相場でも“土台”となる基礎体力が必要です。基礎体力がしっかりしていれば、相場環境に右往左往することなく、上手に立ち回れます。上げ相場でも、下げ相場でも変わらずにパフォーマンスを出せる人は、この基礎体力がついているのです。
さて、突然ですが、ここで質問です。相場における「基礎体力」はどのように養えばよいのでしょうか。
基礎体力をつけるには、まずは「何故、価格は動くのか」についてを、理論として自分の頭に染みこませることが必要です。そして、さまざまなケースを通して「価格(の動き)こそが真実」であることを理解することで「基礎体力」をつけ、最終的には、トレードセンスへと昇華させていくのです。
本書は、“基礎体力”をつけるうえで必要な理論(※TPA理論)とさまざなケースを紹介しています。理論については本書の5ページから、ケースについてはインターネットの本屋さん「マネーのまぐまぐ」で連載中の問題を35問掲載。実際に自分の頭を使いながら、“基礎体力”を養っていける作りになっています。問題が瞬時にわかるようになれば、あなたの“相場における基礎体力”はかなり向上したと言ってもいいでしょう。
本書では「価格変動の本質」や「投資と投機の違い」を理解したうえで、「価格の動きについていく」ことの重要性をしつこいくらいに述べています。これらを繰り返し練習することで、相場環境に左右されない“体力作り”ができることでしょう。
率先してやるべきことは小手先のテクニックを覚えることではありません。結果的にあなたの相場での行動を舵取りすることになる“基礎体力(土台)作り”なのです。
ドリルをはじめる前に
このドリルは、価格変動の本質を知り、その対処の仕方を知ることで、相場で起こり得るさまざまな状況に対応できるトレードセンスの養成をはかるものです。
相場の動きに振り回されないためには、ぶれない軸となるものが必要です。まずは、なぜ相場が動くのかを知り、どのように対処するのが最も効率的かを知るために、「価格変動の本質」「投機と投資(意欲と事情)」「プライスアクション理論」に一通り目を通してください。私はこの3つを合わせて「タペストリー・プライスアクション(TPA)理論」と名付け、この理論に基づいた運用を2007年12月から開始しています。
次に、個々のケースを3択問題のドリルとして提供していますので、正解だと思われるものを選び、その解説に目を通してください。
このドリルは実際の運用とはまったく別物ですが、価格変動の本質を利用した最も効率的な運用理論だと思われる「TPA理論」を、ケースバイケースで理解するには非常に役立つものです。
相場では、常に売り手に対して買い手がいるように、さまざまな考え方、事情を持った人たちが参加しています。したがって、相場への取組方もさまざまで、「TPA理論」だけが正しい運用方法というわけではありません。とはいえ、個人投資家の方々が、ぶれない軸とできるしっかりとした理論に巡り会える機会がそれほど多いとも思えません。
皆さんの目で判断してください。そして「TPA理論」が皆さんのぶれない軸になり得ると思われたら、その軸をもとに、自分なりの修正を加えてください。相場は自分で判断するものです。無批判の適用では、どこかで落とし穴にはまります。また、軸にはなり得ないと結論づける方々にも、相場をより深く理解するきっかけにはなるかと思っています。
ドリルに用いた問題は、インターネットの本屋さん「マネーのまぐまぐ」に1年以上にわたって掲載されたものです。この連載は継続中で、新しい問題が毎週出ますので、本書を読まれた方々も、ぜひ閲覧、購読してください。こちらは無料です(http://money.mag2.com/invest/tradesense/)。
このドリルの刊行にあたっては、パンローリング株式会社の後藤康徳、磯崎公亜の両氏、株式会社まぐまぐの浅尾直樹、北本治、吉田正憲の各氏に多大なる協力を仰ぎました。各氏をはじめ、本ドリルの刊行を可能にしてくださった方々に、この場を借りてお礼申し上げます。
2008年正月矢口 新