何かを過度に心配するというのは、それ自体が悪い習慣の一つであるうえに、いまや不安は現代の伝染病だ。本書はその悪癖に対処するための研究結果の集大成だ。不安と習慣はつながっている。悪い習慣―不安と強く結びついて生じ、不安によってさらに悪化するような習慣―の克服を支援するプログラムをつくることができた。
本書は、私の精神科医としての臨床経験や、研究、コンセプトのエッセンスを詰め込んだものだ。そこにはマインドフルネストレーニングがいかに習慣を変えるかの根拠と実例を載せている。
たとえば、治療必要数(何人治療すれば1人に効果が出るか)という指標NNTがある。不安に対する効果が高いものとして普及している手法で広く処方されている抗うつ薬は、5.15だ(その薬を5人強に飲ませれば、効果が出る人が1人はいるということ)。宝くじのようなもので、薬を飲んだ5人のうち1人だけが当選する(症状が有意に軽減する)。
一方、私たちが研究でおこなった治療のNNTは1.6だった。この数値に、私は臨床医として感激した。2枚も買わなくても1枚は当たる計算だ。同じ枚数宝くじを買っても当たる人が多いということだ。
本書は、あなたが自身の抱える不安に対する認識を変え、それとうまくつきあえるようになるための、実践的なガイドになるだろう。さらに、望ましくない習慣や、何かに対する依存を断ち切るのにも有効なはずだ。(本文より抜粋)
以下に本書の概略を示すので、それを念頭に置いて読み進めてほしい。
原題: Unwinding Anxiety: New Science Shows How to Break the Cycles of Worry and Fear to Heal Your Mind by Judson Brewer (Author)
PART0 脳の仕組みを理解する 第1章 不安が蔓延する時代 第2章 脳の学習メカニズム 第3章 現代の依存症 第4章 不安は習慣化する
PART1 心の習慣を見つめる 第5章 マインドマッピング 第6章 意志の力に頼るな 第7章 不安をめぐるニセ科学 第8章 マインドフルネスの科学 第9章 心の習慣とパーソナリティ・タイプ
PART2 脳の情報を書き換える 第10章 脳のメカニズムを知る 第11章 心のジムで鍛える 第12章 過去に縛られず、過去から学ぶ 第13章 変えられないものを変える 第14章 習慣は何日で変えられる?
PART3 脳を喜ばせる 第15章 もっと大きく、もっと良いもので心を満たす 第16章 好奇心の科学 第17章 好奇心で不安が消える 第18章 RAIN―平常心を保つ方法 第19章 慈悲の瞑想 第20章 「なぜ?」と問いつづけても答えはない 第21章 ネガティブな思いにとらわれる必要はない 第22章 マインドフルネスの効果の証拠 第23章 不安と決別する エピローグ よりよい社会の心の習慣 付章 医師のストレスと不安を改善する試み
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不安・悪い習慣という一番頭を悩ませることの代表格に対処する方法、その理論的裏付けがとても読みやすく、わかりやすく親しみやすい口調で書かれていてスバラシイ。
(札幌市 A様)
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