■学習しなければならないこと(これだけ学べばよい)
コールを買うべきかプットを買うべきかの判断
売買タイミングの判断
権利行使価格選択の判断
限月(げんげつ)の選択
オプション価格の割安・割高の判断
損切りの方法
ヘッジのやり方
オプションの売りと買いを同時に執行する「スプレッド取引」
■講師/増田丞美(ますだすけみ)
1985年に米コロンビア大学大学院を卒業後、野村証券会社、モルガンスタンレー(ロンドン現地法人)を経て、海外ヘッジファンドでデリバティブによる資産運用に携わる。現在、日本ユニコム株式会社にてオルタナティブ投資の開発・運用に従事。代表的な著書に『日経225オプション取引 基本と実践』『オプション売買入門』、
『オプション売買の実践』、訳書に『カプランのオプション売買戦略』、『トレードとセックスと死』、ビデオ・DVDに「オプション売買入門セミナー」、「<第2回>オプション売買入門セミナー」などがある。
■上達するコツ
面白みもなく当然のことですが、株式投資などマネーゲームにおいて、最も重要なことであり、日経225オプション取引においては、より顕著にその結果がでるでしょう。
1,オプションという金融商品のしくみや取引機構ををとく理解すること
2,ゲームのルールをよく理解すること
3,資金管理を怠らないこと
セミナーでは、誰もが理解するため質疑応答の時間をたっぷり確保します。分からないことは徹底的に質問ください。
一般投資家がオプションについて持つ誤った考え 執筆/増田丞美
一般的なオプションの教科書には「オプション取引はリスク限定、利益無限大」
と書かれています。(この場合の「オプション取引」とは、明らかにオプション
買いを意味しています。)このような考えを持つことは危険であると言わざるを
得ません。一般投資家がオプションに関して抱く誤った考えはこのような
「リスク限定・利益無限大」の謳い文句から出発しているようです。
一般投資家のほとんどがオプションを売買する理由はとして、
(1)リスクが限定されていること
(2)小さな資金で大きな利益が期待できること(レバレッジ性)
の2点を主としてあげるようです。これは、一般投資家でオプションを取引す
る人のほとんどがオプション取引においては買い手になることを暗示しています。
筆者は、このような理由でオプション取引を始めた投資家のほとんどは結局は
死に至る運命にある、と思っています。オプション売買を少しかじると、オプ
ション取引は売りのほうが儲かる確率が高いと思うようになり、闇雲にオプシ
ョン売りばかり仕掛けるようになります。このような投資家も実は死と向かい
合わせの立場にいるのです。本章では一般投資家がオプション取引について持
つ誤った考えや概念について述べます。このような誤った考えを払拭しなけれ
ば、オプション取引において成功はおぼつかないといえます。
(1)リスク限定
オプションを買った場合、投資家が負う最大損失は限定されている、というこ
とは議論の余地がありません。全くその通りです。すなわち、オプションを購
入した投資家が負う最大可能なリスクはオプション購入のために支払ったプレ
ミアムに限られる、ということです。ということは、オプション購入の場合、
投資家は自分が仮に損をしてもいくらまでである、ということが予めわかって
いるということです。このようにリスクが限定されていることは投資家にとっ
て有利に働くでしょうか。答えは否と言わざるを得ません。ある投資家が全資
金を投入して、Call あるいはPut を購入したします。これらのオプションプレ
ミアム(=オプションの買い手の最大可能リスク)はゼロになる可能性があるの
です。
すなわち、投資家(この場合、オプションの買い手)は文字通り「限定されたリ
スク」である自分の投下資金を全て失う可能性があるということです。より平
たく言えば「リスクが限定されている」理由からオプション取引を行う投資家
は破産する可能性があるということです。
株式投資の例をあげます:"会社A"の株を500円/株で購入したとします。もし
"会社A"が倒産すれば、株価は最終的にゼロになります。これは購入した Call
オプションがゼロになった場合と同じです。つまり、株式の現物購入も原理は
「リスク限定利益無限大」のオプション購入と同じなのではないでしょうか。
株式の現物購入の場合も予め最大可能損失(=投下資本)がわかっています。
つまり、「リスク限定」であるわけです。
オプション購入と株式の現物購入の違いは、一つには株価がゼロになること
(投資した会社が倒産すること)は確率的にはきわめて小さいのに対して、購入
したオプションの価格がゼロになることは(選択した行使価格によりますが)頻
繁に発生するということです。第二に、オプションには期限があるのに対して、
