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ウィザードブックシリーズ Vol.289

「株で200万ドル儲けたボックス理論」の原理原則 「株で200万ドル儲けたボックス理論」の原理原則
いつ買い、いつ売るかを教えてくれるダーカード

著 者 ニコラス・ダーバス
監修者 長岡半太郎
訳 者 山口雅裕

2019年11月発売
定価 本体1,500円+税
四六判 206頁
ISBN 978-4-7759-7258-8  C2033

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著者紹介目次

儲けるコツは「市場と距離を置くこと」と見つけたり!
毎日、マーケットを見ないでも利益を上げる方法がある
賢者の石・ダーカード
これから投資を始めよう、またはうまく次のステージに進めない投資家に贈る基本書

驚異的なロングセラーである『私は株で200万ドルを儲けた』(パンローリング)の著者であるニコラス・ダーバスは、ボックス理論をさらに進化させ、株式相場をチャートで表すための画期的な方法を考案した。それをダーカードと名付け、だれにでも使いやすくて携帯でき、これまでの方法にはない極めて重要な要素を持つカードである。このダーカードは、相場に関して一切の解釈を必要としない。株式市場の賢者の石であるダーカードはデータを純粋に利益に変えることができるものである。混乱を招く株価の変動を排除し、利益を得るための重要なトレンドと売買ポイントを示してくれるのだ。

ダーカードはニコラス・ダーバスのトレード手法を簡潔かつ視覚的に表したものである。毎日の終値と照らし合わせるための実用的なツールで、ポケットに入れて持ち歩ける。ハガキほどの大きさのこのカードには、売買すべきかどうかや、保有し続けるべきかを決めるのに必要なすべての情報が含まれている。

ダーバスはダーカードの使い方だけでなく、いつ買うべきなのか、何を注視すればよいのか、勝率を高めるための5つの方法、売り時をどうやって知るのか、いつまで保有してよいのか、保有株の入れ替えの落とし穴とは何か、行動を起こす前に何を探すべきなのかについて、明快で分かりやすく説明している。

また、本書はダーバスが開発した画期的なダーカード使用法にとどまらず、トレード初心者にはマーケットに向き合う基本を伝授してくれ、次のステージに進めないで悩んでいるトレーダーにはブレイクスルーをもたらすヒントが満載されている。

本書はまさに永遠に読み継がれるべき相場の基本書であり、教科書であり、奥義書である!


著者紹介

ニコラス・ダーバス(Nicolas Darvas)
ショービジネスの世界で最もギャラの高いペアダンサーの1人。幾多の苦労の末、マーケットの上昇や下落に関係なく機能するボックス理論を構築し、株式市場で200万ドル以上の利益を上げて資産家になった伝説の人物。著書に『私は株で200万ドル儲けた』『金融市場はカジノ』(パンローリング)などがある。

目次

監修者まえがき

第1部 魔法のダーカード
第1章 私がダーカードを考案したわけ
第2章 市場は突然、息を吹き返す
第3章 我慢強さと信念が報われるとき
第4章 「高く」買って、「もっと高く」売る
第5章 なぜ人は株式市場では不合理な行動をするのか
第6章 値動きだけを見ていれば、すべてが分かる

第2部 自分のルールを確立し、それを守る
第7章 株式投資では知りすぎないほうが良い場合もある
第8章 機関投資家よりも個人投資家のほうが儲けることができる
第9章 必ずシステムや行動ルールに従うこと
第10章 待って、待って、その機会が訪れるまでじっと待つ (立ち読みページ
第11章 どんな時代にも「ダーバス株」は常に存在する
第12章 分散をしすぎては儲からない

第3部 ポートフォリオの構築法
第13章 今も昔も人は耳寄り情報を探している

付録――私の投資理論

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■立ち読みコーナー(本テキストは再校時のものです)

監修者まえがき

本書は、伝説の相場師ニコラス・ダーバスの著した“You Can Still Make It In The Market”の邦訳である。ダーバスの著書としては『私は株で200万ドル儲けた』(パンローリング)があまりに有名であるが、本書もそれに負けず劣らず素晴らしい相場書に仕上がっている。私のようなダーバスのファンだけではなく多くの投資家がこれを興味深く読まれることと思う。

ここで両者の違いを解説しておくと、前著が、ダーバスの投資家としての成長の軌跡を振り返りながら、ボックス理論に代表される彼独自の投資戦略の解説したものであったのに対し、本書はすでに成功した投資家としての視点から、経糸(たていと)としてボックス理論の実践に使う「ダーカード」の考案過程と利用法を示したことに加え、緯糸(よこいと)にほかの投資家の銘柄選択や行動をダーバスが調査分析した経験を配置したものである。私個人はダーバスがほかの投資家たちにインタビュー調査を行うくだりを大変面白く読んだ。

この意思決定のための支援ツールである「ダーカード」については、現代の情報過多の投資環境においては、あまりにシンプルすぎて物足りなく感じる方もおられるかもしれない。しかし、流通している投資関連情報のほとんどは単なるノイズか、あるいは何らかの意図があって流布されたものである。堅牢で一貫した投資においては、今も昔も参照すべき情報は一枚のカードに図示できるくらいの量でちょうど良いのではないか。

 最後に、翻訳にあたっては以下の方々にお礼を申し上げたい。山口雅裕氏は正確な翻訳を行っていただいた。そして阿部達郎氏には丁寧な編集・校正を行っていただいた。また、また本書が発行される機会を得たのはパンローリング社社長の後藤康徳氏のおかげである。

