KEN式:酒田逆バリシステムについて KEN

※レポート中の「順行新値本数」とは、
本来の酒田新値の数え方を 
私風にアレンジしたものです。(KEN)


1.はじめに

 酒田逆バリシステムの発想の原点は、本当に転換してから順行新値をそんなに更新するのか?という素朴な疑問にある。
 1988年10月からの東京小豆の順行新値本数を以下に示す。

2本
以下














10

11

12

13本
以上
17

10










 これを見るとわかるように、大半は8本以下である。この短い間に最大の利益を上げるための分割の入れ方が、ひょっとしたら酒田の極意なのかもしれないが、凡人の私にはその極意がよくわからない。
 そこで、単純に、順行m本後に逆バリで建ち玉し、転換後順行n本目で仕切る、というやり方をシミュレートしてみたのが本報告である。

2.簡単な検証

 (m,n)=(6,2)とした場合の検証結果を以下に示す。
 ただし、酒田の転換は5本とし、本数はすべて先のつなぎ足で計算し、損益計算は建ち玉した限月で検証している。
 建ち玉と仕切は、その本数をつけた日の引けで計算している。また、ストップにより注文が通らないことは考慮していない。手数料は80円としている。

 なお、データは東穀とFQサーブによる。

1988/12/24
新規 売り
12830.00 1989-6
1989/4/10
仕切 買い
14060.00 損益 = -1310.00 最大逆行 = -2550.00
1989/4/28
新規 売り
15140.00 1989-10
1989/5/29
仕切 買い
14120.00 損益 = 940.00 最大逆行 = -640.00
1989/7/20
新規 買い
13740.00 1989-12
1989/9/27
仕切 売り
12400.00 損益 = -1420.00 最大逆行 = -2140.00
1990/3/1
新規 買い
11730.00 1990-8
1990/4/9
仕切 売り
11860.00 損益 = 50.00 最大逆行 = -290.00
1990/5/1
新規 売り
12570.00 1990-10
1990/6/7
仕切 買い
11010.00 損益 = 1480.00 最大逆行 = -120.00
1990/6/20
新規 買い
11290.00 1990-11
1990/11/22
仕切 売り
8070.00 損益 = -3300.00 最大逆行 = -4040.00
1991/2/6
新規 買い
8030.00 1991-7
1991/3/8
仕切 売り
8240.00 損益 = 130.00 最大逆行 = -250.00
1991/3/26
新規 売り
8720.00 1991-8
1991/4/15
仕切 買い
8680.00 損益 = -40.00 最大逆行= -620.00
1991/5/16
新規 売り
10640.00 1991-10
1991/6/14
仕切 買い
9550.00 損益 = 1010.00 最大逆行 = -80.00
1991/8/28
新規 買い
9700.00 1992-2
1991/10/22
仕切 売り
9980.00 損益 = 200.00 最大逆行= -440.00
1991/11/8
新規 売り
10530.00 1992-4
1992/3/26
仕切 買い
12200.00 損益 = -1750.00 最大逆行 = -2750.00
1992/5/12
新規 売り
12700.00 1992-10
1992/7/9
仕切 買い
13370.00 損益 = -750.00 最大逆行 = -2270.00
1992/8/20
新規 売り
15150.00 1993-1
1992/8/31
仕切 買い
