2014年6月発売/A5判 ハードカバー 398頁
ISBN978-4-7759-7187-1 C2033
定価 本体5,800円+税
著 者 アンドレアス・F・クレノー
監修者 長尾慎太郎
訳 者 山下恵美子
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過去30年以上にわたり、ブル相場でもベア相場でも伝統的な戦略を常にアウトパフォームし、高いパフォーマンスを上げてきたヘッジファンドとプロのアセットマネジャーグループがいる。彼らは2008年のベア相場のときでも素晴らしいリターンを上げた。彼らは自分たちのトレーディングアルゴリズムはけっして人に明かさず、トップレベルの博士号修得者を雇い入れて大きなリサーチチームを組む。しかし、彼らのリターンは、比較的単純なモデルを使って複製可能だ。彼らはトレンドフォロー戦略によるクロスアセット先物マネジャー、またの名をCTAという。彼らについて書かれた本は多いが、読者が彼らの成功をまねて、自らトレンドフォロートレードによるビジネスを立ち上げることができるほど彼らの戦略を詳細に説明している本はない。
本書は、買いと売りのルールのように間違ったことに重きを置けばなぜ失敗するのかを示すと同時に、トレンドフォローで最も重要なことは何なのかを教えてくれるものだ。ナスダックやTビルから通貨ペア、白金、畜産まで、ありとあらゆるものをトレードすることで、経済状況や株式市場の相場つきによらずに大金を儲けることができる。トレンドフォローの年ごとのパフォーマンスを分析し、パフォーマンスに寄与するものを見つけだすことで、先物を大規模にトレードするということはどういうことなのかや、本当の問題や機会がどこにあるのかを深く理解できるようになるはずだ。
経験豊富なヘッジファンドマネジャーによって書かれた本書は、市場参加者の視点から活況を呈するトレンドフォロー先物業界の背景にある戦略を読み解こうとするものだ。成功したヘッジファンドのパフォーマンスを複製するトレードルールや方法など、この業界の成功の裏にある戦略が細かく説明されている。
本書のウエブサイト(http://www.followingthetrend.com/)では、さまざまな情報、ツール、グローバルなトレンドフォローの最新情報などを提供している。ぜひとも活用してもらいたい。
「アンドレアス・クレノーの書いた本書はたぐいまれな書だ。普段はCTAのヘッジファ ンドマネジャーがどのようにトレードしているのかなど書かれることはあまりない が、本書はその実態を克明に描いている。自らの主張を徹底したリサーチで裏づけ、 トレンドフォローによる先物トレードの真の価値と大手ヘッジファンドを複製する方 法を伝授する本書は、核心を突いた見事な書と言えよう。真剣に取り組もうとするト レーダーにとって蔵書に加えるべき1冊となることは間違いない」――カール・ユー レンラム(アビリティー・アセット・マネジメントのCEO、『Trading with Crown Psychology』の著者)
「システマティックなマネジャーとはどういうものなのか。本書を読んでそれがはっ きりと分かった。本書は自分でシステマティックなファンドを作りたいという野心の ある人にとっての必読書と言えよう。システマティックな戦略に投資しようと考えて いる人、あるいはそれを理解したい人にお勧めの1冊だ」――サンジブ・クーマー (ポートLP社社長)
「本書はトレンドフォローについてこれまで書かれなかった重要な側面に光を当てた 書籍だ。投資家だけでなく、マネージドフューチャーズマネジャーにとっても興味を そそられるに違いない」――ニゴール・コーラジアン(クエスト・パートナーズLLCの創始者)
「市場取引にかかわっているすべての人に読んでもらいたい本だ。モデルがなぜ成功 したり失敗したりするのかを思慮深く分析した本書は、先物トレードに興味のある人 にとって大いに役立つはずだ。市場を打ち負かしたい投資家にとって数少ない知的な 分析書の1冊になるだろう」――ロバート・サベージ(Track.comのCEO)
「他人のお金を運用するプロトレーダーになりたいのなら、まずは本書を読むべき だ」――バン・K・タープ博士(『新版 魔術師たちの心理学』『タープ博士のトレード学校』『トレードコーチとメンタルクリニック』[パンローリング]の著者)
「トレンドフォローは価格が一定のトレンドに沿って動く市場環境の下で機能する戦
略で、マネージドフューチャーズファンドが用いる最大の戦略だ。クレノーは複雑な
