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オプション売買学習ノート
頭を使って覚えるオプションの基礎知識&戦略
[オーディオブック] 増田丞美編 |
著者 増田丞美
A5判 432頁
定価 本体2,800円+税
2006年08月10日発売
ISBN4-7759-9038-1 C0033
オプション取引
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■頭を使って覚えましょう。
学生のころ、「試験」に頭を悩まされた方、多いと思います。日頃からコツコツ勉強されていた方、試験前日になって一夜漬けで試験に臨んだ方……。人それぞれ方法は違っても一生懸命“頭”を使って必要な知識や公式を覚えたことだと思います。 勉強の基本はあくまでも“頭を使うこと”にあります。これは、投資の勉強においても言えます。本をサラッと読んだだけで、実践に生かすことができれば言うことありませんが、現実は厳しいものです。投資の実践で役立つ知識を自分の血肉になるまで自分の脳に染みこませるには、自分の頭を思う存分駆使する必要があるのです。
■知識を習得しやすいように参考書&問題集の形式に
オプションに限らず、投資本を買う人のほとんどは「勉強しよう」と思って購入しているのだと思います。もちろん、本を読んだだけでも十分勉強はできます。でも、「どうせ勉強するなら、より勉強しやすいカタチのほうがいいのではないか」と思うのです、学生時代、教科書だけでなく、参考書や問題集を買って勉強したように……。 本書『オプション売買学習ノート』は、ここまでにお話しした「より勉強しやすいカタチ」を求めて生まれた、オプション初の参考書&問題集です。各単元ごとに、参考書部分とその単元を理解できたかどうかをチェックする小テスト部分があります。そして、最後には本書の内容を理解できたどうかを再確認する問題集が載せてあります。ぜひ、あなたの実力を試してみてください。そして、自分の弱いところを早く発見してください。
■オプション取引の実践家がまとめた参考書&問題集
本書『オプション売買学習ノート』の著者はオプション取引の実践家として名高い増田丞美氏です。氏はこれまでにも『最新版 オプション売買入門』や『最新版 オプション売買の実践』『オプション倶楽部の投資法』など、数々のオプション本を出しています。そうした増田丞美氏の今までの著書がもとになって本書『オプション売買学習ノート』はできています。実践家の教えを学びやすいカタチに作り替えています。 本書は、オプションをこれから勉強する人にとってはまさに羅針盤に、これまで氏の本で勉強されてきた方にとっては知識を再確認できる“ドリル”的な位置づけになるものです。本書で学んだ知識を携えて、オプションの世界への扉を、自信を持って開いてください。
はじめに 第1部 基礎知識編 第1章 オプションについて知ろう オプションの定義について/オプションでは2つの権利(買う・売る)を売買/権利を買うときにはプレミアムを支払い、権利を売るときにはプレミアムをもらう/オプションではプレミアムの変動が利益の源泉になる/オプションの本質について/小テスト
第2章 買う権利(コール)について
第3章 売る権利(プット)について
第4章 ITM・OTM・ATMについて
第5章 本質的価値と時間価値について
第6章 オプションの価格決定メカニズムについて
第7章 タイムディケイについて
第8章 ボラティリティについて
第9章 デルタ・ガンマ・セータについて
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第2部 戦略編 第10章 オプションの買い戦略 オプションの買い戦略の誤解について/資産を増やすためのオプションの買い「心得編」/コールを買うときとは(コール買いの仕掛け)/プットを買うときとは(プット買いの仕掛け)/オプションの買いを上達させるコツとルール/小テスト
第11章 オプションの売り戦略 第12章 クレジット・スプレッド 第13章 デビット・スプレッド 第14章 カレンダー・スプレッド 第15章 リバース・カレンダー・スプレッド 第16章 インアウト・スプレッド 第17章 シンセティック・ポジション 第18章 ストラングル・スワップ 第19章 レシオ・スプレッド
穴埋め問題 |
