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ウィザードブックシリーズ Vol.206

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プライスアクショントレード入門
足1本ごとのテクニカル分析とチャートの読み方

2013年5月発売/A5判 590頁
ISBN978-4-7759-7173-4 C2033
定価 本体5,800円+税

著 者 アル・ブルックス
監修者 長尾慎太郎
訳 者 井田京子

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目次 | 著者紹介 | 監修者まえがき | 序文

すべての指標を捨て、価格変動と足の動きだけに注視せよ!
単純さこそが安定的利益の根源!
最高のリスク・リワード・レシオをたたき出すプライスアクショントレーダー

複雑な戦略やシステムを使ってうまくいくトレーダーもいるかもしれないが、トレードで成功するために唯一必要なのは実はプライスアクションを理解することなのである。プライスアクション分析は、今日のマーケットでトレードするための有効な手法で、株にも先物にもオプションにも使うことができる。これを使えば、複雑に組み合わされたトレードテクニックに困惑することなく、トレードそのものに集中することができる。一見、初歩的に見えるかもしれないが、これは最小限のリスクでリターンを大幅に増やすことができる手法なのである。

トレードにプライスアクション分析を取り入れる方法のひとつに、チャートパターンがある。そして、この手法をだれよりもよく理解しているのが、著者のアル・ブルックスなのである。彼はフューチャー誌に寄稿しているテクニカルアナリストで、独立系のトレーダーとしても20年以上の経験がある。彼は10年前、自身のトレードにおいて、指標を表示していない価格チャートを読むことこそが最も単純で、信頼でき、利益率も高いことに気がついた。そして、その規律を順守することによって、継続的に利益を上げられるようになった。本書は、彼が会得したプライスアクションの読み方を詳しく紹介したものである。

1日の終わりにチャートを見れば、それがEミニS&P500先物のローソク足チャートであっても、株式のバーチャートであっても、仕掛けポイントや手仕舞いポイントははっきりと分かる。しかし、これがリアルタイムになると非常に難しい。本書を読めば、トレンドラインやチャネルライン、前の高値や前の安値、ブレイクアウトやブレイクアウトがダマシになったことを利用してプライスアクションの読み方を会得することができるだけでなく、この手法が全体のリスク・リワード・レシオを向上させる理由も分かるだろう。

この信頼できる本は、真剣なトレーダーにとって必要な規律についても書かれている。このなかには、チャート上のすべての足を1本ずつ理解することの重要性、特定のパターンがセットアップとして信頼できる理由、リアルタイムでの仕掛けや手仕舞いポイントを見つける方法などが含まれている。本書では基本的な原理の説明には5分足のローソク足チャートを使っているが、日足チャートや週足チャートについても書かれている。また、数種類の株の銘柄を使った日中のスイングトレードや、日足チャートを使ったオプションの戦略についても詳細に見ていくことで、これらのトレードでさえプライスアクションのみを用いて実行できることを示している。

トレードは簡単ではないが、価格チャートの読み方を学び、信頼できるパターンを見つけ、自分に合ったマーケットと時間枠が分かれば利益を上げることができる。プライスアクショントレードには複雑なソフトウェアやたくさんの指標は必要ないが、この簡単な方法がほぼすべてのマーケットで利益を上げる可能性を高めてくれる。本書を読んで、その方法をぜひ会得してほしい。
本書で詳しく紹介する内容とは、以下のようなものである。

あなたのトレードを「次の段階」に引き上げるのは新しいテクニックや高度な理論を学ぶことでなく、単純さにあることをブルックスは本書で証明している。マーケットがリアルタイムで語っていることを理解するのは難しいことかもしれないが、正しい方法を用いれば、それを理解して安定的に利益を上げることができるようになるだろう。本書にはそのために必要な情報がすべて入っており、明日の荒れたマーケットでも効率的なトレードができるようになるだろう。


■本書への賛辞
「すべてのデイトレーダーが読むべき本。トレードのすべての段階について、単純で簡単で取り組みやすく書かれている。トレーダーに必要なのはルールではなく指針であるとしたうえで、本物のトレーダーはマーケットに対して基本的な常識をもって取り組むべきだと教えている。自分に合った方法で成功したいトレーダー必携の本」――ノーブル・ドラコーン(スペキュレーターアカデミー[http://www.SpeculatorAcademy.com]の創設者で、『トレード・ライク・ア・プロ』『ウイニング・ザ・トレーディング・ゲーム』の著者)

「ブルックスはトレーダーのなかのトレーダーだ。彼は、トレードで成功するためにはエネルギーを集中させることが必要だということを理解しているだけでなく、マーケットを打ち負かすためには何時間もコンピューターの前に座っていられる人物である。最初の著作となる本書で、彼は自身の戦略を惜しげもなく詳細に紹介している。そして、医師や教育者としての経験を生かして細部まで気を配りながら、自ら習得した教訓をトレード戦略として本書にまとめあげた。デイトレードで利益を上げるために時間とエネルギーをつぎ込むつもりがある真剣なトレーダーが必ず読むべき本」――ジンジャー・ザーラ(雑誌『フューチャー』の発行人兼編集ディレクター)



原書

Reading Price Charts Bar by Bar: The Technical Analysis of Price Action for the Serious Trader by Al Brooks

著者紹介

アル・ブルックス(Al Brooks)
1950年生まれ。医学博士で、フルタイムの個人トレーダーとして約20数年の経験を持つ。ニューイングランド地方の労働者階級出身で、トリニティ大学の数学科を優秀な成績で卒業後、シカゴ大学プリッツカー医科大学院に進学、ロサンゼルスで約10年間眼科医院を開業していた。大学生のときからシカゴ・マーカンタイル取引所のフロアトレーダーになりたかったが、怖くて踏み出せなかった。子供が生まれたのをきっかけに医師をやめ、サクラメント郊外の小さな町に引っ越して、子育てとトレードを始めた。最初の10年間に指標やシステムを試すのに1万時間を費やしたが、1996年に彼は一からやり直すことを決意し、指標は使わずにプライスアクションのみを使ったトレードを始めて、現在に至っている。




