著 者 ジェフリー・A・ハーシュ
監修者 長尾慎太郎
訳 者 山口雅裕
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いかなるときでも、株式市場の方向性を予測するのは、不可能とは言えなくとも大変難しいものだ。しかし、市場に明確で予測できる周期的なパターンがあることもまた事実である。例えば歴史的に見ると、株を保有する最高の半年は11月から4月までであり、10月か11月に買って4月か5月に手仕舞えば、利益を増やしつつ、リスクを大幅に減らすことができる。市場について、ほかにどういう重要な教訓が歴史から得られるだろうか? 投資戦略を最適なものにするために、知っておくべき重要なサイクルやパターンは何だろうか?本書でそれを見つけてほしい。
著者は相場のサイクルや季節性に関する卓越した権威であるジェフリー・ハーシュである。ハーシュ・オーガニゼーションが50年にわたって行ってきた綿密な歴史調査と市場分析に基づいているので、読者は相場のサイクルや、それが生じる理由が分かるだろう。さらに重要なことだが、本書はサイクルに基づくトレード戦略や投資戦略でも、時の試練に耐えてきたものを公開している。これによって、強気相場でも弱気相場でも、またそのほかのあらゆる時期でも毎年、市場平均を上回るリターンを得る力を劇的に高めることができる。
伝統的な株のバイ・アンド・ホールド戦略に代わる、安全で証明された戦略を探しているのなら、この本はあなた向きだ。簡潔で良識ある指針を示す本書の内容は次のとおりだ。
時の試練に耐えた、単純で使いやすい投資戦略を提供した本書は、歴史から学んで、手にした教訓から利益を上げる絶好の機会を提供している。
――サム・ストーバル(S&PキャピタルIQの株式チーフストラテジスト)
「ストック・トレーダーズ・アルマナックは46年間、市場の盛衰を記録して、最も信頼できる歴史の見方を示し、相場のサイクルに関するバイブルであり続けた。私は相場サイクルの研究家なので、素早く参照できるようにアルマナックを机の近くに置いている。今回、ジェフ・ハーシュは日々のノイズから重要なサイクルを識別する手助けとするために、長年の知恵を選び抜いてこの小さな本にまとめ上げた。この本はベテラン投資家にも投資を始めたばかりの初心者にも、ボラティリティの霧をくぐり抜けて、自信に満ちた投資に至る道を見抜く助けとなるだろう」
――ジョン・モールディン(『わが子と考えるオンリーワン投資法』の著者、ミレニアム・ウエーブ・アドバイザーズ社長)
「私はハーシュが書くものすべての熱心な読者だ。過去と未来について書かれたこの新しい力作も例外ではない。アマチュアであれプロであれ、ほとんどの投資家にとって目を見張る書であるはずだ」――ケン・フィッシャー(『ケン・フィッシャーのPSR株分析』 『投資家が大切にしたいたった3つの疑問』『チャートで見る株式市場200年の歴史』の著者、フィッシャー・インベストメントCEO)
――ラリー・ウィリアムズ(『ラリー・ウィリアムズの短期売買法【第2版】』の著者、伝説的なトレーダー)
実際、私たち投資家はこの親子の努力と慧眼に多くのものを負っている。今でこそ、あまたの投資家がマーケットの季節性やアノマリーの重要性に着目するようになったが、これらはすべて「アルマナック」から始まったのである。ちょうどビル・ジェームズの個人的な業績である「ベースボール・アブストラクト」が、セイバーメトリクスを生み、さらにはメジャーリーグの野球そのものに革命をもたらしたように、ハーシュ親子は統計的分析によって株式投資の世界観を大きく変えたのだ。