テーマを深い洞察力で読み解いている」――マーク・H・メリン
(『High-Performance Managed Futures』の著者、「オパレスク・フューチャーズ・
インテリジェンス」の編集長)
「トレンドフォローの実態とそのノウハウが見事に描き出されている」――キャスリ ン・M・カミンスキー博士(アルファKキャピタルのCIO兼創始者)
監修者まえがき 序文 はじめに 謝辞 第1章 先物を使ったクロスアセットのトレンドフォロー 第2章 先物データとツール 第3章 分散された先物トレード戦略の構築 第4章 2つの基本的なトレンドフォロー戦略 第5章 トレンドフォローのパフォーマンスの徹底分析 |
第6章 年ごとの分析 第7章 大手ヘッジファンドのリバースエンジニアリング 第8章 戦略の改良 第9章 先物トレードの実務 第10章 最後の注意点 参考文献 |
ところで、トレンドフォロー戦略はなぜ儲かるのだろうか? よく言われるような「マーケットは生来トレンドを形成するものだ」とか、「トレンドの存在そのものがトレンドを強化するからだ」などという話は真っ赤なウソである。現実のマーケットの時系列相関は長期的にはほぼランダム、もしくは若干の逆相関である。つまり、マーケットの性質自身にはトレンドフォロー戦略の正しさを論証できる根拠は内在しないのである。これではカール・ポパーの説く「論証と反証の非対称性」を持ち出すまでもなく、「トレンドに従えば利益を上げることができる」という命題は否定されてしまう。だが一方で、現実にはトレンドフォロー戦略は長年にわたって多くの成功者を生んできた。この矛盾はどうしたことか?
ここでの真実は、トレンドフォロー戦略の要諦はトレンドに従うことにはないことにある。一般に、ランダムにトレードした結果を固定の時間枠(例えば、日次)で測ると正規分布に近い形状を成す。しかし、バラバラな時間枠で測ると両端が太い横に広がった形状に変わる。また、手数料がかかるので平均値はゼロを下回り、総計では損失となる。だが、ここでもし「値動きがある程度逆行したらポジションを解消する」という操作をしたらどうなるだろうか? リターン分布は左端が切り落とされ、場合によっては、ゼロより右側の面積は左側の面積より大きくなるだろう。そして、重要なことは、時間枠を定めないトレードのみが、そういったオペレーションを可能にするということだ。さらに時間枠の上限が大きければファットテールの効果によって、総計での利益はより大きなものになる。
これがトレンドフォロー戦略が有効な理由であり、ここで最も心を砕くべきは、いかに確実に右左の面積比が大きく左右非対称の分布を再現するかである。著者が、トレンドに乗るためのルールなどどうでもよいと言い切り、分散とポジションサイジングの重要性を繰り返し強調するのは、このためである。クレノーの功績はトレンドフォロー戦略のこうした構造を明らかにしたことにある。本書は今世紀に入って唯一にして最高のトレンドフォロー戦略の解説書である。
翻訳にあたっては以下の方々に心から感謝の意を表したい。山下恵美子氏は正確かつ迅速な翻訳を行っていただいた。そして阿部達郎氏にはいつもながら丁寧な編集・校正を行っていただいた。また、本書が発行される機会を得たのは、パンローリング社の後藤康徳社長のおかげである。
私はトレンドフォローについてはちょっとばかり詳しい。なぜなら私はかの有名なタートルズの一員だったからだ。タートルズとは、1980年代にピットのプリンスことリチャード・デニスが、トレーダーは養成でき、正しい訓練を受けた人は通常の投資をはるかに上回るリターンを上げられることを示すために企画した伝説のトレーダー集団「タートルズ」のことであることは言うまでもないだろう。普通の人間がヘッジファンドのようにトレードできるようになったのだから、これは驚くべきことだ。私がこのプログラムに参加したのは19歳のときで、24歳になった1987年にはトレンドフォロワーとしてリチャード・デニスのために稼いだ3150万ドルのうち800万ドルを手にした。
私はタートルズの投資手法を明かす『タートル流投資の魔術』(徳間書店)という本も書いた。これはベストセラーになった。私たちの成功の秘密を知りたい人がいかに多かったかということだ。教えられた投資手法は絶対に他人に漏らさないというリチャード・デニスとの約束の下、それまで秘密にされてきた投資手法の全貌が明らかになったのだから、人が興味を示さないはずはない。
