著 者 アルトン・ハーディン
訳 者 松山宗彦
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本書は、ポーカーをプレイする上での基本数学を上手く使いこなせていない、または勉強したいというプレイヤーならば誰もが対象である。紹介する概念は、ポーカーテーブルに座っていれば毎回必要となる数学だ。
ポーカーのゲームとしての進化は著しい。相手のテルや読みに基づいて決断を下していた時代から、ゲーム理論や高度な数学を用いて勝率を上げることができるようになった。ただし、ポーカーにとって本質的かつ必須の数学を使いこなすのに、大学院レベルの数学も統計学もいらない。必要なのは基本的な算数と代数学の理解だけで、あなたのプレイを劇的に向上させ、期待値の高い決断を下せるようになる。
にもかかわらずポーカー数学に苦手意識をもち、その結果、数学的に正しくないアクションを行っているプレイヤーが多い。間違ったアクションはどんなプレイヤーにとっても、長期的には本来勝てる額よりもずっと勝ち額を小さくし、本来の負け以上の額を失うことにつながる。
本書はポーカー数学の土台をしっかり学ぶことに注力している。そのコンセプトは「KISSアプローチ」(シンプルに行こう)だ。読者がポーカー数学に初めて触れるものとして、段階的に学習できるよう構成されている。まず基本的な概要解説から始めて、基礎となる知識を築き上げ、さらにその上により複雑なコンセプトやトピックを積み上げていくといった具合だ。
本書は次の5つのセクションでできており、その中で細かく、確率やオッズ、ポットエクイティ、ポットオッズ、インプライドオッズ、期待値など、さまざまなことを紹介していく。
セクション1:入門トピック
セクション2:基本的ポーカー数学の概念
セクション3:プリフロップに関わる概念
セクション4:ポストフロップに関わる概念
セクション5:EV計算とコンビナトリックス(組み合わせ)
さらに、オールインの状況、セットマイニング、スティール、スリーベットブラフ、ベストハンドでのベット、セミブラフィングオールイン、ヒーローコールについても解説していく。そして、基本的な期待値の計算方法と、カードの組み合わせの利用方法とその要素は多岐にわたる。
あなたがまだポーカー数学に苦手意識があるなら、本書は最適な一冊になるはずだ。本書を読み終えるころには、あなたはポーカー数学についてはるかに理解を深めているだろう。そしてその結果にあるのは、はるかに優れたポーカープレイヤーとなっているあなたの姿だ。
第2章 基本となる概念
イントロダクション
テーブルポジションと頭字語
ヒーローとヴィラン
スーテッド対オフスートハンド
レンジベース思考とレンジ分析
ポットサイズ比で表したベットサイズ
ビッグブラインド比での思考
有効スタックサイズ
スタック対ポット比(SPR)
有効スタック&SPRの練習ハンド
結論
第3章 基本的プレイヤータイプ
汝の敵を知れ
完全なポーカープレイヤー
HUDは使わない
相手にラベルを貼る
プレイヤータイプ―イントロダクション
上手いプレイヤータイプ
下手なプレイヤータイプ
結論
第5章 エクイティを理解する
イントロダクション
エクイティを理解する―コインフリップの例
エクイティに関するただし書き―分散
サンプルサイズと分散
エクイティを理解する―ポーカーの例
エクイティを理解する重要性
ポーカープレイヤー必須のツール―Equilab
プリフロップでよくあるエクイティシナリオ
プリフロップ&ポストフロップエクイティ
エクイティ分析のための練習ハンド
結論
第6章 ポットオッズ
イントロダクション
ポットオッズ
ポットオッズを比率として計算する
ポットオッズをパーセンテージとして計算する方法
どちらの方法で行うべきか?
ポットオッズが意味するものは何か?
ポットオッズはなぜ重要なのか?
