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中原駿レポート

祖父はソニー、母はパイオニアで財をなした投機の家系で育つ。 相場歴20年以上の知る人ぞ知る本物のトレーダーであり、 ラリー・ウィリアムズ、トム・デマークの戦略にも精通しており、その技術は誰もが認める。 為替、商品、債券、株式市場など多くの市場で、そのアイデアを利用し結果を残している。 めったに表舞台には登場しない。

<レポート、訳書、出演DVD>

  • パンレポート
  • 『ギャンの相場理論』(日本経済出版社)
  • 相場心理を読み解く出来高分析入門』(パンローリング)
  • DVD 中原駿の為替マーケットのテクニックとリスク管理セミナー
  • DVD ラリー・ウィリアムズに学ぶ短期売買法 [実践編]
  • DVD 実践!! 為替の短期売買セミナー

  • 実践FX〜いつも儲かる人の頭の中〜 第1回

    「システムトレードが大流行だけど、自分はシステムを作れません」「どうもシステムには今ひとつ不信感がある」「システムトレードをしたけど、リーマンショック以降の相場で大損してしまい、どうしたらいいか途方に暮れている」「裁量トレードをやりたいんだけれども、今更どうやったらいいのか、自信がない」

    リーマンショック以降の相場や昨今の為替相場のレバレッジ規制を受けて、いろいろな投資家からお声をちょうだいしています。また、新しく為替相場をやってみたい、けどどうしたらいいのかわからない、という人もいます。

    そうした中で、私は「基本的に裁量トレードをしているけれども、一貫して利益を上げ続けている人は存在する」「実はなにも特別な方法や頭脳を持っているわけではない」、だから「普通の人も必ず実践することが出来る」と思っています。

    「いや、大手銀行やヘッジファンドがミリセカンドで執行しているし、自動売買システムの日進月歩している中でもう個人の出る場面なんか無い」。そうでしょうね。従来のようなわずかな時間の中でわずかな利益を上げるという形では無理でしょう。

    また、あなたがシステム売買にこだわるのであれば、はっきり言ってヘッジファンドや金融機関のシステムに勝てるのは「偶然の産物に過ぎないか、よほど優れたシステムとしても時間の問題」である、と断言してしまいましょう。

    「では無理ではないか」。はい。その発想にこだわっている限りでは無理です。つまりプロの猿まねやシステム売買にこだわる限りは、良くて出来の悪いヘッジファンドになるだけです。ではどうしたらよいか。

    簡単です。「あなたにしかできない方法で、マーケットで優位に立つ方法がある」。「そしてそれは決して難しいことではない」のです。ここでは「あなた」=「個人」、「あなた」=「裁量トレーダー」です。この大前提で、話を進めていきますので、「あなた」=「法人」か「あなた」=「システムトレーダー」には当てはまりません。

    個人で、裁量トレードで、結果として一貫として利益を上げていきたい人、そうした指向をもつあなたに読んでもらいたいのです。実はあなたはたぐいまれなる優位性=エッジを持っているのです。まずその話から始めていきましょう。



    資金管理の冒険

    短期トレーダーのゲームの本質とは、

    1. 低いペイオフレシオ
    2. 高い勝率
    3. 1トレードあたりのリスクの相対的大きさ

    に絡める事が出来る、と述べた。 (3)は、別の言葉で言えばポジションサイズ、ということである。

    トレンドフォロー型システムが当初のトレードで2%以上のリスクを取らないのに対して、 短期トレーダーは5%程度、それも「一気に、全玉」建てなくてはならない。
    短期トレーダーにとってはトレードの回数の多さで、損益曲線を平準化し、低いペイオフ レシオをカバーしなくてはならない。

    逆にトレンドフォローのゲームはトレンド発生機会の少なさ(せいぜい一年で2−3回)をカバーするマーケットを極大化且つ相関を低くすることでカバーしていくのである。
    これがタートルズの云う「分散」と「相関関係の低いマーケットにベッドする」という理論になる。 というかマーケット分散とリスク分散を担保しない限りトレンドフォローのゲームは短期トレードのゲームにそのエクイティカーブ の平滑化や損益上昇率の点で負けてしまうのである。

    さて、今回はラリー・ウィリアムズの手法を検討するが、詳細は「ラリー・ウィリアムズの短期売買法」あるいは柳谷氏によ る「絶対の短期売買実践セミナー」に詳しい。内容の多くが重複することをあらかじめご承知おき頂きたい。

    [1]ケリーの公式

    ケりーの公式は最適賭け率を引き出す計算式である。ラリー・ウィリアムズが使ったことで有名。

    トレード枚数=((勝率+1)Xペイオフレシオ−1)/ペイオフレシオ

    勝率60%、損益比率(ペイオフレシオ)1.3倍の場合は

    ((1.3+1)X0.6−1)/1.3=0.29

    なんと全資産の29%をリスクに晒して良い、ということになってしまう。
    ラリー・ウィリアムズはこのケリーの公式を使って資産を爆発的に増やした。
    リスクは1トレードあたりの損失金額であるから本来は全資産の29%を1枚あたりの最大損失額で割るのが正し いリスクなのであるが、なんとラリー・ウィリアムズは一枚あたりの証拠金で割ったので ある。

