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ウィザードブックシリーズ Vol.147

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千年投資の公理
――売られ過ぎの優良企業を買う

『成長株投資の公理』
も好評発売!

2008年12月6日発売
ISBN 978-4-7759-7114-7 C2033 
定価 本体2,000円+税
四六判 縦組み 上製本 278頁

著 者 パット・ドーシー
監修者 鈴木一之
訳 者 井田京子


著者紹介 | 目次 | 関連書籍 | 読者のご意見   ◆立ち読みコーナー 監修者まえがき ・ まえがき ・ 序文  (本テキストは再校時のものです)
浮かれすぎたバブル期とは反対に、恐慌期や経済危機の時期には人心が冷え切っているために
優れた企業も売られ過ぎになり、あとから見たときに絶好の買い場になっている場合が多い。
バフェット流の経済的な「堀」のある企業の見つけ方を初心者にも 分かるように、平易なやり方で紹介する。

今年、パンローリングが贈る一押しのウィザードブック! バブル後の安値更新で緊急出版!



1000年たっても有効な永遠不滅のバフェット流投資術!

未曽有の金融危機に最適の投資法!
100年に一度の経済危機は100年に一度の買いの大チャンス!

売られ過ぎた超優良銘柄を探せ!
バフェット流の「堀」を持つ優良企業の発掘法

「堀」のある売られ過ぎの優良企業でポートフォリオを埋め尽くそう!

 今日の変動の激しい市場で利益を上げるためには、ライバル企業の圧力や追い上げがあっても業績を伸ばし続けている企業に投資するのが必須の条件となる。しかし、現在の好調を何年も先まで維持できるような企業を見つけるには一体、何をすればよいのだろうか。
 この答えは、その企業が競争における優位性を確立していること、つまり、ウォーレン・バフェットによって広まった経済的な「堀」を持っているかどうかということである。中世では城の周りの堀が敵の侵入を食い止めたように、経済的な堀はその企業に高い利益率を保証し、競合他社からの攻撃を食い止める役割を果たしている。もし堀のある企業を見つけてその企業の株を適正な価格で買うことができれば、堅実な企業ばかりから成るポートフォリオを作ることができ、株式市場で成功する可能性は飛躍的に高まるだろう。
 独立系投資リサーチのトップ企業であるモーニングスターで、株式リサーチ部門のディレクターを務める著者のパット・ドーシーは、本書でウォーレン・バフェットが実践しているこの実績のある手法を分かりやすく紹介し、それを投資にどのように応用すれば、成功確率が高まるかを明らかにしている。
 ドーシーは、経済的な堀が素晴らしい長期的な投資先を教えてくれる理由を懇切丁寧に説明したあと、堀をもたらす4つの要素である、〔儀岨饂此米探やのれんなど)を持っている、▲灰好氾な優位性に優れている、8楜劼紡昭卆宿覆望茲蟯垢┐襪海箸鴉危阿気擦襦↓ぅ優奪肇錙璽経済――について検証している。そして、堀についてしっかりと理解できたあとに、次は侵食されていく可能性のある堀の見分け方(優良企業でなくなる可能性を秘めた企業)や、堀の優位性を築くために重要な役割を果たす業界の構造、そして堀を築く(または壊す)ことができる経営陣の有能さ(または無能さ)についても詳しく述べている。
 また本書では、株価の評価についてもすぐに役に立つ方法を伝授してくれている。というのも、幅の広い堀を持っている企業を見つけて投資しても、その買値が高すぎれば良い投資にはならないからである。このことについては有名企業を例に挙げて具体的に説明している。
 バフェットが提唱した「堀」はけっして新しい概念ではないけれども、本書を読めば、今日の投資家でもこの素晴らしい投資法を自信を持って実践することができるようになる。堀こそが投資分析ツールの欠かせない重要な要素であることが理解できれば、この手法を使って、高いリターンを上げる銘柄だけであなたのポートフォリオを埋め尽くすことができるだろう!