■目次

監修者まえがき
序文

第1章 プライスアクション

トレンド足と同時線
基本の足――シグナル足、仕掛け足、セットアップ、ローソク足のパターン
シグナル足――反転足
シグナル足――そのほかのタイプ
包み足
その足の終値の重要性
ETFと逆さチャート
2回目の仕掛け
見逃して仕掛けるのが遅くなったトレード

第2章 トレンドラインとトレンドチャネル

トレンドライン
ミクロトレンドライン――強いトレンドのなかの小さくて急なトレンドライン
水平線――スイングポイントとほかのカギとなる価格水準
トレンドチャネルライン
デュエリングライン――トレンドラインとトレンドチャネルラインの交差

第3章 トレンド

ツーレッグ
強さを示すサイン
よくあるトレンドのパターン
寄り付きからのトレンド
反転日
トレンドの再開日
トレンディング・トレーディングレンジ日
狭いチャネルと強気と弱気のスパイク・アンド・チャネル
ステア(階段)――幅広いチャネルトレンド

第4章 プルバック

最初のプルバックからの流れ――足、マイナーなトレンドライン、EMA、EMAギャップ、メジャーなトレンドライン
ダブルトップベアフラッグとダブルボトムブルフラッグ
EMAプルバックとギャップEMAプルバック
2HM――2時間以上EMAから離れていれば、EMAと最初のEMAギャップ足で逆張りする
トレンド日の時分に損切りに達するプルバックという落とし穴
トレンドのレッグを数える
高値1、2、3、4と安値1、2、3、4
高値2と安値2のセットアップの変形
スリープッシュのプルバック

第5章 トレーディングレンジ

狭いトレーディングレンジ
バーブワイヤー
1日の真ん中にできたレンジの真ん中
大きい上げと大きい下げ
トレンドの反転を設定するトレーディングレンジ

第6章 ブレイクアウト

強いトレンドでのブレイクアウトによる仕掛け
ブレイクアウトプルバックとブレイクアウトの試し

第7章 マグネット効果

最初のプルバックに基づいたメジャードムーブ(AB=CD)
狭い領域とフラッグに基づいたブレイクアウトのメジャードムーブ
反転は前の失敗した反転のシグナル足で終わることが多い
そのほかのマグネット効果

第8章 トレンドの反転

トレンドラインのブレイク
トレンドチャネルラインのブレイクアウトのダマシ――クライマックス、放物線、V字天井とV字底
反転の最初のレッグに見る強さのサイン
トレンドの反転と試し――アンダーシュートかオーバーシュート
ダブルトッププルバックとダブルボトムプルバック
クライマックス――スパイク・アンド・トレーディングレンジの反転
クライマックス――スリープッシュとウエッジ(トレンドチャネルラインのオーバーシュートと反転)
拡大トライアングル

第9章 小さな反転――失敗

ダマシのシグナルと仕掛け足と1ティックだけブレイクアウトしたダマシ
高値2と安値2の失敗
高値の切り上げや安値の切り下げのブレイクアウトのダマシ
トレンドラインとトレンドチャネルラインの突き抜け
反転の失敗
ファイナルフラッグの失敗――狭いトレーディングレンジ
ファイナルフラッグの失敗――巨大なトレンド足
ウエッジの失敗
スキャルピングの失敗――5ティックのブレイクアウトのダマシとスキャルパーの利益目標に届かないケース

第10章 デイトレード

銘柄選択
時間枠とチャートのタイプ
グローベックス、プレマーケット、ポストマーケット、オーバーナイトなどのマーケット
スキャルピングとスイングとトレードと投資
常にマーケットにいる
仕掛けるときには少なくとも2つの理由が必要
仕掛けの逆指値で仕掛ける
損切りの逆指値と落とし穴

第11章 最初の1時間

プレマーケットにかかわるパターン
前日と関連するパターン
ギャップを空けての寄り付きのトレンド足――1本目か2本目の足
ギャップを空けての寄り付き――反転と継続
寄り付きからのトレンドと最初の足からのトレンド
3番目の足と分足の引け
最初の1時間に大きいトレンド足ができると、その日の後半に同じ方向で強い動きがあることが多い
寄り付きのパターンと反転
ダブルボトムブルフラッグとダブルトップベアフラッグ
トレーディングレンジ・ブレイクアウト
最初のプルバック

第12章 デイトレードの詳しい例

第13章 日足、週足、月足のチャート

大商いでの反転

第14章 オプション

第15章 最高のトレード

重要な反転
トレーディングレンジ日の小さな反転でのスキャルピング
強いトレンドのなかのプルバック
日中の株のトレード

トレードの指針
用語集



■監修者まえがき

 本書は、元眼科医で個人投資家のアル・ブルックスの手による“Reading Price Charts Bar by Bar”の邦訳である。さて、原則として、どんな調査においても先行研究に網羅的に当たって、関連する分野の広い枠組みのなかで、自分の問題がどこに位置づけられるかを知る必要がある。なぜなら「巨人の肩の上に立つ」(ベルナール)ことで、より広い視野で深く問題を考察することができるからである。本書の場合は、著者が冒頭で書いているように、エドワーズとマギーによる『マーケットのテクニカル百科 入門・実践編』(パンローリング)などが先行研究にあたることになる。それを踏まえて、ブルックスは、テクニカル分析にも数多くの分派があるなか、比較的だれにでも理解しやすい価格変化に特化したテクニカル分析の解説書を著した。