    ラリー・ウィリアムズの損益は1万ドルからスタートし、210万ドル(210倍!) に達した後、70万ドルまで減少し(1/3!)、再び110万ドルに戻して終了した。 1年で、である。
    ケリーの公式のリスクは簡単に指摘することが出来る。 まず、ケリーの公式はブラックジャックやコイン投げのための最適化システムであるから、そもそも損失は最初から賭けた チップのみに限定されている。
    更に収益は常に一定で、チップの倍数である。一方、現実の相場は損失はより大きくなりがちであり、収益はつねにランダムになりがちである。つまり、勝率は一定の幅で乱高下しがちであり、ペイオフレシオは安定しない、という現実があるのだ。 ラリーの公式の誤りに気づき、ケリーの公式を改善したのが、ラルフ・ビンスであり、オプティマルfである。

    [2]オプティマルf

    上図の公式においてEn=収益、f=賭け率、pn はn回目のトレード損益、Mは最大損失額(絶対値)。
    Enを最大化するfを求めるというものがオプティマルfである。
    Pn という概念、Mというマキシマムドローダウンの概念を取り入れたことが大きな改善であったが、この手法をもっとも活用したラリー・ウィリアムズの言によればともかくオプティマルfは

    饐,船肇譟璽匹続くとポジションを抱えすぎる
    鮟召辰届続するドローダウンがトレードの後半に出現すると悲劇が起こる。つまり、勝 率の割に最終損益が破綻するリスクがある

    という欠陥を持つという。(詳細は「ラリー・ウィリアムズの短期売買法」第13章を参照)。


    もちろん改善策はある

    システムの開発では収益性の高い90%正確なシステムを設計するのは、いとも簡単なことである。
    ただ、実際に、そんなシステムで儲かった例はない。
    疑問に思われるだろうか?
    たとえばこうである。
    この90%システムの勝ちトレードごとの収益が1000ドルだとして、まず9連勝。
    総収益が9000ドルに達したとする。
    そして、負けトレードで2000ドル。残高は7000ドルにダウン。その後再び9連勝。残高は1万6000ドル。そして負けトレード。この負けトレードは大きくてシステムの許容限度一杯の1万ドル。残高は6千ドルまでダウン。
    ところが、残高の上昇に伴って、実際にはこの時点で倍の量をトレードしているため、損益は2万ドルとなっており、 取引口座に4000ドルの穴を開けることになる。
    90%正確なシステムなシステムなのに、である。
    資金管理の重要性については、前にも述べたとおりである。

    命取りになったのは負けトレードである。この負けトレードを回避し、資金管理を導入する必要がある。

    ―――「ラリー・ウィリアムズの短期売買法」から抜粋――――

    第3/4回 為替相場の参加者とその行動形態 2006年2月17日更新 

    前回「ランダム化」について述べたが、実際「ランダマイゼーション」というのは、ゲームの理論においても重要な戦略の一つといわれる。

    さて為替相場の参加者であるが、以下が主要な参加者と言っていいだろう。

    商社
    輸入業
    輸出業
    銀行(自己勘定)
    銀行(ブローキング)
    機関投資家(ヘッジ)
    機関投資家(投資)
    ヘッジファンド
    オーバーレイ・マネージャー
    小口投資家
    政府
    中央銀行

    以上の取引者のうち、短期トレーダーがもっとも注意を払うべきなのは第一には同じ時間軸でゲームを行う銀行の自己勘定、いわばディーリング部門である。商社や一部機関投資家の中にも自己勘定でディーリングを行う参加者がいるが、殆ど同じ行動形態なのでここではディーリング部門とほぼ同一として考える。
    さて、短期トレーダーが一番気にしなくてはいけない銀行勘定のディーリング部門とはどういったポジションを持っているのであろうか。

      仝楜劼離櫂献轡腑鵑鮗けながらディーリングを行い銀行全体の持ち高を調整するデスク
      ▲櫂献轡腑・テーカー
      ジュニアあるいはリスクの小さいトレーダー
    ほぼ以上の3つに大別されるだろう。

    ,篭箙圓隆定、帳尻を合わせるまさにディーリングの中核であり、情報も玉もすべてここに集中する。秒刻みでポジションが変わり、持ち高も変わる。はっきり言って,このデスクのポジションを推察することは不可能である。
    なぜならば、短期トレーダーよりも遥かに短い時間軸でのプレーヤーであり、情報量が圧倒的に違う。たまにデスクで長いポジションをキャリーするタイプもいるが、こうしたディーラーは相当な力量を持っているか塩漬けになっているかのどちらかである。またデスクは多少の時間軸はあっても結局一日の終わりには殆どポジションを閉じる。
    したがって、ディトレーダーには大きな影響を与えるが、短期トレーダーへの影響は差ほどではない。このデスクの性格も実際にインターバンクの参加者となり、面談したり実際にトレードしたりすると一定のパターンなどが読めてそれなりに参考になるのだが、デスクのメンバーも変わるし、一般情報では非常に動向が読みにくいプレーヤーでもある。
    したがって、デスクのポジションは(大胆な割りきりではあるが)中立とみなす。

