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株の適正値を知って、あなたは株を買っていますか

株の適正値を知って、
あなたは株を買っていますか

著者 モーちゃん
A5判 ソフトカバー 184頁
定価 本体2,800円+税
2006年06月15日発売
ISBN4-7759-9033-0 C0033

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目次読者のご感想
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日本経済新聞社「日経ヴェリタス 第112号」(2010年5月2日発行) に「カリスマ個人に株投資を学べ〜投資環境の似た彼らにこそ、学ぶべきヒントがある」として、本書の著者モーちゃん氏の投資法が紹介されました。

日経ヴェリタス 第112号(2010年5月2日発行)

本来800円の株をわざわざ1200円出して買わないための方法。
株の適正値(=本来の値段)を知ることで
「真のバリュー投資」の世界へ踏み出しましょう!

 ものごとには「適正」というものがある。別の言葉で言い換えれば「身の丈」ということになるだろうか。
 この「ものごとには適正がある」は、もちろん株にも当てはまる。ただ、厄介なことに、株の場合は、その時々の人気により価格が変動する。値段が固定で決まっていないわけだから、スーパーで野菜を買うようなわけにはいかない。事実、「昨日100円だったものが、今日は120円」ということが頻繁に起こる。ときには、昨日100円だったものが今日は200円になることさえある。こういうことが毎日続けば、「本当の値段はいくら」なのかつかみにくくなってくる。
 ここで、登場してくるのが「適正値」の考え方である。これは、過去のEPSやBPSに注目しながら、収益面・資産面の両方の観点から株本来の値段を導き出そうというものである。適正値を求める計算式(公式)自体は「足し算&掛け算&割り算」ができれば、誰にでもできる簡単なものである。

 適正値を知り、適正値(またはそれ以下)で投資できれば、株式投資の基本である“安く買って、高く売る”も難しくはないはずだ。いや、極論すれば、「損するほうが難しくなる」はずである。
 適正値という“宝”を懐に忍ばせて、今こそ、真のバリュー投資の世界へ!


目次

はじめに

第1の扉 キーワードは適正値

第2の扉 銘柄選択術をマスターする

第3の扉 適正値を計算し、買い時を知る

第4の扉 売り時のコツをマスターする

第5の扉 あなたの持ち株の適正値を計算してみましょう

第6の扉 景気の転換点を知って、大きな資産を形成しましょう

付録


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はじめに

 株で儲けるにはどうすればよいかという質問に対して、本当に適切に答えられる人が、どのくらいいるでしょうか。
 私は35年以上の投資経験から、独自の株価の適正値算出法をあみだし、好業績の成長銘柄にその適正値以下の価格で投資するという方法で、最近では運用資産を4年で4倍以上のペースで増やしてきました。
 この方法は“決して損をしない投資”ということに最も力点をおいています。“株で儲ける法”については多くの人が書いたり講演したりセミナーを行ったりしていますが、“株で損をしない投資法”という視点から書かれた本は見たことがありません。ほとんどが儲けるためにはどうするかといった類の本ばかりです。  それらは目先の利益に目がくらんでいる個人投資家に、ただ本を買ってもらうためだけに書かれているとしか思えません。

 多くの個人投資家が初めの頃うまく儲けることができても、だんだん自信過剰になって大胆になり、最後にはそれまでの儲け以上の損を出して株式市場から撤退するというケースが後を絶ちません。この現象は、目先の利益を追いかけるだけの株本を読んで株価の適正値も知らずに安易に投資してしまった結果です。
 そういう何度も繰り返されてきた過去の失敗から抜け出るためにも“損をしない投資のしくみ作り”が求められていると思います。

 私は、三菱商事でサラリーマンとして働いていた時代も含めた投資人生で、どんな大事件が起きても、またブラックマンデーの再来があっても動じないで、枕を高くして眠っていられる投資法はないものかと書物を読み漁り、試行錯誤を繰り返しながら探し続けました。そしてついにその画期的な方法にたどり着いたのです。
 30年ほど前に一度だけ大きな損失を出した経験がありますが、今はこのシンプルな方法で日々の株価の動きに惑わされたりすることなく、枕を高くして眠りながら着実に資産を増やしている最中です。

 この本を書くにあたっては、手前ミソになるかも知れませんが「こんなにすばらしい投資方法を紹介するのは、ラーメン屋さんがスープ作りの秘伝を公開するのと同じではないか」とか、「身近な者だけに教えればよいではないか」といったことで大変迷いました。が、今後の年金問題を考えたときに、避けては通れない投資の世界で、一般の人たちが安心して資産を増やすことができるようにとの願いをこめて、出版を決めました。  優良成長銘柄は日々売り買いをしなくても適正値で買っていれば、時間と共に利益が増え株価は上昇していくのです。日々一喜一憂することなく待っていさえすれば資産は増えていきます。