株式の現物売買は無期限である、ということです。
結局、「オプション購入はリスク限定である」ということは、あまり助けにな
らないようです。
(2)レバレッジ性
レバレッジ性とはてこの原理です。オプション売買とは売りまた買いの権利の
売買で先物や現物そのものの売買ではありませんので、そのレバレッジ性には
計り知れないものがあります。
例えば、SIMEX ・日経225 ・オプション8月限先物の8月11日(最終取引日前日)
現在の価格を仮に17,500円とします。
この時、権利行使価格18,000 円の Call の価格を5円で1枚購入したとします。
翌12日の最終取引日に、日経225先物が1,000円急騰したとします。
5円のコールは、なんと500円、つまり100倍になります。
上記の例のように、オプションにはとんでもないレバレッジ性があります。
しかし、上記のような事象が起こる確率はどうでしょうか。経験的にきわめて
小さいといえるでしょう。
レバレッジ性やオプション価格が安いというのは、必ずしもオプション取引の
よい理由にはならないのです。
(3)「 Call か Put を買って、相場が思惑の方向に動けばいつでも利益になる」
一般に、投資家は相場の将来の動きが自分の思惑の方向に動けば儲けることが
できると考えています。確かに、先物売買や株式投資ではこの通りです。
しかし、オプション価格は時間価値と本質価値から成っており、オプションの
買い手は多かれ少なかれ、時間に対して代償を払っています。そして、時間価
値は毎日逓減しているのです。
相場が十分な動きをしなければ、仮に相場が思惑の方向に動いたとしても、利
益にならない場合が起こり得るのです。
(4)「オプションは売れば儲かる」
オプション売買をある程度経験すると、オプションは売りの方が有利であると
思うようになり、闇雲にオプション売りを仕掛ける投資家がいます。確かに、
オプションは売って利益になる確率の方が高いのですが、「オプション売り有
利」を盲目的に信じる投資家は、オプション売りによって蓄積した利益を一瞬
にして失うどころか、それ以上に損失を出す局面に出くわすことになるでしょ
う。
その理由は、オプション売りによって得る利益は最大でもオプションプレミア
ムに限定されるのに対して、最大可能損失に制限がないからです。結局、リス
ク管理が十分でなければ、利益になる確率が圧倒的に高いオプション売りで売
りでさえ、最後に待ち受けているのは「破産」という二文字なのです。
以上、オプション売買について一般投資家が持っている誤った考えや概念につ
いて述べましたが、では、一体オプション売買のメリットは何のでしょうか。
オプション売買では、
・ポジションの組み合わせによって、利益になる確率を高めることが可能です。
・比較的容易に損失をコントロールすることができます。
・リスク管理がし易い売買戦略をとることができます。
・相場の将来の動き対する予想(思惑)がはずれても利益を得る可能性があります。
つまり、先物売買や株式投資にはない、優位性のある売買ポジションを取るこ
とが可能なのです。筆者がオプション売買を好む理由はここにあります。
補足的な説明として、「ベースボール論」(あくまで筆者が勝手にネーミング
しているだけです)について述べます。
ベースボール(野球)において、3塁打やホームランは頻繁に打てるものではあ
りません。ましてや、満塁ホームランはめったに打てないでしょう。これはオ
プション売買にたとえるなら、購入したオプションの価格が2倍、3倍あるいは
上記例に示したような100倍にもなるようなものです。オプションの買い手は
当然自分の購入したオプションの価格はそのように数倍も上昇することを頭に
描いていると思われます。
しかし、です。 ご存じでしょうか、日本のプロ野球でも米国のメジャー・リ
ーグでもホームランバッターは三振の数が多いことを?投資の世界では、大き
なリターン(収益)を目指せば当然それに見合う分リスクも大きくなるわけです。
オプション売買では、買い手はホームランバッター以上に大きなリスクを取る
ことになります。「リスク限定」と謳われているオプション買いは実は積極的
な(攻撃的な)売買戦略なのです。
一方、オプション売りは、四死球やシングルヒットでとにかく塁に出ることを
目指す野球の攻撃にたとえられます。「リスク無限大」と謳われるオプション
売りは実は非常に保守的な売買戦略なのです。
ここでは、オプションの売り・買いの有利・不利について論じているのではあ
りません。
オプションの売り戦略と買い戦略は質的に大きく異なる、ということを知って
ほしいのです。
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