    △離櫂献轡腑鵐董璽ーは独特である。現在はさまざまなタイプが居るようだが、多くはファンダメンタルズの材料をベースにしたシナリオに基づくトレードを行う。ただし、ストップはおのおの割り当てられた絶対金額であり、金融機関にもよるがその絶対金額は4つの時間枠で縛られている。 それは、日中ストップ、週間ストップ、月間ストップ、期中ストップである。ポジションテーカーの技量によっては日中ストップと週間ストップは採用されないケースもあるようだが、おおよそ1日から10日くらいのトレードを行うポジションテーカーはほぼ短期トレーダーと同じ時間枠でプレイしている、といっていいだろう。ポジション・テーカーとは言っても多種多様ではあるが、ここでは一般的なポジションテーカーのシナリオ策定プロセスを見てみたい。
    まず、彼らは大変な勉強家であり情報収集マニアである。一日中相場に没頭していると言っても良い。ポケットロイターのような情報端末を持ち、常に価格と経済ニュースをチェックしている。朝は通常5時台に起き、インターネットやニューヨークからの電話で情報交換する。価格の値動きとマーケットを動かしたニュース、主なプレイヤーの動向などをざっと聞く。それから、しばし意見交換して、「ぼんやりと」シナリオを思い浮かべる。モーニングサテライトやブルンバーグの朝のニュースなどを見て出勤。7時から半くらいまでに出社し、サンドイッチをつまみながら、情報端末を操作する。前日の自分のオーダーや顧客のオーダー、会社全体のポジションと損益を見て、顧客やブローカーと情報交換する。情報は、為替相場のみならず株価・金利といった基本情報はもとより商品相場、周辺国相場などもチェックする。朝のミーティングで重要事項を確認し臨戦態勢に入る。8時50分には日本の重要な指標が発表されるケースが多いので、事前にポジションを持つか否か決める。多くはファンダメンタルズに基づいたポジションの方向を決めており、参入レベルとストップロスを決める。場が開くと、自分の情報とシナリオに基づく値動きが実際起こっているかどうか、情報は自分のシナリオに沿っているか、考え続けながらポジションを維持する。3時前後には東京のトレーダーが一段落し、欧州のプレイヤーが参加する。現在では殆どロンドンに集中しているが、フランクフルトやロシアなどのプレイヤーも無視できない場合がある。多くはロンドンの明けくらいに大きな値動きが起こる。これはロンドンのプレイヤーが世界最大であることが最大の要因であろう。
    つまり、ロンドンタイムには東京の値動きを見てポジションを取る世界でもっとも多様で巨大なプレイヤーたちが参加する時間帯なのである。この時間はポジションテーカーにとって最大のストレステストになるケースが多い。東京の値動きが否定されたり、同じ値動きが加速されたりすることも、全く値が動かなくなることもあるが、シナリオが間違っていた、あるいはポジションを見間違えていた場合は、ここで大きく逆に持っていかれるケースが多い。後はストップをおいて寝るか、ストップをおかずに「コールオーダー」をして帰る、ということになる。そしてロンドンタイムの指標はオフィスで見て、海外の左程重要な指標以外は自宅かあるいは会食中に見る、ということになる。または雇用統計など非常に重要な指標の場合は、そのまま会社に残ってみるケースが多い。かなり詳細に書いてみたが、実際筆者がポジションテーカーであった時代があり、その一日を簡略して描いたものだ。

    このようにポジションテーカーは一日を殆ど相場に費やしている。インターネットが大きく普及していても、やはりインターバンクのポジションテーカーとは情報の量、質、速さにおいて致命的な格差があることは事実であろう。ただし、だからと言ってポジションテーカーよりより良い収益を上げられないわけではないし、またポジションテーカーより良質なシナリオを描けない訳ではない。
    さて、ポジションテーカーは実際どんなトレードをするのであろうか。ポジションの枠は少なくてドルで10m(11億円相当)、多ければ100m(110億円相当)以上となる。優位性は情報の量と質、ファンダメンタルズに基づくシナリオ、玉操作となる。多くのポジションテーカーは、為替のゲームの本質が分かっており、情報、サイズ、時間、ストップなどにおいて巧妙なランダマイゼーション(ランダム化)を行っている。この中でもっとも巧妙なのは、情報のランダマイゼーションであり、マーケット参加者に自分のポジションを悟らせないために、わざと自分と逆のポジションを取り、そのことをマーケット参加者にそれとなく知らしめたり、強気なのに弱気な相場観を述べて、相手のポジションを確かめようとする。無論、何時もうそばかり言っては信用されなくなるので、比較的小額のポジションを抱えているときには正確な情報を流し、肝心なときのみ相手を欺くわけだ。

    番外編 ラリー・ウィリアムズに学ぶ(その二)  2005年9月22日更新 

    チャート・パターン

    中長期的に形成されるチャート・パターンの多くは、ランダム・ウォーク的に言い換えれば「全く偶発的に作られる」と実証されている。ラリーもその点には同意しており、気温のグラフやサイコロの目などをチャート・パターン化して、警鐘を促していた。
    当然、ラリーのチャート・パターンはきわめて短期的な足が多い。厳密にはチャート・パターンというより「足組」といってしまった方がよいかもしれない。その意味では、ローソク足の観察法に近似しているとも言えよう。

    例えば、ラリーの考えた「安値圏で発生する『安く引けるアウトサイド・デイ』を強気シグナルとみる」は、日本で云う「最後の包み(足)」である。
    もちろん、逆に高値圏で高く引ける高値引けでの「最後の包み」も有効である。ただし、これはあまりにも出現回数が少なく、さほど使うケースはない。

