラフを引い

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ているのだ。ソニーは10分の1に縮小したもの、大成はそのままのキザミの
ものを1ミリ方眼紙に描いている。
 グラフなんか書くんですか、と聞いたら、これがないとわからないじゃな
いか、ということで、どういう見方をしているかどうかは聞かなかったが、
とにかく普通の方眼紙に折れ線グラフを引いているのだ。
 さて、この大相場師K氏の方法は、まさに売買の本質にピタリ符合してい
ることがおわかりだと思う。
 ところが、一般のアマチュアは「材料探し投資法」からなかなか脱け出せ
ない。何か大きいショックで目がさめないとだめだ。
 また、他人から聞いて「銘柄を限定するのがよい」とわかっても、それは
観念的に承知しただけで、体得したとはいえないから、実行できない。
 ほんとうに、なかなか実行できないのだ。
 それを実行するひとつの手段として、中源線建玉法の利用がある。

 次に、多くの投資家に接してよくわかることのひとつについて述べよう。
 一度、大きな失敗をすると、取り返そうとあせる。そのときに、じっと我
慢し、これから心を入れかえて、外務員の云うことも聞かずに、自分のやり
方でやっていこう、という気持ちを持ったとしても、心のどこかに「あせり」
が残ってしまう。
 だから、やり方をみていると、大儲けを狙っているのがよくわかる。
 いま、そうでないとしても「いずれ、チャンスをとらえて、ひと山あてよ
う」という気持ちがあることは確かで、やり方が、前(失敗したとき)よりも、
一攫千金の色が濃くなってきているのだ。
 これはどうしても仕方がない、という人もいるが、私はそう思わない。
 ということは、現在、小資金で株か商品を始めようという人にもこの傾向
があるからだ。そういう人たちの考え方は、たとえば、次のようなものだ。

   私は、現在、500万円しかない。一応の目標は5,000万円にしている。
   5,000万円までは、少しは冒険をしてもよいから早く達成したい。達成

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   したら、あとは、お金持ちらしく、おっとりした増やし方をしてゆこ
   う。

 この考え方は、多少の例外はあるが、ほとんどの人が似たりよったりの考
え方をしているようである。
 しかし、この考え方、それから導き出される危険な売買法、すべてが、全
く逆なのだ、といいたい。
 はじめのうちは、多少危険を覚悟して、投機的な売買(一般の考え方の”投
機的”というのを認めるとして、投機的という言葉を使う)をしていこう、
というのは、全く逆だ。
 だから、結論をさきにいってしまうと、前掲の考え方は、次のようにいい
かえなければならない。

 私は、現在、500万円持っている。一応の目標は5,000万円にしている。
目標の半分くらい、2,500万円までは、少しずつでよいから、できるだけ堅
いやり方をしていこう。功を急いで元手をなくしてしまっては何にもなら
ないからだ。
 2,500万円になったら、一応大丈夫だからその一部、たとえば二割に当た
る500万円を限度にして、危険な売買をやってみよう。ただし、そのときで
も、この500万円の範囲を絶対に守ろう。この中で最良の方法をとりたい。
だから負けてもこの範囲にとどめよう。

 これは、観念的にはすぐ理解できる。
 しかし、実行は困難だ。人間であるかぎり、そして、目的物が品物でなく、
金だから、無限の可能性があるのに、出発点から自制するくらいの心がある
ならば、その人は、成功すること間違いない、といわれるかもしれない。
 もちろんそうなのだ。
 だから、はじめから自制心をもって、目標を達成しなければならない。と
ころが「はじめ」は

