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ブルベア大賞 2006-2007受賞 |
著者 優利加
A5版 ソフトカバー 300頁
定価 本体 2,800円+税
2006年02月14日発売
ISBN4-7759-9028-4 C2033
セミナーDVD
新発売
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生涯現役のDVD 生涯現役の株式トレード技術
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セミナーDVD
DVD 時間差売買テクニック 掲載されました 「エコノミスト 投資の達人 2006年8月号」(毎日新聞社 2006.07.18発売) に、優利加氏のコラムが掲載されました。
立ち読みページ: こちらから優利加氏のコラムを2ページお読みいただけます。続きは本誌でどうぞ。 |
そのときどきで変わる(ときに激しく変わる)相場環境に振り回されることなく、株式相場において、生涯現役で生き残るにはどうすればいいのか。投資家が抱くであろうこの問いに、本書は明確な答えを打ち出している。それは「自分の“型(決まりごと)”を作り、自分の“型”の間合いに入ったときに、その“型”どおりに売買すること」だと。具体的に言うと、相場における「戦略(※1)」「戦術(※2)」「戦闘法(※3)」を決め、それを厳守し、実行していくのだ、とメッセージしている(本書でメッセージしたいことを参照)。
本書では、「型」の構築法はもちろんのこと、相場における「戦略」「戦術」「戦闘法」とは何かについてや「戦略」「戦術」「戦闘法」を決めるためのヒントなどを、著者の経験に基づいて解説している。生涯現役で有終の美を飾りたいと思うのであれば、本書を参考に自分の不動の型を作り、その型どおりに売買していくといいだろう。本書には、一生使える、一生ものの宝が詰まっている。
※2戦術
4つの買い場、4つの売り場になったら出動(あるいは手仕舞い)すると決めておく。
※3戦闘法
戦術(売買の型)を確実に実行するための「建玉法を中心とした売買ルールの細則(「相場観測」「銘柄選択」「建玉操作」「資金管理」)」を決めておく。
2006年2月 優利加
第1日目 相場における戦略・戦術・戦闘法とは
第1時限目 目標を決める
目標とは/相場における目標とは
第2時限目 戦略を決める
戦略とは/相場における戦略とは(概要)/相場における戦略とは(実際にやるべきこと)
第3時限目 戦略を決める
戦術とは/相場における戦術とは(概要)/相場における戦術とは(実際にやるべきこと)
第4時限目 戦略を決める
戦闘法とは/相場における戦闘法とは
第2日目 戦闘法についての詳説
第1時限目 相場観測の「11」のポイント
トレンドライン及び移動平均線のチェック/フォーメーションのチェック/支持線・抵抗線をチェック/出来高の変化をチェック/新値の限界をチェック/日柄の限界をチェック/信用倍率の変化をチェック/ローソク足の組み合わせをチェック/相場全体の現状をチェック/3段上げ、3段(2段)下げのどの位置にあるかをチェック/目標値を決める
第2時限目 チャートの読み方について(相場観測実例集)
チャートを読む目的と意味/チャートを読む実例/買ってはいけない典型例のケーススタディ
第3時限目 銘柄選択(銘柄監視)の詳細について
第4時限目 建玉操作の詳細について
建玉操作の真髄/使える建玉操作法/治にいて乱を忘れず、乱にいて治を忘れず/生涯現役のためにつなぎの技術を/逆張りとナンピンの違い/プロの建玉
第5時限目 資金管理の詳細について
第3日目 相場技術について
第1時限目 相場技術を構成する6つの要素について
相場技術全体系/暗黙知の部分をできるだけ明らかにする
第2時限目 技術論
まずは自分のレベルを知ること/技術=(顕在知+暗黙知)×知恵×実行/相場における戦略とは(実際にやるべきこと)
第3時限目 精神論
行雲流水のごとく心を任せ決断する/強靭な精神力とは/結局は精神力で決まる。焦るべからず/心が弱いと実践できない/武道の極意は相場の極意/忍耐強く自分の間合いに飛び込んでくるまで待つ/相場の「虚」「実」「補給線」
第4時限目 相場は常に正しい
相場は「不易流行」/株価は常に正しい/株価は構造的に下がるようにできている/上げても下げてもどちらでも良いのが相場/相場は値動きと時間の関数/売買の源泉は建玉操作にある
第4日目 失敗の原因を知っておく
第1時限目 なぜ、うまくいかないのか?