    『相場で儲ける法』で、ラリーが詳細に分析したパターンも(特にラリーは、はらみ足が有効としていたが)ほとんど日本の相場では信頼に足らないのではないか、というのが現時点での筆者の結論である。ラリー自身も、過去の検証結果、はらみ足をもっとも得意の売買スタイルとして確立したわけでもないようだ。

    むろん、このことがラリーの「功績」を否定するものではない。少なくとも日本固有の相場ですら、一般に知られるチャート・パターンが信用できない、確率はランダムに近い、ということが証明されただけでも大変なこと、と言えるのだ。
    さて、次に筆者が検証した上で使えるラリーのパターンを紹介する。

    1、スマッシュデイ・リバーサル

     その日、続落し、かつ終値が前日の安値よりも低い(つまり終値が「むき出し」の状態になった)場合、その日をスマッシュデイとし、スマッシュデイの高値(すなわちレンジ)を抜けた時点で買い出動するパターン(売りはその逆)。
    より強力なのは、スマッシュデイが後ほど紹介する「OOPS(ウップス)」シグナルや、「スペシャリストの罠」(もち合いを放れたように見せかけて逆に展開するパターン)などと同時に形成される場合である。これは強力な反転シグナルとなる。 スマッシュデイ・リバーサルはマーケット・ストラクチャー・トレンド・リバーサルのポイントをとらえる方法とも言え、非常に有用なシグナルだ。最も強力なシグナルであるOOPSが形成されなくても、この方法で反転に乗ることが可能である。

    2、隠れたスマッシュデイ

    隠れたスマッシュデイとは「その日、値幅の25%以下で引けるが、前日の終値よりは高い」または「値幅の75%以上で引けるが前日の終値より安い」パターンである。トレンドの継続を見込んで、隠れたスマッシュデイのレンジをブレイクしたときに出動する。

    これはスマッシュデイ・リバーサルよりは遙かに多く出現し、また有効性も高い。日経225では頻発するし、東京市場の為替相場では、ほとんど短期トレードのキーシグナルと言えるほどである。 商品相場でも頻出し、日本の国内商品(小豆)でも有用だ。ラリーの短期売買チャート・パターンの中でも最も有用なシグナルの一つと言えよう。

    これら二つのスマッシュデイ・パターンを用いるケースは次のようになる。

      (1)トレンドフォローに利用する
      (2)「不規則に変わる値動きがあったマーケット」に適用する
    (1)について具体的に説明しよう。「スマッシュデイ・リバーサル」であれば、その日の足が下落トレンドにおける続伸で「むき出しの終値」を形成し、翌日反落して、その日の足の安値を割った場合、売りを入れる。

    また「隠れたスマッシュデイ」であれば、下落トレンドで、その日の終値がレンジの75%以上にあるが前日の終値よりも低い場合、その日の足のレンジを割ったところで売る。

    (2)は、トレンドが一見ランダムに見えるマーケットにおいてスマッシュデイのレンジそのものを参入ポイントにするトレードである。 トレンドは結果的に判明するものが多いので、読者は一見△妨えながら、結局はトレンドを形成するマーケットにおいて正しいポジションをいつの間にか作れていることに、驚くことであろう。

    3、週間売買シグナル/OOPSシグナル

    『相場で儲ける法』で紹介された「週間売買シグナル」とOOPSシグナルは、基本的に同じである。週単位でするか、日足ベースで実践するかの違いだ。 いずれも、「逆張り」であり、ラリーの人の悪さ、アメリカ市場の生き馬の目を抜く相場を象徴するようなシグナルといえる。
    「前日(週)の安値を下回る寄り付き」で前日(週)の安値に逆指値買いを入れる。または「前日(週)の高値を上回る寄り付き」の日に前日(週)の高値に逆指値売りを指す、という単純なものだ(悪いといっているわけではない)。 「大衆」のポジションを嘲笑う戦略であり、「最も良いパターン」で「驚くほどうまくいく」と言う。

    判断のポイントは、空(ギャップ)を開けた寄り付きが必要であるということと、ザラバ逆指値をするということ。 つまり、終値と寄り付きでギャップがあっても、前日のレンジを抜けて寄り付かなければ、このシグナルの条件にならない。また、レンジを抜けて寄り付いても、前日のレンジにザラバで戻らなければ、このシグナルは発動しない。

    日本の相場で検証してみると週間売買シグナルはかなり良い、という印象だ。もっとも、ドル円、日経225とも効率的な市場なので、日経では先物を利用するとか、ドル円だと、東京市場に限定するとかの工夫が必要である。そうしないと、ほとんどギャップそのものが生じなくなってしまう。

    東京市場のドル円相場で言えばシグナルとしてはかなり優秀な印象がある。もっとも、ラリーの推奨するストップでトレードすると、勝率・額ともかなり下がってしまうので、手仕舞いには日足の安値・高値を使わないと、利益になりにくい。

    日経225でもかなり良いシグナルを出していると言えるが、とにかくシグナルの数が少なすぎる。年に1〜2回しか出ない年もある。それに、ストップはラリーの置き方ではやはり無理あろう。日足ベースでフォローすべきだ。

