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実践編
相場で負けたときに読む本 真理編

相場で負けたときに読む本 [真理編]

著者 山口祐介
定価 本体1,500円+税
2007年1月10日発売
ISBN9784775990469 C2033


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相場で負けたときに読む本〜真理編〜

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なぜ、勝者は負けても勝っているのか?
なぜ、敗者は勝っても負けているのか?

敗者は何故負けてしまうのか。勝者はどうして勝てるのか。10年以上勝ち続けてきた現役トレーダーが相場の“真理”を詩的に紹介。

負けたトレーダーが破滅するのではない。
負けたときの対応の悪いトレーダーが破滅するのだ。

「月曜日、火曜日は大好きなゴルフを楽しみ、水曜日、木曜日はクルーザーで釣りを楽しみ、週末は家族や友人を別荘に招いてバーベキューを楽しむ」。  そのような「楽しい人生」に憧れない人などいないでしょう。マーケットは我々トレーダーに大金を得る機会を与えてくれます。その大金は誰にも干渉されない自由な人生を謳歌するのに十分な金額です。

 しかし当然のことですが、誰でもトレーダーとして成功するわけではありません。それどころか、夢や希望を持ったトレーダーの多くは大金を失い、希望は絶望に変わり、まるで夢から覚めたかのようにマーケットの世界から去っていきます。なぜ、マーケットはブラックホールの如く、トレーダーのお金をいとも簡単に吸い込んでしまうのでしょうか?

 私たちが社会で何かしらの欲を満たすために生きているのと同様に、トレーダーも何かしらの欲を満たすためにトレードをしています。実は、この「欲」こそ多くのトレーダーが破滅する大きな原因のひとつなのです。  誰でも初めてのトレードは緊張して怖かったはずです。無欲で謙虚だったはずです。初めてのトレードで勝つトレーダーが意外にも多い事実は、何もそのトレーダーの相場観が正しかったという理由だけではありません。無欲であり、謙虚であり、緊張して怖かったからなのです。

 しかし悲しいかな、人はどんな状況にでも慣れることができます。恐怖心はいつの間にか消え、トレーダーは謙虚さの欠けらもない強欲の固まりになります。勝ったときはもっと勝ちたい、負けたときは必ず取り返したい。そんな気持ちが強くなりすぎると、ポジションが逆に進んだときに、ほんの少しの損切りもできなくなってしまいます。

 勝つトレーダーは勝つ思考法を身につけています。これは単純ですが深く本質的です。今まで負けていたトレーダーも「勝つ思考法」を身につけることで「勝つトレーダー」になることができるのです。

 しかし、甘く考えてはいけません。教科書で速く泳ぐ方法を学んだところで、実際に泳いで速く泳ぐ方法を身につけない限りは速く泳ぐことなどできません。「知っていること」と「できること」は違うのです。あなたが現在「負けている、もしくは大して勝っていない」普通のトレーダーなのであれば、勝つ思考法を身につける前に、「負ける思考法」をひとつずつ変えていかなければなりません。

 これは簡単なことではありません。あなたが変えなければならない「負ける思考法」は、たった今まであなたが正しいと思ってきた「勝つ思考法」である可能性が極めて高いのです。本書を読み進めていくうちに、今まであなたが築き上げてきた「自己」を自らの手で否定しなければならなくなる場面に度々遭遇するでしょう。あなたはこの苦痛に耐え、真の勝者となることができるでしょうか? (「はじめに」より)

あとがき
 2004年の暮れ。コートが必要な寒い冬の季節。外国為替市場は円高ドル安が進行し、1ドル100円を割り込もうとしていた。当時の日銀幹部や政府要人は円高に歯止めをかけようと必死で、「急激な変動があれば適切な措置をとる」との”介入をほのめかす“メッセージが毎日のようにロイターやブルームバーグで流れていた。テレビの経済番組を見ても、インターネットのマーケット情報欄を見ても、出てくる言葉は円高、円高、円高。1995年につけた1ドル79・75円を超える円高になるのではないかと言うコメンテーターも出てくる始末。誰もが「1ドル100円割れ」を信じて疑わなかった。

 そういう状況の中で私はドル円を買っていた。理由は、あまりにも多くの人が1ドル100円を割れると信じていたからだ。全員が同じ方向に傾いているときにマーケットが反転することを私は経験から知っていた。私は1ドル103円くらいのところを買い続けた。しかし、市場の雰囲気は完全にドル売り。当時、勤めていた会社では、多くの同僚が私の行動を”馬鹿げている“と嘲笑した。また、どの著名アナリストのセミナーに行っても、彼らの言葉は基本的にドル売り路線。私はまるで世界中のトレーダーを敵に回したような、実に寂しい気持ちでドル円を買っていたことを今でも記憶している。  いくら自分の相場観に自信があったとしても、当時の状況で1ドル103円の買いポジションをホールドし続けるのはあまりにも危険すぎた。マーケットはいつ急落して1ドル100円を割れてもおかしくない状況。もし本当に1ドル100円を割れれば、一気に急落するのは目に見えていた。私は、小さく損切りを繰り返しながら買い下がった。少なくとも20回は損切りをしたと思う。それでも私は気力でドルを買い続けた。

