2018年12月発売/四六判 384頁 ISBN978-4-7759-4203-1 C0011 定 価 本体1,400円+税
著 者 デール・カーネギー 訳 者 関岡孝平
アメリカ合衆国第16代大統領、エイブラハム・リンカーンのことを知っているだろうか。奴隷制度を廃止し、南北戦争では国家分裂の危機を回避した偉大な大統領には、誰も知らない別の顔があった。彼に対する一般的な賛辞や称賛はたくさんあるが、もっとも興味深いのは人間としての彼自身だ。リンカーンの身の上話は、架空の物語よりも驚かされる事実ばかりである。自身がアメリカ中西部で育ったにもかかわらず、リンカーンについて知っているつもりでいたのに実は何も知らないことに気が付き驚いた著者は、リンカーンの育った土地を訪ね、そこに滞在して生活をする。彼についての理解を深めるために、古い書物や手紙、演説原稿、新聞記事、裁判記録などを漁るように読み、近しい人々から話を聴いた。そしてすっかり心を奪われ、伝記の執筆を決意するのである。
本書では、世の中に数多く出版されているリンカーンの伝記には書かれていないことが、語られている。リンカーンが生涯想い続けた人への愛、大統領とは思えない粗末な身なり、相性の合わない父のこと、継母のこと、息子を亡くし廃人のようになったこと、借金に追われる一生だったこと、何かに没頭したときの異様な振る舞い、ヒステリックな妻との苦しい結婚生活、癖の強い参謀たちに振り回され悪戦苦闘した政治生活など――生身のリンカーンのドラマチックなエピソードが満載である。
彼を有名にした奴隷制度の廃止に関しても、強く推進していたわけでなく、あくまで合衆国連邦をひとつにまとめる上での過程であったことがわかっている。アメリカが南北に分かれれば奴隷制度は続くだろう、しかし南北が合衆国連邦としてまとまれば奴隷制はいずれなくなると、政治的な判断を下したのである。
政治家として、また夫や父として、活き活きと語られる日々の生活や複雑な人間関係を、時代を追って読むことで、周りの人との関係が、彼の人生やアメリカの未来を大きく変えることになったことが理解できるだろう。 アメリカ人ジャーナリストのローウェル・トーマスは、この衝撃的で感動をくれる本について、以下のように言っている。「アメリカの歴史上もっともすばらしい。おそらく今まで書かれたことのないリンカーンの本だ。彼についてこれほど存分に表現し、忘れられない作品は他になかっただろう」と。
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