14000.00 損益 = 1070.00 最大逆行 = -340.00
1993/1/13
新規 買い
13500.00 1993-6
1993/1/28
仕切 売り
14850.00 損益 = 1270.00 最大逆行 = -70.00
1993/3/29
新規 買い
12160.00 1993-9
1993/4/22
仕切 売り
13690.00 損益 = 1450.00 最大逆行 = -250.00
1993/7/29
新規 売り
15460.00 1994-1
1993/8/23
仕切 買い
14900.00 損益 = 480.00 最大逆行 = -990.00
1993/10/14
新規 買い
12970.00 1994-3
1993/11/16
仕切 売り
11750.00 損益 = -1300.00 最大逆行 = -2390.00
1994/2/2
新規 売り
11840.00 1994-7
1994/4/1
仕切 買い
12020.00 損益 = -260.00 最大逆行 = -1150.00
1994/5/2
新規 売り
12660.00 1994-10
1994/5/25
仕切 買い
9900.00 損益 = 2680.00 最大逆行 = 0.00
1994/6/23
新規 買い
9500.00 1994-11
1994/9/7
仕切 売り
9990.00 損益 = 410.00 最大逆行 = -1130.00
1994/9/26
新規 売り
10940.00 1995-2
1994/12/14
仕切 買い
11940.00 損益 = -1080.00 最大逆行 = -2400.00
1995/1/12
新規 売り
12680.00 1995-6
1995/2/7
仕切 買い
12150.00 損益 = 450.00 最大逆行 = -370.00
1995/4/12
新規 売り
13000.00 1995-9
1995/4/24
仕切 買い
11720.00 損益 = 1200.00 最大逆行 = 0.00
1995/7/11
新規 売り
12460.00 1995-12
1995/8/3
仕切 買い
11080.00 損益 = 1300.00 最大逆行 = -240.00
1995/10/13
新規 買い
9860.00 1996-3
1995/12/22
仕切 売り
9910.00 損益 = -30.00 最大逆行= -860.00
1996/1/31
新規 売り
10230.00 1996-7
1996/2/8
仕切 買い
9740.00 損益 = 410.00 最大逆行 = -90.00
1996/3/8
新規 売り
11150.00 1996-8
1996/6/6
仕切 買い
11730.00 損益 = -660.00 最大逆行 = -2160.00
1996/6/14
新規 買い
11310.00 1996-11
1996/9/11
仕切 売り
13210.00 損益 = 1820.00 最大逆行 = -70.00
1996/11/11
新規 売り
12730.00 1997-4
1997/1/22
仕切 買い
12380.00 損益 = 270.00 最大逆行 = -160.00
1997/2/17
新規 買い
11260.00 1997-7
1997/3/10
仕切 売り
11840.00 損益 = 500.00 最大逆行 = -180.00
1997/3/26
新規 売り
12210.00 1997-8
1997/4/22
仕切 買い
11780.00 損益 = 350.00 最大逆行 = -280.00
1997/5/15
新規 買い
10600.00 1997-10
1997/6/9
仕切 売り
10970.00 損益 = 290.00 最大逆行 = -390.00
1997/7/7
新規 買い
9450.00 1997-12