 しかし、限界は近かった。私の気持ちは今にも折れそうだった。頭の中は「自分の考えは間違っていたのだろうか?」という迷いで一杯になった。度重なる損切りが精神的にも金銭的にも私を追い詰めていた。そして、ドル円が101・70レベルまで下落したとき、私の気持ちはついに折れた。そう、諦めたのだ。私の買い相場は負けで終わった。

 2005年1月17日。この日は私にとって2つの”記念日“となった。ひとつは私がドル円の買い戦略を諦めた日。もうひとつはこの日をさかいにドル円が上昇局面に転換した日。何を言いたいかわかるだろうか? 簡単なことだ。私は”ど安値“でドル円の買いポジションを手放してしまったのだ。私の予想は見事に当たった。しかし、お金は増えなかった。最後の最後でポジションを持っていなかったからである。

 2006年12月、外国為替市場は1ドル115円前後である。”あの日“我慢していれば今ごろは……。それを考えると悔しくてたまらない。今さら”たられば“の話をしても仕方のないことはわかっている。しかし、これが私にとって一番悔いに残っているトレードであり、そして懐かしい思い出でもあるのだ。

 予想の正しさとそれに見合うリターンは、ほとんどの場合で比例しない。この事実は非常に重要だ。多くのトレーダーは予想が合っているときにポジションを持っていなかったり、予想が合っていても怖くなって利益を早々と確定してしまったりする。  私は、予想の不安定性に嫌気がさしていた。だから、私が相場観に基づいて相場を張る”裁量トレーダー“をやめ、統計に基づいて相場を張る”システムトレーダー“になる決心をするのに、そう時間はかからなかった。

 私は相場におけるすべての自分の行動を数値化した。そして、その数値化された行動が過去において統計的に有効であるかを検証した。ひたすらそれを繰り返した。  数ヶ月が過ぎたとき、私はトレード中にあれこれ考えることがなくなっていた。ただ、統計的に立証された行動を繰り返すだけのロボットになっていた。私は、未来について悩むこともなくなっていた。トレーダーを苦しめる”あらゆる感情“から開放されたのだ。そして私は”現在も“相場の世界で生き残っている。あぁ、システムトレーディングは素晴らしい!

 もし、あなたが相場観に基づく”裁量トレード“に疑問を持ってきたなら、一度、私が主宰している「SHARK FUND(www.shark-fund.com)」をご覧になっていただければと思う。当サイトでは、微力ながら売買シグナル配信のサービスも手掛けている。何かしらのお役には立てるかもしれない。

2007年1月吉日 山口祐介


目次

まえがき

第1章 マーケットという名のブラックホール

第1回 相場に正解はない
第2回 可能か? 不可能か?
第3回 ギャンブラーとトレーダー
第4回 算数は通用しない
第5回 相場は難しい
第6回 騙し合いのゲーム
第7回 モラルの存在しない世界
第8回 暗闇の迷路
第9回 どの瞬間の価格も正しい
第10回 何事も起こり得る
第11回 相場における美人投票
第12回 見え方の違いがマーケットを動かす
第13回 事実に価値はない
第14回 相場道に近道なし
第15回 聖杯は心の中に存在する

第2章 大衆の常識と勘違い

第16回 勝ち逃げはできない
第17回 挑戦をやめるか? 相場をやめるか?
第18回 勉強は必要かつ充分ではない
第19回 知っていることとできることは違う
第20回 「いつ?」が問題である
第21回 ファンダメンタルの限界
第22回 勝率における間違った認識
第23回 勝率よりも重要なもの
第24回 順張りと逆張り
第25回 ドデンは簡単ではない
第26回 仮想と現実のギャップ
第27回 分析ツールの罠
第28回 チャートにラインを引く人々
第29回 コメンテーターとトレーダー
第30回 アナリストの限界
第31回 自分で決めないトレーダー

第3章 平均的トレーダーの誤った行動

第32回 自分の悪い癖を探し出せ
第33回 捨て去る勇気を持て
第34回 夢を見るな
第35回 責任転嫁するな
第36回 言い訳をするな
第37回 運に頼るな
第38回 すべての行為に責任を取れ
第39回 他人を頼るな
第40回 孤独と友達になれ
第41回 未来を考え過ぎるな
第42回 予想はよそう
第43回 変化に対応しろ
第44回 塩漬けを肯定するな
第45回 理由を探すな
第46回 間違った勝ち方をするな
第47回 正当化するな
第48回 チャンスでためらうな
第49回 常識を壊せ

あとがき



著者プロフィール

山口祐介(やまぐち・ゆうすけ)
1975年生まれ。成城大学経済学部卒。外国為替証拠金会社数社でカバーディーリング業務に従事。2006年に独立。為替、株式、商品などのトレーディングで生計を立てる。現在はディーリングの知識や10年を超える個人トレーダーとしての経験を生かし、個人投資家の教育や啓蒙活動を主な目的としたSHARK FUND(http://www.shark-fund.com)を主宰。多くの個人トレーダーからの支持を得る。

読者のご感想

この本は相場で勝つための本である。負けた時の反省を整理して負けを少なくするための本である。今まで勝つ方法の本をいく度も読んで学んだが、絶対と言える本は無かった。自分の経験を整理して学ぶことが、相場に勝つ方法である(M.N 様 60代)

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