本書は、ハーシュ親子の長年にわたる研究・分析の集大成である。とは言っても、ここで使われている統計的指標は「平均」だけだ(驚くことに、一般的によく使われる「分散」すらも登場しない)。したがって、子供でも分かるくらい内容は簡単である。しかし、複雑であることが正確さを意味しないのと同じように、単純であることは本書の価値をいささかも減じるものではない。むしろ、しっかりした知識に裏づけられた解説によって、本書の内容はほとんどの相場書をはるかに凌駕している。これを読むと、株式投資に真に必要なのは、小難しい理屈などではなくて、自律的なものの見方・考え方と素直な行動様式だと思い知らされることになる。ぜひ「アルマナック」と合わせてお読みいただきたい。
翻訳にあたっては以下の方々に心から感謝の意を表したい。翻訳者の山口雅裕氏は分かりやすい翻訳を、そして阿部達郎氏は丁寧な編集・校正を行っていただいた。また本書が発行される機会を得たのはパンローリング社社長の後藤康徳氏のおかげである。
2013年2月長尾慎太郎
そして、テクニカルアナリストたちなんて幽閉して、子供たち(それに、子供のように行動する投資家やトレーダーたち)から遠ざけるべき魔法使い同然なのだとみなしている。
ところが、ファンダメンタル分析に基づく投資家である私がここで、そのテクニカル分析をしているのだから。
実のところ、投資という仕事は複雑である。投資をピラミッドとみなして、それぞれの面が異なる手法を表していると考えよう。すると、ファンダメンタルズと株価評価とテクニカル分析が得られるのだ。
本書の著者であるジェフ・ハーシュがこの本で雄弁かつ簡潔に発表していることは、「テクニカルズ」と呼ばれる、証券に対する影響である。
ウィンストン・チャーチルはかつて、「過去を遠くまで振り返ることができるほど、未来を遠くまで見通せる」と書いたが、ハーシュの思慮深い本書はチャーチルのこの言葉を手掛かりにしている。
ハーシュが書いたように、株式市場の歴史から得られる教訓は貴重だ。昔から続くパターンを調べると、未来のトレンドが一層明らかになる。逆に、歴史を振り返ることを避けると、投資の健全性を大きく損なう恐れがある。
ミスターマーケットと付き合うのは簡単ではない。マーケットの歴史やそのサイクルのリズムを分析するのはやさしい仕事ではない。ましてや、ハーシュのような仕事をするのは特に難しいのだ。人間行動や休日、選挙、季節、暦が株式市場の方向に影響を及ぼす際にどういう役割を果たしているかを判断するには、慎重な観察と批判的思考が必要だ。平和と戦争の役割でさえ、彼の分析にはうってつけの材料だ。
そして、彼は2010年5月に、株式市場に超強気相場が訪れるという途方もない予言をしている。彼はダウ平均が3万8820ドルまで上昇するかもしれないと考えているのだ!
彼がどうして2017年から2018年の間に新たな強気相場が始まると考えるのかを知るとよい。彼の信念は固く、推理は堅実に思える。
本書で彼は時の試練に耐えてきた市場パターンをどう利用すべきかについて、良識あるメッセージと貴重な教訓を示している。個人投資家も機関投資家も注目したほうがよい。
結局、過去を思い出せない人は、同じことを繰り返すしかないのだから!
ダグラス・A・カス(シーブリーズ・パートナーズ・マネジメント)
私の父イェール・ハーシュによって1966年に創刊されたストック・トレーダーズ・アルマナックを編集するとき、私はこの言葉をリサーチの基礎にしている。歴史的な視点に立って市場の分析や研究をすれば、現代の市場の動きやイベントも歴史的文脈で見ることができる。短期トレーダーであれ長期投資家であれ、年月や季節に現れるパターンや傾向を知っておくと役に立つ。
本書は、ストック・トレーダーズ・アルマナックが50年近くにわたって、苦心して綿密に調べ上げてきた指標やパターンや季節性のうち、最も有効なものをまとめたものである。市場の歴史を学ぶ人は、きっとそれから利益を得るはずだ!