本書への賛辞

「本書を2日かけてじっくり読めば、過去に失敗したテクニックをすべて捨て去ることができるだろう。これはポートフォリオに含めるべき素晴らしいリターンを上げる企業を探しだすだけでなく、時間とともに衰えていく何千もの企業を避ける方法も教えてくれる最も信頼できる教科書と言える。すべての投資家が読むべき本だ」――ティモシー・P・ビック(ザ・サニベル・キャプティバ・トラスト・カンパニーのシニアポートフォリオ・マネジャー兼『ハウ・トゥ・ピック・ストックス・ライク・ウォーレン・バフェット[How to Pick Stocks Like Warren Buffett]』の著者)

「30年以上ウォール街で働いてきたが、この間に読んだ本のなかで最高の投資本である」――ボブ・フローリッヒ(ドイチェ・アセット・マネジメント)

「本書は、高いROCを維持できる企業を探すための理にかなった枠組みを提供してくれる。ドーシーは、読者に長続きする優位性を持つ企業の選び方を教えてくれる。また、企業に競争における構造的な優位性をもたらす、〔儀岨饂此米探やのれんなど)を持っている、▲灰好氾な優位性がある、乗り換えコストがかかるので乗り換えができにくい、ぅ優奪肇錙璽効果――に関する教えは長期投資の銘柄選択において特に価値がある」――ルイス・A・シンプソン(GEICO社長兼CEO)

「パット・ドーシーは、未来は変化するという現実を今日の投資判断に反映させるための実践的な枠組みを提供してくれた。アートとサイエンスを少しずつ加えることが長期投資で成功するカギとなる」――ラリー・D・コーツ(オーク・バリュー・キャピタル・マネジメントCEO)



原書『The Little Book That Builds Wealth : The Knockout Formula for Finding Great Investments』


著者/パット・ドーシー(Pat Dorsey)
CFA(公認証券アナリスト)、モーニングスター株式リサーチ部門のディレクター。同社の株式評価システム(モーニングスターレーティング)や経済的な堀のレーティングの開発における中心メンバーのひとりで、『The Five Rules for Successful Stock Investing : Morningstar's Guide to Building Wealth and Winning in the Market』(ザ・ファイブ・ルール・フォア・サクセスフル・ストック・インベスティング)の著者でもある。ウエズリアン大学卒業(政治学)、ノースウエスタン大学大学院修士課程終了(政治学)。ホームページは
http://www.findingmoats.com/



目次

監修者まえがき
まえがき
謝辞

序文――行動計画
第1章 経済的な堀――経済的な堀の定義とそれを使って優れた株を選ぶための方法
第2章 誤解されている堀――幻の優位性にだまされるな
第3章 無形資産――棚から取り出せるものではないが、間違いなく価値がある
第4章 乗り換えコスト――しつこい顧客は面倒ではなく黄金だと思え
第5章 ネットーワーク効果――非常に強力で、1章を割く価値がある
第6章 コストの優位性――賢くなるか、近くなるか、ユニークになれ
第7章 規模の優位性――きちんと把握していれば、大きいことは良いことだ
第8章 侵食される堀――優位性を失って立ち上がれない
第9章 堀を探す――外はジャングルだ
第10章 ビッグボス――経営陣の影響は思ったほど大きくない
第11章 肝心なこと――比較分析の五つの例
第12章 堀の価値はどのくらいか――最高の企業でも高く買いすぎればポートフォリオを傷つける
第13章 評価のためのツール――割安の株を探す
第14章 いつ売るか――賢い売りが高リターンにつながる
結論――投資は数字だけではない