ある週末に自分の書斎や仕事部屋にある数多くの本のうち、投資やトレードに関する本を整理した。――あまりにも数が多いので、週末毎に整理を行うといつ終わるかわからないほどだが――。絶対残したい本は自分の著書を含めたオプション関係の本と株式投資に関する本であった。専門であるオプションに関する書籍は別にして株式投資関係の本を残したいと思ったのは、「株式投資」についてあらためて勉強し直したいと考えたからである。これについては、参考になると思われることを後述する。一方、ほとんど捨ててしまいたいと思ったのはテクニカル分析に関する本と短期トレード(「スイングトレード」や「デイトレード」等を含む)の本だった。「短期トレード」はここ数年個人投資家の間で人気があり、それに伴って数多くのテクニカル分析に関する本が多く出版されている。「短期トレード」と「テクニカル分析」はほとんどセットといいくらいで同類と見ていいだろう。なぜなら、「短期トレード」を“ファンダメンタル分析”をもとに行うことは、まず、ありえないといっていいからだ。そして、私の目には、これらに関する本はすべて同じに見える。これらの分野においてはさまざまな本が出ている。ごく簡単な紹介程度の内容から非常に詳細に書かれているものまで。しかし、短期トレードのエッセンスはどれも同じだと思われる。「短期」が、1分、5分、15分、30分、60分、2時間、1日、3日などのうちいずれを意味しようとも。それは、売買のタイミングを捉えること。動きの流れに乗ること。リスクを最小限に抑えるために「ストップ」(損切注文)を置くこと。大雑把ではあるが、こんなところだ。そのために、移動平均線、相対力指数(RSI)、ストキャスティクス、MACD、出来高等のテクニカル指標を使う。あるいは、フィボナッチ級数など、やや高度な数学や統計理論の説明もある。さらには、トレンドラインの引き方、ブレイクポイントでの売買の仕方の説明もある。相当に詳しい説明が書かれてある書籍もあるが、「エッセンス」はどれも類似している。私には、参考として、1冊あれば十分のように思えた。それで、躊躇なく、ほとんどの本を処分してしまおうと思ったのだ。
さて、ここから最も聞いていただきたい意見である。タイミングを的確に捉えるのはほとんどの個人投資家にとっては簡単ではないだろうということだ。そして、「短期トレード」は、それで生活をしているプロを除くほとんどの個人投資家にとってはフラストレーションを増幅させるのではないかという懸念がある。テクニカル分析は相場を予測する能力はほとんど皆無といっていいのではないかと個人的には思う。そして、個人的にはテクニカル分析の目的や機能は別のところにあると思っている。つまり、トレードを仕掛ける(手仕舞いの場合も同じ)ためのトリーガー(引き金を引くタイミング)を探ることだ。そして、これはきわめて個人的なことで、普遍的なルールはなく、個人のきわめて主観的なトレードルールによるのだ。個人的には、トレンドやブレイクポイント(直近の安値、高値からの放れ)などを知っていれば十分で、それ以上知る必要もない。これらは場帖で価格の数字を確かめればわかることなので、チャートを見る必要もないと感じている。
「株式投資」をあらためて勉強してみようと思ったのは、「株式投資」は「トレード」とはまったく違う行為だと強く感じているからである。そして、このトレードとは違う経済行為に強い興味を覚える。これは、『最新版オプション売買入門』でも述べていることだが、将来成長して価値が上がるか、本来の価値より低い価値で現在取引されている銘柄を買うことで、トレードとは大きく異なる。そして、そのような銘柄について知るためには、企業の成長性や業績などを調べる必要があるし、財務について知るために勉強しなければならない。やはり、簡単ではないのだ。
さらに、そのような銘柄を知り、発掘できたとしても、株価が上がるまでに、あるいは低い価値のものが本来の価値に戻るまでに数年待たされるかもしれない。忍耐力を要するのだ。多くの個人投資家が「短期トレード(←「テクニカル分析」を伴う)」に走ったのも頷ける。そのほうが「儲かる」ように思えたからだろうし、簡単そうに見えたからだろう。企業価値を調べるには、テクニカル分析よりずっと多くの(難しい)ことを勉強しなければならないように思えただろうし、調査により多くの時間がかかるように思えただろう。実際、その通りなのだが。
しかし、短期トレードによって市場変動をタイミングよく捉えるのも、多くの投資家にとって決して簡単ではないだろう。忍耐力さえあるなら、最終的には「株式投資」のほうが大きく報われるのではないかとさえ思うのだ。そういう理由で、“トレード”ではない「株式投資」をあらためて勉強し直してみようと考えたのだ。
以上、述べたこととオプション取引がどう関係があるのだろうか。オプションは株式の「短期トレード」とも、「投資」とも違う、これまた「異質の経済行為」である。そして、オプション取引によって利益を上げることは決して簡単ではないのだが、次のことを知ることによって、上述の株式の「短期トレード」や「投資」よりも難易度は著しく低くなるであろうと考えられるのだ。それは、一言で述べるなら、「優位性」を知るということだ。
オプションの商品構造と市場構造についての深い知識は十分に役に立つのである。さらに、オプション取引における「ゲームのルール」と「ゲームのやり方」を知ることで十分に報われるのだ。加えて言うなら、オプション市場の観察力と取引実行力、リスク管理能力が大切であるが、これらは経験によって誰でも身につけることができる。オプション取引で上げた利益を「株式投資」に回すのも悪くないだろう。それで、「株式投資」をあらためて勉強し直してみようと思ったのだが、これは余談である。
