2022年7月発売/A5判 上製 310頁
定価 本体 2,800円+税
ISBN978-4-7759-7301-1 C2033
ミネルヴィニは中学校を退学後、ウォール街で評判の億万長者になるまでに用いた「力を引き出す『秘密の』原理」を公開している。彼の驚くべき経歴は、アメリカで最も目を見張るサクセスストーリーの1つである。本書では、あなたが目標を達成して成功するうえですぐに役立つ技術とツールが満載されている。
世界で活躍するアスリートやコーチや実業界での成功者や世界中の並外れた勝者たちの戦略を使って、あなたの輝く可能性を狭めているあなた自身の考え方を今すぐ変えよう! 勝者の考え方を身に付けて、あなたがやりたいと思ったどんなことでも成功させよう! 本書はミネルヴィニのひらめきから知識や実生活での経験まですべてが詰まっており、あなたの秘められた力を最大限に引き出すためのバイブルになっている!
本書の内容と学べることは次のとおり。
●成功するために考えを修正する方法
●優勝者の自己イメージを作り上げる方法
●自分は勝つに値すると感じ、勝つと思えるようになる方法
●「完璧な練習」を身に付けて、どんな課題や障害にも克服できるようにする方法
●重要な日に向けて適切な準備をする方法
●どんなプレッシャーの下でも最高のパフォーマンスを発揮できるようにする方法
●やることすべてで、自分の力を最大限に発揮する方法
ベストセラーの著者であるマーク・ミネルヴィニはアメリカで大成功を収めた株式トレーダーである。USインベスティング・チャンピオンシップで優勝した経験があり、世界で高評価を受けた『ミネルヴィニの成長株投資法』『株式トレード――基本と原則』(いずれもパンローリング)の著者である。彼の無一文から大金持ちになるまでの道のりはだれの想像をも絶するもので、トレードや人生でうまくいかなくなった人を奮い立たせる箴言と方法論に満ちている。彼の成功や著書やパフォーマンスコーチの実績は世界中に響き渡っている。
マーク・ミネルヴィニ(Mark Minervini)
世界でも指折りの株式トレーダーであり、国際的なパフォーマンスコーチでもある。USインベスティング・チャンピオンシップで優勝し、ベストセラー『ミネルヴィニの成長株投資法』『株式トレード――基本と原則』『成長株投資の神』(いずれもパンローリング)の著者であり、シュワッガーの『マーケットの魔術師 株式編』にも登場する。彼は数千ドルを元手にトレードを始め、取引口座の資金を数百万ドルまで増やした。そして、5年連続で220%の年平均リターンを達成し、四半期ごとの損益がマイナスになったのは1回で、3万3500%という総リターンをたたき出した。また、ミネルヴィニ・プライベート・アクセスというサービスを通してSEPAトレード法をトレーダーに教えている。ミネルヴィニのホームページ(https://www.minervini.com/)、ツイッター(https://twitter.com/markminervini)。
はじめに――勝利を念頭に置いて
第1部 考え方を身に付ける
第1章 信じる脳
第2章 勝者の気高い7つの真実
第3章 勝者のセルフイメージを作り上げる
第4章 できると思うこと――粘り強く本気で取り組むためのカギ
第5章 決心をするとき
第6章 情熱と目標達成に優先順位を付ける
第2部 完璧な練習法を身に付ける
第7章 練習の組み立て方
第8章 ビジュアライゼーションとリハーサル
第9章 本番に向けた準備
第10章 さあ、本番だ
ボーナスチャプター
第11章 意図を持って生きる
謝辞
献辞
著者について
一方、それらの前著に対して本書は、トレードの技術的な側面ではなく、より俯瞰的な立場から私たちが真に望む生き方を実現する方法に関して考察し、その認識と行動について述べている。その主張は、同じくマーケットの魔術師の1人であるラリー・ハイトが著した『ルール――トレードや人生や恋愛を成功に導くカギは「トレンドフォロー」』(パンローリング)を彷彿させる。
彼らのように名を成したトレーダーが何かを書く、それもトレードについてではなく、成功を導くための心理に特化した本を書くのは、けっして経済的な理由や功名心からではない。それはトレードに限らず、この世界で困難に能動的に立ち向かい、人生を切り開いていくためにはそれが不可欠であり、すべての人々がそれを知るべきだと彼らが心から信じているからである。ミネルヴィニやハイトの私たちに対する視線は、思いやりにあふれたとても温かいものだ。
