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モンスター株の売買戦術

モンスター株の売買戦術
大化け銘柄をどこで買い、増し玉し、手仕舞うのか

著 者 ジョン・ボイク
監修者 長岡半太郎
訳 者 山口雅裕

2023年8月発売/A5判 176頁
定価 本体 2,800円+税
ISBN978-4-7759-7318-9 C2033

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著者紹介目次

「過去の大化け株を研究すれば、将来、大化け株を買える」(ウィリアム・オニール)

モンスター株トレード=大化け株投資の奥義書!
MVP銘柄発見法!

 本書は、コロナ禍で株式市場が暴落し、その後、暴騰した2020年と2021年を振り返りながら、モンスター株(1年間で最低でも株価が2倍になる銘柄)をどこで買い、どこで増し玉し、どこで手仕舞うかを、実際のチャートを見ながらそのポイント、ポイントを詳細に解説している。コロナ後に何銘柄も出現した驚きのモンスター株に共通する特徴を学ぶことで、それらがどのように市場サイクルごとに繰り返されるかを個別の事例を元に具体的に示している。プライスアクションや値動きをはじめ、出来高の増減、主要な移動平均線交差やそのエリアなどは多くのMVP銘柄に共通しており、それらはトレード初心者が見てもすぐ理解できる単純な数値である。また、これらの共通点は本書で取り上げている激動の2年だけでなく、市場の全歴史を通じて常に同じようなことの繰り返しだったことも明らかにしている。

 また、本書では、トレンドのあるなかで利益を上げ続けるために、いくつかの重要な指標をフォローする方法を学ぶ。市場の流れに乗りさえすれば、十分すぎるプラスのリターンを得ることが分かるだろう。次に、近いうちに必ず現れるモンスター株を初期の段階で発見する方法を学ぶ。そのモンスター株候補がポジティブな特徴を示し続け、さらに上昇を続けるかどうかを見極めるために、何を見るべきかも学ぶ。そして、そろそろ手仕舞いして次のモンスター株に移ろうというときに、どのような警告を注視すべきかを学ぶ。

 以上のように、過去のモンスター株を丸裸にして徹底研究し、そこに共通した点を会得していれば、次の市場サイクルや下落や調整や暴落後の初期段階でモンスター株を確実にとらえることができ、成功確率は飛躍的に高まることだろう。

 本書はまさにモンスター株トレード(大化け株投資)の奥義書ともいうべきものである!


著者紹介


Monster Stock Lessons by John Boik
ジョン・ボイク(John Boik) 『黄金の掟――破産回避術(旧題『伝説のマーケットの魔術師たち』)』(パンローリング)の著者で、バロンズ誌が選ぶ2004年のベスト25冊に選ばれている。また、『ハウ・レジェンダリー・トレーダー・メイド・ミリオン(How Legendary Traders Made Millions)』『モンスターストック(Monster Stocks)』などの著作もある。この2冊は、ウィリアム・J・オニールとインベスターズ・ビジネス・デイリー(IBD)に推奨されている。彼のツイッターのアカウントは「@monsterstocks1」で、フォローできる。

■立ち読みコーナー(本テキストは再校時のものです)

目次

監修者まえがき

はじめに
第1章 2020年
第2章 2021年
第3章 得られた教訓
結論

お勧めの著書とアプリ
参考文献
謝辞



監修者まえがき

 本書は、個人投資家向けの書籍をいくつも著しているジョン・ボイクの著した“Monster Stock Lessons : 2020-2021”の邦訳である。これは、世界が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によるパンデミック禍にあった2020年ならびに2021年において、大きく値上がりしたアメリカ株の銘柄に焦点を当てた備忘録である。これを手に取った読者の関心はおそらく、極めて良好なパフォーマンスを上げた銘柄に共通した特徴を知ることにあるだろう。ボイクはそれらの銘柄の時系列データ上の特徴を解説しているが、かつてウィリアム・オニールの下で、デビット・ライアンが大量の大化け銘柄のチャートを観察して知見を得たように、本書を一読すれば大きく上昇する銘柄の必要条件を理解することはそれほど難しくはないだろう。