本書はオプションとオプション取引に関する知識を身につけるのを助けることを目的として書かれた。オプション取引というゲームでは、ほかのトレードと違い、「知識」が利益を得るうえで十分役に立つのである。本書を読んでオプションについての知識を得ることは、オプションの持つ「優位性」を知ることになる。これは、市場に勝つ近道である。読者の幸運を祈りたい。
最後に、本書を製作するにあたって、磯崎公亜さんに感謝と労いの辞を贈りたい。本書は、受験の参考書や問題集の類とは異なるが、オプションとオプション取引に関して必要最小限の実践的な知識を身につけることを助ける「参考書&問題集」として構成されている。それぞれの問題に読者自ら答えながら読み進めるうちにオプションの基本的な知識が身に付くように工夫されている。氏の助けなしにこのような書が世に出ることはなかったであろう。氏に心より感謝したい。また、本書の出来栄えは氏の優れた編集能力によるところ大である。本当にご苦労様でした。
2006年7月17日 著者記す
日本におけるオプション取引の第一人者。
『最新版オプション売買入門』、『最新版オプション売買の実践』、『オプション売買の実践<日経225編>』、
『オプション倶楽部の投資法』(以上、パンローリング刊)、
『日経225オプション取引 基本と実践』、『日経225先物取引 基本と実践』
(以上、日本実業出版社)等、著書多数。他に、オプションに関するセミナー
のDVD多数。オプション倶楽部の監修を初め、オプションの一般投資家へ
の啓蒙活動等、幅広く活躍している。自身のオプショントレーディングの
経験は、1980年代後半のロンドン在住時代から長く、多くの実績を残している。
オプションに関しては株式、株価指数、ETF、債券、通貨、商品と幅広く多く
の市場で取引してきた。1985年コロンビア大学卒(MIA/MBA)。
21頁 下から3行目
(誤)「1と3の間の面積」→(正)「1と5の間の面積」
28頁 問5の回答
(誤)「グーグルを1株当たり400ドルで買う権利」を43ドルで買う
(正)「グーグルを1株当たり400ドルで買う権利」を43ドルで売る
(誤)「グーグルを1株当たり450ドルで売る権利」を17ドルで売る
(正)「グーグルを1株当たり450ドルで買う権利」を43ドルで買う
22頁の表
(誤)-3.0 -1.0 -1.0 3 5 7 9
(正)右から、-3.0 -1.0 1 3 5 7 9
356頁、問62の答
(誤)600円(受け取り分のプレミアムぶん)
(正)400円の損失
(誤) | (正) |
---|---|
【16頁目】
11500プット @100円 |
11500プット @530円 11000プット @255円 10500プット @100円 |
【10行目】
11500プットには100円 |
10500プットには530円 10500プットには100円 |
【穴埋め問題編 模範解答】問1の答 権利証問2の答 プットの買い
問3の答 問4の答 デルタ 問5の答 1―期近 2―期先
問6の答 問7の答 上がる 問8の答 ◎
問9の答
問10の答
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【記述問題編 模範解答】「インアウト・スプレッド」は同銘柄(市場)同限月のコールまたはプットのITM(イン・ザ・マネー)とOTM(アウト・オブ・ザ・マネー)のスプレッド取引である。そして、インアウト・スプレッドでは、必ずITMを買い、OTMを売る。 インアウト・スプレッドは相場の方向性に賭ける戦略だ。仕掛け方としては、原市場(株価)が上昇すると予測するときには、ITMのコールを買い、OTMのコールを売り、原市場(株価)が下落すると予測するときには、ITMのプットを買い、OTMのプットを売る方法をとる。この戦略の特長は「OTMの売り」にある。デルタはITMのときが最も高いため、相場の方向性に賭けるポジションを建てる場合、相場の思惑が当たったときに最も大きな利益が期待できるのはITMのオプション買いとなる。ただし、「ITMのオプションはコスト(プレミアム)が高い」という特長がある。そのため、同時にOTMを新規売りすることでコストを低く抑えているのである。 もうひとつ、インアウト・スプレッドには別の「優位性」がある。それは、ボラティリティの違いによるプレミアムの「割高・割安」とタイムディケイである。 ITMオプションの時間価値は少なく、OTMオプションは時間価値のみである。だから、株価の変動が小さい場合はOTMのプレミアムはITMに比べて大きく減少する(タイムディケイ)。また、通常、ITMオプションのプレミアムは適正(理論)価格に近いのに対して、OTMオプションはそれより割高である場合が多い。要するに、「割高」を売り、「割安」を買うという理にかなった戦略といえるのである。 解答のポイント:
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