2020年6月発売/四六判 304頁 ISBN978-4-7759-4231-4 C0098 定 価 本体1,600円+税
著 者 ライアン・ジェイコブズ 訳 者 清水由貴子
トリュフ生産者は、栽培方法の秘密をスパイに盗まれることを恐れ、毎夜ライフルを手に森を見回る。トリュフハンターは、ライバルのトリュフ犬を葬るために、毒入りのミートボールを森に置く。業界を征服した王は、トリュフがもたらす莫大な富に取り憑かれ、無知なシェフやセレブを欺く。得も言われぬ魅惑の芳香に心を奪われて、知識のある専門家までもが、その嘘や偽装に騙される。
それにしても、なぜ人々は、ここまでして泥に覆われた黒い塊に惹きつけられるのか。人生を捧げ、命を懸ける理由は一体どこにあるのか。そこには、単なる稀少性や独特の香りだけではない、何かがあるのではないか。
そんな疑問を胸に、ルポライターである筆者はフランス、そしてイタリアのトリュフ産地を訪れる。そこで彼は、トリュフの栽培から流通までに携わる様々な人を訪ね歩き、あるときはトリュフ犬とともに森に分け入り、またあるときは麻薬取引さながらのトリュフ売買の現場に足を運び、その闇世界を解き明かしていく。
果たして、あの高級レストランでパスタの上に仰々しく削られた黒いものは、本物の「黒いダイヤ」だったのか。近所のスーパーで売られている「トリュフオイル」の香りは、実は合成化学物質によるものではないのか。一体この世のどれだけの人間が、本物と偽物の違いを知っているのか……。
読み進めるごとに、いくつもの疑念が頭をもたげる。地球上で最も高価なキノコを取り巻く謎に満ちた世界に引き込まれずにはいられない、スリル満点のノンフィクション。
【原書】THE TRUFFLE UNDERGROUND A Tale of Mystery, Mayhem, and Manipulation in the Shadowy Market of the World’s Most Expensive Fungus
第I部 畑・泥棒 第1章 黒いダイヤの盗賊 第2章 林の中の死体
第II部 研究・秘密 第3章 黄金の秘密 第4章 科学の謎
第III部 森・妨害工作 第5章 消えた犬 第6章 毒
第IV部 市場・偽装 第7章 仲介業者 第8章 警察官と詐欺師 第9章 王国の隆盛 第10章 王の裏切り
第V部 料理・誘惑 第11章 注文、輸送、調理 第12章 スライス
謝辞 注
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