エリオット波動入門 『エリオット波動入門――相場の未来から投資家心理までわかる』

著者 ロバート・R・プレクター・ジュニア, A・J・フロスト
監訳 長尾慎太郎
訳者 関本博英


◇概要
ラルフ・N・エリオット氏により「市場の価格変動には一定の秩序が存在する」という考え方

[それは]
フィボナッチ数列のもと、5つの局面(5波動の推進波)とそれに続く3つの局面(3波動の修正波)という8つの基本リズムを1つの周期として反復して繰り返されていく。

[つまり]
「一時的な価格のポイントと波動パターンからフィボナッチ数列の規則に沿って、近い将来の価格水準を算出できる」というものである。

例えば「いま、第2波のこのポイントにいて、第1波の起点を下回らないとすれば、フィボナッチ比率から導き出される第3波の天井は、第1波の1.168倍の水準になるはずだ」と予測して買いに入るのである。

[よって?] フィボナッチ比率と波動分析から
  ・上昇時であれば、押し目買いの水準が測れる
  ・下落時であれば、戻り高値を売る水準が測れる
  ・利食いの目処の算出ができる   というのである。

[なぜ?]
自然界の現象に数多く存在するフィボナッチの法則は、別々の行動を取る個々の市場参加者を、巨大な人間の集合体として扱ったときの群集心理にも反映されている。大きな波形に反映されないのは、それぞれの個人投資家や個別の企業における特有の環境が互いに相殺しあい、最後に残った大衆の心理だけである。エリオットが集めた膨大なマーケットデータには、市場参加者の心理(群集心理)とトレンドが如実に表されている。そしてそのデータからは、市場参加者の前進・後退という特定のパターンが見て取れたのである。そこには、自然界と同じフィボナッチの法則が現れているという考え方が基礎となっている。


◇波動の基本的な形
基本的な波は、

  5つの“推進波”(1波、2波、3波、4波、5波)と
  3つの“修正波”(A波、B波、C波)から構成させる8つの波

で1つのサイクルとなる。

この1サイクルが終了すると、続いて類似するサイクルが現れ、もう1つの推進波が繰り返される。これを繰り返し相場が進んでいくと、それぞれのサイクルが波動として構成され、さらに一回り大きな推進波となる波動パターンが形成される。



下図(左)では、黒い数字で見て取れるサイクルが続くことで、青い数字で見られるサイクルが見て取れ、さらにピンクの数字で見るより大きなサイクルへと形成されていくのである。

下図(右)5つの波と3つの波の比率を見てみると、5対3の段階では1.66。次の段階では21対13で1.615、さらに次さな89対55では1.618となる。つまり、細かくなるにつれて、その比率は1.618という「フィボナッチ比率」に近づいていくのである。

エリオット波動は、そもそもは株式を判断する指標として誕生したが、いまではFXトレーディングで愛用されることが多い。 市場の厚いFXでは流動性が高く、より如実に市場参加者の群集心理を反映されると考えられるからだと考えられる。

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