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FAIクラブの投資法について

(バックナンバー)


   第2章 30項目のルール その1

[1]低位株投資の有利さ

 FAI投資法は低位株から大きく上伸する銘柄を発掘し、じっくりと投資していく売買法である。低位株とは、価格帯でいうと400円より下のものであり、上昇すると非常に率がよいのである。ところが、それなりに理由(悪材料、不人気材料)があって低位に甘んじているわけで、長期にわたる安値低迷の不安、最悪は倒産の恐怖もある。選ばれる銘柄は必ず世間の注目の対象外であり(だから低位にいる)、証券会社に注文を出せば「そんなボロ株を買うんですか?おやめなさい!」と言われてしまう。また、多くの銘柄の資料を用意することはかなりの労力で、地味な低位株投資を根気よく続けるのは易しいことではない。
 しかし、数々の欠点を上回る魅力が低位株投資にはある。前述の「投資効率の良さ」と「下値不安が少ない」ことである。低位株は下げきった銘柄であり、株価は会社の実質的価値(解散価値)に近い。ソニーやトヨタなど日本を代表する優良銘柄と違って大衆の人気がついていないのである。つまり一度上昇に向かうと、大きく上がる可能性が高いということである。
 実際FAI発足以来、選んだ銘柄は選定時より2倍という目標を100%達成している。倒産銘柄を選定することもなかった。発足以降がバブルの時期で好環境があったのだが、88年以降銘柄を選定していないことで見事に90年からの下げを予見し、銘柄選定ノウハウの確かさを証明している。

 このFAI投資法のバイブルが、本章で解説する30項目のルールである。ルールといっても完全に数式化されたものではなく、実際のルールの運用に依存する部分が大きい。つまり、利用者の客観がすべてを決めてしまうのである。
 低位に放置された銘柄が大きく上昇する。その上がる寸前、あるいは上がり端を的確につかむためのルールと解釈について解説していきたい。

[2]月足グラフの重要性

 30項目のルールは、完全に数式化されたものではない。したがって、ルールを理解し、かつ慣れた複数の投資家が議論することが独善的でない銘柄選びのために欠かせないものとなる。銘柄選びのミーティング(銘柄選定委員会)は毎月1回行われているが、過去選んだ銘柄が独善性を排除した客観的なものであることを証明している。
 「下げきっていて、大きく上昇しそうな銘柄」を探して選ぶ。このためには、長期の月足の型(姿)を重要視する。そして、月足の姿を見るには慣れが必要である。FAIクラブでは、東証1部上場銘柄から銀行・ガス・電力を除いた全銘柄を対象とするが、実際に低位にあるものは、おおよそ3分の1となる。それだけでも300銘柄を超えることになり、グラフの整備と毎月の描き足しの労力はバカにならない。ミーティングへの参加をしない人にも、最低限、注意銘柄(FAIの候補銘柄)のコピーをグラフ用紙に貼りつけて描き足していくことを義務づけている。
 こういう地味な作業の積み重ねがグラフへの慣れにつながり、変動感覚を養うことになる。いわゆる下げきったとか下げ止まった感じを体で覚えていくわけである。

注1
FAIクラブは仕手集団ではない。したがって選んだ銘柄の具体的な売買まで指示することは一切しない。すべては、個人個人の努力と技術と好みになる。クラブとして集まる意義は、仕手集団のように資金の集結と玉締めによる価格の上昇ではなく、相場における個人の努力と技術を増幅させることにある。大きな資金で相場を動かすことも醍醐味なのかもしれないが、FAIの目指すのは市場における対立ではない。株価の大きな流れに乗った初心者でも実行可能な売買技法に他ならない。

注2
バブルの天井近くでは、「1,000円未満の銘柄が消える」と言われていた。ほんとうにそうなりそうな勢いが感じられるほどの大相場であった。このような数十年に1度の上昇相場は例外であり、通常は下落していく銘柄と上昇していく銘柄がほぼ同じ数で、FAIの対象とする低位株(400円以下の銘柄)は市場の3分の1と考えられる。