    日本の商品相場で見ると、金(円ベースでよい)をはじめ、国際商品には相当使える技術であった。特に金には非常に有効で、筆者が1999年に検証した期間での勝率は80%であり、ドローダウンも少なかった。だが、残念なことにここ数年の勝率は良くない。

    さらに当時から、国内商品では良くないという印象だ(データの信頼性もあるが)。小豆などは非常に多くの売買シグナルを出すが、信頼性は低い。だが、概して週間売買シグナルは有効だ。数週間のトレンドを形成するパターンも多く見受けられるので、週の終値で出動しても「イケる」という感触を得た。

    ではOOPSシグナルのほうはどうか。これも銘柄選びが大切だ。代表的な相場では結構危険な仕掛けとなるケースも多い。筆者が東京ベースのドル円相場で検証したところ(ただし、ストップは海外市場も使えるものとする。スリッページは10銭。ストップは前日の安値・高値)、トレード回数18回、勝率43%、最大ドローダウン1円5銭、1回当たりの最大損失2円5銭、最高利益4円(1・95倍)となった。

    勝率や大きなトレンドが取れないなど、このままでは使えないというのが筆者の偽らざる印象である。シカゴの円先物にするとかなりパフォーマンスが良くなるが、とにかくシグナルが少なすぎるのが難点で、年あたり平均6・3回しかシグナルが出ない(期近ベース)。これでは実用に向かないと言わざるを得まい。

    日経225先物ではあまりにも勝率が低いので、検証する気にならなかったが、勝率30%前後まで落ち込んでいるのではないだろうか。先物がシンガポールやシカゴが使える機関投資家は良いだろうが、とてもこのままでは使えない、というのが印象である。

    では、商品はどうか。これが凄いパフォーマンスだった。特に東穀取の国際商品のギャップは極めて有効であった。99年当時はほとんど90%を超える勝率であった。しかし残念ながらここ数年はあまり有効とは言いがたい。

    筆者の個人的意見であるが、効率的市場では改善の余地が結構ある気がする。たとえば、日数を少し最適化する(例えば2日ベースにする)とか、アウトサイドデイ(包み足)かカブセ線(前日が陽線引けで当日がさらに高値で寄り付きながら前日の足のレンジまで押されて引けた足型)が出るまで待ってからのほうが適当なケースも多い。  過去3日間(その意味では比較する日にちは当日を入れて4日となる)のレンジに比較してもギャップが存在していないと、特に日足では危険、という印象がある。無論、オシレーターやサイクルを併用するのが望ましいのは言うまでもない。

    とにかく各人が検証するのが大切であって、ラリーも指摘しているが、鵜呑みにするべきではない。それにしても、ラリー・の発見したパターンの中で最良のものであったことは疑いない。読者も是非検証した上で活用してほしい。

    日本初公開決定!! ラリー・ウィリアムズのリアルタイムトレードセミナー
    2005年10月2日(日)〜10月3日(月)

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    番外編 ラリー・ウィリアムズに学ぶ(その一)  2005年9月16日更新 

    相場技術書の最高峰

    ラリーが著した『ラリー・ウィリアムズの短期売買法』(パンローリング社)は、いまだに「本邦で訳出された相場技術書の最高峰である」と筆者は考えている。
    もちろん『相場で儲ける法』(日本経済新聞社)も素晴らしい。だが、『相場で儲ける法』ではラリーの代表的な手法がおおむね述べられているのに対し、『短期売買法』には、より重要なテクニックが含まれ、さらに実践的・プラグマティック(実用的)な手法が骨子となっている。
    相場に長く生き残る人間は、売買ルールやそのテクニック、システムをどんどん簡略化させている(まるで真実はシンプルなものに存在しているかのようだ。また単純なルール以外、阿修羅のような相場にあっては守っていけない、という経験が成し得たものかもしれない・・・・・・)。
    何を残し、何を消してきたか? このことを研究するだけでも、一相場師の技法の成長が垣間見える。端的に言えば、恣意性、いわゆる相場の芸術的分野をどんどん放棄したのである。  

    ラリー・ウィリアムズの技法

    筆者の考えでは、ラリーの技法は、ざっと下記のように分類できる。

      ラリーの技法を分類

    1. 相場観測法
    2. 確率とシステム
    3. バイアス(相場の傾向)
    4. チャート・パターンとシグナル(OOPS、週間シグナル、スマッシュデイなど)
    5. オシレーター(%R、アキュムレーション、ディストリビューションなど)
    6. タイムサイクル(タイムサイクル、バイアス、1.28と1.618タイム・ターゲット)
    7. 建玉法
    8. マネー・マネジメント(資金管理)
    9. アノマリー(相関)

    むろん様々な要素が絡み合うので、この仕分けには異論もあろう。とにかく「確率=勝率を上げるためには何でもした」というのがラリーの探求スタイルであると思われる。
    システムもチャート・パターンもバイアス(相場の傾向)も、勝率を引き上げるための工夫に他ならない。相場に絶対がない以上、参加者は勝率をひたすら引き上げ、建玉法で自己ポジションを守り、生き残らなければならないのだ。 ラリーの言葉を借りれば「トレーダーにとって最も大切なルールは、生き延びること。第二のルールは、そのためにはすべてのルールを破っていい」ということである。今回は、ラリーのテクニックの中でも、文字数の関係からバイアス(相場の傾向)に絞って解説してみたい。  