「何を買うか」だけでは生き残れない/トレードが下手な人には理由がある/失敗の原因は、スタイルと手法のミスマッチ/新値の限界をチェック/日柄の限界をチェック/信用倍率の変化をチェック/ローソク足の組み合わせをチェック/相場全体の現状をチェック/3段上げ、3段(2段)下げのどの位置にあるかをチェック/目標値を決める
第2時限目 無知と怠慢が最大の敵
第5日目 学び方について
第1時限目 自分で調べる
第2時限目 他人の失敗から学ぶ
賢者は歴史に学び、凡夫は経験に学び、愚者は経験しても学ばない/失敗から学べることは多い
第6日目 相場技術上達への道のり
第1時限目 トレーディングスタイルと型の決定について
型の構築(プロがプロでいられる理由を知る・自分の性格と技量を知る・自分のトレーディングスタイルを決める・自分の「不動の型」を確立する・自分なりの不動の型をどのように構築するか)/型を決めたらあとは待つのみ/ちまたの雑音に惑わされないように自分が強くなる
第2時限目 オンリー・ワンであれ
知識を習得しながら実戦で心を鍛える/オンリー・ワン/株式トレードは究極の個人事業
付録(上昇トレンド銘柄・下降トレンド銘柄・トレンドがはっきりしない銘柄・収斂・保ち合い)
株式トレードは本当に難しいものです。その原因はひとつではありません。いろいろ考えられますが、その典型的な原因とその解決策を私の経験から整理すると次の通りになります。
1)どの銘柄が、いつ上がるのか、下がるのか、どこまで上がるのか、下がるのかを予測できない → 根本的な解決策はない。だが、多くの銘柄を監視し続け、上げ始めるときの兆候や下げ始めるときの兆候を見逃さないように訓練することで、相場観測技術を高めることは可能。また、保ち合い中の銘柄には手を出さず、保ち合い放れ直後かトレンド形成中の銘柄のみを手掛ける。
2)そのときどきの雰囲気に振り回されやすく、相場全体が強気のときには過度に強気になり、反対に、相場全体が弱気のときには過度に弱気になる → 株価が何故変動するのか、そのメカニズムを理解すれば雰囲気に振り回されにくくなる。
3) 迷いやすくなかなか決断できず、株価の動きに取り残される → 仕掛けと手仕舞いの有効な型を決め、型通りの売買を繰り返し訓練することで、迷い過ぎる性格を克服することは可能。監視銘柄が自分の型で決めた間合いに入ってきたら、事前にストップロスを決めて、迷わずに必ず仕掛けるようにする。事前に決めた小さなロスカットが何度か連続で起こっても、諦めず、恐れず、自分の型の間合いに入ってきたら必ず仕掛ける。地合の判断と銘柄選択が致命的に間違っていなければ、トータルでは必ず勝てる。実戦でなかなか決断できないなら、まずシミュレーションで決断の訓練を重ねる。シミュレーションでさえ実行できないことは、実戦での実行はほとんど不可能。トレードのうまい下手は、必要な知識を一通り学んだら、結局、学んだ知識を実行するかしないかの実行力、つまり、決断力の問題にある。
◆株価は何故、どのように変動するのかを理解しておく
株価は企業業績の変動だけではなく、戦争や大規模テロ、天変地異、異常気象、広範囲に影響を及ぼす大事故、伝染病の拡大など、森羅万象の変動を敏感に反映して動いています。
