『投資家から「自立する」投資家へ』目次

 
第1章 投資家共和国のコミュニティー広場に集合
                      ………………………5
 第1節 投資家共和国へ
 投資家共和国/落ちこぼれだったわたし/コミュニティーの力
 第2節 投資家共和国の活動
 分析する/自分では何もできないけど仲間がいるんだ
 第3節 仮想敵国は借金の国
 
 第2章 虚構の国 E国………………………19
 
 第1節 虚構の「E」実力の「E」へ
 企業が発表する収益は「虚構である」と知る/まずは決算書を知る/
 会計基準を把握する/合法的な会計トリックを知る/監査報告書を読
 む/チェックすべき項目を知る/まとめ
 第2節 実力の「E」を知り、将来の「E」を探るために
 まずは予想しなくてもいい予想をしよう/リプレイスを予想する/売
 上を予想する/限界利益率を予想する/固定費を予想する/投資効率
 を予想する/その他
 第3節 将来の「E」を知る
 第4節 虚構の国「E」を後にして
 
 第3章 激動の国 P国………………………125
 
 第1節 Pに振り回されない
 第2節 Pに振り回されないために
 利回りを考える/高い利益率を誇る企業を探す/Pの動きを読む/モ
 メンタムを知り、利益の持続性を見極める/理論株価で目標株価を決
 める/景気循環を知る/イノベーションを渡り歩く/信用リスクを考
 える
 第3節 Pのまとめ
 
 第4章 自己投資の国 U国………………………177
 
 第1節 あなたが絶望を感じるとき
 第2節 あなたを絶望させる会社を知る
 絶望にとどまることはない/絶望の経営とは
 第3節 絶望と無縁の会社を選ぶ
 希望を持たせる経営とは/日本型の企業を選ぶ/専業企業を見直す/
 言い訳しない経営者がいる組織を選ぶ/最小ユニットで経営する組織
 を評価する/シェアの高い企業を選ぶ/差別化できている企業を選
 ぶ/技術力のある組織を選ぶ
 第4節 まとめ
 
 第5章 U国の心臓部へ………………………243
 
 第1節 EやPやUに打ち勝ち、希望の光を手にしよう
 第2節 EやPやUに勝つためにまず「すべき」こと
 第3節 希望の光を手にするために
 継続は力なり/時は金なり/リスクを恐れない/投資家マインドを身
 につける/大原則を守る/多数の投資アイデアを考える/理解力を高
 める/ネットワークを構築する/失敗を糧にする
 
 第6章 再び投資共和国へ………………………323
 
 第1節 損切りは早く、利食いは遅く
 リスク管理は株式投資の土台/投資家の自立の条件/リスク管理/リ
 スク管理の手法
 第2節 不人気を買う
 不人気とは/不人気を測るには/ターンアラウンドを狙う/市場の間
 違いを利用する/上昇する銘柄を見極める/偉大な投資家たちの手法
 第3節 偉大な投資家たちの手法
 
