株価変化のカレンダー効果 第
1回日経平均の現物指数の曜日効果
オリエント貿易アセットマネジメント部 浅井宏作成
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アノマリーのひとつとして「曜日効果」があります。以下において、各種株価データを使って、「曜日効果」の検証をしてみます。第1回は日経平均の現物指数をとりあげます。
使用するデータとしては、日経平均(現物指数)の戦後東証開設以来の終値データ(
1999年9月末まで)で検証します。
まず最初に、
1949年6月から1999年9月までの期間における曜日ごとの日次収益率(=(当日終値÷前日終値)×100−100)、累積収益率(=週初からの累積変化率)、上昇日率(=前日比上昇した日の比率)、上昇日上昇率(=上昇日の収益率平均)、下落日下落率(=下落日の収益率平均)を計算しました(表1参照)。
表1をみてわかることは、水曜日の日次収益率が最も高く(+
0.099%)、逆に月曜日の日次収益率が最も低い(−0.079%)ということです(土曜日は考慮外とします)。また、上昇日率は水曜日が最も高く(上昇確率は55.91%)、火曜日が最も低く(上昇確率は48.63%)なっています。さらに、上昇日上昇率は水曜日が最も高く(+0.75%)、下落日下落率は月曜日が最も高く(−0.82%)なっています。しばしば、「月曜ボケ」ということがいわれますが、月曜日の日次収益率が最も低いということはそれを裏付けているといえるでしょう。
上記の傾向が今後も続くと仮定すれば、火曜日の引け値時点で買い、金曜日の引け値時点で売れば、最も有利といえます(この場合の累積収益率は
0.208%)。
ただ、上記の結果には、土曜日に取引されていた期間が含まれるため、今後の売買に利用するには問題があります。実際に土曜日の日次収益率が最も高くなっており、
89年1月以前においては、火曜日の引け値時点で買って、土曜日の引け値時点で売る方が有利であることが示されています。そこで、「土曜日」効果を除くために、週
5日制に移行した1989年2月〜1999年9月までのデータを利用して再度計算しました(表2を参照)。
表2をみてわかることは、火曜日の日次収益率が最も高く(+
0.096%)、逆に月曜日の日次収益率が最も低く(−0.160%)なっています。また、上昇日率は木曜日が最も高く(上昇確率は52.92%)、月曜日が最も低く(上昇確率は45.42%)なっています。さらに、上昇日上昇率は月曜日が最も高く(+1.15%)、下落日下落率も月曜日が最も高く(−1.25%)なっています。
全期間データでは金曜日の日次収益率はプラスでしたが、
1989年2月以降のデータでは金曜日の日次収益率がマイナスとなっていることが異なっています。さらに火曜日の日次収益率が全期間データではマイナスであるのに対して、1989年2月以降のデータではプラスになっていることも異なります。これは
1990年以降のバブル崩壊による株価低迷が影響している可能性があります(実際に、週初から週末までの累積収益率をみると、全期間データでは+0.252%とプラスですが、1989年2月以降のデータは−0.061%とマイナスとなっています)。
上記の傾向が今後も続くと仮定すれば、月曜日の引け値時点で買い、木曜日の引け値時点で売れば、最も有利といえます(この場合の累積収益率は
0.184%)。
次に、
10年ごとのデータで同様の計算を行い、年代ごとの変化があるかどうかをみてみましょう(表3〜表7を参照)。
基本的に週初が安く週末が高いという傾向が読み取れますが、
1990年以降に関しては金曜日が安いということが他の期間と異なっています。
次回(第
2回)は日経平均先物のデータを利用して各種の計算を行います。