 だが、実際にそうした銘柄をトレードするためには、個別銘柄のスクリーニング条件を知ることよりもはるかに重要なことが別にあり、それはマーケット全体の方向性を正しく把握することにほかならない。本文中にもあるように、ボイク自身はそれを判断する根拠としてインベスターズ・ビジネス・デイリー紙による市場見通しを使っている。これは週足を使うような比較的短い時間枠での市場の方向性判断について鋭い示唆を与えてくれる。

 一方で、1年を超えるような長い時間枠での方向性については、マクロ要因、特に各国中央銀行の金利政策とその背景を理解するのが最も手堅い方法である。思い返せば、2020年の春(コロナショック後)の段階で、私の周囲は機関投資家も個人投資家もだれ一人例外なく、株式市場の見通しについては極めて強気であった。そのように全員の意見が一致することは、かつて一度も体験したことがない異例のことで、私はそれをとても気味悪く感じていたほどであったが、未知のウイルスの実態がまだ何も分からない不確実性下での彼らの強気の裏付けは、結果として中央銀行の動向だけで十分であった。これを読み解くヒントとしては『キャリートレードの興隆』(パンローリング)に詳しい解説があり、本書と合わせて読まれれば、次の機会を捉えるのに大いに役立つことになるだろう。

 翻訳にあたっては以下の方々に心から感謝の意を表したい。翻訳者の山口雅裕氏は実に丁寧な翻訳を、そして阿部達郎氏は丁寧な編集・校正を行っていただいた。また本書が発行される機会を得たのはパンローリング社社長の後藤康徳氏のおかげである。

 2023年7月

長岡半太郎


はじめに

 本書では2020年と2021年の株式相場を振り返りながら、急騰してモンスター株になった多くの先導株を分析する。念のために前著の『モンスターストック(Monster Stocks)』から引用しておくと、私はモンスター株を次のように定義していた。

株価が短期間に2倍以上になる銘柄。モンスター株における短期間とは、歴史を振り返るかぎり、通常4カ月から1年半の範囲だ。ほとんどはこの中間ぐらいと考えてよい。急騰するモンスター株は通常6〜12カ月の間に最も大きく動くからだ。そして、本当に大化けするモンスター株の多くはこの短期間に3倍、4倍、あるいは10倍以上にさえなる。

 2020年の第1四半期後には多くの先導株が生まれた。第1四半期は株式相場史上まれに見る短期の弱気相場(直近の高値から20%以上の下落と定義)に陥った。しかし、その短期の弱気相場から一握りの先導株が生まれ、2020年の第2四半期以降から2021年にかけて相場の上昇を牽引した。よって、相場が調整してもけっしてトレードをあきらめてはならない。あきらめたら、上昇相場に転換したときに最高のトレード機会を逃すだろう。2020年の第1四半期の終わり近くで相場に見切りをつけた人は、何十もの銘柄が短期間に急騰した絶好の機会を逃したはずだ。

 しかし、2020年に大化けした先導株の多くは、市場全般の上昇トレンドがその後も続いたにもかかわらず、2021年には上昇が続かなかった。このことから、売りのルールに当てはまったら、それをしっかり守ることがいかに重要かが分かる。上昇中に得た大きな含み益のほとんどを吐き出すべきではない。

 ここでは、どうしてそうなったのかを分析して、今後の相場サイクルで教訓として生かせるようにするつもりだ。しかし、前年の先導株の地位を維持できなかった株がある一方で、2021年のちゃぶつく上昇トレンドのなかで成長した先導株もある。2020年よりも相場を主導するセクターの移り変わりが多かった2021年に、新たな先導株がどうやって生まれたのかも見ていく。

 株式市場の歴史を研究すれば、市況がどのように周期的に変動して新たなトレードの機会が生じるかを理解できるし、先導株がどのように天井を付けて下降トレンドが始まるかを知る手がかりも得られる。

 また、上昇トレンドが続くと、相場を新たに牽引する株が必ず現れる。この2年間を分析するときに注意しておきたいことがある。1年で2倍以上になったモンスター株の状態を測るときには暦年で見ることにする。これは1年間に2倍以上になった先導株と、それらを捉える機会が何回あったかを見るためだ。もちろん、多くの先導株はこよみ上の区切りをまたぐ1年で2倍に上昇する。それでも、暦年で見れば、そういう銘柄がいくつ現れたかや、どのように大きな利益を得る機会をもたらしたかが簡単に分かる。