その後、本書の続編を書くことを何度か考えた。前著よりもっと内容のある詳しい本を書きたかった。前著は半分ストーリー仕立てで、半分トレードマニュアルのようなものだったが、今度は完全なるトレードマニュアルを書きたかった。アンドレアス・クレノーが書いた本書は完全なるトレンドフォローのトレードマニュアルだ。本書の序文を書かせてもらえたことを本当に誇りに思っている。私はえり好みが激しい人間なので、本当に好きでなければ序文なんて書かない。
推薦に値するトレードの本は本当に少ない。時の試練に耐えられないばかりか、市場の試練にも耐えられないような秘訣やコツばかりの本が多すぎる。何かの講座やセミナーのようなものを売ろうとする人が書いた本ばかりだ。優れた本を世に出そうというよりも、あなたのお金が欲しいだけなのだ。
私が会議で話す機会が少ないのも、私が推薦する本が少ないのもこのためだ。何も知らない新参者からお金を巻き上げるような利己的な宣伝がトレード業界にははびこっている。簡単に儲けられますよとか、すぐに儲けられますよ、といったウソで新参者を誘い込むのである。
しかし、本書は違う。
堅実で分かりやすく、基本のすべてを網羅している。トレンドフォロワーとして実現できないようなことはけっして約束していない。
トレンドフォロワーを目指すのなら、まずは『欲望と幻想の市場――伝説の投機王リバモア』(東洋経済新報社)を読んでジェシー・リバモアのことを学ぼう。次に、ジャック・シュワッガーの『マーケットの魔術師』シリーズ(パンローリング)を読むとよい。同書では、私のトレードの師であるリチャード・デニスほか、エド・スィコータ、ビル・ダン、ジョン・W・ヘンリー、リチャード・ドンチャンなどの史上最高のトレンドフォロワーのトレードの秘訣を知ることができる。トレードの可能性の素晴らしさに感激するはずだ。でも、どうすれば彼らのように素晴らしいトレンドフォロワーになれるのかまでは教えてくれない。トレンドフォロワーになるにはどうすればよいのか。
願望を実現へと導くにはどうすればよいのか。そこであなたは立ち上がる。成功を手に入れるために。
そんなあなたにお勧めなのが本書だ。本書を読んで、ぜひ願望を現実へと昇華させてもらいたい。
カーティス・フェイス(ジョージア州サバナ)
本書は、これまでのトレード本がトレンドフォロー戦略を扱ってきた方法とは多くの点で趣を異にする。私が本書を書いたのは、そういった本とのギャップを埋め、成功した分散化トレンドフォロワーたちはすでに知っているけれども、この分野に詳しくない人はまだ理解していない分析手法や情報を伝授するためだ。ほとんどの本は、仕掛けや手仕舞いのルールといった間違ったことに重きを置きすぎ、重要なことを見逃しているような気がする。したがって、このビジネスに参入しようと思っている人にも間違った情報が伝授されているのではないだろうか。これは多くの著者がこの戦略を生計のために設計したり、トレードしたりしていないためだ。
この業界には有名なスタートレーダーがたくさんいる。彼らのなかには、神話的存在に祭り上げられ、神と崇められている人もいる。彼らは尊敬すべき人々で、この分野のパイオニア的存在だ。しかし、本書はそういったヒーローを崇拝するためのものではなく、1970年代にはうまくいったが、現在それを同じ方法で使えば自殺行為にもなりかねないような戦略を説明するものでもない。市場は変化し、ヘッジファンド業界はそれ以上に変化した。私が本書で伝授するのは、現在の市場でうまくいく戦略である。
これはあらゆる戦略やインディケーターを事細かに説明し、指数移動平均や単純移動平均、あるいは適応型移動平均の長所と短所を比較するといった教科書的な本ではない。思いつくかぎりのインディケーターを説明することはしないし、新しいインディケーターを発案して、それに自分の名前を付けたりといったこともしない。堅実なトレンドフォロー戦略を構築するのにありとあらゆるテクニカルインディケーターを使う必要はないし、公式を少しだけいじって新しいインディケータに私の名前を付けたところで何の役にも立たない。ただ、「アンドレアス・オシレーター」は面白いオシレーターであることだけは一言言っておきたい。インディケーターは重要ではない。インディケーターなんかに注目すれば、全体像を見失い、カーブフィッティングや過度の最適化といったつまらないことにはまって立ち往生しかねない。私のやり方はこれとはまったく逆だ。不必要に複雑化することなく、最も基本的な手法やインディケーターのみを使って、プロのヘッジファンドにも十分通用する戦略を構築できることを示していく。買いと売りのルールは戦略のなかで最も重要でない部分であり、こういったものに注目すれば、真の価値を見失うだけである。
