第13章 トレーディングシステムのベスト10 ―TOP TEN SYSTEMS OF ALL TIMES―

 「フューチャーズ・トゥルース社がフォローしているトレーディングシステムのなかでどのシステムがベストですか」
――これは当社に頻繁に寄せられる質問である。当社は独立した第三者的なテスト会社であるため、この質問に直接答えることはできない。しかし、システムの購入者に対して、自分のトレーディングスタイルに見合った優れたトレーディングシステムのリストを提示することはできる。ただしその場合でも、トレーディングシステムの購入を予定しているユーザーは次の点に注意しなければならない。

 1.リアルタイムなトレード成績の検証期間。
 2.安定したパフォーマンスを出すこと(ある年のパフォーマンスは400%に上ったが、翌年には10%だったというようなシステムは失格)。
 3.純利益総額に対する最大ドローダウンの比率。
 4.データやコンピューターが必要かどうか。
 5.オープン・システムそれともブラックボックス・システムか。

 われわれのトレーディングシステムのリストを調べるには膨大な時間と労力が必要であるが、ここではそれらの労力を省くために、われわれが優れていると考えるシステムのベスト10を掲載する。このベスト10のシステムは時間の経緯とともに変化し、将来はまったく入れ替わっているかもしれない。トレード手法ごとに分類したベスト10のトレーディングシステムは次のとおりである。

 

<ブレイクアウト・システム>

  ・アベレイション(Aberration)
  ・ダイナミック・ブレイクアウト(Dynamic Breakout)
  ・ミステリー・システム(Mystery System)
  ・STC-Vベースド・S&Pデイトレード(STC Vbased S&P Day Trade)
  ・Rブレーカー・S&Pデイトレード(R-Breaker S&P Day Trade)

 

<トレンドフォロー・システム>

  ・ベンチマーク(Benchmark)
  ・DCS-II
表13.1

  ・ダラー・トレーダー・フォー・カレンシーズ(Dollar Trader for Currencies)
  ・ゴールデンSX(Golden SX)

 

<逆張りシステム>

  ・ビッグ・ブルー(Big Blue)
 表13.1は、これらのシステムの性能に関するデータである。



■アベレイション(Aberration)――開発者:キース・フィッチェン

 4241 Pennywood Dr.
 Beavercreek, OH 45430
 Tel (937)320-1332
表13.2

図13.1

 アベレイションは、キース・フィッチェンが1993年12月に開発したシステムである。リリース以降のパフォーマンスも高く、1983年からのバックテストの結果も良かった。われわれはこのアベレイションをビジネス向けシステムとしては最も優れていると考える。ただ注意しなければならないのは、実際のトレードに先立って自分のドローダウンに対する耐久力を十分に知っておくことである。開発者であるフィッチェン自身も言っているように、広範な市場向けに分散投資すれば大きな成果が得られるだろう。このシステムは国際市場のさまざまな投資対象に使用可能で、コンピューターが必要である。

 『マーケットの魔術師 システムトレーダー編』(105ページより抜粋)

 1986年ごろにアベレーションを開発しました。そのシステムを市場で販売し始めたのは1993年のことでした。市販されて10年経っているということですね。ただ、私は1986年からそれを使ってトレードしているわけで、結果として大変良いパフォーマンスを上げています。
 アベレーションはバスケットシステムです。自分のセミナーで証明していることですが、株価指数を除く全商品、つまり穀物、食肉、金属、エネルギー、金融、ソフトといった真の商品をトレードする最良の方法はトレンドフォローのテクニックです。そして最高収益を出せる最良のトレンドフォローシステムは長期的なもので、アベレーションがまさにそれなのです。



勝利の売買システム』(372ページより抜粋)

―アベレーションの開発に至る経緯をお聞かせ下さい。

 誰もが思いつくような単純なものではダメだという重いから、最初は複雑な分析テクニックばかり考えていました。しかし複雑なテクニックの方が優れているという考え方が間違いだということにすぐに気づきました。アナリスト達が用いる単純な方法、つまり「データを見る」という行為に立ち返ったときに「発見」したのがアベレーションです。




■ベンチマーク(Benchmark)――開発者:カーティス・アーノルド

 222 S. U.S.Hwy #1
 Suite 203
 Tequesta, FL 33469

 ベンチマークは、1993年4月にリリースされて以来、高いパフォーマンスを誇るコンピューター化された先物トレーディングシステムである。約5種類以上の商品バスケットをトレードするときに最も高いパフォーマンスを出すようだ。もともとはテッド・シェンが開発した単純な長期トレンドフォロー・システムである。「パターン確率シス
表13.3

図13.2

テム」の開発者で、また『カーティス・アーノルドズ・PPS・トレーディングシステム――Curtis Arnold's PPS Trading System ― A Proven Method of Consistently Beating the Market)』の著者であるカーティス・アーノルドが、1995年にそのソフト権を取得した。アベレイションと同様に時系列システムであるが、そのトレード手法は大きく異なる。主に大豆、トウモロコシ、生牛、小麦などから成るポートフォリオで好成績を出す。このシステムにはコンピューターが必要である。