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監修者まえがき

  本書は2008年に米国で出版された“The Litte Book That Builds Wealth”の邦訳である。著者であるパット・ドーシーは、長年にわたってモーニングスター社の株式リサーチ部門の責任者の要職にあり、同社が継続的にカバーしている米国の上場企業3000社をつぶさに観察してきた。ドーシー氏はまた、モーニングスターの銘柄レーティングの基礎となっている「経済的な堀(economic moat)」という概念の開発者のひとりでもある。
 成長企業とそうでない企業との違いはどこにあるのか。高成長を誇った企業がある日を境に突然失速するのはなぜなのか。良い投資先とそうでない投資先はどこで峻別されるべきなのか。株式投資家であれば、だれでも常にその答えを求めている。本書で詳説されている「経済的な堀」の概念はそのような問いかけに明確に答えている。
 かつて世界を席巻した日本のエレクトロニクス業界は、近年その沈滞ぶりが著しい。パイオニア、ケンウッド、日本ビクター、そして三洋電機と、相次いで危機的な状況から救済を求める動きが続いている。衰退に至った原因はいくつも挙げられるが、本書を読めばエレクトロニクス業界の退潮は日本だけの現象ではなく、それはこの業界についてまわる自明のものとして説明されている。そこには「経済的な堀」が存在しないのである。
 「経済的な堀」。これが成長企業の本質を形作る概念として、本書を貫く基本テーマである。堀によって企業は競争上の優位性を保ち、ライバル社からの侵食を食い止めることができる。企業の将来の予想を立てることは株式投資にとって不可欠な行為だが、これについてドーシー氏は「過去の実績がどうであれ、何らかの経済的な堀がなければ、将来どれだけ株主の利益が増やせるかを予測することはばくちに等しい」と述べている。
 刺激的な警句にもあふれている。その最たるものは、成長企業には「経営者の判断は必要ない」というものだ。優れた企業は企業そのものが優れているのであって、経営者の資質は関係ないと言い切っている。
 それにしても一体、何社の企業名を挙げていることか。エクソンモービル、コカ・コーラ、マイクロソフトなど有名どころはもちろんのこと、農業機械のディーア、天然ガス供給のウルトラ・ペトロリアム、超硬度のハイテク金属部品のプレシジョン・キャストパーツなどなど。ざっと数えただけで200社近い企業名、業種が登場する。最終章で述べられているように、著者は本当に「株式市場が好き」なのだろう。
 2008年は米国に「100年に一度の危機」が到来した年として記憶される年となった。1990年代を通じて繁栄を謳歌した米国経済に、晴れ間のない暗雲が立ち込めている。しかし、どんな時代でも企業は存在する。指針を失ってしまったかのように逡巡する株式市場と投資家に向かって、もう一度丹念に企業分析を行う情熱と意義づけを本書はもたらしてくれるように思えてならない。
 最後になったが、訳出にご尽力いただいた井田京子氏、編集・校正を担当していただいた阿部達郎氏、そして本書の出版に際してパンローリングの後藤康徳氏にはたいへんお世話になった。記して感謝申し上げる。

