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ウィザードブックシリーズ Vol.91

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投資家のためのリスクマネジメント
収益率を上げるリスクトレーディングの真髄

2005年7月28日発売
ISBN4-7759-7053-4 C2033
定価本体5,800円+税
A5判 上製本400頁

著 者   ケニス・L・グラント
監修者   長尾慎太郎
訳 者   井田京子


目次 | 著者紹介 | 正誤表 | 関連書籍    ◆立ち読みコーナー 日本語版への序文 (本テキストは再校時のものです)

あなたは、リスクをとりすぎていませんか?
それとも、リスクをとらなすぎて、資金を増やせないでいませんか?
本書では、正しいリスクの取り方を教えます!

どのレベルのトレーダーでも、過大なリスクや過小なリスクをとることなく、実行できる画期的システム!

 挑戦しようという人はそう多くはいないが、昔からの金言にもあるとおり、「リス クをとりすぎるトレーダーは、破滅に向かってひた走っている」。しかし、実際には グラントが主張しているように、マネーマネジャーも個人トレーダーも、目的に合う 十分なリスクをとらないために苦戦している。小さく儲けるトレードもよいが、それ ではいつになってもポートフォリオをレベルアップするための大きな利益は育ってい かない。トレーダーに必要なのは、リスクをマネジメントするための信頼のおけるシ ステムで、それがあれば希望どおりリスクに見合った成果を上げられる大きな投資を、自信を持って実行することができる。

 グラントは、世界中でもっとも成功している精鋭ヘッジファンドのリスクマネジメ ントを行ってきた。今回は、その経験から得たトレードの秘密、つまりトップヘッジ ファンドの代名詞とも言える積極的なトレーディングがどのレベルのトレーダーで も、過剰なリスクをとることなく、実行できるということを、明かしてくれた。本書 で紹介している画期的かつ実践的なテクニックは、小手先の理論や複雑な公式などで はなく、トレーダーが実際に利用できる手法になっている。そして、グラントはこの 実績のある科学的な戦略を、トレーダーであればだれでも理解し、実行に移せる分か りやすい文章でつづっている。

 プロのトレーダーの多くは、会社のリスクマネジメント基準という制約によって、 リスクだけでなく飛躍的な成長も抑えられている。個人投資家はたいてい、博士号を 持っているような人しか導入できないような難解な定量公式を並べる本に圧倒されて しまう。そして結局、両者とも漠然とした主観的なルールに従うことになっている ケースがほとんどだろう。グラントのシステムは、単純だが効果的な解決方法になる うえ、多くのトレードを危険なものに変えてしまう主観という要素を取り除いてくれ る。

 本書では、極めて単純な統計と計算のツールを使って、ポートフォリオのどの部分 が機能している(あるいはしていない)かを評価する方法を紹介している。そして、 次にエクスポージャーのコントロールの仕方と、避けることのできない低迷期にも破 綻しないよう態勢を整える方法も伝授している。さらに、ポートフォリオを統計を用 いて解釈する手法や、統計をどのように利用すれば金銭的な目的や制約に沿った判断 を下せるかについても述べている。

 本書は、トレーダーが常にポートフォリオをコントロールすることは可能で、エン ロンからテクノロジー株崩壊までたとえ最悪の危機を迎えたときでも、リスクはマネ ジメントできるということを実証している。これを読めば、自分に合わせたリスクマ ネジメント戦略を作り上げ、実行に移すことが可能になる。トレーダーのタイプやレ ベルに関係なく、本書は資産をコントロールしながら力強い投資を行うためのカギと なるだろう。

■本書への賛辞

「本書は、ユニークな経験と洞察力を持つ筆者が書いた、利用価値が高くて分かりやすいリスクマネジメントの地図である。複雑な内容なのに、分かりやすいうえ、楽しい文章で、読み物としても非常に面白い」
――スタンレー・ショップコーン、ショップコーン・アソシエーツ

「ケン・グラントの非常に面白い新作は、リスクマネジメントの理論と実践を組み合わせた数少ない1冊になっている。初心者にとって素晴らしい入門書でありながら、経験豊富な実務者にも十分読み応えがある」
――マーク・R・グレアム、マネジング・パートナー、ブルー・エリート・ファンド・リミテッド