また、本書はすぐにお金持ちになる方法を指南するものでもない。すぐにお金持ちになる方法を探しているのなら、ほかを当たったほうがよいだろう。私が本書で言いたいことの1つは、大手の先物ヘッジファンドと肩を並べるトレード戦略を作るのは恐ろしいほどに難しいものではないが、かといって簡単でもない、ということである。トレード戦略を作るのは多くのステップの1つにすぎない。本書でも、非常にうまく機能し、ベテランの機関投資家にも受け入れられるリターン特性を持つトレードルールは紹介するつもりだ。しかし、それは作業に一部にすぎない。自分のやるべきことをしっかりとやらなければ、そもそも投資なんてできないだろうし、できたとしても、大事なお金をすべて失って自滅するだけである。
私が本書で伝授する知識を有効に活用するためには、かなりの努力が必要になる。トレード戦略については、だれの言葉も鵜呑みにしてはならない。たとえ、私の言葉でもだ。また、効果的なシミュレーションソフトといった市場データを分析するための設備にも投資が必要だし、プログラミング言語も学ぶ必要もある。こういったものがそろって初めて、本書で述べる戦略を複製し、その有用性を判断し、それらを自分の望むリスクとリターン水準に合わせて改良することができるようになるのだ。他人のメソッドを使うのはあまり良い考えとは言えない。戦略をよく知り、信用して使えるようになるためには、自分で作る以外にない。
ここまで来ても、やることはまだまだたくさんある。これらの戦略を毎日トレードするのは思っているよりはるかに骨が折れる。特に心理的にはとてもきつい。これに、投資家を探したり、ファンドやマネージドアカウントを立ち上げたり、会社の運営、報告書に経営管理といった仕事が加われば、これはすぐにお金持ちになる方法なんかじゃないことがすぐに分かるはずだ。こういったことが得意なら、非常にやりがいのある仕事だが、だからといって、簡単というわけではなく、すぐにお金持ちになれるわけでもない。
本書は基本的に1つの戦略について書いたものだが、その1つの戦略を十分に理解すれば、世界でトップレベルのトレンドフォローヘッジファンドを複製するのも夢ではない。
だからと言って、これらのファンドがつまらないもので、彼らが独自のアルゴリズムを持っていないと言っているわけではない。重要なのは、それぞれのファンドがやっている微調整は大したことではなく、リターンの大部分は簡単なモデルから得られるということである。本書の最初の部分では、2つの基本的な戦略を紹介するが、これらの非常に簡単なモデルでもCTAのリターンの大部分を説明できることを示していく。そしてこれら2つの戦略を1つの戦略に統合し、それが世に認められた巨大なフューチャーズファンドとも張り合えることを示していく。読者が同じ戦略を複製できるように、そのやり方を細かく説明する。これらの戦略はそのままでも十分に高いリターンが得られるトレーダブルなものだが、そのあとの章では、それらをさらに改良する。ここでは簡単な例にとどまらず、機関投資家が即座に使えるような完璧な戦略を示していくつもりだ。
ところで、私はなぜこんな本を書いたのだろうか。こんな本を書けば、すべてのトレンドフォロー戦略が機能しなくなるのではないかとか、フリーマネーがヘッジファンドマネージャーたちの秘密の組織ではなく無知な大衆に流れ、地球が自転を止めて私たちは宙に投げ出されるのではないかと思う人もいるだろう。クオンツトレーダーが彼らの秘密主義を正当化し、神秘性を強調する理由はたくさんあり、なかにはうなずけるものもいくつかあるが、先物トレンドフォローの場合、大衆をゲームに参加させてもデメリットはそれほどあるとは思えない。トレンドフォローゲームは現在のところ、50〜250億ドル規模の資金を有する巨大なファンドに牛耳られている。彼らは何倍ものレバレッジを効かせて世界を股に掛けて先物をトレードしている。彼らは本書に書いてあることはすべて理解している。いや、それ以上の知識を持っていると言ってもよい。私が本書を書いたのは、多くの人々を先物トレンドフォロービジネスに参加させ、ビッグプレーヤーたちに一泡吹かせ、彼らの投資機会を潰すため、というのは私の自尊心をくすぐるのには良いが、おそらくは不可能だろう。私がここで書いていることはすでに大々的に行われていることだ。もし読者の何人かでもこの世界に入ろうと決めたのであれば、それはそれで良いことであり、成功を祈りたい。
