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江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」

江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」

著者 清水洋介
四六版 ソフトカバー 248頁
定価 本体 1,400円+税
2006年01月13日発売
ISBN4-7759-9025-X C0033

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■目次


相場に対する考え方は今も昔も変わらない。

 牛田権三郎と本田宗久。言わずと知れた相場の達人である。本書ではこの2人が残 した言葉を、現代の相場に当てはめながら解説している。  牛田権三郎と本田宗久。この2人が一貫として述べているのは「相場を見極める」 ことである。ノウハウ本によく見られるような「いつ仕掛け、いつ手仕舞うか」的な 話は少ないが、それよりももっと大切と思われる「心構え」的な話については“盛り だくさん”紹介されている。そして、それらの話は現代にも十分通用するものだ。な ぜなら、「儲けたい」と思うときの心の動きは今も昔もさほど変わらないからである。  牛田権三郎と本田宗久。2人とも、言葉は違えど、同じようなことを“大切だ”と 語っている。江戸時代に生きた彼らが現代の我々に何を残してくれたのか。それは、 本書に書かれている。

■目次

まえがき 序章

第1章 「三猿金泉秘録」
相場の極意−第1− はじめに
相場の極意−第2− 「理外の理」
相場の極意−第3− 人の行く裏に道あり花の山
相場の極意−第4− 「陰は陽を含む」「陽は陰を含む」
相場の極意−第5− 逆張り
相場の極意−第6− 出尽くし 〜その1〜
相場の極意−第7− 出尽くし 〜その2〜
相場の極意−第8− 売買駆け引き法 〜急いては事を仕損ずる〜
相場の極意−第9− 売買駆け引き法 〜仁の徳〜
相場の極意−第10− 売買駆け引き法 〜待つ〜
相場の極意−第11− 売買駆け引き法 〜まだはもうなり〜
相場の極意−第12− 売買駆け引き法 〜ドテン〜
相場の極意−第13− 売買駆け引き法 〜順鞘・逆鞘〜
相場の極意−第14− 売買駆け引き法 〜買い方有利・迷う相場の心得〜
相場の極意−第15− 売買駆け引き法 〜半扱商内〜
相場の極意−第16− 売買駆け引き法 〜経験則〜
相場の極意−第17− キーポイント・安楽商内・転変商内
相場の極意−第18− 相場は相場に聞け・理外の理

第2章 「本間宗久相場三昧伝」
相場の極意−第19− 米商いは踏み出し大切、米の高下は天然自然の理
相場の極意−第20− 火中へ飛び込む思い切り、海中へ飛び込む心持ち
相場の極意−第21− 急騰急落、天井形成
相場の極意−第22− 天井
相場の極意−第23− 保ち合い放れ
相場の極意−第24− 買いおくれじ時、気崩れ安、意地悪しきもの
相場の極意−第25− 利食い腰を強く、上げのうちの下げ
相場の極意−第26− 休むも相場、見切り千両
相場の極意−第27− 天井狙い、底狙い
相場の極意−第28− 人気片寄るとき
相場の極意−第29− 下げを待ち買い入るべし、心定まらず
相場の極意−第30− 相場に逆らわず
相場の極意−第31− 通い相場・保ち合い相場
相場の極意−第32− 欲を離れる
相場の極意−第33− 気を転ずる事
相場の極意−第34− 我一分の了見
相場の極意−第35− 三位の伝
相場の極意−第36− 筋道を立てる
相場の極意−第37− 我強気の節は人も皆強気
相場の極意−第38− 目先の動きに惑わされない
相場の極意−第39− 日柄・季節性
相場の極意−第40− 戦術・軍略
相場の極意−第41− ポジショントーク
相場の極意−第42− 人の意見と自分の意見
相場の極意−第43− しっかりと方針を立てる
相場の極意−第44− 慰み商い

参考文献

あとがき
参考文献

コラム
在庫循環グラフの作り方
シリコンサイクルグラフの作り方
信用取引について
毎冬に上がる銘柄
IPOの裏技
PBRとPERのはなし
キャッシュフローゲームとは?
成功哲学について