 あとがき………………………385
 
 参考資料………………………391

第1節 投資家共和国へ

A)投資家共和国

 こんにちは。このたびは、投資家旅行に参加いただきましてありがとうございます。  最初に、わたしの自己紹介です。わたしは、「クレイ フィンレイ」という外資系の投資顧問で、年金を実際に運用している、運用チームのひとりです。ファンダメンタルズ分析に基づいて投資を行っています。運用総額は8000億円程度です。15人程度で、世界の株式を分析しています。運用成績は、過去7年間の累計で、コンサルタントの調査では、年金の運用機関としては、上位1%に入る成績を上げています。
 個人投資家の教育を目的にしたNPOイノベーターズ・フォーラムを仲間と運営、また、メールマガジン『億の近道』という投資教育コンテンツを毎週、ボランティアで執筆しています。特に、ライコスの掲示板「億の近道(
http://club.www.infoseek.co.jp/club.asp?cid=10600001)」で投資家の啓蒙活動の一環として、多くの方々と一緒に、掲示板をボランティアで運営しています。この掲示板は無料ですし、誰でもいつでも投資について相談できます。あなたの投資について、24時間、誰かがアドバイスやコメントをしてくれるはずです。
 その掲示板で居酒屋「億近」という店の初代マスターとして、みなさんの投資生活をサポートさせていただいています。そのコミュニティーをわたしは「投資家共和国」と呼んでいます。ネットの中を見てください。ここがみなさんの投資家共和国です。みなさまに、投資のすばらしさを伝えたい気持ちが高じて、こういう掲示板をやっています。
 共和国には今、サポーターが1000人以上います。常駐サポーターが300人います。サポーターのなかには、機関投資家さんもいますし、個人投資家さんもいます。みなさんが客観的なアドバイスをしようと前向きに親切にサポートをしています。なかには、ファンダメンタルズ分析を得意とする方もいます。テクニカルが得意な方もいます。債券投資が専門の方、不動産投資が専門の方、マクロ経済が専門の方、公認会計士の方など、さまざまな方々が集っています。そして、資産からの収入だけで生活している、うらやましい方々も出入りしています。
 掲示板では、特定の株のお話というよりも、「株ってなんだろう」や「どうしたら貯金ができるようになるだろう」など、個人投資家にとって役に立つ情報が満載されています。ですから、あなたにもつながっていてほしいのです。わたしたちが目指すものに。

B)落ちこぼれだったわたし

 わたしは、小さいとき、完全な落ちこぼれでした。学校もさぼってばかりいました。高校生のとき、学年で最下位の成績をとってしまったときは、さすがにがっくりしました。意思が弱くて、段取りがまったくできない人間です。大学受験も大失敗しました。付け焼き刃で社会や理科を勉強していたら1月になってしまい、英語や数学や国語を準備しようと思ったら、共通一次試験(現センター試験)が来てしまうというありさまでした。学校ではいつも問題児でした。何度、親が校長先生に呼びつけられたかわかりません。親の前で先生に説教されるというのは、本当に情けないことです。学校の授業をひとりでサボるならまだ害はないのですが、600人の生徒を引き連れて授業をボイコットしました。相当なワルガキでした。アナーキストだったのです。東京の新左翼の大学生がまだ片田舎の高校生だったわたしをスカウトに来て、「テロリストとして一緒に活動しよう」なんて言われたこともあります。受験がいやで、楽して入れる大学に入ったものの、大学には一度も通うことなく、親の仕送りをあてにして遊び呆けていました。音楽に狂って、ジャズミュージションを目指していましたが覚悟も努力も足りなくて、自分から諦めてしまいました。就職するのがいやで、留年もたくさんしました。大学を卒業して、東京に働きに出てきたときは、もう26才でした。サラリーマンになっても、問題児でした。証券会社では、入社して半年で関連会社に出向させられてしまいました。あるときは、男子禁制の女子寮に泊まっているところを見つかり、会社の人事部に連絡されてしまったことも。人事の考課はいつも最悪でした。フラフラと遊んでばかりいました。六本木で、夜明けまでナンパを繰り返しているときもありました。この世に希望もなく、生きていることも馬鹿らしくなる。そういう時期もありました。いつも、上司に文句ばかり言っていました。カード会社からたくさん借金をしていました。結婚するときは、ゼロからのスタートならぬ、マイナスからのスタートでした。
 しかし、わたしは、人生を投げ出す寸前で踏みとどまりました。わたしは、人よりも遅れて社会人になったためか、同期入社の仲間とは気が合いませんでした。問題児だったので、みんなから敬遠されていたのでしょう。でも、わたしは孤独を好み、他人とは違うことをひとりでコツコツとやるようになりました。社会人になって中学校の数学から勉強したり、中学校の英語から勉強したりと、遊び呆けていた学生時代の借りを返そうとしました。大学に入りなおし、勉強することの楽しさを味わえるようになりました。今、米国の大学に社会人学生として留学しているところです。なかなか楽しいものです。運よく転職して、外資系投資顧問の資金運用の仕事に就くことができました。まじめに取り組んだおかげで運用成績も上がってきました。結婚して子どもが3人でき、家族と幸せな日々を送っています。年収も証券会社の勤務のときの10倍程度になりました。仲間と立ち上げたNPOイノベーターズフォーラムは、メルマガ『億の近道』を発行して5年目になりますが、読者数1万8000人と独立系の老舗として最大規模の株式投資メルマガのひとつになりました。
 なんという変化でしょうか!
 メルマガを通して、ゼミを開き、ゼミやセミナー活動で多くの優秀な個人投資家の方々と知り合うことができました。多くの方々の参加によって、コミュニティーから力を毎日いただくことができるようになりました。今のわたしがあるのは、すべて、NPOの仲間や職場の仲間、そしてコミュニティーの仲間のおかげなのです。落ちこぼれだったわたしは、敗者復活戦で勝ちあがり、こんなたいそうな本を書くまでになったのです。