勝ち回数/総仕掛け回数 = 21/32 = 0.66
総利益 = 5860
最大逆行 = -4040

3.ロスカットの設定

 先の順行新値本数には、6本以上の場合も多いのであるから、そのような場合に逆バリシステムの最大逆行が大きくなるのは、原理上自明である。それが以上の結果に表れている。
これを避けるためには、順バリシステムによるヘッジを考えるか、ロスカットを設定することが有効であると思われる。
 ロスカットを設定すると、最大逆行は小さくなるが、それに伴って利益も少なくなる恐れがある。そこで、以上の結果の中で損益プラスの場合のみの最大逆行に着目すると、2回を除いてすべて5%以内である。そこで、5%逆行でロスカットを設定した場合の結果を以下に示す。

1988/12/24
新規 売り
12830.00 1989-6
1989/1/26
ロス 買い
13530.00 損益 = -780.00 最大逆行 = -410.00
1989/4/28
新規 売り
15140.00 1989-10
1989/5/29
仕切 買い
14120.00 損益 = 940.00 最大逆行 = -640.00
1989/7/20
新規 買い
13740.00 1989-12
1989/8/2
ロス 売り
13050.00 損益 = -770.00 最大逆行 = -430.00
1990/3/1
新規 買い
11730.00 1990-8
1990/4/9
仕切 売り
11860.00 損益 = 50.00 最大逆行 = -290.00
1990/5/1
新規 売り
12570.00 1990-10
1990/6/7
仕切 買い
11010.00 損益 = 1480.00 最大逆行 = -120.00
1990/6/20
新規 買い
11290.00 1990-11
1990/7/3
ロス 売り
10650.00 損益 = -720.00 最大逆行 = -440.00
1991/2/6
新規 買い
8030.00 1991-7
1991/3/8
仕切 売り
8240.00 損益 = 130.00 最大逆行 = -250.00
1991/3/26
新規 売り
8720.00 1991-8
1991/4/5
ロス 買い
9340.00 損益 = -700.00 最大逆行 = -390.00
1991/5/16
新規 売り
10640.00 1991-10
1991/6/14
仕切 買い
9550.00 損益 = 1010.00 最大逆行 = -80.00
1991/8/28
新規 買い
9700.00 1992-2
1991/10/22
仕切 売り
9980.00 損益 = 200.00 最大逆行= -440.00
1991/11/8
新規 売り
10530.00 1992-4
1991/11/20
ロス 買い
11080.00 損益 = -630.00 最大逆行 = -470.00
1992/5/12
新規 売り
12700.00 1992-10
1992/5/28
ロス 買い
13350.00 損益 = -730.00 最大逆行 = -630.00
1992/8/20
新規 売り
15150.00 1993-1
1992/8/31
仕切 買い
14000.00 損益 = 1070.00 最大逆行 = -340.00
1993/1/13
新規 買い
13500.00 1993-6
1993/1/28
仕切 売り
14850.00 損益 = 1270.00 最大逆行 = -70.00
1993/3/29
新規 買い
12160.00 1993-9
1993/4/22
仕切 売り
13690.00 損益 = 1450.00 最大逆行 = -250.00
1993/7/29
新規 売り
15460.00 1994-1
1993/8/9
ロス 買い
16260.00 損益 = -880.00 最大逆行 = -450.00
1993/10/14
新規 買い
12970.00 1994-3
1993/10/19
ロス 売り
12170.00 損益 = -880.00 最大逆行 = -400.00
1994/2/2
新規 売り
11840.00 1994-7
1994/2/10
ロス 買い
12440.00 損益 = -680.00 最大逆行 = -330.00
1994/5/2
新規 売り
12660.00 1994-10
1994/5/25
仕切 買い
9900.00 損益 = 2680.00 最大逆行 = 0.00
1994/6/23
新規 買い
9500.00 1994-11
1994/7/6
ロス 売り
9000.00 損益 = -580.00 最大逆行 = -340.00
1994/9/26
新規 売り
10940.00 1995-2
1994/10/6
ロス 買い
11670.00 損益 = -810.00 最大逆行 = -390.00
1995/1/12
新規 売り
12680.00 1995-6
1995/2/7
仕切 買い
12150.00 損益 = 450.00 最大逆行 = -370.00
1995/4/12
新規 売り
13000.00 1995-9
1995/4/24
仕切 買い
11720.00 損益 = 1200.00 最大逆行 = 0.00
1995/7/11
新規 売り
12460.00 1995-12
1995/8/3
仕切 買い
11080.00 損益 = 1300.00 最大逆行 = -240.00
1995/10/13
新規 買い
9860.00 1996-3
1995/11/27
ロス 売り
9200.00 損益 = -740.00 最大逆行 = -420.00
1996/1/31
新規 売り
10230.00 1996-7
1996/2/8
仕切 買い
9740.00 損益 = 410.00 最大逆行 = -90.00
1996/3/8
新規 売り
11150.00 1996-8
1996/3/26
ロス 買い
11750.00 損益 = -680.00 最大逆行 = -540.00
1996/6/14
新規 買い
11310.00 1996-11
1996/9/11
仕切 売り
13210.00 損益 = 1820.00 最大逆行 = -70.00
1996/11/11
新規 売り
12730.00 1997-4
1997/1/22
仕切 買い
12380.00 損益 = 270.00 最大逆行 = -160.00
1997/2/17
新規 買い
11260.00 1997-7
1997/3/10
仕切 売り
11840.00 損益 = 500.00 最大逆行 = -180.00
1997/3/26
新規 売り
12210.00 1997-8
1997/4/22
仕切 買い
11780.00 損益 = 350.00 最大逆行 = -280.00
1997/5/15
新規 買い
10600.00 1997-10
1997/6/9
仕切 売り
10970.00 損益 = 290.00 最大逆行 = -390.00
1997/7/7
新規 買い
9450.00 1997-12

勝ち回数/総仕掛け回数 = 19/32 = 0.59
総利益 = 7290
最大逆行 = -640

 損益を年度毎に集計すると、

88年度
 -780
89年度
  170
90年度
  940
91年度
 -120
92年度
 1610
93年度
 -990
94年度
 1740
95年度
 1490
96年度
 2590
97年度
  640 (途中)


