著 者 ダラ・オカニー/バリー・カーター
訳 者 松山宗彦
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2003年、WSOPメインイベントで優勝した当時27歳だったクリス・マネーメイカー。彼はなんと参加費86ドルのオンラインのサテライトトーナメントからメインイベントへの参加権を獲得し、最終的に250万ドルを得た世界的ポーカープレイヤーである。
サテライトとは、ビッグトーナメントへの出場権をかけたいわば予選的なトーナメントである。1/10程度のバイインでありながら勝ち残れば本戦に参加できるため、金銭的にもメンタル的にもハードルが低い。ただし同じポーカートーナメントとはいえ、通常のトーナメントプレイとは戦い方も考え方も異なることは見過ごされがちだ。
通常のトーナメントは1位と2位、3位、4位…と手にできるプライズが大きく変わってくる。しかし、スーパーサテライトでは本戦へのシート獲得が主なプライズとなるため、1位だろうが20位だろうがその価値は同等である。つまり輝かしいブレスレットと大金を見据えてファイナルテーブルに向けてスタックを無理に増やしていく必要も、分散が大きな場面でリスクを取る必要もない。逆にサテライトでは分散を小さくすることが大切となる。
例えばサテライトで犯す間違いの中でも特に罪が重いのは、広すぎるレンジで相手のオールインにコールするというミスである。分散を抑えるためのベストの方法は、オールインにコールするレンジを絞ることである。
本書はサテライトならではの戦い方を、序盤からバブルまでのステージごとに章を割けてハンドレンジやICM、COC(入賞可能性)計算、相手のスタイル、ポジション、バンクロールマネジメントなどをもとにアクションを分析していく。またゲーム中に発生しうるシナリオについて、アグレッサー側とディフェンス側双方の視点でハンドレンジを記した表も数多く掲載。ただし表のレンジを覚える必要はない。視点を変えることで変化に対応するスキルを手にすることが目的だからだ。
サテライトにおける基本的なGTO戦略と相手と状況に応じて修正する方法を本書で学んで、次のマネーメイカーになろう。
1. なぜサテライトをプレイするのか?
2. 30分で学ぶサテライト
バブルはオールオアナッシングの世界である
サテライトの哲学
タイトにプレイして分散は抑えよ
コールは避けよ
「失うものは何もある」相手を攻め立てよ
維持すべきスタック量の推定方法
守りに入るべき時はいつか
3. ゲーム終盤
4. ゲーム終盤:コール
ICM
コールレンジ
真正バブル
COCを用いてオッズ計算を行う
スモールスタックでスモールスタック相手にシャブを仕掛ける
5. ゲーム終盤――シャブ
10ビッグブラインド時のシャブレンジ
5ビッグブラインドでのシャブレンジ
20ビッグブラインドでのシャブレンジ
完璧ではないプレイに対する修正
ニットが1人いる時の修正
ニットが複数いる時の修正
ニットが複数いる時の修正(アンダーザガン)
あらゆるハンドでシャブする時の注意事項
マニアック相手の修正
マニアックが複数相手のときの修正
マニアック相手の修正――アンダーザガンの場合
ニットとマニアックが混在する時の修正
完璧ではない相手に対する修正:まとめ
異なるスタックサイズが混じりあっている時の修正
6.ゲーム終盤――リシャブ
リンプにかぶせてのシャブ
7. メガサテライト
ロビーから情報を得る
メガサテライトにおけるCOC(入賞可能性)の計算
牛歩戦術
マイクロスタック戦略
マイクロスタックを飛ばすためのリンプ
9. ポストフロップ
10. サテライトにおけるその他の考慮すべき要素00
ライブサテライト特有の要素
どんな内容がプライズパッケージを「美味しく」するのか?
純粋にT$のためにプレイする
バンクロールマネジメント
HUD統計の中で役立つもの
11. マイナーな形式のサテライト
勝者総取りサテライト
リバイ/リエントリーサテライト
可変リバイ額サテライト
フェイズサテライト
フリーロールサテライト
ダブル・オア・ナッシング(DoN)SNG
12. メンタルゲーム
バブルで飛んだ後の失望感
恐怖
退屈
自己顕示欲求
ショートスタックを上手く取り扱えない
通常のトーナメントに上手く適応できなくなる
13. よく起きるサテライトの場面
標準レンジに対するエクイティ
ランダムハンドに対する勝率
現実的なシャブレンジに対する勝率
タイトレンジに対する勝率
好位置にはつけているもののカバーされている:コールする場合
好位置にはつけているもののカバーされている:シャブする場合
自分はショート、残りは全員ビッグ:コールする場合
自分はショート、残りは全員ビッグ:シャブする場合
バブルで2人がすでにオールイン、自分はそのうち1人をカバー
バブルで2人がオールイン、どちらも自分をカバー
バブルで2人がオールイン、自分がどちらもカバー
シートは2つ、残りは3人、2人がショート
同じ状況でGTOではない場合
一番下の小さいプライズに関するICM
最後に
謝辞
バリー・カーター (Barry Carter)
イギリスのポーカー著述家で、ポーカー界では最高の凡庸なプレイヤーとして長く知られている。彼は世界最大のポーカーコミュニティである PokerStrategy.com のエディターで、『ザ メンタル ゲーム(1・2)』(パンローリング)の共著者でもある。
原題: Poker Satellite Strategy: How to qualify for the main events of high stakes live and online poker tournaments by Dara O'Kearney, Barry Carter
訳者 松山宗彦 (まつやま・むねひこ)ダラ・オカニー氏が出演しているYoutube(外部サイト))
ニューヨーク州立大学バッファロー校経営大学院卒。在米生活14年の間にアメリカの爆発的ポーカーブームと出合い、ポーカーにのめり込む。帰国後はポーカーに関する書籍翻訳を中心として、ポーカーニュースやソフトウェア、映像などの翻訳を通じて、日本でのポーカー普及活動に携わっている。
訳書は『ポーカーとゲーム理論』シリーズのほか『フィル・ゴードンのポーカー攻略法』シリーズ、『ポーカーエリートの「公然の秘密」頻度ベース戦略』、『エド・ミラーのハンドリーディング入門』、『エド・ミラーのエクスプロイトポーカー』、『エド・ミラーのポーカースクール ライブゲームで勝つ』(いずれもパンローリング)など多数。
2012年JPT日本オンラインポーカー選手権優勝。
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