 そして、適切に対処できれば、年に数銘柄のモンスター株だけで株価指数に勝つリターンが得られる。モンスター株の上昇を始めから終わりまで捉えることはできないし、それらの銘柄すべてを捉えることもできない。目指すべきは、どの銘柄が過去の勝ち組と共通する特徴を持っているかを見極めて、それらが上昇トレンドを形成しているうちにトレードをして、驚異的な上昇の一部で利益を得ることだ。

 2020年と2021年を分析するにあたって、相場全般や先導株の動きを測るために使う指標をいくつか示しておこう。私が主に利用している情報源はインベスターズ・ビジネス・デイリー(IBD)だ。彼らは相場が堅調かどうかを何十年にもわたって日々分析してきた。その経験は非常に貴重だ。図I.1は2020年のナスダックのチャートで、インベスターズ・ビジネス・デイリーが堅調さの変化(上昇トレンド入り、上昇トレンド中の押し圧力、市場の調整局面、上昇トレンドの再開)に応じて解釈の変更を判定したものだ。これらの判定は株式市場全般の変化に応じて行われ、ほとんどの銘柄は通常、市場全般の変化に従って動く。

 2020年にインベスターズ・ビジネス・デイリーが「市場の調整局面」に分類したときが3回あった。1回目はコロナウイルスに対する不安のせいで大幅安が始まった2月末ごろだ。これが急激だが短期に終わった弱気相場の始まりだった。その後、9月末と10月末に相場の調整局面が1回ずつあった。いずれも短期間の下げで終わり、やがて相場は上昇基調を取り戻した。4月から8月は上昇トレンドが着実に続き、優良銘柄のほとんどが上昇した。この年の最後の2カ月も先導株は非常に好調だった。

 新高値と新安値

 市場全般の堅調さを確認するために私が使っているもう1つの指標は、52週新高値と52週新安値の銘柄数の差だ。市場についての2次的な指標はたくさんあり、おそらく多すぎる。良いものもあれば、そうでないものもある。長年にわたる調査の結果、市場平均の指標として一貫して信頼できるのは52週新高値数と52週新安値数の比率だと分かった。私はこの2つの銘柄数の差をハイ・ロー・ゲージ(「H/L/G」)と呼んでいる。私は毎日これを追跡し、市場平均の動きと比較している。

 ただし、これも2次的な指標であることに注意してほしい。主要な市場平均の価格と出来高の動きや、市場全般の上昇を牽引している銘柄や下落時に大きく下げている銘柄を毎日観察することに勝るものはない。しかし、H/L/Gは市場の値動きに一致していたか、先行していたという確固たる歴史がある。そして、それは理にかなっている。

 新安値を付ける銘柄よりも新高値を付ける銘柄のほうが多くなければ、明確な上昇トレンドが形成されることはないし、逆も同じことが言える。また、上昇トレンドと下降トレンドにはさまざまな段階と程度がある。ほかのものよりも強かったり弱かったりする場合もあるし、ちゃぶついて捉えるのが難しい場合もある。H/L/Gでプラスやマイナスの日や週がどのくらい連続するかや、H/L/Gのトレンドから市場全般の堅調さが判断できることが多い。確かにH/L/Gにはトレンドがあり、その強弱は市場の動きと驚くほど一致している。本書ではその点には詳しく触れない。アレキサンダー・エルダー博士の『ザ・ニューハイ・ニューロー・インデックス(The New High-New Low Index)』には、新高値数と新安値数の比率の程度について、多くのことが述べられている。

 この相関に初めて気づいたのは私ではない。この比率は何十年も前からあり、多くの株式調査会社が使っている。ギルバート・ハラーは1965年に『ザ・ハラー・セオリー・オブ・ストック・マーケット・トレンズ(The Haller Theory of Stock Market Trends)』という本を書いた。株式市場に関する彼の広範な研究は新高値と新安値の比率の重要性に焦点を当てたものだ。彼は、「数年間にわたってNH-NL指数をチャートにしたら、株式市場のテクニカルの強弱を測るときの重要な要素だと分かった」と述べている。