■ビッグ・ブルー(Big Blue)――開発者:ビラー・ケリー/マイク・バーナ

 11 Pinecrest Dr.
 Flat Rock, NC 28731
 Tel (828)697-6502
 または、
 140 Old Orchard Drive
 Las Gatos, CA 95032
 Tel (408)356-1800

 ビラー・ケリーは著名なテクニカル分析家で、このシステムのユーザーに対するサポートは万全である。同氏のパートナーはやはり著名
表13.4

図13.3

なテクニカル分析家であり、またイージーランゲージ(トレードステーション用のプログラミング言語)の専門家であるマイク・バーナである。同氏はこのシステムを定期的にバージョンアップし、ユーザーに対して無償でそのソフトを提供している。われわれが検証したなかでは最も優れたS&Pデイトレード・システムで、その一部は1992年9月に初めてリリースされた。その手法はユニークで、そのセオリーによるパフォーマンスは目を見張るようなものではなくても、そのトレード手法はやはり優れたものである。バックテストの結果は良く、リリース以降も高いパフォーマンスを出している。ビッグ・ブルーはリストアップしたほかのS&Pデイトレード・システムと類似しているが、そのトレード手法はかなり保守的である。このシステムにはコンピューターとイントラデイ・データが必要である。



■DCS-II――開発者:ピーター・アーン

 PWA Futures
 2607 Partridge Ave.
 Arlington, TX 76017
 Tel (972)386-2901

 ピーター・アーンは著名なテクニカル分析家で、NFA(全米先物協会)にも登録しているため、同氏から得られる情報は信頼できる。DCS-IIは列挙したベスト10のなかでは最も古いシステムである。各市場ごとに異なるパラメータが必要であるが、それらはかなり類似しているうえ、このシステムが1991年にリリースされてから一度も修正されていないので、それほど不便さは感じない。このシステムにはコンピューターは不要だが、あれば快適な動作が得られるだろう。

表13.5

図13.4



勝利の売買システム』(429ページより抜粋)

あなたのシステムあるいは別のシステムを使っているシステムトレーダーたちにアドバイスをお願いします。

トレードで成功する秘訣は3つあります。これは全てのトレーダーに共通するもので、手法とは全く関係ありません。

(1) 売買計画を立てる。
(2) 計画に従うという規律を持つ。
(3) 負ける時期は必ずある。この時期を乗り切るには、しっかりとしたマネーマネジメントが必要。

私がいいたいのはこれだけです。損をする人の95%は、間違いなく今述べたルールの少なくともひとつは反故にしています。これらのルールを全て守ったからといって、勝者の仲間に入れるという保証はありません。しかし、守らなければ勝者になる確率は限りなくゼロに近づくのです。


■ダラー・トレーダー・フォー・カレンシーズ(Dollar Trader for Currencies)――開発者:デイブ・フォックス

 149 Sweet Bay Ave.
 New Smyrna Beach, FL 32168
 Tel (904)428-8847

 著名なトレーダーであり、またシステム開発者としても広くその名が知られているデイブ・フォックスは、われわれがこの業界で会ったなかでは最も誠実な人格者のひとりである。トレーダーとして長いキャリアを持ち、全米先物協会にも登録している同氏の経歴そのものがこのシステムの信頼性を保証している。彼の個人的なトレーディング

ダラートレーダーは通貨先物先物専用のシステム。その成績は『究極のトレーディングガイド』の374ページで考察され、トレーディングシステムのベスト10にランクインしている。ダラートレーダーはジョン・ヒルに「これまで見た中で最も一貫性をもつシステムのひとつ」と評価された。

勝利の売買システム』(383ページより抜粋)

売買システムの開発を始めたきっかけは。あるいはダラートレーダーを開発したきっかけは。

1990年にUSDX(ドル指数)と通貨のトレードに使っていたインディケーターはFTで評価されていたプログラムとほぼ同じ成績を示していました。それで、これもまたFTで評価されていたソフトウエアパッケージにこれらのインディケーターを組み込むことにしたのです。検証したところ、USDXが最も信頼性の高い商品という結果が出たため、USDXの売買に特化したシステムを作ったというわけです。

表13.6




図13.5

・スタイルにはオプションの活用も含まれるが、このダラー・トレーダーは、われわれがこれまで見たなかでは最も一貫性を持ったシステムのひとつである。その最適化されない10のパラメータはすべての市場に共通である。このシステムを使うにはコンピューターと専用ソフトが必要である。



■ダイナミック・ブレイクアウト(Dynamic Breakout)――開発者:ジョージ・プルート

 815 Hillside Rd.
 Hendersonville, NC 28791
 Tel (828)697-0273

 ダイナミック・ブレイクアウトは、フューチャーズ・トゥルース社のジョージ・プルートがドンチャン・ブレイクアウト・システムとして開発したもので、ブレイクアウト率がそのときの市場のボラティリティに応じてダイナミックに計算される。1500ドルのマネーマネジメント・ストップを使うのもその大きな特徴である。1996年3月に開発されたこのシステムの価格は300ドルである。エクセルのスプレッドシートに簡単に組み入れられる。


