2000年3月発売
これらの説はどれが正しいのだろうか? それとも、すべてが正解、それともすべてが間違っているのだろうか?
著者カプランは、オプション取引では世界的第一人者である。カプランは、上のどの戦略も否定している。どんな投資でも同じように、その戦略には「売買の優位性」がなくては、決して儲けることはできないのだ。オプションには株や先物の売買と比べ、実にさまざまな戦略プランを立てることができ、リスク・ヘッジの仕方も多様を極めている。
しかし、オプションの理論を説明したり、机上の論理を振り回した本では、実際の売買には何も役に立たない。著者のカプランもそのことに悩まされていた結果、実践に役立つ本を、自らの売買経験を元に書いたのが、この『カプランのオプション売買』である。
オプションで勝つため、「売買の優位性」とかは何で、またそれをどのように見つけ出してくるのか、どのような相場ではどのような戦略が有効か、予想に反してマーケットが動いても利益にする方法、損失を少なくするリスク(マネー)・マネジメント、コンピューターの有効活用の仕方――などが満載されている。
日本の投資分野で、最も立ち遅れているものの一つが「オプション」市場である。しかし、それは近い将来、最も発展する可能性を秘めたマーケットであるとも言える。本書は、売買の優位性を知るための究極の本であり、そんなマーケットにも対応できる戦略を説明・解説した日本で初めての本である。
また、インターネットなどの通信技術の発展により、海外の活発なオプション市場への投資が目前に迫っている。投資がグローバル化しようとしている今、その夜が明ける前に読んでおかなければならない一冊といえる。
あなたがこの本を読み、「オプションは難しくない」ということが分かったとき、あなたはオプションのプロフェッショナルへの第一歩を歩み始めることになる。
第1章 「売買の優位性」という考え
「限定されたリスク」「安価」「レバレッジ」の向こう側
オプションに関する一般的な誤解
オプションを取引することについての私の基本的な考え
「売買の優位性」とは何か?
オプション売買の技術的側面と科学的側面
「優位性」のある売買戦略は、先物やOEX、株式オプションで活用できる
第2章 基本的なオプション売買の概念
オプションとは何か?
オプションはどのように機能するか
オプション価値の決定要因
オプションの売買
オプションの注文およびスプレッド注文の執行
第3章 ボラティリティ
オプション・ボラティリティをいかに活用するか
市場が相当な動きを見せる前にオプション・ボラティリティはどのようにシグナルを送るか
オプション・ボラティリティ・ハイライト
オプションだけでなく原資産市場のボラティリティも考慮せよ
トレンドを味方につける
オプション・ボラティリティによってどのように売買戦略を決めるか
オプション売買におけるボラティリティの上手な活用の例
第4章 オプション売買戦略
売買の優位性を得るための戦略
買うべきオプションの選択
オプション売買における利益目標
相場観の分析に基づいて買うべき最良のオプション
トレンド形成中の市場で売買すべき最良のオプション
最も見落とされているオプションの買い戦略
最も見落とされているオプションの売り戦略
フリー・トレード
穀物市場での「フリー・トレード」の例
低いオプション・プレミアムを利用した「フリー・トレード」の例
合成先物ポジション
ニュートラル・オプション・ポジション
相場の予測をせずに「賭博場の胴元」のように売買するためのニュートラル・オプション・ポジションの活用
ニュートラル・オプション・ポジションを用いて時間を味方につける方法
ニュートラル・オプション・ポジションの仕掛けと調整
継続的オプション・ポジションの包囲手法
トレンドのある期間とトレンドのない期間の研究
レシオ・スプレッド
いかにしてレシオ・スプレッドの最高の仕掛け時を探し、用いるべき最高のオプションを選択するか
リバース・レシオ・スプレッド
イン・ザ・マネー・デビット・スプレッド
カレンダー・スプレッド
その他のオプション売買戦略
オプションを用いたヘッジ
第5章 オプション売買プラン
自分の売買プランを系統立てる
市場に対する“売買の優位性”を得る
市場の状況に応じて売買プランを調整する
売買システムをどのように評価するか
売買プランにおいてトレンド・ラインとボラティリティを組み合わせる
利益を上げるための売買システムの活用
マネー・マネジメントと売買計画
トレーディング・プランを異なるタイプの相場に適用する
一定の価格の範囲内を不規則に往復している市場でのトレード
“最良の売買手法とは……”
勝率を高める有利な状況の活用
柔軟性とマネー・マネジメント――
成功しているトレーダーにとって最も重要だが最も見落とされている2つのルール
第6章 重要なオプション売買原則
強気相場で仮に相場が下がっても(思惑に反して)、損失のリスクのない売買
レンジ相場からやや強気な相場観
相場がどの水準に行くか分からないが、どの水準には行かないかを知っているという感触があるときに、オプション・ポジションから利益を得る
プットやコール価格、それらの比率、あるいはオプションの売買高は、相場の方向性を予測するか
プットとコールの比率およびそれらの売買高
売買損失を引き起こす隠された要因を克服する助けとなるオプション売買戦略
意義ある経済指標の発表や出来事の前にオプションを利用する
重要な経済レポート発表後の価格変動
市場間の関係
オプションに関する数字の変化を1週間ベース吟味する
先物売買プランにオプションを組み入れる
市場の特性は絶えず変化している――売買手法はこれを反映させたものでなければならない
トレーディングで成功するために必要なこと
第7章 オプション売買のためのコンピューター
オプション・プレミアムの評価
オフライン・オプション分析
オプション評価のためのオンライン・システム
用語集
訳者 増田丞美
1985年米国コロンビア大学大学院(MIA/MBA)を卒業後、野村證券(東京・ロンドン)、モルガン・スタンレー投資銀行(ロンドン)を経て、海外ヘッジファンド・グループにてデリバティブポートフォリオの運用に携わる。現在、アストマックス(国内投資顧問)チーフアナリスト兼アストマックスUSA(米国投資顧問)エグゼクティブ・バイスプレジデントとして資産運用業務に従事。また、『オプション倶楽部』アドバイザーとしてオプション取引戦略等を寄稿中。
著著および訳書に『オプション売買の実践 <日経225編>』『オプション売買学習ノート』『資産運用としてのオプション取引入門』『最新版 オプション売買入門』『最新版 オプション売買の実践』『カプランのオプション売買戦略』『マンガ オプション売買入門の入門』等がある。パンローリング主催セミナーの講師を務める。