 図I.2は彼の著書からの引用だ。彼は週足で比率を計算している。1960年の株式市場はほとんど下げていて、その年の半ばには大きく上下動するトレンドがあった。これを見ると、彼のNH-NL(新高値・新安値)指数がそのトレンドとどう相関しているかが分かる。1961年は5月中旬まで非常に力強い上昇トレンドが形成された。その後、5月下旬から7月下旬まで大きく下落した。そして、力強く上昇すると12月までちゃぶつき、その後は再び大きな調整局面に入った。図I.2を見ると、彼の週足でのNH-NL指数が2年間の株式市場の動きといかに相関していたかがはっきりと分かる。また、彼は上昇・下落した銘柄数を週単位で追いかけて、「A&Dインデックス」と名付けた指数の値を算出した。

 市場に関する多くの優れた本の著者であるアレキサンダー・エルダー博士は、この研究に特化した『ザ・ニューハイ・ニューロー・インデックス(The New High-New Low Index)』という本を書いている(これは非常にお勧めだ)。この本で重要な点は、この指数が数日か数週間、株式市場の先行指標になることを発見したところだ。彼の研究によると、この指数の傾向と水準に従えば、株を買う・売る・様子見をするタイミングが改善される。また、この指数の水準と動きから、市場のトレンドの強弱やそれがどれくらい続きそうかを測ることができる。本書で取り上げた2年間で、これがいかに正確だったかが分かるだろう。

 私の考えでは、ジェラルド・ローブは1920年代から1970年代の50年で最も成功したトレーダーの1人だが、彼もこの新高値数と新安値数の比率をよく使っていた。今日でも、多くのトップトレーダーがこの比率を毎日追跡し、市場全般の動きと比較している。私はインベスターズ・ビジネス・デイリーが購読者向けウェブサイトで発表している新高値と新安値の数字を毎日使っている。インベスターズ・ビジネス・デイリーは1株10ドル未満の銘柄と、1日の出来高が1万株未満の銘柄を除外している。

 つまり、インベスターズ・ビジネス・デイリーの数値では、市場で取るに足りない銘柄は外されている。そのため、インベスターズ・ビジネス・デイリーの数値は全取引銘柄で計算されているほかの情報源とは異なる。1960年代にハラーが発見したように、この追跡は市場全般の堅調さの度合いを驚くほど正確に測っている。図I.3は2020年のナスダックのチャートで、その下にインベスターズ・ビジネス・デイリーのサイトから私が毎日算出した新高値と新安値の銘柄数の差をチャートにして載せている。これを見ると、両者の相関がよく分かる(下のチャートは市場との日付がずれているため、上下がぴったり一致しない。そのため、矢印で同じ日付を示している)。2021年については、第2章の図2.33で同じ情報を示している。

 MVP株

 モンスター株になるような銘柄を追いかけると、歴史的な大勝ち銘柄のほぼすべてに共通する特徴があることが分かる。また、追いかけるときには単純にしておくことも役に立つ。この本では、分析する銘柄のファンダメンタルズの数値には触れない。歴史に残るモンスター株はすべて、上昇局面でファンダメンタルズが良かったということを指摘しておけば十分だ。株価の上昇前や直後に利益や売り上げの成長力がなかったとしても、売り上げの着実な伸びや利益の大きな成長が近いうちに株価の持続的上昇の大きな要因になると期待されていた。上昇トレンドの途中で、決算が期待外れに終われば、上昇トレンドは終わることが多い。

 また、本書で分析する銘柄の多くはインベスターズ・ビジネス・デイリーに掲載されているリストから選んだものなので、株価の上昇前後にファンダメンタルズが大きく関係している。

 多くのトップトレーダーはスクリーニングによって何百もの銘柄を選別し、ベース(保ち合い)、支持線エリア、天井を付ける前の最後の急騰などのセットアップを探す。レラティブストレングスはほかのすべての銘柄と関連しているので、銘柄の強さを測る優れた尺度であり、多くの成功したトレーダーが好んで使っている。私はインベスターズ・ビジネス・デイリーをスクリーニングのツールとして使っている。インベスターズ・ビジネス・デイリーは高度な基準で銘柄を毎週、選別して数種類のリストを作り、それをプライスアクションに合わせて毎日更新しているからだ。インベスターズ・ビジネス・デイリーは銘柄のファンダメンタルズとレラティブストレングスについて厳しい基準を設けているので、そこでリストアップされる銘柄は現在、あるいは予想売上高や利益の点から見ても、値動きの点から見ても先導株と考えてよい。