 ところで、もともとテクニカル分析自体は科学とは対極に位置する極めて主観的かつ便宜主義的なものであるから、その気になれば際限なく対象とする範囲を広げたり、荒唐無稽な論を展開することも可能である。しかし、科学的探究法としてのコンピューターサイエンスが一般化した21世紀にあっては、あまりに非現実的な絵空事はよほどの好事家でないかぎり受け入れることはない。現に、テクニカル分析本は過去に数多く出版されてきたが、生き残っているものは非常に少ないし、テクニカルアナリストという職業も今となっては絶滅寸前である。

 そうした環境下にあって、本書をほかのテクニカル分析本から識別せしめているのは、分析の対象を価格変化に限ったこと、およびマーケットを動かす売買主体をほとんどの場合において機関投資家と個人投資家の二者に絞り、デフォルメ化した世界観に基づいて解釈を行った点にある。一般に、あるエコシステムにかかわるエージェントの数が増えるほど、その解釈はより困難になる。したがって、著者が思い切った単純化を行ったことは極めて正しい選択だと言えるし、トレード対象として株式先物ではなく個別銘柄を推奨していることも、値動きにかかわる当事者の数を考えれば当然の帰結なのである。

 もっとも、ここであえて贅沢を言えば、ニュートラルな立場の個人投資家、ポジティブフィードバックの動因としての機関投資家、ネガティブフィードバックの担い手としてのコンピュータープログラムというように、その機能が明確に区別された売買主体を三者登場させたモデルを用いたほうが、一層説明は容易であったろうし、現実のマーケットのフレームワークにより近いデザインとなったとは思う。だが、それは著者の今後の課題であると同時に、私たち読者の側で補って考えれば済む話である。

 翻訳にあたっては以下の方々に心から感謝の意を表したい。翻訳者の井田京子氏は分かりやすい翻訳を、そして阿部達郎氏は丁寧な編集・校正を行っていただいた。また本書が発行される機会を得たのはパンローリング社社長の後藤康徳氏のおかげである。

 2013年4月

長尾慎太郎

序文

 本書を執筆する目的は、どのようなチャートでも(例えば図P.1)素晴らしいリスク・リワード・レシオのトレードを提供しているということと、株でも先物でもこのようなセットアップで利益を上げることができる方法を説明することにある。なかでも最も重要なメッセージは、絶対的に最高のトレードに集中し、絶対的に最悪のセットアップを避けながら、トレードサイズを大きくしていくということである。ただし、本書でセットアップに関して述べた裏づけはすべて私の個人的な意見にすぎず、これがうまくいく理由はまったく間違っているかもしれない。しかし、心配は無用だ。大事なことは、プライスアクションを読むことが非常に効率的なトレード方法であり、なぜそのような動きになるのかについて私が熟考したということなのである。私は自分の説明に納得しており、自信を持ってトレードを仕掛けることができる。ただ、その説明とトレードを仕掛けることとは別で、説明が正しいかどうかは重要ではない。それに、もしもっと理論的な理由や私の理論の間違いが見つかれば、マーケットの方向に関する見方が変わるように、特定のパターンに対する意見が変わることもあり得る。私が意見を述べるのは、それが理にかなっていると思えるからで、読者が特定のセットアップをより安心してトレードできる可能性があり、知的な刺激を与えられるかもしれないからだ。しかし、これがプライスアクショントレーダーにとって必要なわけではない。

 本書は、洗練されたトレーダーとマーケットのプロがプライスアクションを理解するための総合的な手引書である。しかし、ここで述べる概念はどんなレベルのトレーダーにも役に立つはずだ。この手法は、『マーケットのテクニカル百科 入門・実践編』(パンローリング)の著者であるロバート・D・エドワーズやジョン・マギーなどさまざまな人たちが考案した標準的なテクニックを使っているが、本書では足1本ずつに注目して、これらの情報がリスク・リワード・レシオを大いに向上させることを示していく。トレード本の多くは、1枚のチャートで3つか4つのトレードに注目している。これは言い換えれば、それ以外の部分は理解できないか、意味がないか、リスクがあるということになる。しかし、私は1日のなかのすべてのティックには何かしら学ぶべきことがあり、明らかなトレード以外にも素晴らしいトレードがたくさんあると考えている。ただ、それを見つけるためにはプライスアクションを理解する必要があり、そのためには重要でない足など1本もない。私は眼科医時代に顕微鏡を通してたくさんの手術を行った経験から、非常に小さいことのなかにも重要なことがあるということを学んだのである。

 私はチャートを見るとき、それぞれの足がどのような情報を伝えようとしているのかを考える。どの足もすべて大事なのだ。足が完成すると、多くのトレーダーは「何が起こったのか」と考える。しかし、ほとんどの足は難しすぎて理解できないから、見覚えのあるパターンができるまで待つことにする。これは、その足がなかったことにしたり、機関投資家向けで個人トレーダーには関係ないと無視するようなことである。しかし、なかったことにすると、その間はマーケットに参加していないような気持ちになり、それが1日のほとんどを占めることになる。そして、彼らが無視した足の出来高は、トレードに使った足の出来高と同じくらいに上る。つまり、マーケットでは実際にたくさんのトレードが行われているのに、彼らはその理由が理解できないから、なかったことにしているのである。これでは現実を否定していると言わざるを得ない。トレードは常に行われている。トレーダーはその理由を理解し、そこで利益を上げる方法を見つけなければならない。マーケットが伝えようとしていることを理解するのは難しく、時間もかかるが、それがトレーダーとして成功するための基礎を築いてくれるのである。