まえがき

 株式投資をはじめ、相場や市場では古今東西を問わず、「安いところを買って、高 いところを売り、また、より安く買い、より高く売りたい」という人間心理が働いて います。そういった人間心理の集合体が「市場」であり、「相場」というものです。  この心理は洋の東西を問わず、また、いつの時代でも変わるものではありません。 常に安いところを買おうと努力し、より高く売ろうとするには、市場の動きを読むた めの心構えが必要なのです。この相場の心構えを「相場で成功した先人に学ぶ」こと はとても大切なことです。

 ただ単に相場のやり方だけを真似するのでは、相場が変わるたびに成功したやり方 を学ばなければなりません。しかし、相場に対する心構えは、いつの世でも、どんな 相場の時でも変わることはありません。相場に対する心構えを身につけることで、ど んな相場であっても、先の動きが読めるようになってくるのではないでしょうか。  この本に収めた、『三猿金銭秘録』や『相場三昧伝』は相場の世界にどっぷりと浸 かった先人がその相場の中で体得したものを後世に残したものです。時代は変わって も、相場に参加している人の心は何ら変わることはありません。相場で成功した先人 のその相場に対する真摯な態度はぜひ見習いたいものです。江戸時代の米相場の話と いうことで、取引のシステムも通貨の単位も違いますが、「相場」で儲けよう(つま り、相場で「うまく」立ち回るということでしょうか)とする気持ちは今の時代にも 通じるものがあります。

 相場で成功したこと、失敗となったことを教訓に、今の時代でも通用する相場の心 構えをもう一度確認してみてください。

清水 洋介

本文抜粋

相場の極意 −第6− 出尽くし 〜その1〜

 下がるところまで下がってしまえば上がるしかなく(=「陰極まれば陽となり」)、 上がるところまで上がってしまえば下がるしかない(=「陽極まれば陰となる」)。 相場とはそういうものです。  ここで言う「下がりきった」ところ、「上がりきった」ところは、その相場の下降、 上昇している材料がすべて出尽くしてしまったところを指します。市場でうわさされ ていたことが事実として我々の前に現れたとき、「好材料なのにそこが天井になって しまったり、悪材料なのにそこから急反発を見せたり」します。このことについて述 べたのが以下の句です。

 「下るほど、下れば弱気の気もつきて、上がるところが天性としれ」

 この句は、「下がれば下がるほど弱気が少なくなり、後は上がるしかない状況にな るものだ」という意味です。  下がり切った状況になれば(「下がり切った状況」を判断するのが難しいのですが) 、「弱気の人はもうすでに皆売ってしまっているのでそれ以上は誰も売らなくなる。 そして、後は自然の習いとして上がるしかないものだ」と話しているのです。  NTTが底値をつけたときがまさしく「下がるほど下がった」状況のときでした。 往々にして、出来高の少ない中でじりじりと底値をつけることが多いものです。NT Tが底値をつけたときも相場全体の出来高は少なく、NTT株自体、「誰も見向きも しない」状況でした。そのようなときは「セリングクライマックス」とはならずに底 をつけることが多いのです。

 「豊年は、万人気弱く我弱し、安きによって売りは禁制」

 「豊作の年は、皆が皆弱気になるもの、自分までも弱気になったところは売り込ま れた後なので当然値段は安いものである。そこで安いから、もっと安くなるのではな いかと考え売ることは絶対に駄目だ」という意味です。  「赤信号もみんなで渡れば恐くない」という句がありますが、普通は事故に遭い、 大怪我をしたりするものです。  売る人が売り切ってしまえば、後は売りが少ないところを買い方が買わざるを得な いわけですから、上昇に転じるのは当たり前なのです。ただ、市場の中にどっぷりと 浸かっていると冷静に判断できず、結果的に自分の投げたところが大底になってしま うことがあります。  例えば2003年の3月にソニーが業績の下方修正を発表し、いわゆる「ソニーショ ック」を引き起こしました。そのときに誰しもが思ったのは「ソニー神話の崩壊」で した。このとき「ソニー=成長力のある会社」というイメージが一気に崩れ去ったの です。株価は一斉に売りを浴び、何度もストップ安になりました。、市場では「どこ で下げ止まる」のかが話題になるほどでした。しかし「売る人」が売り切って大底と なった後はするすると値が戻ったのです。