[3]3段下げ

 ルール1「4〜5年下げ、3段下げ完了の銘柄を買う」

 株は5年から10年の長期の上げ下げを見せる。安値に来て、なおかつ、上昇の直前あるいは上昇が始まりそうな銘柄がFAIの対象である。だから、まず第1に下げきったことが条件となる。
 株は、天井から1段目の下げ→保合→2段目の下げ→保合→3段目の下げ→底練り(安値での保合)となる。では、何をもって1段とするのか。過去の動きを見て「これが1段、これで2段、ここで3段下げ・・・・・・・・ほら底練りを見せて上昇する」なんて解説は誰にでもできる。途中で「いま、どこにいるのか」を判断するために、酒田新値(日足による数え方)を月足に適用することにする。

 
陰線で下げてきて、新安値をつけて戻り、陽線で新高値を2回つけた(これを逆行新値2本、新高値2本、あるいは新値2本という)ときに、そこまでを1段と見なす。

 こう定義すれば、すっきりとする。しかし、決まり通りに動いてくれるとは限らない。例外も応用が必要な場合も多くある。いや、むしろ典型=例外と言い切った方が自然なのかもしれない。
 とにかく、十分な日柄(年数)をかけて大きく下げ、下げきった(と確信が持てる)銘柄を選ぶのである。

[4]底

 ルール2「2番底形成を待つ」
 ルール3「下に来ての6連続陰線に注意 W型の底、または小さくとも毛抜きの出るのを待つ」


 3段下げで「下げきったと思われる」銘柄の底を確認するために底の型を見る必要がある。相場の格言に「天井も底も2回ずつ」というのがある。「2番天井」「2番底」を見て、相場のトレンドが行き詰まったことを確認するわけである。
 安値をつけた後、いったん戻し、再度下げて1番目の安値近辺で止まったところが2番底である。1番底に向かう下げトレンド、戻り、下げ、2番底後の上昇、の4つの上げ下げがアルファベットの[W]の形になるわけだ。このW型を形成する期間は、まちまちである。1年以内のときもあれば、4〜5年かかるものまである。

 しかし、ごく短期間に2番底を形成することもある。1番底の翌々月に2番底というような場合である。このときは、短期間なので1番底と2番底がほぼ同値(せいぜい1円違い)でなくてはならない。(月足の実体ではなく、ヒゲの安値で見る)
 2番底の方が上値にあれば、それはまだ「1番底の後の戻り」の状態だし、2番底の方が下値にあれば「あらたな下げトレンド」あるいは「下げトレンドが続いている」ことになり、2番底とはいえないからである。
 このような短期間で2番底を形成する形を毛抜きという。

(ルール3の「下に来ての6連続陰線」については、[人気の反動]の項で述べる)

[5]切り返し

 ルール4に「切り返し」という言葉がある。これは罫線用語である。
 あとで出てくる「両抜き」という用語とともに解説する。
 
 酒田罫線法で線組みという部門がある。この線組みからFAIに必要なことを解説することにする。
 
 まず、陰線の次に同じ長さの陽線が来た場合、これを拍子木と呼ぶ。(左図A)陽線が下にずれると差し違え。(左図B)
 Bと同じに陽線が陰線の下部(終値)より安く始まって、上に抜けた場合は図Dのようになる。これを両抜きという。
 そして、陰線の終値より高く始まって上に抜けると図Cの形となり、これを切り返しという。
 (最近はBもCも厳密に区別せず「切り返し」と呼んでいる。FAIでも厳密な区別はしない。)

 それから、両抜きの正反対を孕み(はらみ)と呼ぶ。(左図E)

 これら5つは線組みでは底型といわれる。5つのうち底型として一番強いのはCとEである。次がD、最後にA,Bという順番となる。しかし、前後の動きによって違ってくるし、FAIでは細かい線組みを重要視する場面はない。
 また、切り返しという言葉も、酒田罫線法の線組みではなく、一般的な用語として使う。つまり値動きの反動として理解していればよい。

[6]三角形

 線組みというのはチャート分析の分野で非情に特殊なものである。2次元(縦軸が値段、横軸が時間の経過)のチャートにおける分析手法は、線の集合形を主として、それにトレンド・ラインを加えたものが一般的だ。
 三角形というのは、値動きが次第に収斂(しゅうれん=値動きの振幅が徐々に小さく収束していくこと)されて、一定期間の変動範囲が、右側にとがった三角形に見える形をいう。
 値動きの範囲を示す三角形の上下の線を確認ラインという。確認ラインはトレンド・ラインの一種であり、FAIで使用する確認ラインは、
     1.三角形では上辺と下辺
     2.保合では上辺と下辺
     3.ボーダー・ラインおよびプラットフォームでは原則として上辺のみ
     4.底練りの中の上げ下げでは上辺のみ
 である。(確認ラインについては後に詳しく解説する。なお、ボーダー・ライン、プラットフォームは、確認ラインのうち特殊なものである。)


