NASA、IBM、デュポン、NTT、シェル石油、マッキンゼー、任天堂など グローバル企業でも採用される水平思考。
左脳型のロジカルシンキングに対して、 右脳型の水平思考(ラテラルシンキング)は、 論争や対立よりも、建設的な意思決定を生む思考術だ。
wear a hat(帽子をかぶる)には、「肩書や役割を演じる」という意味もある。 本書で紹介される「6つの帽子」思考法は、次の6つの視点から考えることで 発想の転換や、複雑な難題も早く解決できる効果が期待できる。
つくば市教育局総合教育研究所(編)『「主体的・対話的で深い学び」につながる授業実践集――「6つの帽子」で面白いほど対話がすすむ』
何千年もの間、思考を重ねてきた人類の長い歴史において、この「6つの帽子」思考法の発明はもっとも重要な転機になると思われる。
本書が出版された1985年ごろに、そんなことを言おうものなら笑われたかもしれないが、今やこの予測が現実のものとなりつつある。
IBM研究所の研究者は、「6つの帽子メソッド」によって、会議の時間が4分の1に短縮されたと報告している。また、ある大企業では、それまで30日もかかっていた多国籍プロジェクト会議が、「6つの帽子メソッド」による並行思考を採用したことで、わずか2日で済むようになったという。
今日このメソッドは多くの人々に利用されている。おそらくシンプルだが手堅く、そして効果的なものだからだろう。
とかく私たちは、多くのことを一度に考えようとする。たとえば、「感情」「情報」「論理」「期待」「創造性」などで頭がいっぱいになってしまう。ところが、本書が言っていることは、実に簡単な概念である。ものを考えるときには、一度に1つのことだけを考えるようにするのである。そうすれば、「論理」と「感情」を分けて考えることもできるし、さまざまな「情報」と「創造性」とを区別して考えることもできる。これこそが「6つの帽子」の考え方である。「6つの帽子」をかぶることで、各帽子で考えるべきことが1つに決まる。
本書では、6つの考え方の特徴と、それがどう役に立つのかを紹介している。 「6つの帽子」は、まさにオーケストラの指揮者のように、考えるべき道筋をうまく導いてくれる。そして、各人の望んでいることをうまく引き出してくれるのである。どんな会議においても、身近な問題を異なる方法で考えさせるには、相互作用を用いて通常の路線から人を引き離すことが効果的なのだ。
著者である、デボノ博士は、オックスフォード、ロンドン、ケンブリッジ、ハーバードの各大学から教授資格を授けられている。彼は「水平思考」の概念を生み出し、それを発展させ、創造的思考法のテクニックを考案した。
このメソッドを用いることによって、これまで不毛だった議論の過程に、「建設的な考え方」や「創造的な考え方」を導くことができるようになったのである。
大人から子供まで、ゲーム感覚で簡単に使える「6つの帽子」が日本にも定着すれば、煩わしい会議がおもしろく創造的なものになるだろう。
また、天文学者ルボシュ・コホーテクが発見した小惑星(2541) Edebonoは、デボノ博士の名が付けられた。
原著『Six Thinking Hats』
■目次
第2章 六つの帽子の使い方 単独で使う 順番に使う グループと個人 グループ内の個人
第3章 「白い帽子」で考える 事実と数値 それはどんな種類の事実なのか? 日本スタイルの討論 事実、真実、そして哲学者たち 誰がその帽子をかぶるのか? 白い帽子のまとめ
第4章 「赤い帽子」で考える 情緒と感情 考える時の感情の役割 直観と予感 一瞬一瞬 感情を利用する 感情の言葉 赤い帽子のまとめ
第6章 「黄色い帽子」で考える 理論的な積極性 「積極性」の範囲 理由づけと論理的な根拠 建設的な考え方 将来の見込み 創造力との関係性 黄色い帽子のまとめ
第7章 「緑の帽子」で考える 創造的な考え方 水平思考 判断ではなく思考パターンの動き(ムーブメント) 刺激(挑発)の必要性 選択肢 個性とスキル アイディアには何が起こるのか? 緑の帽子のまとめ
第8章 「青い帽子」で考える 考え方をコントロールする 焦フォーカス点を絞る プログラムを作る 要約と結論 コントロールと監視(モニター) 青い帽子のまとめ
第9章 六つの帽子の利点 驚くことは何もない まとめ
付録「六つの帽子」」早見表
訳者あとがき
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