はしがき 序章 再会 第1章 考え方 第2章 基礎知識 第3章 心構え 第4章 道具と準備 第5章 ボラティリティ 第6章 分析 第7章 戦略 第8章 マネーマネジメント
私はその後“実践編”(第2弾)として『オプション売買の実践』を世に出しましたが、自分ではどちらかと言えば初めて著した『オプション売買入門』の方がその内容においてより気に入っています。処女作へのノスタルジアというよりも、当書には自分なりの経験から来る相場についての考えとエッセンスが十分に表現されているからです。相場は経済行為のひとつであり、この世界で利益を上げるために将来の相場変動を正しく予測すること以上に大切なことがあるということなのです。すなわち、商品のしくみや取引機構をよく理解することと、“ゲームのルール”をよく理解すること、資金管理を怠らないこと、これら3つです。これらは、株式や商品先物の取引においても重要な要素なのですが、殊オプションにおいてはより顕著であると言えます。
“入門書”としての『オプション売買入門』を著すにあたって私が最も配慮した点は、初心者にも分かり易い表現を用いることでした。しかしながら、この目的は十分に果たすことができなかったと反省しています。マンガ化することでこの欠点を補えるかどうかは、正直言いまして疑問です。なぜなら、マンガにおいても、オプションやオプション取引に関する説明の部分は原作とほとんど変わりがないからです。私が思うに、マンガによる最大の効果は、錯覚であるにせよ、読者が講師から直接説明を受けているような雰囲気に入り込んで、受身の姿勢ではなく、自ら身を乗り出して積極的に話の展開を追う中で自然と理解が深まるであろうということです。マンガにはそれなりのストーリーがあり、そのストーリーの展開の中にオプションの説明が入っています。そのため、読者は一見取っ付き難いオプションに関する話を案外身近なものとして受け留めることができるでしょう。
『マンガ オプション売買入門の入門』は、マンガ版の限界性ゆえ、原作の内容全てに触れているわけではありません。しかし、“必要にして十分な”オプション及びオプション取引のエッセンスを身近な内容として伝えています。オプション及びオプション取引についての最低限必要なそして重要な知識を得たい読者には十分であろうと思います。但し、実際にオプション取引を実践したいと考えている真剣な投資家及びトレーダーの方々には原作『オプション売買入門』と『オプション売買の実践』を読まれることをお勧めいたします。『マンガ オプション売買入門の入門』を読んだ上で、改めて原作を読んでも決して無駄にはならないでしょう。
原作『オプション売買入門』のマンガ化の企画を掲げ、本当に実行に移すことを事業家として決断されたパンローリング社代表取締役の後藤康徳氏に敬意と謝意を伝えたいと思います。氏の企画により金融商品としてのオプションが一般の投資家に益々身近なものとして受け入れられるようになるでしょう。そして、マンガ版の編集にあたって、マンガの内容、デザイン、マンガ原稿の校正、編集、マンガ家との折衝など多岐にわたって相当なエネルギーを注いでいただいたパンローリング社編集担当の蔦林幸子さんへ労いの言葉を贈りたいと思います。ご苦労様でした。彼女は今回の編集作業等にあたってオプションを本当に熱心に勉強されていたのが印象に強く残っています。更に、マンガ家の小川集さん、マンガの出来映えはWell Done! (素晴らしい)の一言です。お疲れ様でした。本書の表紙は『マンガ版』にピッタリというよりむしろ一見原書より軽く見られがちなものを見事に打ち消しているようです。デザイナーの新田和子さんに感謝したいと思います。
本書を手にされた読者が少しでもオプションを身近に感じられ、一歩でもこの世界に踏み込むことができたなら、それは原作者にとっても望外の喜びです。
最後に、『オプション売買入門』のマンガ版が出ると聞いて特に喜んだ人たちがいます。他ならぬ私の母と弟です。特に、母は私が学生の時分に預かった彼女のわずかな資金の大半を投資で失っても『次は頑張るのよ』といって更に資金を足して励ましてくれた。『マンガ・オプション売買入門の入門』が刷り上るのを待てずに逝ってしまったこの二人に本書を捧げたいと思います。
2004年2月 増田丞美
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