とはいうものの、株価変動の最大要因はやはり企業業績の変動です。もっと正確に言うと、企業業績見通しの変動です。すでに確定した過去の決算期の数字はもはや株価に影響を与えません。マーケットが関心を示すのは、確定した過去ではなく、「これからどうなるか」だけです。だからこそ、株価はさまざまな株価変動要因を先取りしてその価格の中に取り込もうとします。当然、まだ株価にどのような影響を及ぼすかが確定していない要因を先取りして取り込もうとしているわけですから、たえず変動します。 株も債券も預金もオプションも、すべて金融商品です。すべての金融商品の価格は、その商品が生み出す、または生み出すであろうとマーケットが推定する将来の(過去はまったく影響しない)すべてのキャッシュフローを、満期までの期間に応じた金利で現在価値に還元した値です。近年では、商業用不動産の価格もこの手法(収益還元法)で評価されています。例えば、固定利付き債券は固定金利で元本保証なので、将来のキャッシュフローがすべて決まっています。したがって、信用不安時を除けば、価格決定を左右するものは将来の金利変動に対する見方だけです。しかし、株価(その企業が将来生み出すとその時点で推計されるすべてのキャッシュフローの1株当たり現在価値)の場合は、その企業が生み出す将来のキャッシュフローは誰にも正確には予測できませんし、将来の金利変動も正確には予測できません。つまり、二つの不確定要因があるので、価格を大きく変動させるわけです。
機関投資家が手掛けるような銘柄に限定すれば、企業業績の見通しが一定方向へ変化すると、中長期的な買い切りまたは売り切りという実需の需給に変化が起こり株価の中期トレンドが発生します。 では、なぜ、ほとんどの場合、業績見通しが上方修正されると株価は上げるのでしょうか。
株式投資に理論と定石はありますが、事前に決まった正解はありません。しかし、だからといって、株価が理論とまったくかけ離れた動きをするわけでもありません。基本を理解しておけば、迷ったときの拠り所になります。 我々個人投資家が簡単に確認できる企業の業績見通し数値には、売上高、営業利益、経常利益、当期利益、1株利益、1株配当などがあります。業績見通しが上方修正されるということは、例えば、当初の予想では1株利益が100円だったものが110円になることを指します。その次の期もさらに10%伸びると予想されると、市場ではその10%成長が毎期ずっと続くものと仮定したかのような株価の中期トレンドが形成されます。その結果、成長の鈍化が明確になるまで、株価は傾向として上げ続けることになります。理屈好きの読者のために、以上の話をもう少し理論的に説明しましょう。 来期の1株当たりキャッシュフローをCFS、その後、毎期の1株当たりキャッシュフローの伸び率をg、割引率をrとすると、一連のキャッシュフローの現在価値(理論株価)は次式で表すことができます。正確には、割引率は、その企業の自己資本コストと借入金コストを加重平均した加重平均資本コスト(WACC)を使うべきですが、簡便的には、その会社の長期社債金利よりもいくらか低い水準と考えておけば良いでしょう。
上式の右辺を整理すると、次のように簡潔な形になります。
この式が意味することは、来期以降の1株当たりキャッシュフローの伸び率が高くなればなるほど分子が小さくなるので、理論株価は高くなるということです。1株利益は会計上の利益であり、1株当たりキャッシュフローそのものではありませんが、売上高、営業利益、経常利益、当期利益、1株利益、1株配当の中では1株当たりキャッシュフローに一番近い数値です。だから、営業利益に問題がなければ、1株利益の上方修正が発表されると、株価はすぐに反応して上げるのです。
業績見通しが連続して修正されると、株価を底流で支えるファンダメンタルズが変化し、その株を買い切りまたは売り切りする長期投資家の実需を変化させます。その結果、日中足では一見、捉えどころのない波しぶきを上げながらも日足・週足・月足では潮流を形成します。この潮流を客観的に認識することが相場の観、つまり「相場観」です。