 トレード本の多くは、ローソク足チャートのパターンを暗記させようとするが、本書では特定のパターンが信頼できるセットアップになる理由を説明していく。このとき出てくる用語のなかには、テクニカルアナリストとトレーダーが別の意味で使っているものもあるが、本書ではすべてトレーダーの視点で用いている。読者の多くは、すでに本書の内容を理解しているだろうが、プライスアクションについて私と同じような説明をする人はいないと思う。成功しているトレーダーは何か特別なことをしているわけではなく、だれでも知っているセットアップを使っている。ただ、それらに勝手に名前を付けている人もなかにはいる。みんなそれぞれの理由で同じようなときに買ったり売ったりして、同じスイングをとらえている。彼らは直観的にプライスアクションを解釈し、なぜそのセットアップがうまくいくのかを明確に説明する必要を感じていない。彼らが私のプライスアクションに関する理解と見通しを知ることで、これまでの成功をさらに後押しできればうれしい。

 ほとんどのトレーダーは、自分に合ったスタイルで最大の利益を得ることを目指している。トレードのスタイルが自分に合っていなければ、長期的に利益を上げていくことはほぼ不可能だろう。多くのトレーダーは、成功するまでに何年かかるのか分からないが、しばらくの間は損失が出ても仕方がないと思っている。なかには2〜3年かかってもよいと思っている人もいる。実は、私がトレードで利益を上げられるようになるまでには10年かかった。トレーダーはみんなさまざまな事情を抱えているため、成功までの時間は違うが、大きな利益を上げられるようになる前にさまざまな問題を片づけなければならない。私にも片づけるべきいくつかのことがあった。そのなかのひとつが3人の素晴らしい娘たちの育児だった。私の頭の中は常に娘たちのことでいっぱいで、父親として何をすべきかをいつも考えていた。この件は、子供たちが大きくなって自立し始めたことで解決した。次に、自分のさまざまな性格と、それを変えることができないということ(少なくとも私は変える気がないという結論に至った)を受け入れるのにも長い時間がかかった。そして最後に、自信を持つという問題があった。それまでの私は尊大と言ってもよいほどの自信家で、それを知っている人たちはトレードに苦しむ私を見て驚いた。実はこのときの私は、長年にわたって継続的に利益を上げることなどできないと思っていた。そこでさまざまなシステムを買い、数えられないほどの指標やシステムを試し、大量の本や雑誌を読み、講習会に参加し、個人的にも講師を雇い、チャットに参加し、成功しているというトレーダーの話を聞いた。しかし、実際に彼らの損益を見たことがないということに気づき、教えることはできても実際にトレードができる人はそのうちのほんの一部なのではないかと思い始めた。トレードにおいては、知っている人は語らず、語る人は知らないということがよくある。

 この発見は非常に役に立った。成功するために何を避けなければならないかが分かったからだ。実際にトレードしない人はトレードなど簡単だと言い、その言葉にだまされる人もいる。取引が終わってからチャートを見れば、仕掛けポイントや手仕舞いポイントはだれにでもはっきりと分かるからだ。しかし、難しいのはそれをリアルタイムで探すことなのである。最安値で買ってそれ以上下がらないことを願うのは自然なことだ。しかしそうなると、初心者は大きい損失を避けたくて損切りするため、負けトレードが続いて結局資金が底をつく。これは損切りを離して置くことである程度は回避できるが、何回か大きな損失を被ると、怖くてこの方法を続けることができなくなる。

 基本的にトレンドラインとブレイクアウトとプルバックしか使っていないのに、なぜ多くのビジネススクールがエドワーズとマギーの本を使い続けているのだろうか。理由は、この手法がこれまでも、これからもうまくいくからなのである。今日ではほとんどのトレーダーがパソコンで日中のデータを入手できるため、これらのテクニックはデイトレードにも応用できる。そのうえ、ローソク足チャートはだれがマーケットを支配しているのかまで教えてくれるため、より小さいリスクでよりタイミング良く仕掛けることができる。ただ、エドワーズとマギーは全体的なトレンドに注目しているが、私は同じテクニックを使ってチャートの足1本ずつに注目することで、リスク・リワード・レシオを改善した。ちなみに、私は主に日中のチャートを観察している。

 もしチャートを正しく読んで最適なタイミングで仕掛け、価格が予想した方向に動いて逆戻りすることがなければ、非常に有利なのは明らかだ。それができれば勝率は高くなり、数少ない損失も小さく抑えることができる。そこで私は、まずこれを目指すことにした。ところが、それができるようになるとあとは何も必要ないということに気がついた。実際、これ以上何か追加してもジャマになるだけで、利益率を下げることにしかならなかった。こう書くと簡単で当たり前に聞こえ、信じられない人も多いのではないだろうか。  私はプライスアクションのみに基づいて日中のEミニS&P500先物(以降「Eミニ」)をトレードしているデイトレーダーで、プライスアクションをうまく読むことはトレーダーにとって必須のスキルだと考えている。多くの初心者は、ほかにも何か(ほんの一握りの人たちだけが使いこなして優位に立つことができる複雑な数式など)が必要だと思い込んでいる。資金も人材も豊富なゴールドマン・サックスならばスーパーコンピューターや強力なソフトウェアを使ってはるかに優位に立っているだろうから、個人トレーダーは失敗するに決まっているなどと考えるのだ。彼らはあらゆる指標を試し、それらを自分用にカスタマイズしようとする。どの指標もうまくいくときはあるが、私にとって指標は助けになるよりも混乱を来すことのほうが多い。実際、チャートを見なくても買い注文を入れれば、50%の確率で勝てるのである。