「本書は、非常に実践的なリスクマネジメントの手法を、明確かつ楽しく紹介している。リスクマネジメントに関心のある人すべてが読むべき1冊」
――スーザン・エステス、マネジング・ディレクター、カントリーワイド・セキュリティース

「普通は退屈で分かりにくい話を、思慮深くユニークに、詳細かつ楽しく説明したリスクマネジメントの総合書」
――ドワイト・アンダーソン、オスプレイ・マネジメント・LP・プレジデント

「会社の大きさの如何にかかわらず、マーケットトレンドの恩恵を受けられるときまで資金を維持したいリスクマネジャーにとって必読の書。すべての会社に関係のある重要な課題を明快かつ面白くつづった楽しいガイドに仕上がっている。リスクマネジメントの真のエキスパートである著者は、この非常に複雑なトピックを単純かつ分かりやすいものにしてくれた」
――ヒュピンダー・ギル、CMEマネジング・ディレクター兼プレジデント



原書
Trading Risk: Enhanced Profitability through Risk Control』



著者紹介/ケニス・L・グラント(Kenneth L. Grant)

チェーンズのグローバル・リスクマネジャー兼チェーン・キャピタルLLC米国部門の経営幹部で、ヘッジファンドのリスクマネジメントと資産配分におけるパイオニア的存在。CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)やソシエテ・ジェネラルのリスクマネジメント責任者を務めたあと、チューダー・インベストメンツやSACキャピタルという世界有数のヘッジファンドのリスクマネジメントプログラムを構築し、これらのファンドのチーフ・インベストメント・ストラテジストを経て現職。マネージド・フューチャース・アソシエーション(MFA)の取締役会メンバーやMFAのヘッジファンド顧問委員会(同業界の代表的な業界団体)の創設メンバーにも名を連ねており、MFAが発行した『サウンド・プラクティス・フォー・ヘッジファンド・マネジャース』の中心的な共著者のひとりでもある。ウィスコンシン大学(経済学、数学)卒業後、コロンビア大学経済学部で修士号、シカゴ大学ビジネススクールでMBAを修得。



■目次

日本語版への序文 はじめに 謝辞

第1章 リスクマネジメントという投資

第2章 パフォーマンスの目標を設定する

   最善の目標リターン
   名目上のリターン
   ストップアウトのレベル
   ザ・ビーチ

第3章 長期的な損益パターンを理解する

   統計の前に時系列について一言(以上になるかもしれない)
     時間の単位/時間のスパン/日々の損益をグラフで示す/損益のヒストグラムを観察する
   統計
     アイザック・ニュートン卿に捧げる/平均損益/標準偏差/シャープレシオ/損益の中央値/
     勝ち日の割合/パフォーマンス比率、平均損益、勝ち日と負け日/ドローダウン/相関性
   まとめ

第4章 ポートフォリオのリスク部分

   ヒストリカルボラティリティ
   オプションのインプライドボラティリティ
   相関性
   バリュー・アット・リスク(VaR)
     VaRの根拠/さまざまなVaRの算出方法/VaRの精度を検証する/VaRのパラメーターを設定する/
     ポートフォリオの運用にVaRを利用する
   シナリオ分析
   テクニカル分析

第5章 適切なエクスポージャーレベルを設定する(ルール1)

   適切なエクスポージャーのレンジを決める
     手法1――逆シャープレシオ/手法2――ボラティリティをトレード資本の割合で管理する
   ドローダウンとネッティングリスク
   非対称ペイオフ

第6章 ポートフォリオのエクスポージャーを調整する(ルール2)

   各ポジションの大きさ
   方向性のバイアス
   ポジションレベルのボラティリティ
   時間的な展望
   分散法
   レバレッジ
   オプショナリティ
     非直線的な価格力学/行使価格と対象資産の価格の関係(マネーネス)/インプライド
     ボラティリティ(IV)/非対称的支払機能/レバレッジの特徴
   まとめ