C)コミュニティーの力

 投資家共和国。ここは、みんながあなたを励ましてくれる世界です。そして、あなたの投資の姿勢に対して、いろいろなアドバイスが贈られる、そういう場です。
 その昔、日本コーリンという会社がありましたね。覚えていますか? 急に倒産してしまった。直前の株価は600円程度だったでしょうか。それが数十円になってしまった。一夜にして。
 掲示板では、ずっと前から「この会社が粉飾まがいのことをやっているよ」と決算分析をして警告してくれているサポーターがいました。だから、わたしたちのコミュニティーからは、被害者がそれほど出ませんでした。あんなひどい事件においても……。倒産の数ヶ月前、日本コーリンが下方修正を出しました。7日連続ストップ安というとんでもないことになりました。その前に、わたしたちのサポーターはそれを見破っていました。ソニーショックというものが2003年にありました。ソニーが下方修正を出したのです。わたしたちは、その随分前の2月の段階で「ソニーより、まだあのソフトバンクのほうがずっといい」と主張していました。わたしの2月のセミナーでも、ソフトバンクとソニーの財務内容を比較し、「ソフトバンクのほうがずっといい」と主張しました。ユニクロ神話が終わる前に、サポーターのひとりであるMさんは、本当に“やばい”ことになると警告を出していました。もちろん、すべての下方修正を読むわけではありません。人気の高い銘柄のなかで、みんなが被害に遭う恐れがあるものをピックアップしていたのです。2003年の例でいえば、カノープスもそのメンバーでした。「絶対に良くないことが起こるよ」と警告を発していました。その後、大きな下方修正を出し、暴落しました。コミュニティーの力があったから、わたしたちは大きな被害に遭わずに済んだのです。
 わたしは、2003年より月刊雑誌『ダイヤモンドZAi』に「急落銘柄の真相」という連載を書いています。この連載は、会計トリック、わかりやすくいえば、粉飾決算といわれるものを厳しく糾弾した内容になっています。
 粉飾によって、投資家を欺いた企業の株価が上がる。そして最後に、そういう企業の化けの皮がはがれる。そういうトリック、罠、市場の落とし穴に、どうしても、ひっかかる犠牲者が後を絶ちません。だから、わたしは、会計トリックが許せない。わたしは、犠牲者をひとりでも減らしたいと思っているのです。会計トリックを平然とやる会社があります。そういう企業を憎んでいます。
 会計トリックは、訓練を受ければ、誰にでも見抜くことができます。例えば、コミュニティーである「億の近道」掲示板のサポーターのOさん(わたしと一緒に勉強をした個人投資家の方です)。このOさんが、倒産した日本コーリンへ警告を出したのです。すごいですよね。下方修正をする前にですよ。多くのアナリストが「買い」とか言っていたときに、すでに「おかしい」と指摘していた。決算書を読むと売上げの計上が不正ではないのかと。そういうアドバイスをしていました。
 わたしたちの勉強方法は間違っていなかったのです。わたしは、それがうれしくてたまらない。だから、いつも、それを自慢するんです。わたしの勉強仲間のすばらしさを!!