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  1.初心者にありがちな錯誤が多い。
  2.売買技法を知っていても、上達していない
ということから、やはり成果はあがらない。錯誤による失敗は、錯誤を直せ
ば、そのトタンに無くなるが、技法の上達は徐々である。しかし、無茶をや
らないのだから、あとはなれてくれば次第に成果があがってくるのだ。
 問題は、なれて成果があがってくるまで待てるかということになってくる。
 すなわち、自制心をいつまで持続できるか、ということだ。
 まず、このステップを越えることがむずかしい。
 私の経験は、まほとにはずかしいかぎりで、一大ショックによって目覚め
たのだが、多くの人も一度、大損害を受け、たとえば自殺を思うまでの苦し
い思いをしなければ、相場は上達しないのだ、というような「ショックがな
ければ上達しない」というプロ(現在プロになっている人)もいるが、私は
そう思わないのだ。
 たとえば、自転車の乗り方を覚えるには、大けがをしなければ駄目か、と
いうとそんなことはない。相場においてもそうだ、といいたい。
 ただ、
       初心忘るべからず
を続け、その間に次第に「技法」になれて、そしてまた上達するのに、ひと
つの基準があったら、ということを誰しも思っている。

 そのひとつの「売買法の基準」として中源線は非常によいもののひとつだ、
と確信しているのだ。

                (2)
 中源線について、多くの実験売買をやった。成果もあがった。有志の方た
ちと統計をとり直した。48年にまとめて本にした。
 中源線研究会をつくった。
 実践会員と共に売買を続けた。知人の老相場師からぜひと頼まれ、60才の
女の人の本格的売買教育に成功して、自分でもおどろいたこともある。



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 研究部の会員で、中源線の売買でプロになった人も何人かできた。
 アマチュアの人だが、次のような事例もある。
 兄が相場で損ばかりしているのを見ていた弟の人が、私の著書を読み「相
場というものは、そんなに損をするものではないように思うんですが」と相談に
来た。
 その方に「専門は強いもの」という話をした。
 銘柄の専門、売買法の専門、商売でいえば、多角経営の反対である。営業
方針を散漫にしないことであり、目的を決めることである。
 「私を信用して来られたのでしょうから、中源線だけで、中源線のとおり
にやってごらんなさい」と云ったのだ。
 生まれてはじめて相場をする。
 セールスマンから説明されて売買する、ということを知らない。日中に値
動きを聞いて一喜一憂することも知らない。新聞のニュースで売買した経験
を持たない。特別な材料が先入観となることもない。引かれた玉を持ちなが
ら、両建てしたこともない。
 朝、新聞が来たら、それでグラフを描き、転換したらその通りに、増し玉
もその通りに、9時前に注文を出す、成立値は翌日の新聞で知る。それが相
場というものだ。と思っているのだ。
 これこそ「自分の売買」というものであろう。
 もちろん、成績は次第にあがってくる。兄は「素人のくせに、いまに大損
するぞ」というが、証券会社、商品会社から、はじめにスリルを追う売買を
教えられたのではないから(いわゆる、われわれの言葉でいう「アヘン中毒
にされた」のではないから)大損することはない。
 この実例をみて、読者も「いまに大損するぞ」と思われるだろう。
 たしかに、水泳を正しく習得したとしても、少しは泳げるようになったとき
が危険で、それは
     習得した技術が衰えた
のではなくて
     慢心した心のおごり


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によって失敗するのだ。
 相場においてもその通り。
 私の著者「商品相場の技術」にも、ためし玉から本玉を入れる練習を過ぎ
たころの危険さについても書いてある。
 しかし、この例の人の危険さは少しちがって、慢心の余地が少ない。それ
は、浜辺の子供が、理論を知らずに水泳が出来るようになり、そしてはじめ
から危険いっぱいの中からの上達であった、のと同じようなものだからである。

 相場--とは、まさにそういうものだ、といいたい。

 いちばんはじめに述べたように、勉強を積みながら、売買技法に目が向か
なかった投資家が「目がさめる」と見ちがえたようになる。
 その、キッカケというかステップというか、それを中源線において実行
力をつけることを提案したい。
 必ずや、明るい将来が約束される、と確信する。