第7章 個別トレードのリスク構成

   取引ごとのパフォーマンス
     取引レベルのデータベースの主な構成/取引を定義する/ポジションのスナップショットの統計
   核となる取引レベルの統計
     トレードレベルの損益/保有期間/平均損益/投資額1ドル当たりの損益(加重平均損益)/
     平均保有期間/証券ごとの損益(損益の特性)/ロングの損益対ショートの損益
   相関分析
     1日の取引数/投資資本/純市場価値(生のデータ)/純市場価値(絶対値)/ポジションの数/
     保有期間/ボラティリティVaR/そのほかの相関性/相関性について最後の一言
   パフォーマンスの成功指数
   パフォーマンス比率を上げるための方法
     パフォーマンス比率の構成/損益を最大にする/利益集中(90/10)比率    まとめ

第8章 これらのことを実践する

   計画を立ててそれを守る
   計画がうまくいっていなければ変更する
     「有利な」トレードを探す
     構造的な非効率性/方法論としての非効率性
   損益を操る
   予期しない出来事を避ける――特に自分自身に対して
   細かい工夫でパフォーマンスを最大にする
   お金以外のメリットは何か
   謙虚さとユーモアという自由主義の薬を使う
   健康を保って投資以外にも関心を持つ

付録 オプティマルfと破綻リスク
   オプティマルf
   破綻リスク


■日本語版への序文

 リスクマネジメントというツールはその重要性にもかかわらず、核となる部分の多くが直感的であることから、ポートフォリオ運用の世界においていまだに新しく、誤解されることも多いうえ、十分利用されているとも言い難い。筆者自身は、リスクマネジメントの世界に1980年代半ばからかかわっていたことで、投資の重要な過程の一部であるこの分野において、思いがけずもっとも古参の実務者のひとりになった。そして、マーケットリスクの規模と範囲と分布の大きさを考えると、この分野の発展のあまりの遅さにはかなり驚いている。

 そのうえ、この先も投資の世界にリスクマネジメントが完全に組み込まれるようになるまでにはかなりの時間がかかることを示すかのように、最近、ある会議で思いがけない数字を目にした。現在、世界中に8000以上のヘッジファンドがあって1兆ドル以上の資本が運用されている(潜在的なエクスポージャーは神のみぞ知るところだろう)。ところが、ヘッジファンドで「最高リスク責任者」の肩書きを持っているのは30人にも満たないと業界では見ているというのである。

 そして、この目指す地点までの距離が、まさに筆者を本書執筆へと駆り立てた。この分野で20年あまりを過ごす間には目覚しい進歩もあったが、ゴール(いつか到達することがあれば)までにはまだまだやるべきことが残っている。ゴールとは、世界中でリスクマネジメントの基本が理解され、マーケットで幅広く応用されるようになることだと言ってよいだろう。

 この大仕事に貢献するために、本書では現実の世界で実際にリスクをとることに焦点を当てることを第一の目標とした。この20〜30年に発展したリスクマネジメントのほとんどは、どれもリスク評価の範疇に含まれる。そして、それ以前は、リスクをとるときに極めて有効な確率論の基本さえほとんど使われていなかった。統計学という技術と最適化という科学という十分利用価値のある組み合わせをだれも試さなかったことは、現代における最大のミステリーのひとつだと(少なくとも筆者は)思う。

 1969年に人類は月面着陸を果たしたが、投資マネジャーが自分のポートフォリオを抱えているリスクの大きさで考えるようになるまでにはそれから20年もかかっている(しかも前者は数千万ドルの資金と膨大な数の高学歴な人材を要したのに、後者はIBMのパソコン1台と500ドル程度のスプレッドシートのソフトがあれば簡単に解決できた)。そして、この謎が筆者の創造力に火をつけた。

 リスク評価の分野において仲間たちが築いてきた進歩には称賛を惜しまないが、これで解決できるのはリスクマネジメントというパズルのほんの一部分でしかないし、大して重要な部分でもない。エクスポージャーを正確に予測しておくことは、ポートフォリオの健全なリスクマネジメントには不可欠だが、筆者に言わせればこれはほんのスタートでしかない。