 ただし、指標やシステムを完全に無視しようとしているわけではない。私は何年もかけて1万時間以上さまざまな指標やシステムを書いたり試したりしてきた。これほどの時間を費やした人はあまりいないと思う。この経験は、私がトレーダーとして成功するために不可欠だった。指標は多くのトレーダーの役に立つが、大きな成功をもたらすのは自分の性格に合う手法を見つけたときなのである。私にとって指標やシステムの最大の問題は、それを完全に信じることができないことだった。どのセットアップにも、試すべき例外がある。私はマーケットから最後の1セントまで手に入れたいと思うタイプで、システムをいくら改善してもそのリターンには満足できなかった。私は、指標や自動システムから長い期間継続してリターンを上げるには支配欲が強すぎ、神経質で、落ち着きがなく、観察が鋭すぎ、信用することができない人間だったのである。ただし、これは私の極端な性格のせいであり、このような問題に直面する人はあまりいないと思う。

 多くのトレーダー、特に初心者は指標に引かれ、それが仕掛けるタイミングを教えてくれることを願う。しかし、ほとんどの指標が単にプライスアクションに基づいたものだということに彼らは気づいていない。それに、トレードを仕掛けるとき、いくつもの指標が意味していることを素早く判断することなど私にはとてもできない。また、オシレーターがあると、反転のタイミングに気をとられて価格チャートに集中できなくなる。このような指標は、反転してから1時間以上方向が変わらないことが2〜3回起こるような日にはとても役に立つ。ただ、問題は強いトレンドがあるときだ。もし指標にばかり注目していると、1日中ダイバージェンスになっているため何回もトレンドに逆行して仕掛けては資金を失うことになる。そして、トレンドができていることに気がつくころには、その日のうちにそれまでの損失を回復するだけの時間が残っていない。もし単純にバーチャートやローソク足チャートを見ていればトレンドができていることは明らかで、指標で反転ポイントを探そうとは思わないはずだ。トレンドの最初の有効な反転は、強いモメンタムでトレンドラインをブレイクしたあとにプルバック(押しや戻り)で極端な値を試すことが多い。しかし、もしダイバージェンスばかりに注目していれば、この基本的な事実を見落とすことになる。トレンド方向に反するモメンタムが強まってトレンドラインがブレイクされていないときにダイバージェンスで仕掛けるのは負ける戦略でしかない。トレンドラインがブレイクされるのを待って、前の極端な値が試されるのかそれまでのトレンドが継続するのかを確認してほしい。指標がなくても、強い反転が高勝率のトレードだということは分かるし(少なくともスキャルピングにおいては)、そうであれば必ずダイバージェンスになっている。わざわざ指標を追加して複雑に考える必要があるだろうか。

 学者のなかには、時間枠や指標や波動やフィボナッチリトレースメントとフィボナッチエクステンションなどを組み合わせるよう勧める人もいるが、それをしても実際にはみんな良いプライスアクションのセットアップができたときにしか仕掛けない。また、良いプライスアクションセットアップが見つかると、指標を見てダイバージェンスになっているかを調べたり、さまざまな時間枠の移動平均線への試しや波動の数やフィボナッチのセットアップを調べて、目の前の出来事を確認したりしようとする。つまり、彼らは実はたった1枚のチャートのプライスアクションのみを使ってトレードするプライスアクショントレーダーなのに、それを認めることには抵抗があるのだ。トレードを複雑にすると過剰分析に時間を取られて数多くのトレードを逃してしまい、次のセットアップができるまで待たざるを得なくなる。しかし、単純なことを複雑にする理由はどこにもない。もちろん、情報を追加すれば良い判断につながるかもしれないし、仕掛けの判断に間に合う速さでたくさんの情報を処理できる人もいるのかもしれない。つまり、単純に徹するという信念だけでデータを無視するのはバカげている。トレーダーの目的は利益を上げることであり、最大の利益を追求するためにできることはすべてすべきなのである。ただ、私の場合は単純に限られた時間内に複数の指数や時間枠を正確に判断したうえで正確に注文を出すことができないし、1枚のチャートを注意深く読むほうが利益率が高いというだけだ。それに、もし指標に頼ればプライスアクションの読み方が甘くなり、明らかなトレードを見落とすことにもなりかねない。プライスアクションはほかのどの情報よりも大事で、そこから得られる情報を犠牲にしてほかからの情報を得ることは間違った選択である可能性が高いのである。

 株やEミニのトレードで利益を上げる方法は無数にあるが、どれも価格が動かなければどうにもならない(正確に言えばオプションの売り以外)。もしチャートの読み方を学べば、どこかの機関投資家がトレンドを起こした理由や指標の意味が分からなくても、毎日たくさんの勝ちトレードを仕掛けることができる。また、価格を読めば彼らが何をしているのかは分かるため、同じソフトウェアをそろえたり同じ分析をしたりする必要もない。彼らのトレードに便乗して、利益を上げればよいだけだ。プライスアクションで彼らの行動を知ることで、早めに仕掛けて損切りを近くに置くことができるのである。

 私はトレードを仕掛けるときに考慮すべきことを最小限に抑えると、利益を継続的かつ大幅に増やすことができることに気づいた。必要なのはノートパソコンに表示した1枚のチャートのみで、そこには20EMA(20期間指数移動平均線)以外何の指標も表示していない。20EMAは大した分析を必要としないうえ、毎日良いセットアップを教えてくれる。私は20EMAさえ使わずにトレードするときもあるが、これが教えてくれるセットアップの数を考えると、チャートに表示しておく価値はある。ちなみに、1分足チャートの出来高はトレンドの反転が迫ったサインを探しているときには多少の役に立つが、私はたいてい5分足チャートでトレードしているため使っていない(5分足チャートのトレンドの始まりを知るために、1分足チャートを使うことはたまにある)。ちなみに、下降トレンドの終わり近くで1分足の出来高が異常に増えると、次かその次のスイングの安値はスキャルピングの買いのチャンスになることが多い。しかし、これはあくまで経験則でトレード戦略として信頼できるものではないため、無視してほしい。また、売られ過ぎになると、日足チャートでも出来高が突出することもある。