 2007年に出版された私の著書『モンスターストック(Monster Stocks)』についてリサーチをし、実際にトレードもしていたとき、単純で重要な基準は長年にわたって通用し、相場サイクルが異なっても通用することに気づいた。これは驚くべきことではない。人間の本性が相場を動かす主な要因である以上、それらは歴史を通じてあまり変化しないからだ。私が発見した、すべてに共通する重要なテクニカルの基準は移動平均線(SMA)、出来高、プライスアクションだった。この3つすべてがプラスに働いている銘柄を、私はMVP(Moving Average, Volume, Price)株と呼んでいる。スポーツやビジネスで、MVP(最優秀な人)のパフォーマンスは並外れている。株式市場でもそれは同じだ。MVP株はモンスター株になりやすい。そして、モンスター株は相場のどの上昇トレンドでも、一番の花形株だ。

 移動平均線

 大成功を収めたある伝説のトレーダーが、「200日移動平均線よりも下で良いことは起きない」と語ったことがある。このエリアは将来の先導株の多くが大きく調整したあとに底打ちする水準として使われており、長期の平均ともみなされている。

 将来の成長株の多くはそこが支持線となり、底固めの段階に入る。しかし、モンスター株にまでなる銘柄はすでにそこから上放れている。上昇するにつれて底値圏でより堅調なパターンを形成しながら、50日移動平均線エリアを超える。この水準は中期の移動平均線とみなされている。個人トレーダーだけでなく、ウィリアム・J・オニールや多くの機関投資家はこの水準を株価の全体的な強弱を測る指標として使ってきた。50日移動平均線が上向きならば、株価が上昇トレンドであることを示している。21日移動平均線(基本的に1カ月の取引)はより短期の中期移動平均線として年々受け入れられるようになり、現在では多くのトップトレーダーが利用している。前著でも何度か言及し、モンスター株が上昇するときにこれが重要であることを説明した。もっと短期の指標は10日移動平均線で、これも多くのトップトレーダーが使っている。私は学校の成績と同じように、簡単な方法で銘柄を格付けしている。これで、銘柄を非常に簡単に分類できる。私は株価がAとBに位置する銘柄だけを保有したい。

A.10・21・50・200日移動平均線を上回る。
B.21・50・200日移動平均線を上回るが、10日移動平均線を下回る。
C.50・200日移動平均線を上回るが、10日・21日移動平均線を下回る。
D.200日平均線を上回るが、10・21・50日移動平均線を下回る。
E.上のすべての移動平均線を下回る。

 本書では、チャートに21日と50日の単純移動平均線を表示する。すでに述べたように、この段階の先導株はセットアップを形成し、そこを上にブレイクして急騰しているため、これらのチャートでは200日移動平均線エリアはすでに超えている。10日移動平均線についても時折触れるが、セットアップ、ブレイク、急騰、そして天井圏のほとんどでは、21日と50日の移動平均線エリアに焦点を当てる。たいてい、これらの短期と中期の時間枠で最も大化けするモンスター株が生まれ、それらの力強い上昇で最も大きく動く部分になる。最も強い銘柄の株価は前述のすべての移動平均線に乗り、その上を動き続ける。

 出来高

 出来高は力強く上昇する株の需要を測る重要な指標だったし、今後もそれは変わらない。また、出来高とプライスアクションとの相関は、その株がどれだけ強かったのかや弱かったのか、今後どうなりそうかについての最も重要なシグナルだ。歴史上多くの優れた株式トレーダーや今日の多くのトップトレーダーは出来高の動きを重視して、追跡している。

 さらに、出来高は1日の平均出来高で流動性を測ることができる。本書では、1日平均100万株以上取引されていた銘柄だけを分析し、取り上げている。それらは通常、機関投資家が好む銘柄である。彼らがある銘柄を売買すれば、その足跡(出来高の水準)が残り、それを隠すのは難しい。株価が大きく動くのは、主として彼らがその銘柄を売買するからだ。個人トレーダーは、大口資金がどの銘柄に投入されているかを見つけて、それを追うべきである。