 リスクマネジメントは入手可能な情報を使って合理的な判断を下すことであり、これは目的をはっきり設定したうえで、投資会社に課される条件に大きく影響する制約を総合的に考慮して行わなければならない。そして、この過程を効率的に処理するためには、リスク評価というマジックが役に立つ、いや、必要になる。実は、筆者は全体的なリスクマネジメント・プログラムのほうが、その基となる分析よりもはるかに重要だと確信している。しかしこのことは、かつて賢い連中がその必要性に気づいて以来、マーケットにあふれるリスク評価テクニックに埋もれて見過ごされてしまうことが多い。

 そこで、本書を通して、筆者は論理的なリスク評価の延長ではなく、実践的なリスクマネジメントの枠組みに着手することにした。この過程には、平易な言葉とそれを説明するための現実的な例が欠かせない。このことは、書き手の興味をさらに高めてくれたが(読み手もそうであればうれしい)、それだけでなく、この作戦にはもうひとつ隠れたメッセージが込められている。マーケット(およびマーケットリスク)は、普通の言葉を話す普通の人たちの行動によって動いているものであり、普通の言葉というのは学術論文の文章ではなくて、リスクをとる人が悲喜こもごもを味わうトレーディングの世界で使われているものを指している。

 この環境になじまないかぎり、リスクマネジメントは、それが影響を及ぼすであろう話題から除外される可能性が高い。また、このトピックにはユーモアを取り入れるよう努力すべきだとも思う。リスクマネジメントという概念をこれまでどおりの扱い方、つまりあらゆるステップをノルマンディー作戦並みの冷静さで処理し続けていこうとすれば、多くの資源を消耗し、途中で失望してしまうリスクもある。

 リスクコントロールの成功は、目標と制約を設定することから始まる。そこで、最初にすべきことは自分の状況のモデル化だろう。ここではまず、「運用資金を提供しているのがだれで、この会社はトレーディングや投資によって何を目指しているのか」ということを自問してほしい。あまりにも当たり前のステップに見えるかもしれないが、あらゆるタイプの投資家がこの大前提すら見失うことは多い。そして、もちろんこの答えはたいてい自分か、自分の雇用先になる。

 もし自己資金でトレードしている場合は、次のことを注意深く考えてほしい。本書で指摘したとおり、目的は「お金を儲けたい」というだけでは十分とはいえない。もっと掘り下げて、トレーディングの収入で支出の一部をまかなうつもりか、引退後の資金を増やしたいのか、それともスポーツ感覚で楽しみたいだけなのかなどと考えてみる必要がある。もちろん、ここに挙げた例はどれもゴールになり得るが、あとで分かるとおり、目的によってトレーディング過程のアプローチが変わってくる。

 一方、他人の資金をトレードする場合にも、同様のステップを踏む必要がある。この場合は、上からの指示があることも多いと思うが、これがどの程度明確であったとしても、結局は運を天に任せる以上のものでないことは筆者自身も経験している。恐らく、雇用主はパフォーマンス目標や何らかの限度を設定するに違いない。しかし、プロとしてどのように振る舞うべきかとか、成功の具体的な条件などについては、あいまいなことしか言わないのではないだろうか。

 そこで、難しいことだが、ときどき時間を割いて彼らの本当の考えを見極めてみることを勧めたい。上司はどのような動機づけをされてどのように評価されているのか、その上の上司の考えは、これらの情報を前提にすると、どのようなトレーディングをすれば彼らは喜ぶのか。このようなことを考えたところでトレーディングの腕は上がらないかもしれないが(逆に下がることもないだろう)、上司の喜ぶ目標を設定する役には立つだろうし、そうできれば自分の才能以上の出世も可能になるかもしれない。