 さまざまな指標に基づいてトレードしているトレーダーでさえ、仕掛けたり手仕舞ったりするときはいつもプライスアクションを見ている。ダイバージェンスで買うとき、その安値で強い反転足が出現すればそれに越したことはない。チャートはトレーダーが考える以上にマーケットを支配しているのがだれかという情報を伝えている。ほぼすべての足は、マーケットの方向に関して重要な手掛かりを与えてくれており、これらをノイズとして無視すれば毎日利益が出るトレードを見逃すことになる。

 私はトレーダーとして、すべてはグレーの霧の中にあると思っているため、常に確率で考えるようにしている。もし完全ではなくてもパターンができつつあり、信頼できるセットアップにある程度似ていれば、そのあとも似たような動きになる可能性が高い。似ていればたいていはそれで十分なのだ。もし教科書のセットアップに似た動きがあれば、そのトレードは教科書のセットアップと似た展開になる可能性が高い。それがトレードを極めるということであり、グレーゾーンでうまくトレードできるようになるには何年もかかる。みんな最初のリスクで最大の利益をもたらす正確な仕掛けポイントを教えてくれる明快で具体的なルールや指標、チャットルーム、ニュースレター、ホットライン、講師などを望むが、どれも長期間うまくいくものではない。トレーダーは自己責任で判断を下さなければならないが、その前に判断の仕方を学ぶ必要がある。それにはまず、グレーの霧の中でトレードすることに慣れなければならない。白黒はっきりしていることなどどこにもないし、長くトレードしている私はどれほどあり得ないことでも起こり得ることを知っている。量子物理学のようなものだ。考えうるすべての出来事には可能性があり、それはまだ考えてもいない出来事についても言える。これは感情的な問題ではないため、何かが起こる理由を考えても仕方がない。FRB(連邦準備制度理事会)が今日利下げに踏み切るかどうかを観察することが時間の無駄でしかないのは、彼らが何をしても必ず強気と弱気両方の解釈があるからだ。マーケットの動きを見るときにカギとなるのは、FRBがどうするかではない。つまり、トレードするときはニュースを見てはならない。ニュースが意味することを知りたければ、目の前のチャートが教えてくれる。もしCNBCの番組で専門家が「弱気の材料だからマーケットは上がる」と言えば、空売りをしようとするだろうか。チャートさえ見ていれば、知っておくべきことは分かる。あなたの資金を増やすのも減らすのもチャートであり、トレードで考慮すべき唯一の物なのである。トレードフロアにいれば、親友のすることでさえ信用できない。もし彼が大量のオレンジジュースの売りを勧めてきても、実はその10倍安く買いたいだけなのかもしれない。パニックを起こしてマーケットを下げ、はるかに安く買おうとしているのかもしれないのである。

 ニュースには別の問題もある。マーケットが大きく動くと、マスコミはこのことを予想した自信満々で説得力のある専門家を探し出してきてコメントを求めるため、視聴者はこの人物がマーケットを予想する不思議な能力を持っていると信じてしまう。このとき、彼の過去10回の予想がすべて外れていたという事実が語られることはもちろんない。そして、彼が次の予想を発表すると、無邪気な視聴者はそれを重視し、それに基づいてトレードしてしまう。ただ、視聴者は知らないかもしれないが、専門家のなかには常に強気の予想しかしない人や、弱気の予想しかしない人、ホームランを狙って奇をてらった予想をする人などもいる。マスコミは、その日のニュースに合う人に殺到しているだけで、それはトレーダーにとって何のメリットもない。むしろ、それを聞いたことで自分の手法を疑問視してそこから外れてしまうなどの影響を受ければ害にもなりかねない。もしトレードをしている日にテレビを見たければ、漫画や外国の番組などトレードに影響のないものにしておいてほしい。

 また、友人や同僚が勝手に言っている意見も無視してよい。私は、素晴らしいセットアップについて私の意見を聞きたいというトレーダーの申し出をときどき受ける。しかし、興味がないと答えると彼らは怒りだす。そして、私を利己的で、頑固で、心が狭い人間だと決めつける。トレードに関して言えば、そのとおりか、それ以上かもしれない。利益につながるスキルは、普通の人から見れば欠陥に見えることが多い。私はなぜトレードに関する本や記事を読まなくなり、ほかのトレーダーのアイデアに耳を傾けることもなくなったのだろうか。それは前にも述べたように、知るべきことはすべてチャートが教えてくれるからであり、それ以外の情報は害にしかならないからだ。私の姿勢を批判した人たちもいたが、その原因のいったんは彼らが私のためと称して何らかの見返りを期待していた手法を私が断ったからだろう。私が他人のトレードテクニックについて話を聞くつもりがないと答えると、彼らは失望し、怒りだす。しかし、私はまだ自分の手法さえ極めていないし、極められるとも思っていないが、プライスアクションに基づかない手法を取り入れるよりは自分の手法を完璧に近づけるほうがはるかに大きい利益につながる自信がある。彼らにもそう伝えた。もしジェームズ・ゴールウェイがフルートの演奏で大成功したからと言ってヨーヨー・マにフルートを学ぶよう強要したら、マはそれに従うべきだろうか、と問うこともある。もちろん、そんなことはしないだろう。マはチェロの腕をさらに磨くべきで、それによってフルートを始めるよりもはるかに大きな成功を収めることができるだろう。私はゴールウェイでもマでもないが、同じことだ。私にとってはプライスアクションが唯一の楽器であり、これを極めるほうが、ほかの成功したトレーダーのアイデアを取り入れるよりもはるかに大きな成功を収めることができると固く信じている。