 さて、この三角形にも種類がある。先端(チャートの右側)が上を向いている切り上がり三角形、下向きの切り下がり三角形、上下の確認ラインの角度がほぼ等しい二等辺三角形の3種類である。容易に想像できることだが、この中では切り上がり三角形がもっとも強い形である。
 (三角形を形成する期間が長いほど、その後の動きは大きい、と見ることができる。)

 では本題の、三角形がどのような分析につながるのか。
 三角形を形成するためには、一定の時間をかけて値動きの振幅が段々と小さくなるわけだから、その後(三角形の先端を過ぎると)大きく動くことを暗示している。ここで問題なのは、いったい上に行くのか下に向かうのか、ということである。もちろん、底では「これから上伸」であり、天井では「これから下げに向かう」ことになるし、中段では「さらなる上昇」あるいは「再び下落」となる。しかし、底に出現した三角形以外は、きれいな形ができにくい上に、長期トレンドの変化という要素があるので、予測を誤るケースが多い。それに対して底における三角形(ルール1,2,3に適合する銘柄)は、典型的な形で現れ、それこそ100%に近い確率であたるものなのである。
 最後に大切な注意点をひとつ。三角形の線(確認ライン)は、必ず3カ所以上を結ぶ線でなければならない。もし、2点間でなら、チャートのどこでも好きなところに引くことができるからである。たまに線がやたらと引いてあるチャートがあるが、よく見ると2点間で引いた線ばかりである。意味不明なのである。つまり、確認ラインは安易に引くものではない、ということ。そのかわり、線が引けたときは強い意味を持つことになる。

 実例チャート → ここをクリックしてください(新しいウィンドウが開きます)


[7]人気の反動

 ルール3 下に来ての6連続陰線に注意
          W型の底、または小さくとも毛抜きの出るのを待つ


 6ヶ月連続の陰線で下げが続くということは、急速に人気が冷えたことを意味する。
 しかし、一時的な人気の冷えや、ファンダメンタルの要素がよければ(純資産の増加、人員整理、経常利益の大幅増加)、下げた反動で大きく上がることになるわけである。
 もちろん、それ以前からの長期の流れ、つまり大局的な値動きがどうなっているのかが問題であるが、3段下げをして、W型の底を形成しているときなどに6連続陰線となれば、絶好の買いチャンスとなる。

 ルール4 20本下げは20本上がる
          だらだらと30本下げたものを10本で切り返すと大きく3段上げを見せる

 
 20ヶ月あるいは30ヶ月下がるというのは、ゆっくりと人気が冷えてきたことである。値動きの基本的な習性として反動が予想できるわけだ。
 30本下げたものを10本で切り返すというは、ダラダラ下げの1/3の期間で同じ値幅を戻したわけで、戻しの勢いが強いから大きな上げ相場が期待できることになる。

 (注) この場合の「切り返し」は、[5]で解説した線組みの用語ではなく、一般的な表現である。
     ただ単に「下げたものが戻る」という意味である。

[8]裸値

 ルール6 1株当たり純資産に食い込んだら注意

 さて、月足によるテクニカル分析が続いたが、このルールは財務指標によるものである。
 純資産という言葉は、最近、株主資本と言われている。どちらも同じ意味である。FAIルールの文言は「純資産」となっているので、この連載では純資産で統一することにする。