 2008年11月

鈴木一之



まえがき

  1984年にモーニングスターを創業したとき、私が目指したのは個人投資家が投資信託を買う手助けをすることだった。当時、パフォーマンスのデータを掲載している金融出版物はほとんどなかったため、個人投資家にも手が届く価格で機関投資家並みの情報を提供すれば、拡大するニーズに応えられると考えたのだ。  ただ、目的はそれだけではなかった。私は「経済的な堀」を持つビジネスを構築したいと思っていた。ウォーレン・バフェットが発明したこの言葉は、城を守る堀のように、競合他社から企業を守る継続的な優位性を意味している。バフェットについて知ったのは、1980年代初めで、彼が経営するバークシャー・ハサウェイの年次報告書を読んでみると、堀の概念が説明されていた。私は、この洞察を使ってビジネスができるのではないかと考えた。経済的な堀は、私にとって非常に理にかなっているもので、この概念がモーニングスターの創業と株式分析の基になっている。
 モーニングスターを立ち上げたとき、マーケットにははっきりとしたニーズがあったが、それに加えてこのビジネスには潜在的な堀を設けておきたかった。時間とお金とエネルギーをかけて築いたビジネスを、ライバルにみすみすさらわれてはつまらない。
 私が思い描いていたビジネスを、ライバルがまねするのは難しいはずだった。なぜなら、モーニングスターには信頼されるブランドや巨大な金融データベース、独自の分析、豊富な知識を持った大勢のアナリスト、多数の誠実な顧客基盤などを含む堀を築くつもりだったからだ。それまでの投資経験と、拡大するマーケットニーズと、潜在的に大きな堀があるビジネスモデルを携えて、私は船出した。
 それから二三年、モーニングスターは大成功を収めた。収益は4億ドルを超え、利益率も平均を上回っている。われわれは、堀をさらに広くて深いものにするよう努め、新たな事業に投資をするときには、必ずそのことを念頭に置いて判断を下してきた。
 堀は、モーニングスターの株式投資に対するアプローチの基本にもなっている。これは、長期投資家が大きい経済的な堀を持った企業に集中して行うべきだという考えから来ている。これらの企業は、高いリターンを長期間維持し、平均以上の利益はいずれ株価の形で認められる。それ以外に、これらの銘柄は長期間保有できるため、トレーディングコストを節約できるという利点もある。つまり、堀の大きい企業は、だれにとってもポートフォリオの核となる優れた候補銘柄と言える。  多くの人たちが、「義理の兄が勧めたから」とか「マネー誌で読んだから」という理由で投資先を選んでいる。また、日々の株価変動や、短期のマーケットスイングについて尊大に語る評論家に惑わされることもよくある。それよりも、概念的な支えに基づいて株を評価し、道理にかなったポートフォリオを構築するほうがずっと良い。そして、このとき堀が非常に重要な役割を果たす。
 堀の概念を発展させたのはバフェットだが、われわれはこのアイデアをもう一歩進め、高額な乗り換えコストや規模のメリットなどといった堀の最も一般的な属性を探し、完全に分析した。投資は今でもアートだが、これは堀のある企業を見極める過程を科学的に扱おうとする試みだった。
 堀は、モーニングスターの銘柄レーティングにおいて、決定的な要素となっている。当社には、100の業種に及ぶ上場会社2000社を担当する株式アナリストが、100人以上在籍している。レーティングを決定する主な要因は、,錣譴錣譴査定した適正価値に対するディスカウント、企業の堀の大きさ――の二つだ。アナリストはまず、詳細なDCF(割引現在価値)モデルを使って企業の適正価値を算出する。次に、本書で紹介するテクニックを使い、堀のレーティング(幅が広い、幅が狭い、ない)を決定していく。モーニングスターの銘柄レーティングは、適正価値に対するディスカウントと堀の両方が大きいほど、評価も高くなる。
 われわれは堀のある企業を探しているが、それだけでなく、それらの銘柄を適正価値から大幅にディスカウントした価格で買いたい。バフェットや、オークマーク・ファンドのビル・ニグレン、ロングリーフ・ファンドのメーソン・ホーキンスといった伝説の投資家を始めとする優れた投資家はみんなそうしている。モーニングスターはこの手法を、常に幅広い企業に対して適用している。
 モーニングスターは、幅広い範囲をカバーすることで、企業が競争における継続的な優位性を持っているかどうかを判断するための独自の視点を得ることができている。当社の株式アナリストは、同業他社と比較した堀について定期的に議論し、上級スタッフに対して堀のレーティングの正当性を主張する。堀は、モーニングスターの文化における重要な部分であり、当社の分析レポートの中心的なテーマとなっている。
 本書では、モーニングスターの株式リサーチ部門の責任者を務めるパット・ドーシーが、当社がこれまで積み重ねてきた経験を紹介していく。この機会に、当社が企業を評価するための思考過程を、内部の目で見てほしい。
 ドーシーは、当社の株式リサーチと経済的な堀のレーティングの開発に大いに貢献してきた。彼は頭が良く、情報に精通しているうえに、豊富な経験もある。そのうえ、彼には一流のコミュニケーション能力があり、書くのも話すのもうまい(テレビにもよく出演している)。本書を読み進めていけば、ドーシーには投資を明快かつ面白く説明するという稀な才能があることが分かるだろう。
 本書には、われわれが企業の経済的な堀に基づいて投資判断を下すことが賢い長期アプローチだと考える理由が説明してある。ただ、最も重要なのは、どうすればこの手法を使って富を築けるかということだ。そこで、堀のある企業を見極めたあとは、その株の価値を判断するためのツールを、利用可能かつ興味深い方法で学んでいく。
 大きな堀を持つ企業が、長年にわたって平均以上の利益を生み出してきたことや、堀のない企業の多くがいずれ株主に価値をもたらさなくなることを理解することで、本書は全体を通して、経済的な堀の効力について学べるようになっている。
 モーニングスターの証券分析部門の責任者を務めるヘイウッド・ケリーと、個人投資家部門の代表者であるキャサリン・オデルボも、当社の株式リサーチの開発において中心的な役割を担ってきた。また、毎日堀について質の高い分析を行っている当社の株式アナリスト全員も、大いに称賛に値する。
 本書は分量は多くないが、注意深く読めば、賢い投資判断を下すための確かな基盤を築くことができる。読者の投資がうまくいくことと、この小さな本を楽しんでくれることを祈っている。

ジョー・マンスエト(モーニングスター創業者兼会長兼CEO)



序文 行動計画

 株式市場で儲けを上げる方法はたくさんある。例えば、ウォール街の競争に参加して、トレンドに目を光らせ、四半期ごとにどの会社が予想収益を上回るか推測するという方法がある。ただこの方法は、大勢の競争相手と対抗していかなければならない。また、ブルのチャートパターンや急成長を遂げる強気の銘柄を買ってもいいが、株価が高くなったときに買い手が見つかるかどうかは分からないというリスクがある。本業の質を気にせず格安の銘柄を買うこともできるが、特大のリターンと、存在がなくなった場合の損失のバランスは考ええておく必要がある。
 それ以外の方法として、素晴らしい企業を適正価格で買い、長期間にわたって利益を福利で増やしていくという方法もある。驚くべきことに、世界で最も成功している投資家(最も有名なのはウォーレン・バフェット)も用いているこの戦略を採用しているマネーマネジャーはそう多くはない。
 この戦略を実行するための行動計画は、簡単だ。