    バイアス(相場の傾向)

    概念・発想そのものはW・D・ギャンやマーティン・ツバイクなどにも見られる。だが、統計的に処理したこと、そして暦日ではなく、何番目の日としたところなど、徹底的に活用した点には工夫を感じる。

    1, TDM

    筆者がラリーの手法の中で感嘆すべき手法の一つと考えるのが、このバイアスである。その中でも最も利用価値が高いと少なくとも筆者が考えているものがTDMである。端的に言えば、月の中で買うべき日、売るべき日(ラリー流にいえば、月のロードマップ)だ。
    日経225先物、ドル円相場といった最も参加者が多く、それだけ厚みのある相場にも非常に有効である。
    日経225でラリー風に「何番目の日」としてTDMを数えるとダウントレンドが強ければ、6〜8番目の日に高値をつけてしまう。強気であれば16〜18番目の日に高値をつけることが多かった。「月半ばの高値買うべからず」だ。
    これを05年の相場で見てみると、1月は5番目、2月は14番目、3月は5番目、4月は6番目と、ダウントレンド特有のTDM5〜6日の高値集中が見られる。
    では安値はどうか。筆者の検証では、月の最初、5〜7番目の日以外で安値をつけない場合、16〜22番目、すなわち月末に安値をつける傾向があった。買い仕掛けは原則月末がよく「月末安値売るべからず」である。
    これを05年の相場で見てみると次の通りになる。1月は18番目、2月は4番目、3月は21番目、4月は15番目と、1月と3月は月末1営業日前であった。つまり月末の安値形成である。
    また4月はパニック売りであるが、実質的な安値と強気相場のスタートは月末であった。ラリーのTDMは非常に有効であるといえるだろう。  

    2, TDW

    「週の中でどの曜日にバイアスが掛かりやすいか?」というものである。
    ドル円相場で当てはめてみよう。月曜日は一般的に言って、ドル高バイアスの掛かりやすい日である。ドル安の場合、火曜日には円高に転換してしまうケースもある。だが、確かに「水曜日の午後」または「木曜日の最初の一時間」にトレンドが尽きてしまうケースが多い。結果、金曜日はほとんどポジション整理となる。
    昨今のように円高トレンドであれば、むしろポジション調整でドル高ないしは円高が進行しにくい地合いとなるケースが多い。そしてまた月曜日がやってくる。つまり円高トレンドでは月曜日はドル弱気、一方、水曜日・木曜日は円高のピークとなることが多いわけである。
    日経225先物で見ると、月曜日、水曜日は強気バイアスが掛かってくる。一方、金曜日は弱気バイアスが掛かって来るのが特徴的だ。火曜日、木曜日はほとんどランダム。ちなみに大きな値幅変動は水曜日、次いで火曜日、木曜日と続き、意外なことに月・金の価格の大幅変動は、むしろ少ない。
    だが、一般的に言ってTDWはTDMより信頼度が低い、というのが筆者の結論である。

    ラリー・ウィリアムズの手法は、単純な上、実践に裏付けられた鋼のような強さがある。紙面の関係で今回は読者が強い興味を示しそうなテクニックに絞ったが、「王国への鍵」は資金管理であることもお忘れなく。この資金管理に関しても、ラリーは間違いなく、この世界の第一人者である。(続く)

    日本初公開決定!! ラリー・ウィリアムズのリアルタイムトレードセミナー
    2005年10月2日(日)〜10月3日(月)

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    第二回 為替相場とはどういうゲームか  2005年7月26日更新

    さて、本来はこの項から相場参加者のプロフィールとその行動形態を見ていくつもりであった。しかし、参加者とそのプロフィールを見る前に、なぜそのようなことをするのか、考えてみたい。

    筆者は短期パターンについての検証やいくつ物トレーディング戦略について解説を加えてきた。1999年ごろから特にギャップを利用したトレードを多く解説してきたように感じるが、このパターンが人口に膾炙した途端、途端にパフォーマンスが悪化した時期があった。またタートルズの戦略(20日ブレイクアウト)を食い物にする「タートル・スープ」という戦略も高名である。このような短期ブレイクアウト戦略の裏を書く戦術にはラリーの「スペシャリストの罠」も挙げられるだろう。もっと短期のパターンで言ってもリバーサルディが有効に機能しないことなども代表的な「失敗パターン」に挙げられるかもしれない。 なぜ、有効なパターンが機能しなくなったり、失敗パターンが機能するのだろうか。有効なパターンの無効化は以下のようなプロセスを踏むと想定される。

    1. 有効パターンが認知される
    2. 有効パターンに基づくポジションが作成される
    3. 有効パターンに基づく利益が確定される
    4. 有効パターンに基づくポジションが増加する=マーケットにおける一定価格でのポジションと一定価格でのストップが増加する
    5. そのストップロスや持値によって想定されたマーケット参加者の値動きが緩和される。
    例えば、ウップス戦略で言えばギャップアップを買った参加者は、本来「ロング」だけになってしまったマーケットで「投げ」を行うだけで相当の価格低下があるはずだが、前日高値に形成された多くの売りポジションの買戻しが期待されるようになる。また、当日高値にストップをおくのであれば、買い方としては大引けまでにその高値を一ポイントであっても更新すればストップを誘発できることになる。こうして、有効パターンの中立化あるいは無効化が起こってしまうわけだが、だからといってしっかりとした心理的市場的背景がある短期パターンはその有用性が一部失われたとしても、優位性が完全になくなるとは想定しがたい。例えば、ウップスは大衆の恐怖と願望に基づくポジションであり、スペシャリストトラップやタートルスープはブレイクアウトの約7割は失敗に終わるという統計的なバックグラウンドを持っている。したがって、このような短期パターンを使うことは有効である。しかし、ここで問題がある。

