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ウィザードブックシリーズ Vol.102

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ロビンスカップの魔術師たち
トレードコンテストのチャンピオンが語るトレーディングの極意

2006年4月12日発売
ISBN4-7759-7067-4 C2033
定価本体2,800円+税
A5判 288頁

著 者   チャック・フランク/パトリシア・クリサフリ
訳 者   古河みつる


目次 | 著者紹介 | ワールドカップ・アドバイザー紹介 | 正誤表 | 関連書籍

ロビンスカップとは、自己資金で、リアルタイムで競うトレーディングの“スーパーボウル”である!
(ラリー・ウィリアムズが1987年、驚異の1万1376%をたたき出し、プロのトレーダーたちの登竜門となった)

トレーディングドリームを実現したチャンピオンたち

 野球でいえば、ワールドシリーズ。アメフトなら、スーパーボウル。トレーディングなら、ワールドカップ・トレーディング・チャンピオンシップということになる。このコンテストでは、アマチュアから当代一流のプロたちまでの、ファンダメンタル対テクニカル、システム対人間、そして究極的には自分対自分の激烈な戦いが展開されてきた。
 本書は、9人のコンテスト優勝者たちがゴールへ突進する原動力となった門外不出の戦略とテクニックが詰まった宝石箱のふたを開けてみせる、という画期的な試みである。コンテスト優勝者たちが試練のなかで学び取った貴重な教訓――あらゆるトレーダーがしばしば犯す過ちとそこから挽回するために取られた見事な技法――が明らかにされている。読者は下記のような奥深い洞察と実践的な教訓を得ることができる。

 ワールドカップ・トレーディング・チャンピオンシップは、20年以上にわたり、新 しい戦略、テクニック、教訓が誕生する場になっている。あらゆるテクニックが歓迎 され、元チャンピオンや前チャンピオンでも、初参加者でも、すべてのトレーダーが 対等な立場で対戦する。ひとつだけ確かなこと。それは、先物取引には限界がまった くない、ということだ。
「今から思えば、1984年の最初のコンテストは、現在わたしたちが知っているコンテストとはおよそかけ離れたものでした。当時は参加者も少なく、世間の注目を集めることもありませんでした。いまコンテストは多額の賞金と名声の懸かったビッグビジネスに成長しました」
――ジョエル・ロビンス(ロビンス・トレーディング・カンパニー社長)

「アップダウンがしばらく続きました……トレーディングでは大幅なアップダウンは付きものなので、なんら目新しいことではありませんでした。それがトレーダーの宿命なのです」
――ラリー・ウィリアムズ(1987年にたたき出した1万1376%のリターンは現在も破られていない)




原書
Secrets of the World Cup Advisors



■編者紹介

チャック・フランク(Chuck Frank)
ライター兼トレーダー。シカゴトリビューンのサバーバン・トリブでスポーツライターを7年間務め、その後、シカゴ商品取引所(CBOT)で30年債のTボンドのピットへ移り、そこで19年間にわたり独立ブローカーやトレーダーとして従事。2000年にトレーディングフロアを離れ、WorldCupAdvisor.com ウエブサイトを開設。フランクの最初のノンフィクション本は1980年に出版された。

パトリシア・クリサフリ(Patricia Crisafulli)
ロイターのシカゴ支局の株式デスクの記者を含む、いくつかの代表的な報道機関に勤務していた元ビジネスジャーナリスト。現在はシカゴ地区におけるライターであり、ビジネスや投資に関するいくつかの書籍のゴーストライターを務めている。ノンフィクション本の著者でもある。

訳者紹介

古河みつる(ふるかわ・みつる)
慶応義塾大学卒、南カリフォルニア大学MBA。(有)フルクサス代表。訳書に『マベリック投資法』『くそったれマーケットをやっつけろ!』『ターナーの短期売買入門』『オニールの相場師養成講座』『トレンドフォロー入門』(パンローリング)ほか。


目次

ワールドカップ・トレーディング・チャンピオンシップとは (立ち読みページ)

はじめに ジョエル・ロビンス (立ち読みページ)