トレードや投資で成功するためには、市場が通常どのように振る舞うのかを理解しておかなければならない。長期トレンドが強気のときでも弱気のときでも、ウォール街は時の流れに支配された、予測可能なリズムに合わせて動いている。例えば、4年ごとの大統領選挙や四半期末のポートフォリオの入れ替え、オプションの満期日と先物の納会、税務申告の期限、休日など、繰り返されるイベントはトレーダーや投資家に分かりやすい影響を及ぼす。
請求書の支払い、夏休み、休日の買い物、給料からの年金の天引きといった人々の日常は、マーケットに消すことのできない影響を及ぼす。人は習慣に縛られているものだ。仲間のトレーダーや投資家の習慣を知れば、かつては単なる偶然と片づけていた市場のイベントも、結末が明らかな展開に見えるだろう。「高頻度」トレードや4Gスマートフォンによるコミュニケーションが当たり前となった今日の世界においてさえ、昔ながらの日々の生活規則のほうが優勢で、株式市場の日中の動きを形成しているのだ。
私たちの祖先がウォール街のアメリカスズカケノキの下に集まって、株を売買し始めたとき以来、市場外のイベントは国内で起きたか海外で起きたかを問わず、市場に影響を与えてきた。地政学的に激しく揺れ動く今日において、平和時の市場と戦時の市場との違いを理解できない投資家は良いカモになるだけだ。市場が毎回同じ反応を見せることはけっしてない。だが、過去にどういう動きをしたかを知っておけば、将来に危機が起きたときに、エッジ(優位性)が得られるだろう。
しかし、パターンや傾向は移り変わるものなので、これは精密科学とは異なる。文化の大きな変化や科学技術は、市場とその性質に重大な影響を及ぼしてきた。8月は農業のおかげで、1900年から1951年までは1年で最高の月だった。しかし、農家がアメリカ国民の2%に満たない現在、8月は最悪の月のひとつになっている。科学技術の進歩によって出来高は増え、市場の反応スピードも著しく上がった。1965年にはNYSE(ニューヨーク証券取引所)の1日の出来高は数百万株だったが、現在では数十億株にまで増えている。
株式市場が過去にどう動いたかを頭にたたき込んでおけば、主要な天井と底で現れるモメンタム(勢い)の変化をこれまで以上に見極めることができる。また、トレードは前よりも実り多くて利益を出せるようになるし、長期投資でもより早く安全に資産を増やしていけるだろう。この本は、市場の動きとそれをどうやって投資戦略に取り込めばよいかを伝えるものだ。
パトリック・ヘンリーが「自由を与えよ、然らずんば死を与えよ」という有名なスピーチの中で言ったように、「過去によらずして、未来を判断する方法を私は知らない」。市場のサイクルやパターンは過去とぴったり同じことを繰り返すわけではない。しかし、宇宙の自然現象と同じように、それらは確かに極めて似通っている。
何が市場を動かすのか、また、人の営みや文化活動のパターンに市場はどう反応するのかについて、私は限られた紙数の範囲内で基本的な枠組みを説明した。私は厳密なカウントシステムを用いる、相場サイクルの独断的な理論をやみくもに受け入れたりしない。スタンダード・アンド・プアーズ社で働いている私の親友サム・ストーバルと同じように、私は歴史を指針として使うのだ。
株式市場に現れるサイクルは厳密なものではなく、科学であると同時に芸術でもあるということを、常に忘れないようにしよう。大衆に向かうことだ。特定のサイクルか水準の影響を受けているとか、特定の結末に向かって動いていると、皆が一致して強く確信しているときには、相場は進路から揺れ出て、市場参加者のほんの一部の人しか予想していない動きをしやすいものだ。
これらのサイクルやパターンを投資心理やトレード心理にしっかり組み込んだら、現在の市場のさまざまな要素に目を向けなければならない。常識やテクニカル指標、ファンダメンタルズ、逆張り思考を駆使すれば、将来の成功が期待できるだろう。
慎重にトレードをして賢明に投資し、歴史を案内役に使おう!
■まえがき
ファンダメンタルズ志向の投資家がテクニカル分析に特化した本のまえがきを書くとは奇妙だ、と思われるかもしれない。結局のところ、ファンダメンタル分析に基づく投資家の多くは、テクニカル分析なんて占いにすぎないと見ている。■はじめに
簡単にトレードや投資ができるようになる魔法の公式はどこを探してもない。リサーチと経験とかなりの運に取って代わるものなどないのだ。しかし、投資家が損失を減らしてリターンを増やすために使えるトレード法ならある。19世紀の哲学者ジョージ・サンタヤーナはかつて、「過去を思い出せない人は、同じことを繰り返してしまう」と言った。
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