2012年9月発売
ISBN 978-4-7759-4911-5 C0076
定価 本体1,200円+税
A5判 並製 240ページ
著 者:中村 慶行、小野大地
監 修:望月正行
News 2013年2月17日付の読売新聞5面に、本書の監修者でプロバックギャモンプレイヤーである望月正行氏の記事が 掲載されました。
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しかし、シンプルなゲームだからこそ、奥が深く、より戦略的になります。
バックギャモンは、将棋やチェスのようにプレーヤーが同じ情報を持つ「完全ゲーム」でありながら、サイコロを使うため「不確定ゲーム」でもあります。どのゲームにおいても、強いプレーヤーが勝つのは同じ。しかし、そこに“運”という要素が加わることで、よりゲーム性が増してきます。運が良ければ、まったくの初心者が世界的プレーヤーに勝つことだってあるのです。
しかし、それは単発の勝負のみで起こること。経験を重ねていけば、運だけではどうにもならないことに気づきます。プレーヤーは常に、目の前の局面を分析し、不確定な要素を考慮しつつ、今後考え得るメリットとリスクを分析して最善策を模索していく。そうやって、自分の力で勝利を引き寄せるのです。
これは、人生でもビジネスでも求められるスキルです。目の前に起こることを冷静に理解し、柔軟に対応していく。そんな思考法を鍛える手段として、バックギャモンを部活動として取り入れている学校もあります。将棋や囲碁のような、知的ゲームとして愛されているのです。
本書は、「バックギャモンって何?」という方も、本をとじてすぐ始められるように、基本的解説からスタートしています。そして、何を指針に駒を動かすのか、どういうリスクが考えられるのか、など順を追って解説していきます。
世界王者を輩出している日本のバックギャモン業界が、新たな猛者の登場を待っています。
Part1 基本説明
1)バックギャモンって何!?
・ゲームで使用される道具
2)基本的なルール説明
・駒の並べ方と進行方向
・駒の動かし方
・ブロックポイント
・ヒットとエンターとダンス
・ベアインとベアオフ
3)ルールとマナー
4)基本用語
5)サンプルゲーム
コラム―世界4大ボードゲーム
Part2 基礎知識
1)ボードや駒の名称
・ボードの呼称
・並び方に見る駒の呼称
・ムーブの表記
2)勝ったときの得点は?
・勝敗のポイント
・ダブリングキューブ
コラム―世界選手権
Part3 基本テクニック
1)どう動かせばいいの!?
・基本となる駒の動かし方
2)重要アクション〜当てる(ヒット)〜
3)重要アクション〜作る(メイク)〜
4)重要アクション〜逃げる〜
5)新たなブロックポイントを作るための駒
・ビルダーとそうでない駒
・スロット
練習問題&回答
コラム―日本でのプレー
Part4 確率的側面
1)「1」がでるのは何通り!?
・サイコロの目
・特定の目を振る確率
2)ヒットチャンス
・ヒットのエリア
・ヒットされたときの痛手
コラム―地域によるボードの特色Part5 オープニング
1)最初の出目は何種類?
2)オープニングムーブ
・ポイントメイク
・バックマンを逃がす
・アクションプレー
・スロット
・スプリット
・ツーメンダウン
3)レスポンスムーブ
・ゾロ目のレスポンス
コラム―特殊なバックギャモン
Part6 基本戦略
1)戦いをどう進めるか?
・ピップカウント
・バックマンの存在
2)レースで勝っている場合の戦い方
3)レースで負けている場合の戦い方
4)インナーボードを強くしよう!
・インナーボードを目指す
・コンタクト
5)フルプライムは勝利確定?
・ウォーキングプライム
・ルースヒットしてはいけない場合
6)良い目は重複させろ!
コラム―バックギャモンフェスティバル
Part7 ゲームプラン
1)ランニングゲーム
2)ホールディングゲーム
3)アタッキングゲーム
4)プライミングゲーム
コラム―インターネットギャモン
Part8 ベアイン、ベアオフ
1)ノーコンタクト
・クロスオーバー
・ベアイン
・ベアオフ
2)コンタクトあり
・クローズアウト
・相手のアンカーがある場合
練習問題&回答
コラム―水中ギャモン
【著者】 中村慶行
2010年、史上最年少で名人位に就位する。 |
【著者】 小野大地
2011年U25トーナメント優勝。 |
【監修】 望月正行 プロフェッショナルプレーヤー。2009年の世界チャンピオン。2012年ヨーロピアンチャンピオンシップ優勝。元世界チャンピオンでかつヨーロピアンチャンピオンになった史上初の日本人。 |
【コラム・写真提供】 高橋順 2005年、王位戦準優勝。以後、バックギャモンの普及・イベント運営に尽力する。講習会講師からアングラな世界まで、バックギャモンに多元的に接している。。 |
最初はマス目を数えたり、駒の動かし方に戸惑ったりするかもしれません。しかし慣れてくれば、1ゲーム10分で終わってしまうこともあるほどスピーディーな展開に魅了されていくことでしょう。
サイコロを2コ使うので、実力だけではなく運も絡んできます。運が良ければ、世界チャンピオンに勝つことだってあるんです。1人のプレーヤーが使用する15枚の駒は全て同じ色形ですが、置いてある場所によって、荷物にも武器にもなります。その違いが分かり始めると、ますます面白くなるはずです。
バックギャモンは見た目とルールでは想像できないほど奥深く、強いプレーヤーは駒の配置、論理的背景、数学的要素など、あらゆることを駆使して正解手を導き出します。
本書は、バックギャモンの名前すら聞いたことのない方にもバックギャモンを理解していただけるよう、用具の説明やルールといった基礎から著しました。また、少しでも勝率を上げてゲームを楽しんでいただけるように、基本的な考え方や注意点なども記載しました。
この本を読んだ後は、ぜひ、定期的に開催されている例会に参加して試してみてください。そして、分からないことがあれば、先輩プレーヤーに質問してみるとよいでしょう。みな、親切に教えてくれるはずです。
本書をとおして、1人でも多くの方がバックギャモンに興味を持ってくださることを願っています。
それでは、バックギャモンの最初の扉を一緒に開きましょう。
中村慶行
本書の表記に誤りがありました。お詫びして訂正いたします。
◆24ページ サンプルゲーム ▽ゲームの1例 2)ゲーム開始の図表
(誤)サイコロの目が5(相手)と5(自分)
(正)サイコロの目は5(相手)と6(自分)