日々の株価は潮流の方向に動きながら、その株価位置、日柄、そのときどきの市場の旬なキーワード(例:原油高、円安、内需回復、含み資産、デフレ脱却、設備投資回復など)、人気や材料という強風(ときには嵐)に煽られ、現物と先物との裁定売買や近い将来に反対売買を伴う仮儒――信用取引を含む短期売買など――の需給が変動します。その結果、短期的には中期トレンドをさらに鋭角にした加速波流を形成したり、利食い手仕舞いにより一時的な逆行波流を形成しながらも、底流で実需の変化が引き起こす大きな潮流の方向へ進んで行きます。ときには、長期テーマが潮流を加速することもあります。逆行波流から加速波流へ変わった直後にその変化を感じ取り、順張りで乗る感性が相場の感、つまり「相場感」です。また、変動感覚(勘)により逆行波流の終盤を逆張りで建て玉する勘が相場の勘、つまり「相場勘」です。
株価が「いつ」「いくら」に上がるのか、下がるのかは予測不能ですが、その株価の歴史認識と現状認識を適切に行えば、中期的にどちらの方向へ進もうとしているのかイメージを描くことはできます。この中期的イメージが戦略の基盤となります。当然、そのイメージが「結果として幻影であった」ということもあります。だからこそ、その場合の損害を最小限に抑えるために戦術と戦闘法があるのです。相場を技術として捉える限り、博打的売買はしないはずです。仕掛けから最終的な手仕舞いまでの間、必要なら何度でも軌道修正ができるし、また、そうしなければなりません。
◆その理解をどのように行動に結びつけるか
これまでの話を図にまとめたものが「優利加株価変動モデル」です。 この流れを頭に入れつつ、ファンダメンタルズが底流で支える潮流銘柄を効率的に絞り込み(戦略)、加速波流と逆行波流でどのように仕掛け、手仕舞いするかの型を決め(戦術)、その型を実行するための細則(戦闘法)を決めておき、淡々と実行するのです。
このようなことを事前に決めておく理由は、可能な限り「迷い」を断ち切ることにあります。人間は弱いもので、決まりごとがないとそのときどきの状況に本当に迷わされます。そしてまた、迷った揚げ句に行動しても結果的に良いものを得られることはほとんどありません。だからこそ、「型(決まりごと)」を作っておくことが大切なのです。さらに、型を作ったら、それを厳守し、実行していくのです(このことについては本書の第1日目と第6日目で詳しく述べます)。 本書の中で私が特に伝えたいメッセージを簡単に説明すると、次のようになります。
1)相場の見方や銘柄の選び方、仕掛け・手仕舞いの型、建玉の仕方といった相場にまつわるすべての行動の「型」を決め、
↓
2)自分で決めた型に従って、大局的な相場観測から上昇相場か下落相場かを判断し、売り狙いか買い狙いを決め=戦略
↓
2)自分で決めた型どおりに売買銘柄を絞り込み=戦略
↓
3)絞り込んだ売買銘柄を自分で決めた型(4つの買い場&4つの売り場)になるまで監視し=戦術
↓
4)自分で決めた型(4つの買い場&4つの売り場で迷わず行動するための細則)に従い仕掛け(あるいは手仕舞い)=戦闘法
↓
5)仕掛けた後は自分で決めた型(細則)どおりに建玉操作していく=戦闘法
なお、戦略、戦術、戦闘法を簡単に説明すると次のようになります。
【戦略】大局的観点(相場観)から、売り or 買い ⇒ 銘柄群選択 ⇒ チャートの形で選択 ⇒ 業績見通しでチャートの裏付けを取る(一株当たりキャッシュフローの期待成長率が高いほど株価の理論値が上がる)
【戦術】4つの買い場、4つの売り場(相場感による順張り、または相場勘による逆張り)
【戦闘法】戦術を実行するための細則
これからの6日間、相場という先が見えない未知の荒海を生涯現役で安全に航海するための水先案内をします。したがって、この本は株式相場という荒海の海図でもあります。私と一緒に、生涯現役を目指すため、相場の考え方(相場哲学)、相場の見方(相場観測法)、相場のやり方(銘柄選択、建て玉法、資金管理)、相場の上達法(練習法)を学んでいきましょう。