  「いつにても、三割下げは米くずれ、萬天元の買旬と知れ」

 「三割下げ」は「実際に30%下げた相場」というよりも、むしろ「大きく下がっ た」という意味ではないかと思います。あるいは「半値八掛け二割引」という「高値 の3割のレベルまで下がってしまった」という意味にもとれます。いずれにしても、 節目まで大きく下げた相場とはいったんは売りが出尽くしたことになるわけです。で すから、萬天元(=打診買い)のチャンスになるのです。  計算通りになった例として、2004年のみずほFGの動きがあります。2004 年4月15日に56万円という高値をつけ、その後下落を続けましたが、40万円を 割り込むと反発する動きも出始めました。そして、2004年10月25日、39万 1000円というほぼ30%下落したところで安値をつけた後は反発しました。40 万円を割り込む場面は高値から30%下落した値です。その時点で反発を繰り返して おり、ピタリとこの数値が当てはまりました。

 「分別も思案も要らぬ買旬は、人の捨てたる米くずれなり」

 「何も考えずにすむ買いどきは、皆が売り切ったところだ」という意味です。皆が 売り切ったというのは、「信用で買っていた人が追証で投げた」とか、「追証を入れ ることができずに損切りさせられた」というような有無を言わせぬ売りのこと、また は「確たる理由もなく確証もないままに買っていた人が投げ終ったときのこと」を指 していると思います。そして、こういうときが、難しいことを何も考えることなくに 買える買い場であるという意味だと思います。売り物が出尽くすのを見届ければしっ かりと底値で買うことができるのです。  例えば、「ローソク足」の分析で「たくり足」を作る過程が当てはまります。じり じりと下げていた相場もある日突然、誰かが大量に売りに行き、大きく下落すること があります。ただし、この売りが出切ってしまうと、これ以上売る人もいなくなりま す。そして、売り物が薄いところでちょっとした買い物が出ると、するすると値を戻 します。そういう状況を見ると、慌てて買い戻す動きも出ますので、ますます値を上 げることになり、結局、引けて見るとその日の寄り付きと変わらない水準で引けるこ とになる(=「たくり足」を完成させる)のです。

  「買いぜきをせぬが強気の秘密なり、いつでも、安き日を待って買え」

 売り込まれた後に少し反発したところで、「よし!底は打った、買いに出よう」と 考えるのではなく、本当に売りが出尽くしたかどうかを冷静に見極めなければなりま せん。買い遅れたと思ったところが戻り高値となり、2番底をつけにいったりするも のです。「いつでも買える」わけですから焦ることなく安いところで仕込みましょう。 これがうまくいく秘訣なのです。  実際、「買い急ぐ」とろくなことがありません。ディーラー時代に大失敗をやらか したことがあります。高値をつけた後の押し目だと思って買いに出たところが、押し 目どころか下落の始まりだったのです。その後しばらくはその値段すらつかなかった (当然大きく損をして売ることになりました)こともありました。買おう買おうと思っ ていた株がなかなか押し目を作らず、買うチャンスを逃していたものですから買い急 ぐ気持ちが強くて、「下落の始まり」を「押し目」と勘違いしてしまったのです。後 から冷静になって見れば、テクニカル分析でもしっかりと「売り」のシグナルとなっ ておりました。「どうしてあんなところで買ったのだろう」と最後まで納得いかなかっ たことを覚えています。

    「風吹かぬ二百廿日の安値段、定式として待ち受けて買え」

 「大きな台風の来なかった二百廿日前後(二百十日は一番台風が多いときと言われ ています)は、台風のダメージを受けず米も豊作であるという予想が多くなり、米は 売り込まれるものだ。売り込まれるときは『売られ過ぎ』を買う絶好のチャンスとな る」という意味です。  二百廿日前後だからと言ってすぐ買うのではなく、「二百廿日」だから売り込んで 来る向きがいると考え、その動きをよく見極めたうえで買いを入れることが大切なの です。  株の世界でも「決算だから」を理由に売ってくることがあります。また、株式分割 銘柄で信用取引の買い残高が多い銘柄などでは、その分割の残りの「権利入札」を嫌っ て売り物が出てくることがあります。このような「ある程度」予測される売り物は 「人に買われてしまうのではないか」などと考えずに「安いところで買えればいいや」 くらいの気持ちで買いに出たほうが良いのです。


相場の極意 −第20− 火中へ飛び込む思い切り、海中へ飛び込む心持ち

 牛田権三郎も本間宗久も同じ江戸時代の人間です。相場で成功したという共通点が あるからでしょうか、同じようなことを言っているところも結構あります。  さて、今節は「逆張り」を考えてみたいと思います。本間宗久は「逆張りをするの は非常に勇気のいることだが、そういうときこそ儲かるものだ」と言っています。