 最初、東穀のデータのみで93年度以降だけを計算したら、なかなかの結果と思ったのだが、それ以前を見ると、なんともムラが多いことがわかった。

4.順バリ併用システム

 ロスカットを設定するということは、順行本数が多い場合を無視するということである。順行本数が多いということは、大きなトレンドを形成していることであるから、これは非常にもったいないことである。
 そこで、ロスカットした場合にも積極的に順バリで取っていく手法をシミュレートした。方法は、ロスカットとともに、ドテンで新規に建ち玉し、新たなロスカットポイントと利食いポイントを設定するだけである。
 このポイント設定に際しては、大きなトレンドの中の取れるところだけをとる、というスタンスで計算した。

  新ロスカットポイント=8%逆行
  利食いポイント=10%順行

 とした場合の結果を以下に示す。

 逆バリ部分は変更無しなので、順バリ部分のみ示す。

 損益
1989-6
1989/1/26
13530.00
買い
利食い日
1989/2/21
14990.00
1380.00
1989-12
1989/8/2
13050.00
売り
利食い日
1989/9/1
11600.00
1370.00
1990-11
1990/7/3
10650.00
売り
利食い日
1990/7/12
9510.00
1060.00
1991-8
1991/4/5
9340.00
買い
利食い日
1991/5/16
10460.00
1040.00
1992-4
1991/11/20
11080.00
買い
利食い日
1991/12/2
12250.00
1090.00
1992-10
1992/5/28
13350.00
買い
利食い日
1992/6/18
14970.00
1540.00
1994-1
1993/8/9
16260.00
買い
損きり日
1993/8/23
14900.00
-1440.00
1994-3
1993/10/19
12170.00
売り
利食い日
1993/11/8
10850.00
1240.00
1994-7
1994/2/10
12440.00
買い
損きり日
1994/4/6
11390.00
-1130.00
1994-11
1994/7/6
9000.00
売り
損きり日
1994/8/2
9760.00
-840.00
1995-2
1994/10/6
11670.00
買い
利食い日
1994/11/9
12890.00
1140.00
1996-3
1995/11/27
9200.00
売り
損きり日
1995/12/22
9950.00
-830.00
1996-8
1996/3/26
11750.00
買い
利食い日
1996/5/20
12950.00
1120.00
 損益合計 6740.00

 損益を年度毎に集計すると、

88年度
-780+1380

600
89年度
170+1370

1540
90年度
940+1060

2000
91年度
-120+1040+1090

2010
92年度
1610+1540

3150
93年度
-990-1440+1240

-1190
94年度
1740-1130-840+1140

910
95年度
1490-830

660
96年度
2590+1120

3710
97年度
640(途中)

640
合計 14030

さらに、

1994-1
1993/8/9
16260.00
買い
損きり日
1993/8/23
14900.00
-1440.00
1994-11
1994/7/6
9000.00
売り
損きり日
1994/8/2
9760.00
-840.00
1996-3
1995/11/27
9200.00
売り
損きり日
1995/12/22
9950.00
-830.00

 というのをよく見ると、このような値段帯から、大きなトレンドを取るというのは考えにくいので、それを除くと93年度もプラスになり、全体的にも利益が増加する(注1)。

必要証拠金は、本証拠金を6万円として、

   逆バリシステム =最大逆行= -640= 90000円
   順バリシステム =最大逆行=-1440=150000円

となる。

5.考察

 逆バリシステムといいながらも、結局利益をコンスタントに出すためには、順バリシステムを併用せざるをえなかった。

 このシステムの特徴は
   ☆シンプル
    逆バリ部分の変数:m,n,ロスカット(%or 価格)
    順バリ部分の変数:ロスカット、利食いポイント(% or 価格)
 という点に尽きると思う。

 損益に関しては、年平均1488円(注1部 非適用)で、約119000円の利益であるから、本証拠金に対して約198%の利回り、必要証拠金に対して約79%の利回りである。
 出動回数は、年平均4回程度である。

 この数字をどのように理解するかは各人によると思う。


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