一.長期間にわたり、平均以上の利益を上げることができる企業を探す
二.その企業の株価が本質的価値より安くなるまで待って買う
三.企業価値が低下するか、株価が割高になるか、さらに優れた投資先が見つかるまで、その銘柄を保有する。保有期間は、月単位というより、年単位で考える
四.この手順を、必要に応じて繰り返す

 本書は、主にこのなかの最初のステップ、つまり長期的な潜在利益を秘めた素晴らしい企業を探すことについて書かれている。そして、もしそれができれば、すでに大部分の投資家の先を行っていることになる。本書の後半では、株価を評価するためのヒントや、売って次のチャンスに移るための指針も載せてある。  しかし、何年にもわたって大きな利益を生み出していく企業を探すことがなぜそれほど大事なのだろう。その答えは、一歩下がって企業の目的を考えれば分かる。企業とは、投資家の資金を使ってリターンを生み出すためのもので、言い換えれば資本を製品やサービスに投資してさらなる資本を生み出すか(優れた企業)、資本を減らす(だめな企業)大きなマシンのようなものなのだ。長年にわたって資本から大きなリターンを生み出す企業は、素晴らしい速さで富を積み上げていくことができる(ROC[資本利益率]は、企業の利益率を示す最高のベンチマーク。ROCは、企業がどのくらい効率的に資産――工場、人材、投資など――を活用して株主のために利益を生み出しているかを測定するための指標で、投資信託のマネジャーが達成するリターンと似ているが、投資先が株や債券ではなく、プロジェクトや製品であるところが違う。ROCについては、第2章でさらに詳しく述べる)。
 ただ、これができる企業は多くない。ROCが高い企業は、蜜が蜂を引きつけるように、ライバルの関心も引きつけるからだ。結局、これが資本主義の仕組みであり、お金は予想リターンが最も高いところに流れていく。つまり、利益の大きい企業には、すぐにライバルが迫ってくることになる。  通常、ROCはいわゆる「平均再帰」になっている。言い換えれば、高リターン企業のROCは、ライバルが参入してくれば低下し、低リターン企業のROCは新しい事業に参入したりライバル企業が撤退したりすると上がる。
 しかし、なかにはライバルの容赦ない猛攻に長期間耐えることができる企業があり、これらが富を積み上げるマシンとしてポートフォリオの岩盤を形成してくれる。例えば、アンハイザー・ブッシュ(ビールメーカー)、オラクル、ジョンソン・アンド・ジョンソンなどは非常に利益率が高く、長年にわたって厳しい競争にさらされてきたが、それでも高いROCを生み出している。もしかしたら単に幸運だっただけかもしれないが、もしかしたら大部分の企業に欠けている特別な特性があるのかもしれない(こちらの可能性が高い)。
 どうすれば、このような企業、つまり今日優れているだけでなく将来も長いこと素晴らしさが継続する企業を見つけることができるのだろう。そのためにはまず、投資しようとしている企業に関して「何があれば、企業の縄張りに参入しようとしている賢くて資金力もあるライバル社を阻むことができるか」という一見単純に見える質問をしてほしい。
 本書ではこの質問に答えるため、「競争上の優位性」とか「経済的な堀」と呼ばれる企業の構造的特性を探していく。中世に、堀が敵を食い止めて城を守ったように、経済的な堀が世界有数の企業の高いROCを守っている。もし、堀のある企業を探し出し、それを適正な価格で買うことができれば、株式市場での成功確率を大幅に高めてくれる素晴らしい企業のポートフォリオを構築することが可能になる。
 しかし、堀の何が特別なのだろう。第1章は、その質問に答えていく。そして、第2章では擬陽性企業、つまり通常優位と考えられているにもかかわらず、あまり信頼できない特性に関する注意点を見ていく。そのあとの数章は、経済的な堀の水源を掘り下げていく。企業に本当に継続可能な競争上の優位性を与えられる特性を理解するため、ここは時間をかけて説明していく。
 ここまでが本書の前半部分だ。経済的な堀を理解するための土台ができたら、次に腐食していく堀の見分け方や、競争上の優位性をもたらす業界構造の役割、経営陣によって作られる(または壊される)堀についても述べていく。そのあとは、ケーススタディの章で、いくつかの有名企業に対して競争分析を行っていく。ただ、大きな堀がある企業でも割高で買えば良い投資にはならないため、株価評価の概要についても説明していく。



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