 暴落銘柄ではなくて、暴騰銘柄を発掘したいと思っているあなた。
「こんなもんじゃない! 自分は、こんなもんじゃない。もっとできる。もっとわたしはすごい投資ができる。すごい事業ができる」とぜひ、前向きに考えてください。
 だって、あなたは本当にすごいのですから。すごい潜在能力があるのですから。それをもう一度、あなた自身で確認していただきたい。あなたの潜在能力を発掘する場所、それがこの本です。それは楽しい作業のはずです。
 ご自身のよいところ、たくさんあります。わたしは、そのことをあなたに気づいてもらいたい。だから、寝不足になってでも、毎日、あなたの相談役になる覚悟です。わたしは、そう決めた。だから、わたしは、サポートを続けています。だから、この掲示板やこのコミュニティーは、10年後もあります。いや、20年後も絶対にあります。わたしが生きている限り絶対にあります。わたしが死んだとしても、その後、絶対にここに残ります。わたしは、株式投資は文化であり、人生そのものだと、本気で思っています。
 このコミュニティーの力を、あなたの投資に存分に活かしてください。

第2節 投資家共和国の活動

A)分析する

 わたしたちのチームは、ダイヤモンド経営分析チームといい、掲示板(=投資家共和国)で活躍されているサポーターの方々の協力を礎に成り立っています。この分析チームは、季刊ダイヤモンド『株』データブックの長期の投資判断と財務分析のコメントを請け負っています(データブックは、おかげさまで大人気になりました)。わたしたちは今、「個人投資家の方々に財務分析の重要性をわかっていただきたい」との思いを胸に、共和国のサポーターとともに、数値解析を中心に年間延べ2000社を超える企業の決算書のチェックをしています。  なぜ、そういうことをしているかというと、会社の予想がいい加減だということを知っているからです。そういういい加減な予想をする会社には我慢がなりません。楽観的な予想は罪です。なぜなら、会社の意図的な過失によって、本来、株式市場から退出すべきでない投資家の方々が退出を余儀なくされるからです。そういうことを、わたしは見過ごすことができない。だから、楽観予想をする会社には警告を出すときがあります。

B)自分ではなにもできないけど仲間がいるんだ

 ひとりの能力には限界があります。いろいろな事業や経営スタイルを、ひとりの人間の判断ですべて評価するのは大変なことです。わたしは、自分自身の力や能力を過信していません。ソクラテスの「無知の知」ですね。何も知らないから、自分のネットワークを構築し、そのネットワークから情報をどんどん集めようとしました。具体的には、ネットを通して知り合った個人投資家同士を紹介しあって、掲示板やオフ会などで、情報をお互いに持ち寄ることにしたのです。個人個人の持つ高度な専門知識と高い見識を、みなさんの運用に役立てようとする仕組みつくりは成功しました。
 個人投資家の中には、家電メーカーにお勤めの方もいらっしゃいます。彼らは、家電業界について、かなりの見識があります。にもかかわらず、彼らはネットバブルに踊らされました。有名な技術系企業の研究者が光通信をバブルのピークで買ってしまい、私に相談に来たこともありました。彼は株式投資を特別なものと思っていたのです。技術知識という自分だけの武器や知識を活用しようとはしませんでした。不思議なことですよね。でも、仲間を作り始めてから、彼の成績は一気に向上しました。自信の技術の知識も株式投資には相当役立ったようです。 
 こうした個人個人の断片的な知識をインターネットの力を通して、ひとところへ集め、総合的に世界の動きを把握しよう。そういう運動が成功したのを受けて、私はこの成功例をみなさんと共有できないかと、試行錯誤をしているところです。自身、ネットワークの作り方を身をもって経験しました。そのノウハウのすべてをここで紹介できればと意気込んでいます。
 投資とは、全体を鳥瞰して初めて意思決定できるものです。株式市場では、特定のセクターだけを見ていては、パフォーマンスが上がりません。「株」「債券」「為替」「商品」「不動産」をグローバルにみていかないと、過小に評価されている分野がどこなのかわからないのです。
 運用の仕事は、評価が低すぎるアセットクラス(同じような収益率やリスクを持つグループ)やセクター、企業を上手に見つけることです。そのためには、投資家同士の日常的なコミュニケーションが不可欠です。日常的なコミュニケーションを通して、分断された個人投資家同士を結集させる。それが実現して初めて、個人投資家は企業家と対等に話ができるようになります。
 信頼は、株価の基本です。個々の企業と、個々の投資家の信頼関係が世界の株価を支えているのです。日本の株式市場が信頼性豊かなものであれば、株価はもっと評価されてしかるべきです。信頼が、株高を演出します。企業家と投資家がともに質的な成長をとげる過程で、企業家は「投資家から長期資金の提供の恩恵を受け、事業を拡大」し、投資家は「企業家から価値ある情報の提供と、それ相応のキャピタルゲインを受ける」のです。投資家はもっともっと団結すべきです。お互いにバラバラでは、企業になめられてしまいます。
 ネットワークの力を借りて、情報収集や分析・株価評価を自ら行う投資家の集団が、独自の技術でイノベーションを先導する意欲的な企業家を長期的に支援する自律型の社会。イノベーションがイノベーションを呼び、社会の発展を促していく。これが、私が志す「ネットワーク」の力の帰結です。個人で闘うよりも、ネットワークを形成して集団で闘うほうが有利です。集められた情報が多いほど、投資の勝率も向上する傾向にあるからです。
 あなたは、本当にラッキーです。あなたの投資家としての才能は、わたしたちのコミュニティーで存分に開花し、発揮されるでしょう。投資家共和国を共に盛り上げていただければ幸いです。