 プロを相手に戦っても決して負けない投資法を、これからご紹介します。ぜひ最後までお読みになり、これからの投資人生に役立てていただけたらと願っています。  なお、本書はこれから株式投資を始める方はもちろん、すでに投資生活を送っている方にも持っている株の診断やこれからの投資方法として大いに役立てていただけるものと確信しております。


◆だれでもお金持ちになれる

 以前何かの本で、億万長者になるための8つの方法を読んだことがあります。

1)親から遺産を相続する
2)お金持ちの相手と結婚する
3)宝くじに当たる
4)芸能・スポーツ・作家・画家・アーティストなどの世界で有名になる
5)開業医になる
6)特許などのライセンスを取得する
7)ビジネスを成功させる(創業10年で9割の企業がつぶれているという統計数字もある)
8)事業に投資する(株式の長期保有)

 これらをよく見ると、強運でもなく才能がずば抜けているわけでもない我々凡人には、「事業に投資する」という方法しかないことがわかります。別の言い方をすれば我々凡人にも億万長者になれる可能性があるということです。すばらしい会社の株式を購入し、その企業にたくさん儲けてもらって、そのおこぼれを頂戴するわけです。  財務や経営といったファンダメンタルズの勉強は多少なりとも必要になりますが、銘柄と買値を選ぶことさえ間違わなければ“億万長者への道”が開かれるのです。


◆株式投資が成功への安全な近道

 さて、先にもお話ししたとおり、株式投資とは、必要な勉強をきちんと習得してから始めれば、会社勤めをしながら、低リスクで、あまり手間をかけずに大きな果実を手にすることができる方法です。株主は会社の部分所有者であり、会社が稼いだ純利益は本来すべて株主のものです。その証拠に、会社が稼いだ純利益以上の金額を配当金で株主に分配した会社がありました。皆さんご存知のケンタッキー・フライド・チキンです。  一から会社を立ち上げて自分で事業を始めるより、すでに成功をおさめ、設備も人材も揃っている優良な上場会社に投資するほうがよっぽど安全です。自分の会社の経営を他人に任せていると思っていればよいのです。


◆個人投資家の陥りやすいワナ

 私たちが資産を増やすには、株式市場はすばらしいところなのですが、その本質を知らないまま入ると大きな落とし穴にはまります。長い時間をかけてコツコツ貯めた虎の子を、いとも簡単に減らしてしまうどころか、破産にさえなりかねないのです。最初に申し上げたように、ちょっと儲かったからといって調子に乗ると、人生が大きく狂ってしまいます。

 では、その株式投資の落とし穴はどこにあるのか、わかりますか。  私が見てきた経験から考えると、多くの場合、知人や友人といった身近な人たちの「株で簡単に儲かった」という声を耳にして、それに大きく影響されてしまうことだと思います。「あの人が儲かるくらいだから、自分だって儲けられる」。そういった単純な動機で、基礎知識もないまま株式投資を始めてしまう人がけっこう多いようです。特に最近のネット投資家たちはそういう方がほとんどではないでしょうか。  それが大きな落とし穴の入り口なのです。


【そして個人投資家は錯覚する】

 もしあなたが、人から勧められて投資した100万円が運良く150万円になり、次に150万円が200万円に増えたとします。そうすると突然の大きな利益にすっかり有頂天になってしまうでしょう。そして自分には株式投資の才能があるのではないかと錯覚してしまいます。あまり勉強もしていないのに、自分の意見をもつようになり、資金を増やせば利益もさらに増えると考えます。定期預金を解約し、信用口座を開くでしょう。そして株価の上昇に目を奪われ、回りの人たちの株の盛り上がりに、さらに強気になって信用取引限度いっぱいの株を買ってしまうかもしれません。するとどうなるでしょう。

 皮肉なことに投資額を増やしたり、信用取引で限度額まで買ったりした途端、暴落が起きたりするものです。下落も短期ですめばいいのですが、思ったより長く続くと初めての経験ともっている株に自信がないために「持ち株が紙切れになってしまうのではないか」といった不安や恐怖でいっぱいになります。そして思いがけないほど安い値で手放したりしてしまうでしょう。