 本書のチャートでは出来高の動きと、それが値動きにどれほど重要な役割を果たしたかを指摘する。青信号(大きく上げる日に出来高が増える)であろうと、赤信号(大きく下げる日に出来高が増える)であろうと、出来高は株価のトレンドを決定する重要な要素である。あなたは先導株の値動きのトレンドと同じ側にいることを目指すべきだ。忘れないでほしいが、トレンドは味方であり、味方と戦ってはならない。

 価格

 価格は常に自分の味方に付けておきたい重要な尺度だ。ファンダメンタルズ、ニュース、相場観など、その銘柄に関するあらゆることが結局は価格に反映される。トレーダーは値動きに応じてリスクを増やすにしろ減らすにしろリスクを管理して、値動きによってその銘柄を買うか、売るか、保有し続けるか、避けるかを判断する。どれほど成功するかは、リスク管理のテクニックや、市場全般の動きに基づく売買の適切なタイミングや、どの先導株をトレードするかで決まる。私たちはだれでも利益を最大化したいと思っているが、そのための1つの方法は、パフォーマンスが最も良くてモンスター株になる先導株の投資やトレードをすることである。

 チャート

 本書の株式分析チャートでは、各銘柄のプライスアクションの重要な特徴を指摘する。注目した主なテクニカルシグナルはベース付近からのブレイク、出来高の特徴(増加と減少の両方)、カギとなる21日移動平均線と50日移動平均線エリアでの値動きだ。私が「線」ではなく、「線エリア」や「水準」という言葉をたびたび使っていることに注意してほしい。こうしたカギとなる水準が支持線になっても、その線に触れるとすぐに反発することはめったにない(本書ではいくつか見られるが)。大化けする株の多くも移動平均線を割り込みながら、大きく下げることなく数日間かそれ以上、横ばいすることがある。そういう期間には、株価が回復するか、あるいはそのエリアにとどまるかについて、出来高の水準が重要な手がかりを与えてくれるので、注意深く観察する必要がある。

 本書で目にするチャートのギャップアップとギャップダウンの多くは決算発表に反応した動きであり、ギャップアップでの買いは多くのトップトレーダーが用いる戦略である。多くのトレーダーが決算発表前にポジションを減らすのは、決算が期待外れに終わるリスクが高い場合や、そうした決算発表で非常にネガティブな反応やギャップダウンが生じる可能性があるからだ。予想を上回る好決算が発表されると、時間外や寄り付きでギャップアップすることが多いが、これは機関投資家が出来高を伴う強力な購買力でその銘柄に殺到するからである。

 株価が2倍になり、上昇中にモンスター株になる銘柄は通常、上昇後すぐに押す。先導株は上昇中に何度も押すが、それはトレーダーが利食いをするからである。多くのトップトレーダーは急騰しているうちに、先導株のポジションの一部を売る。上昇中の売り戦略や主要な支持線エリアでの買い戦略の実行については、第3章で取り上げる。

 ここで取り上げている多くの概念についてもっと詳しく知るために、『モンスターストック(Monster Stocks)』を読むことを勧める。また、本書はチャートの研究にもなるように書いた。ここでは2020〜21年に最もパフォーマンスが良かった銘柄に焦点を当てている。市場では同じパターンが繰り返されるので、最高のMVP株を研究すれば今後の相場サイクルで役に立つだろう。必ずすべてのチャートを見て、それぞれのチャートの重要なポイントを研究し、理解してほしい。チャートは相場について教えてくれる最高の案内役の1つである。

 歴史上、最高の株式トレーダーの多くはチャートを読む名人になった。価格と出来高の分析は歴史上ずっと重要だったし、2020年と2021年にも上昇と下落の両方でそれが証明された。主要な移動平均線エリアで株価がどう動くかも、大口投資家やトレーダーの動きを知る重要な手がかりになる。そこがその株の支持線になるのだろうか、それとも抵抗線になるのだろうか。それらは上昇トレンドにあるのだろうか、それとも下降トレンドにあるのだろうか。これらはすべて、株式相場のような不確実な環境においては重要な要素である。本書のチャートはすべて、ストックマスターというアプリによる。私は毎日このアプリを使っているが、非常に使いやすく、機能も多いので、お勧めだ。


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