    マーケットがゼロサムゲームと仮定して、ここにあなたともう一人のプレイヤーしか居ないとする。当然に、あなたは自分の持値とポジションが分からないように工夫するとともに、相手の持値とポジション、出来たら所持金額を探るはずである。なぜならば、相手のポジションと持値、所持金額が分かれば、ストップポイントを想定することは容易である。ゼロサムゲームならば、相手の損失=自分の利益であり、相手の最大損失は所持金全額となる。価格がそのレベルまで到達する前に、おそらくその10分の1〜3分の1のいずれかで相手は「投げる」はずだからだ。自分がそうした情報を持ち、相手が同様な情報を持たなければ、情報は一方に偏る。これを専門用語では「情報の非対称」となる。逆にお互い全く情報を知らないか、すべて公開していれば情報は「対称」となる。相場のゲームでは基本的に持値、ポジション、所持金といったものは互いに知らないケースが殆どである。となると、次に重要なのは「相手のパターン」を探ることとなる。「無くて七癖」ではないが、実は人間は意識しようとしまいがある特定のパターンを取ってしまうケースが多い。そうなると、相手の注意観察力が高ければ、自分のパターンを読まれてしまう。又相手が無意識であっても行っているパターンを認識すれば、ゲームは有利に働く。例えば、以下のようなパターンが相手に読まれやすいパターンといえる。

    1. 一定の政治的イベントに必ず反応する
    2. 重要な経済指標に必ず反応する
    3. ある一定時間に必ず一定方向のポジションを取る
    4. 常に引け値では手仕舞う
    5. 常に短期パターンでポジションを取る
    これらのことを一定程度以上繰り返すと、相場参加者から一定のパターンを持つとレーダー(またはその集団)として認識され、マーケットはそのストップロスや持値を意識しだすだろう。これは短期トレーダーにとって全く好ましいことではない。この状態になると、「コイントスで買い、売りを決めたほうが儲かる」という事態が冗談でなくなってしまう。全くランダムに売り買いするほうが,「読まれてしまった自分のパターン」に忠実にポジションを取るよりも遥かにマーケット参加者からは読みづらく、結果として負ける金額が小さくなるからだ。しかし、コイントスでの売買は最終的な勝率を50%に戻すことは出来ても、税金、手数料、マーケットのオファー・ビッドスプレッド(通常これをスリッページという)などを勘案すればあらゆる相場は「絶対敗北するゲーム」になってしまうからである。

    では一体何をしたらいいのか。 筆者の考える回答の一つは「ランダム化」である。ランダム化と言っても、短期パターンをランダムにしてしまうのではない。色々な方法で自分のパターンをマーケットに読まれ難くするのである。たとえば

    1. いくつか有効な短期パターンのうち、利用するパターンをランダムに選ぶ
    2. タイムフレーム(時間軸)をランダム化する
    3. 対象とする相場をランダムに選ぶ
    といったことが挙げられる。,詫効なパターンの中でも「ウップス」「隠れたウップス」「TDライン」「スペシャリストの罠」「タートルスープ」「TD-TRAP」など利用する戦略を2つほどランダムに選んでおき(さいころで選ぶのが望ましい)、その戦略のみを当日適用することをさし、△歪名鐺足で行う短期パターンを週足に拡大してみたり、逆に時間足や30分足で利用することを指す。また対象とする市場をランダムに選ぶのも有効であり(ただしある程度習熟している市場に限る)、SPや日経平均で使いづらいパターンもハンセン、KOSPIやTWIでは有効といったことも起こりうる。特に為替市場においては欧米を中心にテクニカル系のトレーダーは多いので、非常に有効な戦略ということが出来よう。

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    第一回 為替相場とはどういうゲームか

    為替相場で短期売買するということは、一体他のマーケットで短期売買するのとどう違うのであろうか。主だった特色を挙げてみよう。

    1. マザーマーケット不在の巨大マーケット=二重性
    2. 流動性
    3. 参加者の多さと巨大さ
    4. 政府の介入
    5. ファンダメンタルズと経済指標の重要性

    1.のマザーマーケット不在というのは、為替が自国通貨と他国通貨の売買と いう二重人格的性格を帯びているためかもしれない。 通常商品相場とは「現金+金利」と「商品」のゲームである。株価も「現金+金利」 と「株」との間にあるゲームである。「現金」だけではないか、と思われるかもし れないが、実は「現金」との間に存在するゲームではない。商品であれば、その 商品が実際に消費者の手元に届くまでの価格に対する予測のゲームであり当然 にその資金には金利の要素が絡む。さらに株価はマーケット参加者の株価上昇 にかかるまでの時間、いわば時間に置き換えた期待実現可能性と実際の現金+ 実現までの金利利息を等価とするゲームであるから、株価そのものが持つ本質 と債券との裁定ということができる。