      12.女性投資家からの報告

 私の投資歴は20年くらい。いままでの年間の利益は1〜2割くらい、中源
線の利用の仕方が下手で損した年がいちばん悪かったのですが、あと次第
に成績がよくなりました。
 中源線を利用してよかった点は
  材料を無視するので気が楽
  終り値のグラフは単純なので、売り場買い場がはっきりわかる
ということで、立花氏の本をくりかえし読んで研究しています。昨年も
立花氏にならって年末は○にしました。
 画を描いている立場から考えたことは、理性と感性が半々のときはよ
い画ができるといわれています。株もしかり。理論的なことがわかり、そ

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の上で変動感覚がそなわり、それが半々くらいのときはよい成績があげら
れます。また、グラフをよく見るのはよくない、とどこかに書かれていま
したが、グラフはよく見たほうがよいと思うのですがいかがでしょう。
 私はグラフを見てわからないときは売買をしないのです。グラフのほう
が売りなさい買いなさいと暗示をくれるときだけ行動を起こすことにして
います。それだけに場帖も大事にしますが、グラフはそれ以上に大事にし
ています。
 画学生の頃、対象物をよく見なさい、見てわかるまで描くな、と教えら
れました。わからないことを描くから変な画しか描けないんだよ。よく見
てると見えてくるものなんだ、ともいわれました。
 株でも、グラフをよく見ていますと、向こうから売り時買い時を語りか
けてくれると思うのです。そんなやりかたはなまぬるいのでしょうか。


 売買
 62年1月〜12月
 日本電気
    売     買    手数料 税 金  利 益
 6/25 2,230 3/23 1,790 46,210 12,265  381,525
 6/23 2,180 4/ 8 1,500 40,960 11,990  629,050
 6/28 2,180 4/28 1,480 40,750 11,990  647,260
10/ 3 2,400 9/ 7 1,900 49,150 13,200  432,650
10/24 2,010 11/ 5 1,800 40,590 11,055  158,355
10/24 2,010 11/10 1,830 40,890 11,055  128,055
                    計 2,374,895

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  日 立  
    売     買    手数料 税 金  利 益
 6/25 1,240 4/10  920 25,540  6,820  287,640
 6/26 1,240 4/10 920 25,540  6,820  287,640
 6/23 1,220 4/13  872 25,710  6,710  315,580
6/23 1,190 4/24  871 24,382  6,545  288,073
6/23 1,190 4/28  885 27,557  6,545  273,898
8/ 4 1,200 7/ 9 1,080 27,940  6,600   85,460
10/ 3 1,560 9/ 7 1,180 32,770  8,580  338,650
12/24 1,230 10/31 1,180 27,100  6,765   16,135
12/24 1,230 11/10 1,150 26,800  6,765   46,435
                    計 1,939,511

    13. 中源線のソフト化

 中源線建玉法の初版は1977年(昭和52年)である。それから数年後に
パーソナル・コンピュータが市販されはじめた。
 そして、中源線のソフト化が試みられてきたが、いずれも部分的で不完
全であった。
 筆者はハイテクに弱いので、どうしてかわからなかった。多くの相場の
分析ソフトが、それも相当に複雑なものまで作成され、ワンタッチで(コ
ンピュータを知らない者でも定められたキーを押せば)ディスプレイされ
るようになったのに、どうして中源線はソフト化できないのだろうか、わ
からなかったのである。

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 専門家によると、計算が如何に複雑で膨大でも、アルゴリズムがシンプ
ルならば(たとえば○○レシオというようなレシオ類)、プログラムを組む
のは面倒だが専門家にとっては困難なことではない、のに反して、中源線
は、値動きそのものを表示する「直接法」であり、規則(中源線の法示)
は簡単だが、値動きそのものが複雑なため、アルゴリズム(互除法。計算
手順のこと)が多様化し、多くのケース(たとえば42分転換規定の「36日
経過後の転換」など)が出てくるからソフト化ソフト化がむずかしいのだ、という。
 そういう事情でソフト化は一部のパソコン愛好者によってなされてはい
たが、いずれもやはり相当に不完全だったようである。
 もっとも、ソフト化さえできれば直ちに利益につながるわけではまいの
だが、転換などの不完全な表示では根本的に駄目なことは当然である。