トレードをやろうとやるまいと、人は生きているかぎり遅かれ早かれ幾多の困難に遭遇することになる。そのなかには耐え難く苦しいものもあるだろう。そうした死の陰の谷を歩むとき、すべての人のかたわらに等しく神がいてくれるわけではない。もしそこにいるのが自分独りきりであるならば、自らの心を燃やして道を照らすよりほかに、どこにも光などない。ミネルヴィニが書いたのは、たとえ置かれた環境・状況を直接変えることができなくとも、自分の生き方に責任を持ち、自身の認識や行動を変えることで、ついにはその未来をも変えることができるという救済と希望なのである。多くの人が本書を読んで実行し、それぞれの目的が成就されることを願う。
なお、本書に関係した参考書籍として、上記のハイトの著書のほかに、アメリカ心理学会の会長であるマーティン・セリグマンの著書『【新装版】オプティミストはなぜ成功するか――ポジティブ心理学の父が教える楽観主義の身につけ方』『ポジティブ心理学が教えてくれる「ほんものの幸せ」の見つけ方――とっておきの強みを生かす』(いずれもパンローリング)を強く推奨しておく。
翻訳にあたっては以下の方々に感謝の意を表したい。まず山口雅裕氏には正確で読みやすい翻訳を、そして阿部達郎氏は丁寧な編集・校正を行っていただいた。また本書が発行される機会を得たのはパンローリング社社長の後藤康徳氏のおかげである。
2022年6月
長岡半太郎
マーク・ミネルヴィニ
私は成功するために、人生で発見してきたことを毎日応用している。それは経済面に限らない。自分を奮い立たせることで、最も情熱を注いでいることを追求して、運命を切り開くことができている。本書では、私のパフォーマンスだけでなく生活の質も向上させた、具体的な考え方の「秘密」を明かしている。私の目標は、長年にわたって学んできた重要なポイントや精神面のテクニック―私が勝つために使ってきたテクニック―を伝えて、それらの教訓を読者の方にも使ってもらうことだ。
これから私自身が経験した重要な変化や、最高の成果を上げた人と平均的な人を分かつ重要な心理的特徴について検討する。さらに興味深いことだと思うが、これらの原則をどう使えば成功の基礎となるかを学ぶ。勝つことだけが重要なのではない。情熱の力で得られる充実感を伴った成功が重要なのだ。
これは通常の自己啓発書ではない。私は心理学者ではないし、人間行動に関する博士号も持っていない。しかし、勝利と成功に関しては専門家だ。私の知識は学術理論に基づくものでも、単なる観察から得たものでもない。これは私が日常生活で実践していることだ。要するに、これは実際に役に立っているものだ。私はこれを利用して、一般的な基準で大成功を収めたし、現在も役に立ち続けている。
私は30年以上にわたって、自己啓発や人間の優秀さを研究してきた。これから伝えることは、経歴に関係なくすべての勝者に共通することだ。私はこれを「自己実現の原則(Empowerment Principles)」と呼んでいる。私はこれを仕事や趣味だけでなく、人生のあらゆる側面に当てはめてきた。
勝利について真っ先に知っておくべきことは単純だ。考え方が正しくなければ、いくら知識を高めてスキルを磨き、訓練を重ねても、それらが現実世界で最も必要なときに役に立つことはない。大切なことは、勝者の考え方を身に付けることだ。あなたの知的能力は身体能力と同様に頑強でなければならない。どんな状況にも対応できる、頼りになる考え方を身に付けて、勝者として優位に立てるようになる必要がある。
以降では、ビジネスでもスポーツでも人生でも、効果を高めて成功するのに役立つ、強力なアイデアと戦略を説明する。これらのテクニックの使い方や訓練法が理解できれば、目標達成までの行程表としっかりした羅針盤が得られる。そうすれば、パフォーマンスが向上して、想像以上に早く夢を実現できる。
都合の良いことに、成功に必要なものはすべて、すでに自分のなかにある。実は、それは最初からあるもので、あなたにぴったり合うのを待っているだけなのだ。これは単なる自己改革ではなく、自己発見だ。あなたにはすでに潜在能力があるからだ。これはどうやって自分の持つ力を引き出して発揮するかという問題なのだ。
成功とは、対戦相手に勝ったり、観客の前で腕前を披露したりすることだけでなく、自分に勝つことでもある。それは、自分が夢見ていた人生を送るときに得られる達成感や、明確な目的があるという感情だ。人生の前半で、私は経済的な意味で勝者になることを目指した。しかし、やがて、お金持ちになれば確かに気分は良いが、それだけではけっして幸せにはなれないということを学んだ。私は自分が単なる経済的な成功を望んでいるのではないことに気づいた。私は幸せになり、充実感を味わいたかった。成功とは自分の目標を達成することだ。目標がオリンピックで金メダルを取ることでも、だれかの手本になることでも、地元のソフトボール大会に出ることでもかまわない。成功とは個人的なものだからだ。自分の成果を活用して他人を助け、精神的に成長できなければ、私はほとんど何も達成していないと気づいた。以前の目標を達成することで、私はもっと大きくて意味のある目標を持つようになった。