 昨日、コストコの四半期の決算発表があり、アナリストの予想よりも高い32%の増益だった。それを受けて今日はギャップで始まり、最初の足がギャップを試したあとわずか20分で1ドル以上上昇した(図P.2)。しかし、そのあと下げて前日の終値を試した。2回の上昇が下降トレンドのトレンドラインをブレイクしたが、どちらもダマシになった。これがダブルトップ(足2と足3)ベアフラッグ、あるいはトリプルトップ(足1と足2と足3)を形成したあと、マーケットは3ドルも急落して前日の安値を下回った。もしニュースを聞いていなければ、下降トレンドラインのブレイクアウトのダマシ(足2と足3)で空売りして、次のブレイクアウトプルバック(戻りである足4)でもさらに売っていただろう。そして、反転の大きな足5で買いに転じる。これは、前日の安値よりも安いところでブレイクアウトした2回目の反転で、急激な下降トレンドチャネルラインの底をブレイクアウトしたクライマックスでの反転だった。しかし、もしテレビを見ていたら、強気の報道を聞いて寄り付きで買ったのにアナリストの予想に反して下落しているのが心配になり、2回目に急落した足の5で買いトレードを手仕舞っていたかもしれない。

 2〜3本の足でたくさんのポイントをカバーするトレンド、つまり長大線があまり重なっていないトレンドは、いずれプルバック(押したり・戻したり)する。このようなトレンドには強いモメンタムがあるため、プルバックのあとにはトレンドの極端な値を試し、たいていは超えていく。ただ、プルバックが新しいトレンドになって前のトレンドの始点を超えてしまった場合はこの限りではない。通常、プルバックが75%以上リトレースすると、それまでのトレンドの極端な値に達する可能性は大幅に下がる。例えば、下降トレンドでそうなった場合は、そのトレンドのプルバックではなく新しい上昇トレンドになったと考えたほうがよい。しかし、足の6は約70%もプルバックした(戻した)が、マーケットは下降トレンドのクライマックスの安値を翌日の寄り付きで試した。

 そして、その動きを確認できる唯一の方法がチャートを見ることなのである。もしチャートが語っていることが理解できなければ、トレードすべきではない。それができるようになるまで待ってほしい。そのときは必ずやって来る。そして、そのときになったらリスクを理解し、自分の計画に従ってトレードを仕掛けなければならない。ただ、このとき損失を避けるために時間枠を短くして1分足チャートに下げて損切りを近づけてはならない。それをすれば結局は負けになる。1分足チャートの問題は、たくさんの仕掛けポイントがあることだ。しかし、その全部で仕掛けるわけにはいかないため、好きなポイントを選んでいるうちに失敗トレードが重なって資金が底をつく。最高のトレードは仕掛ける間もなく過ぎ去ってしまうため、結局劣ったトレードのなかから選ぶことになり、負けが多くなるのである。5分足チャートをのみ使えば、1分足チャートを気にせずに5分足チャートのみの分析で仕掛けることができる。つまり、5分足の損切りや目標値に頼るしかない。1分足チャートが逆行して1分足の損切りに達することが頻繁に起こるという現実を受け入れるしかないのだ。1分足チャートを見ていると、5分足チャートに完全に集中することができなくなるため、あなたの資金は私がもらうことになるだろう。競争に参加したければ、気を散らす原因や目の前のチャート以外の情報を最小限に抑え、あとは大金が儲かると信じるしかない。現実的とは思えないかもしれないが、これが真実だ。疑ってはならない。単純に徹し、自分の単純なルールに従えばよい。単純さを保つのは極めて難しいことだが、それが最高のトレード方法だと私は考えている。そして、プライスアクションに対する理解が深まれば、トレードによるストレスが減り、むしろ退屈になっていく反面、利益は増えていくだろう。

 ギャンブルは勝率が不利なので私はやらないが、トレードと似ている部分もあり、実際にトレードしない人にとっては特にそう見えるだろう。例えば、単純なゲーム理論を用いて負けトレードのあとはトレードサイズを増やすトレーダーがいる。また、ブラックジャックでカウンティングをする人は、トレーディングレンジでトレードする人とよく似ている。カウンティングは勝率がどちらかに偏っているかどうかを判断する方法で、特に知りたいのは、残りのデッキに絵札が多いかどうかだ。もしカウントして絵札が出る可能性が高いと思えば、勝率が高いからトレードする(ベットする)。トレーディングレンジでトレードするときも、マーケットが一方向に動きすぎたと判断すれば反対方向にトレードする(逆張り)。

 残念ながら、トレードにはギャンブルに非常に似た側面がある。なかでも深刻なのは、負けトレードでも利益が出ることがあると、いずれは長期的に勝つ方法が見つかると誤解してしまうケースだ。そうなると、確率というどうにもならない敵に苛酷な戦いを挑み、打ち負かすどころか破綻することになる。最も分かりやすい例は1分足チャートを使ったトレードだろう。見かけは5分足と似ているし、デイトレードでたくさんの勝ちトレードができるならば、それを中心にトレードするのは一見、理にかなっている。しかし、最高のトレードの多くは仕掛ける間もなく消えてしまうため、二番手のトレードしか残っていない。結局、それを長く続けていれば5分足チャートを使う場合よりも破綻するか大きな損失を被る可能性のほうが高いのである。

