2007年7月18日発売
ISBN 978-4-7759-7088-1 C2033
定価本体1,600円+税
四六判 384頁
著 者 ケネス・S・ディフェイス
訳 者 秋山淑子
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現在、「ピーク・オイル」という言葉が声高に叫ばれている。世界の石油生産はピークを迎えつつある、という意味である。これは、世界の専門家たちがハバート博士の分析方法を利用して立てた予測によるものだ。
ピークの年は2008年。石油を燃料として利用できる時代の終焉まで、もう時間はない。本書でハバート博士に師事したケネス・S・ディフェイス博士は、起源、探査、生産、流通、代替エネルギーまで、石油産業のすべてを詳細に解説し、ハバート理論の長所と短所、迫りくる事態への対処法までを網羅している。「石油の代わりにステージに上がる代替エネルギーは何か?」「燃料として利用されなくなった石油はどうなるのか?」。本書はこれらの疑問に答えてくれる必携の書だ。
プリンストン大学名誉教授。石油技師のパイオニアである父を持ち、油田地帯で育つ。 M・キング・ハバート博士とヒューストンのシェル石油研究所で出会い、大きな影響を受ける。その後プリンストン大学に所属し、石油産業のコンサルタントとしても活躍。また石油訴訟の際には専門家として証人に立つなど、一貫して石油産業にかかわり続ける。一般的にはジョン・マクフィーの地質学書『アナルズ・オブ・ザ・フォーマー・ワールド』シリーズ再版時の編纂者として知られる。
「ディフェイスの出した結論は、工業化された私たちの世界に多大な影響を及ぼすだろう」フレッド・ガタール・ニューズウィーク編集者「非常に興味深い本だ。ディフェイスが正しいとしたら、私たちは石油ショックの再来を覚悟しなければならない。また、石油を燃料として使うことについて早々にあきらめる必要があるだろう。この本の強みは作者の専門的な知識による、しっかりとした裏づけだ。将来の予言に対しても、論拠がよく説明されている」スチュアート・ヤング・プリンストン大学教授
サイエンティフィック・アメリカン誌
「ディフェイスは説得力のある実例を生み出した。油田管理者と地質学者、2つの顔を持つ作者の冷静な計算による将来の予想が、この本に書かれている。ディフェイスの予想に、読者は震えを隠せないだろう」ポール・レイバーン・ビジネス・ウィーク科学担当編集委員)「今、最も重要な一冊だ」ロバート・カットナー・コラムニスト
「ディフェイスはこの専門的な話題について、ウィットとユーモア、優れた洞察を交えて書いている。科学者の簡潔な推論と石油産業経験者の情熱。この2つを持ち合わせている作者の経歴は本書のテーマにとって理想的であり、他の追随を許さない価値を産み出している。強く推薦できる本だ」ブライアン・J・スキナー経済地質学者
「専門家は、石油生産の世界的なピークがこの10年間にくることを懸念している。石油状況の真実に迫った本書を手に、ひとりの有力者が陰気な合唱に加わった」エコノミスト誌
「説得力のある予言だ」ティム・バーンヒル経済地質学者
トレーダーは目先の結果ばかりを考える。数日間、数週間のチャートを見て相場がどこにあるか解明しようとする。長期的な観点を持つ人はほとんどいない。しかし、大きな視野をもつことは相場での優位性をもたらす。たとえ、あなたが短期トレーダーでも、長期的観測に基づいてトレードを調整すれば、今よりもっとうまくいく可能性がある。だからこそ本書『石油が消える日』を開き、石油の未来がエネルギー価格に与える影響を学ぶことは、あなたのトレードにとって非常に有益だ。私は数年前、友人からのプレゼントではじめて本書に触れた。友人はかつて石油のエンジニアで、業界を引退してからは株式取引で数百万ドルを稼いだ。彼はプロの立場から、本書の内容が理にかなっていると私に言った。私は大いに興味をもって本書を読んだ。そして本書の概念を何百人にも勧めている。
ディフェイス博士は元プリンストン大学の地質学教授である。本書はもう一人の著名な地質学者、M・キング・ハバートの先鋭的な分析に基づいている。ハバート博士は長年シェル石油社で勤務し、後に米国政府の地質調査所に所属していた。
ディフェイス博士は明確に「なぜ世界の原油供給が限界にあるのか」を説明する。 石油は、炭化水素が熱と圧力で「調理」されることで、数千万年以上の時を経て作られる。この熱と圧力の組み合わせは、地球の奥深くにある非常に細長い空間にのみ存在する。地表に近づくほど石油の生成に必要な熱は十分でなくなり、逆に奥深くなりすぎてしまうと、石油はガスになってしまう。この知識は、なぜ主要な油田がすでに発見されているのかを説明するために役立つ。
大規模な探索が行われているにもかかわらず、ここ数十年間、大きな油田は発見されていない。石油をくみ上げるためには、まず発見しなければならない。ハバートは石油発見量のグラフに表れた曲線に基づいて、アメリカの石油生産を予想可能にする公式を考案した。発見量が低下すれば、当然生産も同じ結果をたどる。ハバートは実際に発生する何年も前に、アメリカの原油不足を予測できたのだ。
ディフェイス博士は世界の石油探査と生産の分析に、ハバート博士と同じ手法を使っている。本書を読めば、読者は「現在の石油不足と価格高騰はこのまま定着する」と気が付くだろう。1バレル当たり15ドル、35ドルという時代でさえ、私たちはもう取り戻せない。石油の価格が1バレル100ドルになるのは遠い先の話ではない。
本書でディフェイス博士は「パニックになる必要はない」と力強く語る。世界は石油を使い果たしてはいない。私たちの光が消えてしまうことはないだろう。私たちの孫の世代まで、間に合うだけの石油が地中には存在する。
しかし、石油が安価で豊富だった時代は終わった。エネルギー需要の増加によって、石油価格に手渡されたのは「上昇」の片道切符かもしれない。
人類の創造力は、かつてすべてのエネルギー危機を解決してきた。たとえば100年以上前のアメリカでは、灯りに使われていた鯨油不足によるエネルギー危機があった。電灯の発明はその「危機」を確実に解決したのだ。
環境保全の努力、風力、海洋、原子力エネルギーは、エネルギー問題の解決にとってかなりの潜在能力を秘めている。しかしこれらが実を結ぶのは、まだ何年もの時間を必要とする。その間は、増加する需要が石油価格を押し上げることになるだろう。 すべての社会的問題は、ある人々に被害を与える一方で、別の人々に対してはチャンスをもたらす。
トレーダーあるいは投資家として本書を読み終え、ディフェイスのメッセージを理解したときに私たちはどう変わるだろうか? たとえばトレーダーなら買いサイドでの石油トレードに、より大きな自信を持つことができるだろう。投資家ならエネルギー、環境保護、代替エネルギーの解決をビジネスとしている企業の株に、より興味を持つようになるだろう。
あなたは本書を「海岸の灯台からの強力なサーチライト」として気に入ってくれるに違いない。本書はトレードという危険な海と、安全な港の両方を照らしてくれる。 ハバート博士が最初に設計した灯台に登って、ディフェイス教授がともしてくれた 新しい光に私たちは感謝するはずだ。
アレキサンダー・エルダー
ニューヨーク
2007年6月
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