ところがやって来ました「2年目のジンクス」! それに加えて、激動のプライベート! これを機に、暗黒の「裁量売買」時期に見切りをつけ、一切の感情を排して、機械的に売買する「システムトレーダー」へと華麗な転身を図る(こういう機を見るに敏なところはトレーダーの資質としては絶対条件だろう!)。それからは、コンピューターを駆使して検証検証検証検証検証検証の毎日。苦労の甲斐もあって、最初に見つけたシステムではいきなり着実な利益を上げる(もしかして、オレって天才?)。
そして、4つ目のタクマシステムの開発が完了し、10億の目標を前倒ししようと思ったところに、100年に一度の金融危機、サブプライム問題とリーマンショックが襲ってきた! しかし、半値にまで激下げした市場は敵ではなく、味方だった! ただ、暴落相場よりも恐ろしい最大の敵はすぐ身近にいたのだが、この2007年が始まったころのオレはそれをまだ知る由もなかった!
■まえがき
坂本タクマと申す者だ。漫画家兼株式トレーダーと自称している。
あとから文句を言われても気分が悪いので最初にご注意申し上げておく。何を、とひと言で言えないところがもどかしいのだが、本書はいろいろと「間違えやすい」ことになっている。
この本は坂本タクマの『パチンコトレーダー』シリーズの第3弾だ。『初心者の陥りやすいワナ編』と『システムトレード入門編』の続きであり、いまだどこからも単行本化されていない、正真正銘の新刊だ。
こんなことを冒頭で言わなければならないのにはわけがある。
これほど流浪の遍歴を経た漫画作品もない。
連載している雑誌こそパチスロ系雑誌の「パニック7ゴールド」で変わりないものの、途中、タイトルが『ロクデナシ日記・株式編』から単行本発行に際して『坂本タクマの実戦株入門』に変わった。この単行本は当時パニック7誌を発行していた白夜書房から出た。その後、パニック誌はいつしかガイドワークス社から出るようになった。
そして、パンローリングから文庫本として再版される際に、『パチンコトレーダー』という新たなタイトルがつけられた。「パチンコ」の一語が入っているのは、作者がパチンコ打ち上がりだからだ。この文庫化にあたっては、白夜書房版を『初心者の陥りやすいワナ編』と『システムトレード入門編』の2冊に分け、未収録の稿を増補した。
判型も流転している。『坂本タクマの実戦株入門』として白夜書房から出た際にはちょっと大きめの漫画本サイズだった。それが、パンローリングの『パチンコトレーダー』になる際に文庫本サイズへと小型化された。そして本書、『パチンコトレーダー』シリーズ第3弾では、再び大きくなった。電子書籍版も含めれば、発行形態はなかなかの数だ。もはや古典文学のようだ。この一文は岩波文庫のまえがきのようだ。
このような状態であるから、作者本人としてもこの作品を何と呼ぶべきかすらよくわからない。
これを特に悲観はしていない。皆様に愛されるが故に、さまよいながらも、細々とではあるが発行され続けるのだ。
ようやく内容に触れる。
本書で描かれるのは、2007年と2008年の株式市場だ。あのとき相場にいた人すべてが生涯忘れ得ぬであろう、大崩落のあった時期だ。サブプライムローン問題がリーマンショックへとつながる、必ず教科書に載る時代の転換点を、坂本タクマがどう生きたか、という話だ。
こここそが、坂本タクマの黄金期だ。あのとき資産の大半を失った人にはけったくそ悪い話だとは思うが、こんなヤツもいたんだ、と何かの参考にしていただければ幸いだ。
2014年10月
坂本タクマ
■あとがき
東北楽天の星野仙一監督の退任セレモニーから2日後にこれを書いている。
今、本書を読み返してみれば、星野監督にはずいぶんなことを言っている。オリンピックという短期的な結果ですべてがわかったかのような顔をしたことは、少なくともシステムトレーダーとしては問題だったことを認め、反省し、お詫び申し上げる。
まさかその後、星野氏が楽天の監督になり、しかも日本一にまで導いてくれようとは、当時は夢にも思わなかった。身の縮む思いだ。
まさかといえば、本書でこれほどまでに増長していたこのオレが、数年後、まさかあんなふうになるとは……。
ではまた、第4弾でお会いしましょう!!
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