 具体的に投資目標を設定したら、次は同様のステップを制約についても行って、こちらもモデル化する。この部分の最重要ポイントは(それがたとえもっとも裕福でもっとも成功した投資家であっても)、損失額には限度があるということだろう。ここでも、プロのトレーダーには限度額という組織のガイドラインがあるが、本書でも指摘したとおり、上司が課した制限より少し厳しい制約を設定して必ず蓄えを切らさないようにすれば、マーケットで生き残っていくことができる。自己資金でトレードしている場合は、浪費できる額(純資産額や借り入れ可能な金額を含む場合もある)が限度になるのは明らかだろうが(これが適当な金額でないことも明らか)、もちろんそれをあまり使い込むような無責任なことは勧められない。

 そこで、実際の限度額は先の合計よりも、かなり小さくなると言ってよいだろう。さらに、この答えは自分の目的とも連動していなければならない。もしトレーディングで生活費を稼ぐつもりなら、最大損失額は引退資金用の貯えよりも低い水準にすべきだし、そうすればいつか良い時期が訪れることを期待しながら、マーケットサイクルを乗り越えることができる。

 もちろん損失額の限度以外にも、トレーディングや投資のために割ける時間、使用可能なツール、ブローカーが課してくる制限など、考慮すべき制約はある。また、自分の持つ資源が競合相手であるほかのマーケット参加者に対してどうかということも考えておく価値はある。もし自分の資源のほうが強力ならば、もっと積極的なリスクのとり方で臨むことも可能かもしれないが、反対に不利な競争だと思えば控えめなリスクのとり方を勧める。このステップを踏むことで、ゴールを目指して限りある資源をもっとも効率的に配分するためのトレーディングプログラムに近づくことができる。

 トレーディングと投資の機会を適切に設定したあとは、簡単な統計分析用ツールを使ってパフォーマンスの質を判断する過程を紹介する。パフォーマンスの質は、目的を達成できる可能性や、制約の範囲内における成功という観点で評価していく。ボラティリティ、相関性、ドローダウンなど、リスク調整後リターンの測定法を含むこれらのツールは、すべて統計学の基本の項で紹介した概念を基にしたものであり、パフォーマンスの説明を読めば直感的に理解できるようデザインしてある。

 ここではさらに、独創的とは言えないが必要なリスク評価に関する標準的な手法についても説明し、(ここからが大事)これらが先の統計とどのようにかかわっていて、どのように組み合わせて使えるのかについても述べている。こうすることで、それぞれのツールを単独で使った場合よりも、明確にポートフォリオの動きが見えるようになる。  ここで強調しておきたいテーマのひとつは、統計ツールをさまざまな時間枠に当てはめて使うということで、特に好調時と不調時の結果の違いには注目してほしい。この過程に学ぶべきことがあることは、ほとんど間違いない。

 最後に、とっているリスクが適正な水準かどうかを判断するという重要なトピックと、もしその答えがノーだったときにどうすべきかについても触れている。当然のことながら、この答えはこれまで述べてきた統計ツールや、限られた資源を効率的に使って目的を達成する可能性を最大化することに集中する、ということのうえに成っている。そして、もっとも重要なことは、リスクのとり方と直近の成功を正相関の関係にしておくという概念を厳守することだろう。もし継続して利益が上がっていれば、直近に損失を被った場合よりもリスクのとり方に余裕ができる。しかし、一定期間の損失が大きければ、マーケットにさらすリスクは抑えるべきだろう。この規律を実行している投資家は、資金の維持という重要な目標を達成し、(それと同じくらい重要な)最高に魅力的なチャンスが到来したときに投入できる資本を確保しておくことが可能になる。  リスクマネジメントは複雑に見えるかもしれないが、筆者の経験から言ってこれを効率的に処理するためには規律と常識以外ほとんど必要ない。これらの概念をできるかぎり詳細に記したつもりだし、これらを紹介する機会に恵まれたことに感謝もしている。  そして最後にもうひとつ、日本語版においても筆者のウイットと魅力が余すところなく伝わっていることを願っている。

 2005年6月

ケニス・L・グラント



■訂正とお詫び

以下に誤りがありました。訂正してお詫びします。

  ・264ページの6行目
    「(2)負けたときの損失の平均が買ったときの利益〜〜」
               ↓
    「(2)負けたときの損失の平均が勝ったときの利益〜〜」


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