 「米、段々上がる時、諸国不時申し出し、大坂相場も加え、跡も引き上げ候沙汰、 御蔵米など申し立て、なおなお上げ、人気も強く、我も買い気に付き候節、心を転じ 売り方に付候事肝要なり。是すなわち、火中へ飛び込む思い切り、一統騒ぎ立つ節は、 人々西に走らば、我は東に向かう時は極めて利運なり」

 「相場が段々上昇してあちこちでいろいろと強気な話が聞こえ出し、大阪相場の動 きも強気となり、備蓄米の話題まで出て、それでもなお相場が強く、人気もあり、自 分も買い出動したくなったときは、自分の気持ちとは反対に売りにいくことが大事で ある。これは火の中に飛び込むくらい勇気のいることであるがこれが正解である。大 騒ぎして人々が西に走っているときは、自分は東に向かうと非常に儲かるものである」 という意味です。

 非常に核心をついた言葉だと思います。上昇の場合も下落の場合も熱狂相場の中に いると案外自分というものが見えず、人と同じようにやっていれば儲かると思ってし まいがちになります。最初の1〜2回はそれで良い思いができるかもしれませんが、 最後には高値掴みしたり、底値で売ったりという結果になりかねません。  とはいうものの、人が西に行ったからとむやみに東に行くのも考えもので、南が良 いか、北が良いか、本当に東で良いのか、よく確かめる必要があります。人の言動に 惑わされずに自分の考えで投資する目を養うべきだと思います。

 「米段々下げ、上方相場替わることなく、諸国並びに最上払い物沢山の風聞、人気 も揃い弱く、何程下がるも知れ難く、我が考えも弱かるべしと思う節、心を転じて買 い入るべきなり、この思い切り、海中へ飛びいる心持ち、はなはだ成りにくきものな れども、その節疑いの気を生ぜず買うべし、極めて利運なり。下げと見込む時、思い 入れの通り下がるものなれば心易きものなれども、人気下がると片寄る時、かえって 上がるもの故、考えに及ばざるなり。上げも同断、すなわち海中に飛び込む心持ち、 極意なり」

 これは先ほどの反対で下げ相場の場合の処し方を述べたものです。「相場が段々下 がり、上方での相場も変わることなく、全国各地で、また、最上などの米どころでさ え払い米があるなどのうわさも流れ、人気もなく弱気一辺倒でどの程度下がるのかも わからないような状況で、自分の考えも『この相場は弱いだろう』と思うときは、心 を転じて買いに出るべきである。このときの気持ちは海に飛び込むような気持ちで、 非常にやりにくいことだが、何も考えずに買うべきである。そうすれば必ず儲かるも のである。下がると思った相場がその通り下がれば非常に楽であるが、人気が下がる ほうに片寄るようなときは反対に上がることが多いものである。考えるまでもないこ とである。海に飛び込むように思い切ることが極意である」という意味です。  先ほどと同じように逆張りの効能を説いています。ただ、ここでも単に「人の反対 をやれば良い」わけではありません。相場を真摯に見つめて「相場のことを相場から 聞く」ようにするのです。相場に聞けば「もう天井だ」とか「もう底だから良いだろ う」と教えてくれるはずです。

 繰り返しになりますが、お話ししておきます。ここで述べられているのはいずれに しても「人の反対をやれ」ですが、言うまでもなく、やみくもに反対のことをすれば 良いわけではありません。しっかりと相場を見なければならないのです。株価は常に 「買われ過ぎ」という水準にいるか、「売られ過ぎ」の水準にあるか、「適正」と言 われるところにいるかのいずれかにあるわけです。売られ過ぎれば戻り、買われ過ぎ れば下がるものなのです。

 先にもお話ししましたが、2003年の春にソニーショックが起きました。ソニー 株には「安いところを買って、持っていれば儲かる」という一種の「ソニー神話」が あったわけですが、2003年の春でその神話も崩壊したと言われています。ただ、 その崩壊の過程でもストップ安を続けたところで、「売られ過ぎ」と言われる状況と なり、ストップ安で寄り付いたところが大底となったのです。この例のように、こう いうときに「海中に飛び込む心持ち」で買いに出るとその後は幸せになるものなので す。

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