 純資産とは、借入金や社債の他人資本に対して、資本金、法定準備金、剰余金を合計した自己資本のことである。これは、その会社が今解散したらいくらの価値があるのかを表しており、「1株当たり純資産」(PBR)は、発行済総株式数で割り算をして1株についていくら分配されるのかという解散価値を表している。
 会社というのは継続的に事業を行っていくわけだから、解散することを前提に価値を計算するというのは疑問であるが、株価の人気料を計るために便利な指標である。
 通常、株価というものは必ず人気を含んでいる。計算上の価値に知名度などの人気が上乗せされているのである。企業の成長の期待や実体に関係なく人気がさらに上昇するという期待も人気である。(もちろん、株式市場そのものにも人気が含まれている。)株価変動の大きな要因が人気であることは、会社の内容に変化がないのに一日で20%も上げ下げしてしまうことで証明されるわけで、議論の余地はない。実質的価値がゼロであるオプションが一定の価格で取引されるのと同じこと。
 つまり、
      株価=解散価値+人気
 であり、
      1株純資産に食い込む=人気がゼロになった=裸値(はだかね)になった
 ということである。
 市場の価格に人気という要素がある以上、割高・割安を正しく計算する方法が存在するわけはなく、1株純資産も一面的な尺度であることは言うまでもない。しかし、4〜5年下げ、3段下げ完了の低位株とは、まさに裸値、あるいはそれに近い銘柄であり、チャート分析を主体に他の要素と併用することで、非常に有効である。

 (注)
 現在、東証1部上場の約半数が1株純資産を割れている状態である。これは、FAIで「上がる銘柄を選別する」ために注目する一時的な食い込みではなく、慢性的な食い込みが異常に広がっているわけである。FAIクラブで銘柄を選定せずに静かにしていた10年間の下げ相場が末期に近づき、経済の構造そのものに対する不安(売り人気)が大きいことを物語っている。また、簿外の資産や連結の対象にならない子会社など、実体を表さない会計基準が、長期右肩上がりの成長と楽観の終了で問題となっているのである。
 ついでに言うなら、FAIのルール6も、運用の仕方について議論が必要になるかもしれない。

[9]十字

 ルール7 2番底の陰線下部の十字は直ちに買い
 ルール8 角形の先端陰線下部の十字は直ちに買い


 直ちに買い。ルールの中で、ここまで強調した買い指示は、この2つだけである。
 しかし、あわてて証券会社に電話して、市場の売り物を資金いっぱいに買う、というわけではない。それは、映画の見すぎである。
 [ルール15]に素直に従い、ゆっくり慌てずに買えばよろしい。ここで言う「直ちに買い」とは、この形が出たら、「その後の下値があまりなく、翌月から上昇する確率が高い」という統計である。日足では、この十字が多く出現するが、1ヶ月(立会20日間)の陰陽足で出現する確率そのものが少ない。だから、ルールとしては要注意なのである。
 初期の頃、月足を引いていて十字が出たとたん勢いよくイスから立ち上がって、怪我をした人がいたくらいである。

 さて、十字についての詳しい説明をしよう。
 陰陽足(ローソク足)は、寄付から引けにかけて長方形を描く(実体という)。寄付と引けが同値(寄り引け同事)の場合、実体の長方形がなく、文字通りの十字足となる。もちろん、絶対に同値、というわけではない。ただし、短い実体、というのでは曖昧だから、「1円違い」までを十字と呼ぶ。
月足において十字は、とても重要である。しかし、酒田罫線法の十字とは違い、上値における十字が天井となる例はほとんどない。逆に、下値における十字が底となるケースが非常に多いのである。

わかりにくいかもしれないが、三角形で示した極洋も、先端に十字が出ている。

 実例チャート → ここをクリックしてください
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[10]5連続陽線

 ルール9 安値に来ての5連続陽線は買いの準備
          次の2連続陰線を見てから買い


 ルール9からルール14までは、上げの兆候を示唆する兆し(きざし)陽線についてである。兆し陽線の見方は、
  1. 単独の線で見る
  2. 集合形で見る
 2通りに分かれる。
 さて、ルール9の5連続陽線について。
 これは、集合形で見る兆し陽線である。

 5本も陽線が連続してしまってから買うのか?と、まず考えてしまう。その通り。通常、月足で5本も陽線が続いたら、それでひと相場である。従って「上げの兆し」としての5連続陽線は、安値で小動きの時の全体で30円幅以下くらいのものを言うことになる。そして、1本目の陽線寄付(図の点線)を大引(陽線だから実体の上部)が下回らない連続陽線を言う。
 細かい規定を言うとややこしくなる。ほとんど並んだ小幅の、5本の陽線のかたまりと認識していればいいだろう。しかし、陽線だから多少の上昇を見せるものであるから、その後の2本の陰線を見て買い出動するわけである。
 ある程度の幅で上昇した場合は、その後しばらく(半年以上)整理の動きとなるのが普通である。
 

[11]単独の兆し陽線(1)

