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『デイ・トレーダー』 アメリカを席巻する超ハイテク投資法 定価 本体 1,600円+税 ◆目次 A5判 246頁 |
●馬渕一著 ISBN4-8402-1304-6 |
INTRODUCTION
私はシアトルに住む日本人で、職業はプロのデイ・トレーダーです。
あなたが今手にとってご覧になっているこの本は、インターネットで生まれインターネットで育ち、インターネットを通じて出版されました。だから何だと言われても困りますが、とにかく、FAXで原稿を送るようなローテクは一切使わずに、WEBサイト(インターネット上のホームページ)と電子メールだけで制作されたわけです。
日本ではまだ馴染みのないデイ・トレーディングについて、自分のWEBサイトに日々記録した出来事をまとめなおしたのがこの本です。だから普通の本とは、ちょっと様子が違うかもしれません。
そのかわり、アメリカ株式市場の最先端情報は、刺身にできるくらいの鮮度です。パソコンとインターネットを使えば、大きく人生を変えることができるといっても過言ではないムーヴメントが、アメリカではすでに始まっています。
私が現在住んでいるシアトルで、デイ・トレーディングのための場所とシステムを提供する会社がオープンしたのが1997年3月。私が、ブート・キャンプと呼ばれるトレーニング(教育研修)のコースに参加したのはその年の8月。そして、9月には実際にトレードを始めました。
安定した収入を得る目安がつくまでには半年の歳月が必要でしたが、その間、このまったく新しいスタイルのトレードと、そこから生まれるライフスタイルの変化を記録しておこうと、自分のWEBサイトを立ち上げ、書き込みを続けました。
この本は、1年半に及ぶWEBでの記録をもとに、日本の読者にデイ・トレーディングの本当の姿を知っていただくために、これまでの記録を再構成し、1冊にまとめてみたものです。
よく知られているように、アナリストなどから多くの情報を入手できるプロのファンド・マネージャーたちが運用するミューチュアル・ファンドでさえ、年間運用成績は平均して10%もいけばよい方です。
数日先の相場でさえ、確実に予測できる人はいません。アナリストやファンド・マネージャーですらそうなのですから、個人投資家ではなおさらです。テクニカル分析であろうとファンダメンタル分析であろうと、同じことです。
しかし、1日の動きをリアルタイムで追いながら、一瞬、その流れに乗ることは不可能ではありません。これは、「未来を予測する」というのとはちょっとニュアンスが違います。最新のハイテクを使えば、ほんの少し先の未来をわずかに垣間見ることができる、とでも言えばおわかりいただけるでしょうか。あるいはサーフィンのように、一瞬の波(上昇気流)に飛び乗る、と言えばよいのでしょうか。
これが、本書でご紹介するデイ・トレーディングDay Trading(DT)です。
投資の世界ではすっかり定着したポートフォリオ理論に従い、多くの株を平均して持つことでリスクを軽減することはできますが、その分パフォーマンスは落ちてしまいます。お金を運用するには、銀行預金→投資信託→個別株式という順で、リスクも高くなるかわりに利益も大きくなるのが常識でした。
株式投資で大きなパフォーマンスを期待しつつ、同時にリスクを小さくするというのは、一見矛盾しています。しかし、DT(デイ・トレーディング)はそれを可能にしました(もちろん、完全にではありませんが)。
このまったく新しい投資手法の実態は、日本ではまだほとんど知られていません。
どこにでもいそうな若者が始めたハイテク・ベンチャー企業の株価時価総額が、長い歴史を誇る名門大企業を瞬く間に追い越す時代です。ネット関連株の上昇を見て戸惑っているのは、従来の手法や常識とされてきたものに縛られた、いわゆる「専門家」たちでしょう。同様に、DTでトレードをしたことのない人が、いくら取材で情報を集めても、それを正しく紹介することは不可能です。
だからこそ、この本で日本のみなさんに、DTという革命的な投資法がもたらす人生の新しい可能性を少しでも知っていただければと願っています。
アメリカに住むと、日本人は少数民族です。だから「日本人」を、好むと好まざるとにかかわらず、意識することになります。これは、まったく予想していなかったことでした。
40歳過ぎまではごくふつうの日本人として日本社会で暮らしてきた、いわば日本が「染み付いた」私の戸惑いや驚きも、正直に書いたつもりです。
そして、この本の続きが気になる人のために、インターネットに専用のホームページを設けました。「1冊で2度おいしい」そういう本です。
ここまで立ち読みをした人は、どうか買ってくださいね。
「答えはマーケットを見ろ。今、目の前で起こっていることが真実だ」
1999年9月15日 馬渕一