私がここで書いていることは、真の経済成長によって発生した中長期のトレンドをとらえ、そのトレンドから長期にわたってシステマティックにお金を儲ける方法についてである。多くの人に同じことをさせても、価格変動の裏にある人間の真の経済的な行動は変わらない。もちろん、このゲームに多くの資産が投じられ、大衆が同時に仕掛けたり手仕舞ったりすれば大きな動きが生じ、仕掛けや手仕舞いそのものが大きな問題になると言う人はいるだろう。これはもちろん問題だが、大きな問題ではない。こういった問題を解決することは戦略の小さな部分でしかなく、長期的にみれば戦略にさほど大きな影響は及ぼさないだろう。
私もそれをトレードしている人も書かないようなクオンツ戦略がある。これらの戦略は非常に短期の戦略で、同じゲームに多くの資金が注がれれば利益の出なくなるような潜在能力の低い戦略だ。これに対して、中長期のトレンドフォロー戦略は流動性が高く、拡張性も高いため、こういった問題とは無縁だ。
私が本書を書いたのにはもう1つ理由がある。それは私がブラックボックスアプローチを信じていないからだ。ブラックボックスアプローチは、顧客にどのようにしてリターンを得るのかについての情報を与えずに、盲目的に信じることを強要するアプローチだ。本書が教えることをすべて理解しても、先物トレンドフォロービジネスは厳しい仕事だ。仕組みが理解できても、ほとんどの人はヘッジファンドを立ち上げようとはしないだろう。仮にそんな人がいたら、その結果をメールで知らせてほしい。いずれにしても、私が本書を書いても私のビジネスには何らの差し支えもなく、むしろ私自身の投資ビークルに付加価値を与えるものだと信じている。
監修者まえがき
本書は、ACIESアセット・マネジメントの社長であるアンドレアス・クレノーが著した“Following the Trend : Diversified Managed Futures Trading”の邦訳である。同時に、日本語で書かれたトレンドフォロー戦略の技術書としては15年前に出版された『タートルズの秘密』(パンローリング)以来の書籍である。それにしてもトレンドフォロー戦略ほど一般に誤解が多い売買手法も珍しい。ほかの投資戦略と比べて極めて実行が容易であるにもかかわらず、実践する人が少ないのは正しく理解されていないことが原因である。
2014年5月
序文
本書はトレンドフォロワーとしてお金儲けをしたい人にとっての優れたトレーニングマニュアルだ。
■はじめに
本書は20年以上にわたって知られてきたある概念に基づく1つのトレード戦略について書いたものだ。これは30年以上にわたって多くのヘッジファンドが採用して、成功してきた戦略だ。この戦略は2008年に大きなリターンを上げたため、この数年注目を浴びてきたが、正しく理解されることなく間違って使われてきたように思う。さらに悪いことに、欠陥のある過度に複雑化されたものが、プロの世界でトレードしたことのないような人々によって高額で売られている。この戦略はいろいろな名前で呼ばれているが、基本的には同じ戦略で、トレンドフォロー戦略を採用している先物マネジャー(CTA=商品投資顧問業者)たちが長年にわたって使ってきた手法だ。
本書を書いたわけ
マネージド・フューチャーズ・ファンドは自分たちのトレードルールは秘密にし、彼らのプロップ戦略はまるで核兵器の設計図のような扱いだ。こうするには理由があるのだが、人々が考えるような理由では必ずしもない。彼らの秘密主義はマーケティングと関係がある。ファンドマネジャーが石から金を作り出す魔法の公式を持っていると思わせれば、そのファンドは高く売れるからだ。プロのトレンドフォロワーは戦略を独特な方法で微調整するが、実際には中核となる戦略はあまり変わらない。私はすべてのマネージド・フューチャーズ・ファンドのソースコードを知っているわけではないし、時にはまったく異なるリターン特性を示すこともあるため、彼らはまったく違うことをやっているように思えることもある。したがって、中核となる戦略が同じだというのはちょっと奇妙に聞こえるかもしれない。しかし、CTAファンドのリターンをほぼ完璧に複製するには、簡単なメソッドがあればよく、期間、リスクファクター、投資対象を少し変えるだけで、ほとんどは複製可能だ。
参考文献
ゼロから学ぶモメンタム投資
DVD 石原順のメガトレンドフォローシグナル
ルール
トレンドフォロー大全
魔術師リンダ・ラリーの短期売買入門
トレンドフォロー戦略の理論と実践
ウィザードコミックス
トレーダーズショップ 日本最大の投資家向け専門店
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