 2019年10月

長岡半太郎


第10章 待って、待って、その機会が訪れるまでじっと待つ

 ヒューストン・オイル・アンド・ミネラルズは一九七四年九月から一一月までのわずか二カ月で、およそ一一ドルから三二・五ドルへとほぼ三倍になったあと、動かなくなった。私はヒューズ・ツールのトレードで最悪の事態に陥っていた一方で、ヒューストン・オイルが劇的な急上昇する前に小休止をしているのか、それともお楽しみはもう終わっていて、私は機会を逃したのかを注意深く見守っていた。ヒューズ・ツールで教訓を学んだので、私は二度と愚かなまねはしないと決心していた。今回は忍耐強く、用心深く、慎重に自分の手法に厳密に従い、早まったことをしないと誓っていた。

 しかし、ヒューストン・オイルも同じだった。株価は来る月も来る月もじっとして動かなかった。この株は私の意図を分かっていて、私と張り合おうと決めているかのようだった。一九七四年は最後まで冷たい視線を向け合うだけで、どちらも相手が先に動くのを待っていた。ヒューストン・オイルと私はまるで無法者と保安官のように大通りの両側で向かい合い、どちらもコルト45を相手が先に抜いたらすぐに撃とうと身構えているかのようだった。高値は三二・五ドルで、私はそこをかなり超えるまで動かないと決めていた。

 一〇月で六カ月以上たったが、まだ何も起きなかった。このころには、ほとんどの人はこの株はもう終わっているとあきらめて、ほかの銘柄に注意を向けていただろう。だが、私にとっては、待つことも一種の行動だ。それは株式市場での私の重要な切り札の一つだ。適切な機会が訪れるまでじっと待てるということも、成功に必要な条件だ。私はヒューストン・オイルがヒューズ・ツールと同様に、ボックスを上に抜ける前に私が耐えきれなくなるのを待っているように感じた。この株は私が忍耐力を失うまで待って、私があきらめた直後に撃つつもりのようだった。これは、本当に知恵と忍耐力と戦術の闘いになるだろう。

 一〇月中旬には株価が三二・一二五ドルまで上昇した。それはまるで私がボックスを上にブレイクするのを見越して飛びつくように誘っているかのようだった。私は飛びつきたくてたまらなかった。私は上へのブレイクをひたすら待っていたので、お金を使いたくてうずうずしていた。だが、我慢していると、数日後に再び値を下げた。私は今ではしっかり見張っていた。ヒューストン・オイルは私とたわむれているのだ。私にはそれが分かった。このいまいましい株は私がヒューズ・ツールで愚かなまねをしたことを知っていて、また同じことをやらせようとしているかのようだった。私はわが目を疑った。私はあざ笑われていて、あやうく間違いを犯すところだった!

 株価は突然、一一月の第二週に三二・八七五ドルまで急上昇した。それはボックスの天井からほんの〇・三七五ドル上だった。これは通常ならば、買いシグナルだったが、私は今ではこの株の性格が分かっていた。そのため、私ははっきりと上抜けするまで待つことにした。私はまだ銃を抜かないと決めた。私はなんて的確だったことか! 株価は再びボックスの天井を割り、その後数週間は一度も二七〜二八ドルを超えなかった。最初の上抜けで買っていたら、ヒューズ・ツールのときのように、数日でストップロス注文(損切り注文)に引っかかっていただろう。私は冷ややかな笑みを浮かべた。一回目はこの株を見抜けたと直感した。それは私をじらして誤解させ、出し抜こうとしたが、失敗したのだ。私は上昇が目前に迫っていると感じていた。

 私は正しかった。最初の上昇から一年をはるかに超えた一九七六年一月中旬に、ヒューストン・オイルは勢いよく上昇して三四・七五ドルに達した。これだ! 私はブローカーに成り行きで八〇〇株を買い、一〇%下にストップロス注文を置くようにという注文を出した。その間、株価は三三〜三五・五ドルのボックスを形成し、その後、二月初めに三五〜四〇ドルの新しいボックスを形成した。ストップロス注文には引っかからなかった。二週間で株価は四五ドルに達し、三月には四対五の株式分割後に分割前の価格で五〇ドルに相当するところまで上昇した。

 私は天にも昇る心地だった。私は勝った! うんざりするほど長く待ち、この株とにらみ合いをしたが、それも報われた。買ってたった二カ月後に、株価はすでに買ったときよりも五〇%上げていた。さらに二カ月後に五四〜六三ドルのボックスに入ったとき、私の資金はほぼ二倍になった。長く待っていたかいがあった(本書を執筆している時点で、株価は七〇ドルを超えている。これは四対五の株式分割前の価格では八七・五ドルに相当する)。

 ヒューストン・オイルのおかげで、ヒューズ・ツールで失った自信を取り戻せた。それはまた、私が過去になんとなく気づいていたことを明らかにしてくれた。それは、人は自分が選んだ株のことを知っていなければならないということだ。これは会社やその製品や会社の歴史などを知っていなければならないという意味ではない。文字どおりに買いたい株の性格、個性、気分、動き方を知っていなければならないという意味だ。これはこじつけに思えるかもしれないが、実は、たとえ二つの銘柄がほかのすべての点でほぼ同じであっても、値動きは似ても似つかないことがあるのだ。動きが遅く、無気力で、にぶい株もあれば、値動きが激しくて落ち着きがなく、神経質で、わずかな出来事にも大きく反応する株もある。

 私は何年にもわたってヒューストン・オイルとその値動きに慣れ親しんできたので、それがいかに扱いにくいお客のように振る舞うことがあるかを知っていた。過去の値動きの観察からこの株について知っていたおかげで、私はどの段階でも一歩先を行くことができた。このように詳しく知っていたことを武器に、私は勝ち組になったのだ。



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