【個人投資家の敵は個人投資家?】

 株は上昇期に入っているからだいじょうぶだ、などと安心してはいけません。こういう事態は何も下落相場に限ったことではないからです。好景気が続き上昇トレンドにある時でも起こります。それどころか、株の本質を理解しないまま市場に参加している個人投資家が激増している今こそ、そのような事態が起きやすいとも言えます。

 例えば、小型株に人気が集中して株価が暴騰している時に「トレンドに乗り遅れてはいけない」とさらに値上がりを期待して購入したとします。ところが、市場では「小型株はそろそろ天井だ。次は割安に放置されている大型株だ」という動きになり、そちらに資金移動が起きたりします。そうなると大変です。小型株は株数が少ないために、上がる時も急ピッチですが下がる時はさらに加速して、適正値を割り込んで下がったりするのです。

 デイトレーダーたちは、いっせいに逃げ出します。もともとその銘柄を検討し成長が期待できるという理由で買ったわけではないからです。その逃げ足の速さについていけないと、株価の頂上ではしごを外され置き去りにされてしまいます。そうなるとこのまま何年も頂上で助けを待つか、ケガを承知で飛び降りるかしかなくなるのです。そして、大きな痛手を負って株式市場から撤退する人もいれば、さらに深みにはまり資産を失う人さえいます。これらが多くの個人投資家が陥りやすいワナなのです。


第1章 適正値とは、株式投資で失敗しないためのキーワード

1 現在の株価が適正かどうかを調べているか

 液晶テレビが発売された当初、ほとんどの人が何十万円もする高価なテレビを見て、「別に今買わなくてもブラウン管テレビで充分間に合っているから、いずれ安くなったら買おう」と理性的に判断できていたように思います。

 にもかかわらず、こと株に関しては冷静に、かつ理性的に判断できていないことのほうが多いと思います。事実、その株の現在値が高いのか安いのかわからないまま、「チャートで買いシグナルが出た」とか、「今年は猛暑だから飲料メーカーの株が上がりそうだ」とか、「画期的な技術を開発したから近い将来、このメーカーの株が上がりそうだ」といった曖昧で思惑的な理由で買っているケースがほとんどではないでしょうか。あなたにも思い当たるフシはありませんか?

 そのような理由で買うこと自体にも問題がありますが、それ以上に問題なことがあります。何がいけないのか、わかりますか? お教えしましょう。  「現在の株価が適正かどうか」という点を無視していることが大問題なのです。自分が買おうとしている株の値段は、本当に妥当な値段なのか。高すぎてはいないだろうか。そういうことをしっかり検討しないと、最終的に株式投資で利益を上げることは困難になります。

 もう一度、あなたに質問します。あなたは、その企業の“本当の価値(株価)”で買っていますか? その自信がありますか?

2 適正値を無視すると……

 仮に、何となく単純な理由である銘柄を買ったとします。目先は問題がないかのように見えていたのですが、あるとき、暴落が起きて株価がみるみる下がり始めたとします。この事態になってはじめて、多くの人は気づくのです。「自分は高値で買ってしまったのではないか」と。そして、ひどい目にあった結果、「やっぱり株は怖い」と言って、真の原因を追究しないまま株式投資から撤退してしまうのです。最悪なのは、何年か後、自分のまわりで「株で儲かった」という声を耳にすると居ても立ってもいられなくなって、また何となく株を買ってしまい、再び同じ過ちを繰り返すケースです。

 適正値を無視した結果、株価に翻弄されるというケースも考えられます。株価はたえず上下に変動しています。そして思惑や事件などで大きく下げたりします。そのとき、適正値で買っていないと、株をもち続けられないのです。下落の恐怖に負けて自分の思いとはかけ離れた大底の値段で売ってしまったりするのです。何となく株を買うということには、そういう危険がついてまわるのです。

3 株式投資の基本は適正値を知ってこそ成り立つ

 株式投資の基本は、“安く買って、高く売る”ことです。この基本を安心して実行するためにも、「とらぬ狸の皮算用」をするのではなく、「株価の適正値はいくらなのか」という点に焦点をあてて行動してください。

 適正値とは、言い換えれば、「株価が高いか、安いか」を判断するための「ものさし」なのです。適正値以下ならば「買い」、適正値を上回っているならば「見送って待つ」。こういう使い方をすれば、“安く買って、高く売る”という株の基本を簡単に実践できるでしょう。先に述べたような失敗を繰り返すこともなくなるはずです。  株式投資の基本である“安く買って、高く売る”は、適正値を知ってはじめて成り立つものなのです。


読者のご感想

以前から、株価の割安、割高というとき、何を基準にするのかが疑問でしたが、この本で1つの目安を持つことができました。 (H.A 様 38歳)

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