 ルール10 すべて小動きになったあとの兆し陽線に注意
           そのあとの陰線2本をみて買い



 ルール10は、兆し陽線の原則である。安値の小動き、つまり長期の大底の形から陽線が立ち上がれば、今までの動きと違う新しい動き(上げの)が始まったと見ることができる。これが兆し陽線である。

 ルール11 保合、または安値からの長大陽線は、そのあとの2/3押しで買い

 兆し陽線が出た後は、押し目を見せるのが普通である。通常、陰線2本である。そして、長大陽線が出ると、上げ幅の2/3程度押すことが多い。


[12]単独の兆し陽線(2)

 ルール12 W型、M型後の切り返し(両抜きも)は上げのはじめ
 ルール14 過去4〜5本を一気に上抜く陽線は上げの兆し


 W型は[4]底で解説した底練りの形である。底値の往来がアルファベットのW型になるわけだ。同じようにMの形に見える底練りもある。いずれにしても、MだとかWだとかを考えながらにらめっこする必要はない。説明に都合の良い値動きが、そうそうあるわけではない。やはり、典型=例外という認識が必要だ。杓子定規に典型を探そうとすれば、細かい部分にだけ目がいってしまい、肝心なものを見落としてしまう。W型、M型という言葉を頼りに多くのチャートを見て感覚的にとらえるのが大切である。
 兆し陽線についても同じことが言える。ただ単に「安値での長い陽線」が兆しになるわけではない。
 という具合に、総合的にみて判断するのである。やはり慣れが必要であり、慣れるために同じ規格で描かれたチャートが重要になる。

          ※ルール13については、この先解説する予定。


[13]確認ライン(1)

 ルールにある三角形やボーダーラインを見るために、チャートに線を引く。その引き方を、あらためて説明したい。
 [6]三角形でも説明したが、安易に線を引いてはいけない。「相場の先行きを当てたい」という気持ちから、ついつい答えを求めて線を引いてしまうのだが、簡単に引ける線は意味を持たない。わざわざ線など引かなくても明確な場合にはじめて、ラインがあると認識できるのである。

<線は最低3点が必要>
 あたりまえだが、2点間で線を引くならどこにでも引けてしまう。

<鉛筆で薄く描く>
 チャートでは、余分な情報を出来る限り排除し、慣れと感覚で見るのが重要である。線はできる限り描かずにおきたい。とりあえず練習で描いてみないとわからないが、いつでも消せるように、また線が視覚的に強くならないように薄く鉛筆で描くことをおすすめする。そして、自分の引いた線を疑いながら何度も見直すことである。引いてはいけない線がたくさん見えてくるはずである。

<ヒゲを無視しない>
 前述したように、どうしても線を引きたくなるのが自然な心理である。でも、ヒゲを無視して引いてはいけない。やはり、勝手な線ができてしまうからである。

ルール16 ボーダーライン(切り上がり三角形の上辺)を超えたら5円上抜きをみて買い

 三角形の上辺で、非常に強力なものをボーダーラインと呼ぶ。強力とは何か?まず、期間が長いこと。そして、何度も接点があることだ。
 強力だから、非常に強い意味を持ち線であり、例外的に順張りで買って良し、ということである。

 期間が長く接点が多ければ、多少の凸凹は当然である。少しくらいヒゲを無視して線を引いてもOKである。


[14]確認ライン(2)

 ルール13 6〜12ヶ月(またはそれ以上でも)の上げ下げが90゜(前後)のとき、その下げトレンドを上抜く陽線は上げの第一歩

 言葉だけ読むと、よくわからない。これも、図解で説明していくことにする。
 今までに、W型、M型、三角形といった底の型を紹介してきた。しかし、これら説明に都合のいい型になるとは限らない。長期間、はっきりしない動きを続ける底もある。そして、このはっきりしない底からの兆し陽線を、ひとつの型として見いだそうというわけである。
 図の値動きで、最後の方に約90度の角度の上げ下げトレンドが見える。このラインの下げの部分を上抜く陽線は兆し陽線となるわけである。

 [12]単独の兆し陽線(2)で説明したように、明らかに傾向の変化と見られる陽線、というわけだ。



 これで第2章を終わります。
 この章を「30項目のルール その1」とし、第3章「30項目のルール その2」を連載していきます。



この連載は「FAI株式投資法」(相場ライブラリーNo.018)より要点をまとめて補足説明を加えたものです
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