新興市場ファンドの第一人者として、年間200日以上は世界中を飛び回り、自らの足で有望な成長企業を発掘するマーク・モビアス博士。かねてから自分の旅行記を折に触れ提供してくれる。
以下は、モビアス氏がBRICsについて語った記事です。
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『マンガ マーク・モビアス 新興市場ファンドの父』 |
もちろん、他のエーマジングマーケットポートフォリオに比べてBRICsは4カ国に集中したポートフォリオになる。分散投資ではあるものの、エマージングマーケットの中でももっとも期待できる国々に集中したポートフォリオになっている。分散率が低いため、その分、リスクも高い。しかし、リスクに見合った十分なリターンが期待できるポートフォリオと言えるだろう。
4カ国の相関指数が低いのもBRICsの特徴である。ロシアと中国、中国とインド、インドとブラジルでは大きな違いがある。BRICsは4カ国しかないとはいえ、弊社ではチームワークをもとに多くのスタッフがBRICsの企業を分析している。弊社の投資スタイルはバリュー投資で、これはBRICsに限ったことではない。エマージングマーケットでバリューのある銘柄を探し出して投資している。もちろん、弊社が保有するデータベースには1万5千から6千社が登録されている。そこからBRICsでもっともポテンシャルの高い企業を探り出して投資している。バリューのある銘柄といえば指数平均に比べて割安であること。もちろん、業種別に比較しても価値がある銘柄に投資する。
エマージングマーケットというよりも、全世界で中国とインドはもっとも成長が著しい国と言える。この2カ国の成長率は引き続き高く維持されると思っている。また、この2カ国の生産性は非常に高い。
ロシアはBRICsの中でも少し違うタイプの国と言える。ロシア全体の人口は減少傾向にあるが、その教育レベルは高く、また恵まれた自然資源がある。
中国の将来性に多くの投資家は懐疑的になっている。これまで高スピードで成長してきているため、どこかで息切れしてしまうとう警戒心が投資家にはある。しかし、私達のリサーチでは、中国のインフレ率は1.4から1.5%と低く抑えられている。まだ中国経済が過熱した状態とは言えない。
BRICsの消費率の伸びにも注目するべきだろう。資本に対しての収入が伸びているため、一般消費は当然伸びている。 エマージングマーケットに限ったことではないが、多種多額なファンドが投資を活発に行っているため、今までよりも高いボラティリティーが株式市場に見られる。高い変動率をうまく利用して、割安なときに投資して割高になったときに利益を確定させるチャンスが多くなったと弊社では考えている。
エマージングマーケットの特徴でもあるが、政府の関与が高く、政府系の企業が大きな影響力を持っている。そのため、これらの企業が市場に与えるインパクトは大きいが、近年その影響度が薄れてきている。徐々にプライベート化されてきている。国営から脱皮した企業が高成長する可能性も否定できない。
以前おきたアジア通貨危機のようなエマージング通貨の暴落が起こらないとは言えないが、近い将来、これらの通貨が急落する可能性は極めて低い。中国は日本についで世界第二位の通貨準備を保有している。しかし、エマージングマーケットの通貨価値が割安な状態が続いているため、通貨政策が変更される可能性が高いことを忘れてはいけない。
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