 筆者の事務所の近くに「パン・ローリング(有)会社」(後藤康徳氏)とい
うプログラマーの会社があり、中源線のソフト化に取り組んで、約15カ月
で完璧なプログラムを完成した。
 そのうえ、全上場株の中源線表示(ディスプレイおよびプリント・アウ
ト)が1時間半でできるし、大引値が入れば、その日の転換銘柄のリストが
  陰陽  コード  銘柄名  終値  出来高  法示
として出るし
  本日陽(陰)転銘柄数(および%) 陽(陰)線中銘柄数
までわかる。
 重要なことは、そのあとのことである。
 こんな便利なものをどう利用するか、である。
 多くのパソコン利用者の大失敗の惨状は、内部にいるわれわれの日常耳
にするものだが、パソコン分析で楽して儲けようという安易な取り組みか
たがいけないのはすでに判明している。
 では、どう利用すべきか、それも、アマチュアのおあそびではなく、恒
常的に利益をあげる仕事として売買、もちろん、いまの主題は中源線の

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利点を十分享受できる(欠点もカバーできる)利用方法はどうあるべ
きか、というと、ソフト化とは別の問題であるが、われわれにとって切実
なのは、そういうノウハウなのである。

   ケイ線が儲けさしてくれるんじゃないんですよ。確率を生かすのは
  人間なんです。あんたの経験でも周囲の人でも、みんなケイ線におど
  らされてなんとも悲劇的な結果になっているはずですよ。
   ケイ線を使って立派な売買をしなきゃいけません。
       「脱アマ相場師列伝」第8話「統計の鬼が自立するまで」

 そのために、このパン・ローリングでは、利用者にどういう形でサービ
スを提供したらよいか、筆者も含めて協議し、これからも討論することに
なるだろう。
 採算を度外視することはできないが、要は前記のように、単なる興味本
位ではなく、真に売買に有効な、それも一過性でない、将来に向かって進
歩と確実な利益を得られる利用の仕方であるべきだ、という命題なのであ
る。
 第4版の1991年7月現在、まだ結論は出ていないし、また、上記のソフ
ト化は株式についてで、商品相場や平均株価やオプションについてはこれ
からのことで、まだどうなるかわからない。
 一応、株式については完全なソフト化が出来た、ということと、パソコ
ンの利用は、中源線を生かせるかどうかで成果が決まってくるのだ、とい
うことを考えていただきたい。

14.研究部会報・FAI投資クラブ・中源線研究会

研究部会報
 1967年創刊 はじめ月刊、あと隔月刊(1年6回発行)
    現在 隔月刊 A5版 80〜120頁 購読料1カ年送料共35,000円

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     対象読者 株式、商品を問わず、売買法を問わず、プロ、あるい
       はセミプロとしての技術の向上を目指す人たち
     内容 株式および商品の売買技法の研究および紹介、自立指導、
       サヤ取りの技法と研究
       FAI投資のクラブの研究および選択銘柄の発表
       中源線の研究、売買経過の逐次発表
     特長 プロの技法の研究、紹介誌としては、我国にただひとつ。
       学術的研究は載せず、あくまでも実技のみ。すでに、会員か
       ら株式のプロ、サヤ取り専門のプロ、商品売買益で自立した
       者など多数を出している。
中源線研究会
 研究部の一部会
   中源線による実技の向上、自立を目指す方を対象に、練習と上達へ
  の実践方法を探る研究会。
   研究会の研究発表の一例は第4部の特殊研究のところに掲載されて
  いる。
   なお、研究部の他の一部会としてFAIクラブがある。
FAI投資クラブ(Free and Acquierd Investors)
   株式の現物投資の研究および実践機関。オーソドックスな利殖を目
 的にメンバーを限定している。

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