発行書籍一覧 > ウィザードブック一覧 > ← 307 →
2021年1月発売/四六判 640頁
トレーダーズショップから送料無料でお届け
これからバフェットを知ろうと思う読者も、バフェットをよく知る読者も、バフェットの実績に圧倒されるばかりの読者も、分野別にカニンガム教授が要約・整理したバフェットの含蓄ある「株主への手紙」を文章を読めば、本書以外では絶対に知ることのできないバフェットやマンガーの深遠な知見に接することができるだろう。
「あらゆる時代を通用する投資に関する最高の1冊だ」――モトリーフール
「カニンガムは私たちの哲学を体系化するという素晴らしい仕事を成し遂げてくれた」――ウォーレン・バフェット
「とても実用的な書だ」――チャーリー・マンガー
「このバフェットに関する本書は素晴らしい」――フォーブス
「凄い――知恵とユーモアとコモンセンスに満ちている」――マネー
「真剣な投資の講義にエンターテインメントの要素を加えたものだ」――インベスターズ・クロニクル
「企業経営の書でもあり個人金融の書でもある」――パブリッシャーズ・ウィークリー
プロローグ――株主に関する企業原則
用語集
構成表
一方で、バークシャーが達成したたぐいまれな成果に関しては、世にこれほど多くの識者による解説が展開され、さまざまな角度から分析がなされているのにもかかわらず、今もってその実態は正しく解釈され、援用されているわけでもない。おそらくこの背景にある原因は、そもそもバフェットは(狭義の)資産運用者ではないことにある。バフェットに関する一般的な評論のほとんどは、バフェットを投資家の枠内でとらえることで事の本質を見逃しているようだ。
実際にはバフェットは経営者であり、バークシャーは極めて合理的に経営されているコングロマリット企業である。したがって、その振る舞いを把握するための適切な道具は伝統的な資産運用の世界のモノサシではなく、経営学における学際的な知見や理論的枠組み、あるいは分析者による直接的な事業経験なのである。
私自身も『バフェットからの手紙』を初版から読んできたが、書かれている内容が文字どおり身に染みて理解できるようになったのは、小さいながらも自身の手で事業を行うようになってからである。その視点で見れば、バフェットの経営行動はまことに原理原則にかなった至極当たり前のことばかりであって、難しいことは何もやっていないことに気づく。その意味では、原書の副題が“Lessons for Corporate America”となっているのも当然であり、本書が想定する読者は投資家だけではなく、むしろ意欲ある経営者・事業家なのかもしれない。
翻訳にあたっては、井田京子氏はじめ歴代の本書の翻訳者の方々と編集者の阿部達郎氏に感謝の意を申し上げたい。また、改訂された本書が和訳される機会を得たのは、パンローリング社の後藤康徳社長のおかげである。
2020年12月
長岡半太郎
バフェットは優れた企業に投資し、それまでの経営者や企業文化を尊重しながら、バークシャー傘下におさめてきました。 その業種は保険業から鉄道、食品、メディアまでを含み、米国でもっとも成功した巨大コングロマリットといえるでしょう。
幅1メートルほどのチャートを眺めていると、S&P500(水色のライン)やバフェット銘柄との株価比較、 過去の買収劇、時代ごとにバフェットがどのセクターに投資したかなどが、 見て取れます。
株価に比べてなだらかな黄緑色のラインは、CPI(消費者物価指数)。米国では過去50年で平均4%台で推移してきました。
インフレ経済では、株や実物資産の価値が、物価と連動して上がっていく様子がわかります。
逆に、現金のまま保有していては価値が目減りしてしまう恐れがあるのです。
アニュアルレポート |
バークシャー・ハサウェイ 1株あたりの簿価 | S&P 500 (配当含む) | |
---|---|---|
1965〜2021年 年平均利回り |
20.1% | 10.5% |
1964〜2021年 累積利回り |
3,641,613% | 30,209% |
アメリカン・エクスプレス (American Express) | 金融 |
アップル (Apple Inc.) | IT |
バンク・オブ・アメリカ (The Bank of America) | 銀行 |
バンク・オブ・ニューヨーク・メロン (The Bank of New York Mellon Corporation) | 銀行 |
BYD (BYD Co.Ltd.) | 自動車 |
チャーター・コミュニケーションズ (Charter Communications, Inc) | 通信 |
シェブロン (Chevron Corporation) | 石油 |
コカ・コーラ (The Coca-Cola) | 食品 |
ゼネラルモーターズ (General Motors Company) | 自動車 |
伊藤忠商事 | 商社 |
三菱商事 | 商社 |
三井物産 | 商社 |
ムーディーズ (Moody's) | 金融 |
USバンコープ (U.S. Bancorp) | 銀行 |
ベライゾン (Verizon Communications Inc.) | 通信 |
|
著名投資家バフェットと昼食できる権利をかけたチャリティオークションが 2000年から毎年おこなわれています。 2004年に他界した元妻スージーさんが発案したもので、落札額はすべて貧困支援のためグライド基金に寄付されています。
バフェットの熱心なファンが集うこのオークションの落札額は年々高騰し、ついには eBay のチャリティ史上最高額 345ドル(約3.6億円)にまで達しました。
落札者は7人まで同行でき、世界でもっとも成功した株式投資家と昼食を楽しむことができます。
2003年、文字どおり桁違いで落札したのが、バリュー系ヘッジファンドを率いるデビッド・アインホーン氏。100万ドルで立ち上げたファンドを年25%で運用し、不正企業の空売りから得た収益を慈善団体に寄付しています。また、ポーカー世界大会で入賞するほどの腕前で、ポーカーと株式投資の共通点を述べています。
インド出身のモニッシュ・パブライ氏は、5回もの競売参加でようやく2007年に落札した一人。バフェット信者を自認し、その投資哲学から多大な影響を受けて自身が運用するファンドは7年半で年率リターン28.6%の好成績をあげています。
また、パブライ家族とともに昼食会を落札したガイ・スピア氏の著書『勘違いエリートが真のバリュー投資家になるまでの物語』では、人生哲学までもバフェットから影響を受けて開眼するさまが描かれています。
ちなみに昼食会場によく使われるスミス&ウォレンスキー NY店は、アメリカの典型的なステーキハウス。映画「プラダを着た悪魔」が撮影されたこともあるそうです。
本書は、1979年から2011年までのChairman's Letterの重要部分を抜粋し、テーマ別に再構成したものである。その意味でバフェット氏本人による言葉で構成された唯一の書物であると言える。