■ゴールデンSX――開発者:ランディ・スタッキー

 5 Cedar Lane
 Crawfordsville, IN 47933
 Tel (765)866-8001

表13.7

図13.6

 1996年7月にリリースされたこのシステムは、年間に9〜12回売買する中期トレーディングシステムである。オシレーター系のトレンドフォロー・システムであるこのゴールデンSXのロジックは、単純ですべての先物に共通である。各市場ごとに異なるパラメータがある。投資対象によって違うパラメータが必要なシステムのベンダーは過剰最適化という批判を受けるが、著名なテクニカル分析家でもあるランディ・スタッキーはこうした批判を払拭すべく、ゴールデンSXのバージョンアップを繰り返してきた。その最適化されたシステムの性能はもとのシステムよりはるかに良いが、そのいずれもこれまでに大きな成功を収めている。このシステムにはコンピューターが必要である。

 ゴールデンSX(1996年に開発されたトレンドフォロー・システム)その成績は『究極のトレーディングガイド』の378ページで考察され、トレーディングシステムのベスト10にランクインしている。

表13.8


勝利の売買システム』(377ページより抜粋)

今年注目の市場は? また、インフレや経済破綻は起こると思いますか。

未来を予測できる人なんていません。ただ従来どおり、トレンド相場で終わった市場が今年の勝者になると思います。これまでのところ、私たちのいずれのシステムもほとんどの通貨市場で好成績を見せています。「キャットスキャン(Catscan)」はTボンドで依然として好調をきわめていますし、「ゴールデン・エスエックス(Golden SX)」は原油で好調、「ミレミアム 2000(Millennium 2000)」の建玉の含み益は現在8万9000ドルを超えています。






■ミステリー・システム(Mystery System)――開発者:ピーター・アーン

 2607 Partridge Ave.
 Arlington, TX 76017
 Tel (972)386-2901

 長期トレーディングシステムであるこのミステリー・システムは、長い間多くのユーザーの人気を博している。その価値をよく知っているピーター・アーンは、何と95ドルという廉価でこのシステムを提供している。われわれは今後もこのシステムが高いパフォーマンスを出し続けると信じている。値段が安いからと言ってその価値までもバカにしてはならない。われわれの長い経験によれば、トレーディングシ

図13.7

ステムの性能とその価格には何の関係もない。著名なテクニカル分析家である同氏は全米先物協会の登録会員でもある。



■Rブレーカー・S&Pデイトレード(R-Breaker S&P Day Trade)――開発者:リチャード ・サイデンバーグ

 35 Tamarack Way
 Pleasantville, NY 10570
 Tel (914)741-2147

 このRブレーカーは、リチャード・サイデンバーグが1993年7月にS&Pデイトレード・システムとして開発したものである。ユーザーは日中も市場の動きをウオッチしなければならないが、45分足のよ
表13.9

うな小さな値動きをフォローする必要はない。ブレイクアウト兼逆張りシステムであるRブレーカーは2つのトレード手法を同時に併用する。ひとつはブレイクアウト、もうひとつはダマシのブレイクアウトを利用するもので、1カ月に10回以上も売買する極めて攻撃型のシステムである。そのロジックには一定のマネーマネジメント・ストップも取り入れられている。このシステムにはコンピューターと専用ソフトが必要である。



■STC-Vベースド・S&Pデイトレード(STC Vbased S&P Day Trade)――開発者:開発者:ランディ・ヒル

 2460 Peachtree Rd NW
 Suite 1004
 Atlanta, GA 30305
 Tel (800)270-1362
図13.8

(404)949-0236

 1997年6月にリリースされたこのシステムは、ベスト10のなかでは最も新しいシステムである。そのルールは単純でコンピューターも不要である(しかし、トレードステーション用イージーランゲージの使用をお勧めする)。Rブレーカーと同様に、ボラティリティをベースとしたブレイクアウトとダマシのブレイクアウトを利用するシステムである。変動の大きいときにはトレードを中止するフィルターが組み込まれている。適応可能なマネーマネジメント手法も取り入れられているこのシステムは、Rブレーカーほどではないが、ビッグ・ブルーよりはかなり攻撃型である。

表13.10

図13.9

表13.11

図13.10

勝利の売買システム』 (425ページより抜粋)

―あなたのシステムを使っているトレーダーに何かアドバイスはありますか。

 私のシステムのユーザーにかかわらず、すべてのシステムトレーダーに申し上げたいのは「統計に基づく分析をせよ」ということです。過去の成績を調べ、月々の平均利益、平均損益、最悪の場合のドローダウン(一般に年次標準偏差)など計算してみるのです。こういった統計値が分かると、実際のトレードでどれくらいの利益が来たいできるかが分かります。




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