オッズ-パーセンテージ表
ポットオッズ練習問題
切り上げと切り捨て
結論
第7章 インプライドオッズ
イントロダクション
ポットオッズとインプライドオッズの比較対照
良いインプライドオッズ対悪いインプライドオッズ
インプライドオッズが上手く働く場合
インプライドオッズが良い状況の例
インプライドオッズが作用しない場合
悪いインプライドオッズ状況の例
インプライドオッズの定量化
結論
第8章 よくあるドローアウツ
イントロダクション
重要性
覚えておくべきアウツ数
アウツの割引
練習問題にトライしよう
結論
第9章 2と4のルール
イントロダクション
このルールの仕組み
2と4のルールを証明する
ガットショットストレートドローの例証
2と4のルールの精度
アウツ-エクイティ対照表
簡単な練習問題
より複雑な場合の練習問題
結論
第11章 ここはコールできるか?
イントロダクション
3つのシンプルなステップ
ポットオッズとエクイティを比較する
練習問題にトライしよう
興味深いインプライドオッズハンドを再検討してみる
結論
第13章 セットマイニング、スティール、スリーベットブラフの数学
イントロダクション
セットマイニングの基本
ブラインドスティールの数学
スリーベットブラフの数学
結論
第15章 セミブラフオールイン
イントロダクション
セミブラフの定義
オールインエクイティのおさらい
セミブラフでオールインすべき場面
セミブラフするときのゴール
練習ハンド
結論
第16章 ブラフとヒーローコール
イントロダクション
ヒーローコールとは何か?
毎回成功しなくてもいい
ブラフはどれぐらいの割合で成功させればいいのか?
ヒーローコールはどれぐらいの割合で成功させればいいのか?
結論
第17章 EV計算
イントロダクション
EVについておさらい
基本的EV計算
EV計算の3ステップ
基本的EV計算例
セミブラフのEV計算
セミブラフのEV計算例
結論
第18章 コンビナトリックス
イントロダクション
ハンドコンビナトリックスとは何か?
コンビナトリックスはどう用いるのか?
ポケットペアコンビネーション
ポケットペアコンビナトリックス練習ハンド
ペアになっていないハンドの組み合わせ
ペアになっていないコンビナトリックス練習ハンド
プリフロップでのコンビナトリックス
プリフロップコンビナトリックスハンド例
ポストフロップでのコンビナトリックス
コンビナトリックスでバランスの取れたレンジを作り上げる
結論
セクション6 結論と参照教材
第19章 結論、そして私から「おめでとう!」
ポーカー用語集
参照表
ポーカーの分析には2つの側面がある。1つは相手を読むこと。そしてもう1つは、読みやテルに基づいた決断が数学的に正しいかを確認することである。相手を読んで手に入る情報――読み、テル、傾向――は、相手のハンドがどんな「レンジ」でできていそうかを判断する助けとなる。読みというものは相手が持っていそうなのは完成ハンドなのかあるいはドローハンドか、そしてそれらがどれぐらい強いハンドなのかを教えてくれるのだ。
そこに基本的なポーカーの数学を持ち込んで、そうした読みやテルを補完するのである。その目的は自分のとるアクションが、利益の出る頻度を最大にし、損失につながる頻度を最小にできるかを確認することだ。ポーカーでは利益が出るようなアクションのことを「+EV(期待値プラス)プレイ」と呼び、損失が出るようなアクションを「-EV(期待値マイナス)プレイ」と呼ぶ。(中略)
世界最高にして最も利益を上げているプレイヤーは、相手への読みも素晴らしくポーカー数学にも精通している。図にも表れている通りポーカーにおいて数学は、相手を読む能力との上手いバランスで用いられたときに、長期的な成功を収める上で本質的かつ必須なものとなるのである。
確かにポーカーテーブル上で数学を使いこなさなくても、優れたプレイヤー、勝てるプレイヤーでいることは可能だが、そのようなプレイではベストハンドを持っているときの勝ちも少なくなるし、微妙な場面で利益の出ないコールをしての負けも増えるはずだ。
それに留まらず、ステークスを上げてよりタフで力のある相手と対するようになったときに、数学なしではプレイも勝ち取れる額も天井に突き当たることになるだろう。
忘れないでほしい。完全なポーカープレイヤーとは、相手から読みやテルをたやすく手に入れられる者であり、同時に、プレイ中に数学を使いこなして自分のアクションが数学的にできるだけ正しいことを確かめられる者なのである。