若いころ、初めて巨額投資の世界に足を踏み入れたとき、母は私に成功を願うカードを送ってくれた。それ以来、私はそれを額に入れて机の上に置いている。それには母の願いや愛、それに次の言葉が書かれている。
初めて友人の家に行ったときのことを私はよく覚えている。彼は中流階級の家に住んでいて、そこにはきれいな地下室や25インチのカラーテレビや暖炉があった。私は、「すごい、彼はお金持ちなんだ」と思った。すてきな家具があり、父親用の豪華な仕事部屋があり、光沢のある桜材の机の後ろには緑色の大きな革張りの椅子があった。裏庭をのぞくと、なんとプールまであった! 私はそんな「豪邸」に住める人がいることに驚いた。
その年の後半に、父は私を連れて弁護士のところに行った。事務所に入ると、弁護士は緑色の大きな革張りの椅子に座った。それは友人の父親の仕事部屋にあったものに似ていて、真鍮製の飾りボタンが付いていた。それは威厳のある玉座のように、お金持ちが座るものに違いないと思った。私にとってその椅子は成功の象徴だった。20年後に成功を収め始めたとき、私はまず高級家具店に行き、4200ドルで同じような椅子を買った。あなたは「椅子に4000ドルも?」と言うかもしれない。そのとおり。その高すぎる椅子のためにお金を払うと勝者の気分を味わえたので、私は喜んでお金を支払った。
「勝つことがすべてではない」とよく言われる。自分を偽ってはいけない。負けるのは最悪だ。「負けっぷりのよい」人とは、負け癖が付いている人にすぎない。勝ち負けは、適切なスキルを持っていて何をすべきかを知っているという技術的な能力だけでは決まらない。トップの成績を残す人とそうでない人の違いは心理戦にある。
今私に会えば、かつては自信がなく、はっきりと主張できない人間だったと思う人はいない。だが、現実はそんなものだ。恵まれない環境で育つと、富や成功は特別な集団に属する人だけに与えられる神秘的なものだと思い込みやすい。私は、そんなことは一度も信じなかった。人生には現実とは異なることがたくさんある、と常に思っていたからだ。この本は世界で自分の居場所を見つけて勝者になるために私が何をしてきたかを語ったものだ。
あなたが若くて何かを始めたばかりならば、出身や始め方に関係なく、夢を実現できる。人生で自分を変えたいと夢見ている段階か、夢をあきらめた場合でも、水準を高めるのに遅すぎることは断じてない。この本を一度読んでも、人生が奇跡的に変わることはないかもしれない。しかし、これから紹介する原則によって私は間違いなく変わった。起業家で自己啓発の講演家であるジム・ローンは、「成功はいくつかの単純な規律を毎日課しさえすれば、得られるものだ」と述べている。
この本では、勝者が勝って、夢を追う人が夢を実現するための規律が見つけられる。
●世の中にはストレスがあるのではなく、ストレスを生み出すような考えがあるだけだ。恐怖があるのではなく、恐ろしさを生み出す考えがあるだけだ。こうした感情を作り出しているのはあなた自身である。個人的な体験が自分にとってどういう意味を持つかは、自分が決めている。
●自分の最も良い部分を見つけて、その部分こそが自分とみなそう。自分の最高の資質を伸ばそうと努力すれば、それらは成長する。最も良いと思った自分がいれば、劣った自分は消滅する。
●あなたは自分ができると思っていることよりもはるかに多くのことを達成できる。それは私が保証する。しかし、勝利は意識的に選択してつかみ取るものだということを受け入れないかぎり、潜在能力を十分に発揮することはできない。あなたは勝てるのに不調な状態なのだ。
●どれほど才能や生まれ持った能力があっても、たとえ毎日何時間も練習をしても、能力を十分に発揮できない。セルフイメージが不健全だと、そのイメージに見合う力しか出せないからだ。
●彼らは自分が勝つだろうと思うだけではない。勝つために必要なことをやり抜いたので、心底から勝利を確信している。
●最高の能力を発揮できる人々は、自分は成功するという確信が特に強いという点で、単にうまいという人とは異なる。同時に、彼らはプロセスに集中することによって、プレッシャーを感じずに力を発揮できる。