 また、トレードをしない人のなかには、デイトレーダー(ひいてはすべてのトレーダー)はギャンブル依存症で要するに精神を病んでいるのだと思っている人もいる。おそらく、そういうトレーダーは利益ではなく興奮を求めてトレードし、たまに勝ったときの快感を求めてたくさんの低勝率トレードをして大金を失っているのだろう。しかし、成功しているトレーダーの多くは商業不動産や中小企業に投資する投資家と本質的には変わらない。投資との唯一の違いは、時間枠が短く、レバレッジが大きいことだけだ。

 ギャンブルについてもうひとつ付け加えておきたい。モンテカルロ法は理論上はうまくいっても実際には感情が数学的理論と対立するためうまくいかないということである。負けるたびにポジションサイズを2倍(または3倍)にして反対方向に仕掛ければ理論的には利益が上がる。ただ、Eミニの5分足チャートで4回連続で負けることはほとんどなくても(特に日中の狭いトレーディングレンジを避ければ)絶対にないとは言えないし、同じことは6回、7回以上についても言える(実際に見たことはないが)。いずれにしても、たとえ10枚のトレードが可能でも、負けるたびにそれを2倍にして反対方向にトレードするならば、1枚から始めたほうがよい。それでも4回連続で負ければ次は16枚になり、4連敗のあとに安心してトレードできるサイズを超えて仕掛ける気になるとは思えない。また、10枚でトレードしたい人は1枚のトレードの利益には満足できないが、結局はそうせざるを得ないことが多くなる。

 普通の人は暴落のリスクも気になるため、そこからもトレードがギャンブルを連想させるのかもしれない。しかし、日足チャートで暴落することはあまりない(日中のチャートならばよくある)。彼らは極めて感情的な出来事が起こったときに効果的な行動をする自信がない。通常、「暴落」という言葉は日足チャートで短期間に20%以上下落したとき(例えば1927年や1987年のケース)に使われ、これもよくあるチャートパターンのひとつだと思えば、感情的にならずにいつものルールに従うことができる。チャートの時間や価格の目盛りを見ないでプライスアクションだけに注目すれば、日中のチャートによくある急落と変わらないはずだ。すべてのチャートにはトレード可能なプライスアクションがあるため、感情をやりすごすことができれば暴落でも利益を上げることはできるのである。  図P.3(出所=トレードステーション)は、マーケットがどのような時間枠でも暴落するということを示している。左端は1987年の暴落時のゼネラル・エレクトリック(GE)の日足チャート、中央が好決算を発表したあとのコストコ(COST)の5分足チャート、右側はEミニの1分足チャートである。通常、「暴落」という言葉は、日足チャートで短期間に20%以上暴落したときのみに使われ、一般的に暴落と認識されているケースは過去100年間に2回しかないが、プライスアクショントレーダーは日中のチャートで同じような暴落パターンをよく目にしている。日中チャートには暴落が頻繁にあり、単なる下降スイングというトレード可能なプライスアクションのひとつにすぎないため、これをわざわざ暴落と呼ぶ必要はない。

 多くのトレーダーは、ダイバージェンスやプルバックでトレードするときのみプライスアクションについて考える。彼らは、大きく反転した足の終値が強い動きをすることを願うが、実際にそうなることはあまりない。プライスアクションを理解するうえで最も役に立つツールはトレンドラインとトレンドチャネルライン、前の高値と安値、ブレイクアウトとブレイクアウトのダマシ、ローソク足の実体とヒゲの大きさ、現在の足と直近の数本の足の関係などである。特に、現在の足の始値と高値と安値と終値を、直近の数本の足の動きと比較すれば、次の動きについて多くを知ることができる。本書で紹介するケースのほとんどは実際の仕掛けを意識したものだが、それ以外に勝率は高くないが単純に興味深いプライスアクションについてもいくつか取り上げている。

 私は、Eミニのトレードにはローソク足チャート、株のトレードにはバーチャートを使っているが、ほとんどのシグナルはどのタイプのチャートからでも読み取れるし、単純な折れ線チャートのほうが明らかなときもある。本書では主に5分足のローソク足チャートを使って基本的な原則を説明していくが、日足チャートや週足チャートも詳しく見ていく。私は、毎日いくつかの銘柄で日中のスイングトレードを行い、ときには日足チャートを使ってオプションも買っているが、これらのトレードをプライスアクションのみを使って行う方法についても紹介していく。

 本書に掲載したチャートの多くはさまざまな概念を紹介しており、その多くにはカギとなるプライスアクションが含まれている。そのため、どのチャートがどのページにあってもおかしくはないが、その都度のポイントに最適と思われるページに配置してある。ちなみに、多くのチャートではその時点でまだ紹介していないセットアップでも重要なものについては指摘しているが、それは本書を2回目に読むときに助けになると思う。また、毎日のように目にする日中のパターンの多くは、本書のいくつかの項目に分類できる。反転がダブルボトムのプルバックになるのか、スパイク・アンド・トレーディングレンジの安値を付けたのか、安値を切り上げたのかで長いこと悩む必要はない。会社のファイル作業ではないからだ。反転パターンに気づいたら、正確な名称に悩んで時間を浪費せずに、ただ仕掛けてほしい。また、本書は各章が統一されているわけではない。章によって成功するための必須事項だったり、完全をきすために執筆した章だったりするからだ。初心者であれば、最高のトレードについて書いた第15章を理解してから必要に応じてそれ以前の章に戻り、さらに学ぶとよいだろう。ただ、マグネット効果やメジャードムーブなどの概念を理解するのにあまり時間を割く必要はない。それで儲かるわけではないからだ。これらの概念は、プライスアクションの特徴を説明するために載せているだけで、信頼できるトレードパターンではない。

 最後に、私はカリフォルニア州でトレードをしているため、すべてのチャートは米・カナダの太平洋標準時間になっている。また、すべてのチャートはトレードステーション(TradeStation)で作成している。


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