第3節 仮想敵国は借金の国

 長年、わたしたちを苦しめている強大な敵がいます。その名も借金国。投資の国を鏡を映したときにできるミラーワールドで、運用の逆、調達ばかりしている国です。この借金の国「ミラーワールド」は、わたしたちの複利の力(第5章で詳述)を取り上げて、逆に、わたしたちを奴隷にしてしまう恐ろしい世界です。このミラーワールドの住人は、借金をして資産を買いますが、この資産はキャッシュを生みません。だから、借金の返済に追われてしまいます。典型例がサラ金です。  サラ金。常識的に考えて、サラ金の金利25%は高いのか安いのか。まあ、高いんでしょうね。普通に考えて25%でおカネを借りて、それを大きく上回る投資案件はない。なのにどうして借りる人がいるのか。収入より支出のほうが多いからですね。生活の収支バランスが大きく崩れている人がいるからでしょうね。  サラ金からカネを借りる人は、

のです。サラ金からカネを借りる人は、貧乏がますます貧乏になっていくわけです。複利の力を敵に回しているからですよね。貧乏人が貧乏なままでいるカラクリ、金持ちがどんどん金持ちになるカラクリが、ここに見てとれます。
 わたしたちが消費するように呪われている限り、消費の魅力が勝るに違いないでしょう。社会的にみて、継続的に年率25%でお金を回していけることとは、おカネが自体が増殖することを意味します。
 ところで、おカネは増殖するのでしょうか。一人当たりの借金の額が大きくなっていけば、おカネは増殖していけますね。人生が長くなり、働く期間が長くなれば、それだけ借金の額も膨らんでいくわけだから。
 お金を貸すほうか、借りるほうか、それによって、将来の人生は大きく変ってきます。複利の力を手に入れたいならば、お金を貸す、運用する側に行く必要がありますね。そういうことを、あなたはよくわかっています。そこが、あなたの偉いところです。
 ミラーワールドは、あなたをいつも狙っています。キャッシュフローがマイナスになるときを狙っています。そして、あなたが、投資の国に戻ることができないように意地悪をします。そのようなミラーワールドの誘いにのらないための方法論は、この本に随所に出てくるでしょう。
 さぁ、旅の出発が近づいてきました。まず最初に訪れる国は「E国」です。ここは、目に見える情報を鵜呑みにできない、虚構の国です。
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