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なぜ巨大企業はウソをついたのかエンロンが見せた虚像と実像
原作:清水昭男 作画:広岡球志 定価 本体648円+税 文庫判 192頁 2008年1月上旬発売 ISBN 978-4-7759-3045-8 C0133
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粉飾決算を背景に、大企業が次々と大型の破綻劇を演じた2000年代初めは、20世紀的な「株式会社」神話が崩壊を始めた時代であるとも指摘されています。企業の事業内容がソフト化してきている今日、規模と量を最大化するための企業形態であった「株式会社」に矛盾が生じているという見方です。
エンロンが、新しい形の収益構造を追及した会社であったのは事実です。しかし、結局のところそのビジネスモデルは、「規模と量の最大化する」ことでした。このモデルを効率的に運営するため、エンロンは「株式会社」という企業形態を最大限に利用したのでした。そして、会計措置の公私混同や取り繕いなど、極めて人為的に破綻もたらした部分も多いなか、エンロンには「株式会社」に生じている矛盾を埋めることはできませんでした。
ビジネスモデルは常に新しく、新陳代謝を繰り返しています。「株式会社」に生じているとされる矛盾を克服するには、そんなビジネスモデルを運営するための全く新しい発想(=会社「革命」)が必要であることを、企業破綻は訴えているのです。
IBMを抜き、全米優良企業の7位に選ばれたほどの大企業に成長したエンロン。しかし電気・ガス・水道などのエネルギー産業の発展という理想のうらには、投資家だけではなく、政界や国民をも巻き込む大きな“からくり”があった。資金を作り出すために新たな会社を作り、その会社を持続させるために株価を安定させ、その株価を維持するために数字を操作し続けるという、他者からは見えないブラックホールがそこには存在したのだ。
巨大企業が陥った史上最大級の粉飾決算とは!
作画:広岡球志(ひろおか・きゅうし) 1942年1月8日生まれ。福岡県出身。講談社「少年クラブ」でデビュー。以後少年誌、青年誌で執筆。代表作は『いわしの歌』『熱球ジャングル』『笛吹童子』『カリガリ博士』『新造人間キャシャーン』『つっぱり草野球』など多数。東映動画スタジオ2期生。虫プロダクションでアニメーターとして活躍していたこともあるベテラン。近著に『マンガデイトレード入門の入門』『マンガ三猿金泉秘録』(パンローリング)がある。