    予断となるが株価は、

      ・短期では 債券価格とカーブ
      ・中期では 政策金利動向とマネーサプライ
      ・長期では 成長力
    と裁定が掛かるとみなすべきで、株価はその株価自体のニュースよりも、株価 全体を動かすインデックスには金利とマネーの裁定が強く働き、またその影に は中央銀行の政策意図が見え隠れする、というわけなのだ。 したがって「現金+金利」=「債券」と通常対比して考えれば良い「株価」に対し て、為替相場はどうして複雑なゲームとなるのか。 ドル相場という相場はない。円相場という相場もない。あるのは「ドル円相場」 や「ユーロドル相場」であって、為替相場とはあくまでも「交換比率」でしかない のである。日経平均は日本がマザーマーケットであり、シンガポールやニュー ヨークでの売買がマザーマーケットになることはありえない。同様に、S&Pが 日本に上場されても、永遠にニューヨーク市場の売買出来高を越えることはな いだろう。通常商品や株には厳然とマザーマーケットが存在し、そこで形成さ れる価格に最終的な決定力がある。ところが、為替市場にはそのようなマザー マーケットが少なくとも2つは存在するのである。ドル円であれば、円のマザ ーマーケットである日本とドルのマザーマーケットであるニューヨーク。ユー ロドルであれば、ロンドンとニューヨークというように常にマザーマーケット が二重に存在する。このことは結果として、為替相場の参加者にとって一つの プロダクトを選ぶことが、少なくとも常に2つの市場を見ておく必要があるこ とを意味する。すなわち、日本のファンダメンタルズと米国のファンダメンタ ルズ、日本のフローと米国のフロー、日本の金融政策と米国の金融政策、等々。 金利もフローも、双方同時または金利「差」、マネーフローの「格差」、政策タ イミングのずれなどを意識しながら相場を張らなくてはならない。 すなわち、為替相場とは2つのマザーマーケット、2つのファンダメンタルズ、 政策、金利などを「そのもの」として、または「格差=スプレッド」として意識 する二重性のマーケットということができる。

    二重性という厄介なものも抱えているが、いいこともある。2.の流動性の豊 富さである。 ドル円であれば、円のマザーマーケットである日本とドルのマザーマーケット であるニューヨーク。ユーロドルであれば、ロンドンとニューヨークというよ うに常にマザーマーケットが二重に存在するが、いずれにも十分な流動性が供 給される。またロンドンマーケットは巨大な裁定市場でありまた世界最大のオ ーバーレイマネージャーや為替相場参加者が存在するマーケットであるから、 事実上東京オープンからニューヨーククローズまで十分な流動性が供給され続 けるマーケットといえる。無論、為替市場の朝である東京オープンや市場の深 夜となるニューヨークの3時以降は極端に薄いマーケットとなることもしばし ばであるが、それでも他の主要商品・株価インデックスと比較しても圧倒的に 流動性は高い。この流動性の恩恵を受けて、通貨証拠品取引は非常に低いオフ ァー・ビッドスプレッドを実現し、注文価格が即座に実行されることになった。 相場参加者にとっては誠に喜ばしいことといえるだろう。 ただし、流動性が豊富なことの欠陥もある。それは、豊富すぎてマーケットの 参加者のポジションが読みにくい、ということである。日本の商品市場では建 玉や参加者が少なすぎて流動性が厳しい反面、建玉や参加者の手の内がすぐ読 める、という部分もある。これはブローカーや商品取引所会員になればなるほ ど情報量の格差がそのままトレードの優位性につながることを意味する。為替 相場で参加者からの注文に応じるのは基本的には銀行ならびに証券会社などで あるが、商品市場や株式市場のようにブローカーが優位ということはほとんど ない。実際には銀行といえども市場の一参加者に過ぎない。ある一定の場合に 極端に流動性が薄くなることはあっても、非常に厚いときにはむしろ市場参加 者が困惑するほどのときもあるのである。5億ドル、10億ドルの注文が瞬時に さばけてしまった、というはなしをよく聞く。特にドルユーロ市場で顕著であ るようだが、ドル円でも同じようなケースがないわけではない。 流動性の恩恵は非常に大きいが、値動きの小ささに安心すると、その裏側では 巨大なマグマが渦巻いているときもあることは注意したい。

    3.参加者の多さとその巨大さも独特であろう。商品市場へのヘッジファンド の参入などで沸いているが、ヘッジファンドがいつも嘆くのが、その流動性の 低さである。自己資本の3倍から5倍のポジションを持つことを考えれば、1億 ドル(100mUS$)のサイズはすぐに3億ドル(300mUS$)のポジションを意味す る。(100万ドル=1本なので)ドル300本であれば、極端に言えばユーロドル だけでもマーケットを壊すことなく作れるポジションである。5通貨、あるい は3通貨であれば十分タイトなスプレッドであろう。ところが商品相場となる となかなかそうは行かない。

    さて主要な参加者とそのプロフィールについて簡単に紹介しよう。 実需、銀行、機関投資家、ヘッジファンド、政府が主な参加者といえる。それ ぞれ独自の意図を持って市場に参加している。ゲームに参加している以上、参 加者がどういう意図でどういうもち札を持っているのか、何が彼らを動かすの かを知っているのは非常に重要になる。

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