第1部 学習曲線

  第1章 ジョン・ホルシンガー John Holsinger
      感情的な判断を一切排除し、一貫性を持つことでブレイクした「おとなしい会計士」

  第2章 デビッド・P・キャッシュ David Cash
      伝説のトレーダーのまねをしてチャンピオンに輝いた「ラリー・ウィリアムズ・チルドレン」

第2部 システマチックトレーダー

  第3章 ニール・ペプリンスキー Neil Peplinski
      勝てるシステムに最適枚数で、ラリー・ウィリアムズのリターン記録の更新を目指す「先物トレーダー」

  第4章 チャック・ヒューズ Chuck Hughes
      季節性とサイクルを利用したシンプルなシステムで一貫したリターンを目指す「元パイロット」

  第5章 カート・サカエダ Kurt Sakaeda
      徹底したシーズナルな統計分析によって仕掛け日も手仕舞い日もすべて計算済みの「熱狂的ギャンブラー」

第3部 チャンピオンたちが使っているテクニカルトレーディング用ツール

  第6章 ジョン・ミルズ John Mills
      エクイティグラフによって売買からマネーマネジメントまで決定する「元ヘアサロン経営者」

  第7章 ロバート・ブロック Robert Bloch
      独自に開発したRBTCオシレータとフィボナッチ分析で毎年上位入賞を果たす「ロビンスカップの顔」

第4部 ワールドカップアドバイザーの勝利戦略

  第8章 オースチン・パサモンテ Austin Passamonte
      主要トレンドを見極め、押し目買いと戻り売りに徹するスイングトレードの「オールラウンドプレーヤー」

第5部 ラリー・ウィリアムズの伝説的パフォーマンスを振り返る (立ち読みページ)

  第9章 ラリー・ウィリアムズ Larry Williams
      大勝ち、大負け、誹謗中傷への反論、トレーディングを続けること
      ――1万1376%をたたき出した1987年の激闘のすべて語る
(インタビューアー チャック・フランク)

付録

 先物取引ワールドカップ・チャンピオンシップのハイライト
 ワールドカップ・アドバイザー紹介
 推薦図書


■ワールドカップ・トレーディング・チャンピオンシップとは

 野球で言えばワールドシリーズ。アメフトならスーパーボウル。トレーディングなら、ワールドカップ・トレーディング・チャンピオンシップということになる。ナショナル・パブリック・ラジオは最近の特別番組でワールドカップコンテストを“トレーディングにおけるオスカー”と呼んだ。

 ワールドカップ・トレーディング・チャンピオンシップは、先物、為替、株式の各部門があり、1984年以来、トレーディングコンテストとして最高の舞台を提供し続けている。ワールドカップでは、毎回、リアルタイム、リアルマネーでの真剣勝負が展開され、勝てば全国的な栄誉を誇ることができる。

 出場者たちは、ユニークなワールドカップ・ブル・アンド・ベア・トロフィーという賞品を目指して対等な立場で競い合う。場合によっては、www.WorldCupAdvisor.com におけるアドバイザリー・チームの一員になることもできる。

 ルールは至って単純。最も高いパーセンテージで資金を増やしたトレーダーが優勝を勝ち取る。出場者は、100%のペイアウト(還元率)を特徴とする、自主的な賞金プールで競うことを選択することもできる。最後に最高のトレーダーが勝負を制する。  過去の優勝者のパフォーマンスには、下は2001年の先物における53%という控えめな数字から、上は大荒れの1987年におけるラリー・ウィリアムズによる1万1376%という歴史的な数字まである。

 ワールカップ・トレーディング・チャンピオンシップは、ロビンス・トレーディング・カンパニーとロビンス・セキュリティーズ・インクが主催している。


■はじめに

 わたしのように証券会社を営んでいれば、顧客が望んでいる優先順位はすぐに分かります。迅速かつ信頼できるサービスが第1位。リーズナブルな手数料体系が第2位。魅力的な投資選択肢と継続的な教育がわずかな差の第3位です。わたしの会社ロビンス・トレーディング・カンパニーの顧客たちは、有能なマネーマネジャーを知りたい、新しいテクニックを学べる、有望なトレーディングモデルを教えてほしいと営業初日から迫ってきました。この刺激的で移り変わりの激しい業界でこの最後の優先事項を満たすことは、どんな注文を満たすことよりも難しいのです。

 1983年夏のある午後、わたしは社の主だった面々を伴い、ミシガン湖で1日船遊びに興じていました。そのとき話題にのぼったのがまさしくこの問題でした。わが社は急成長し、すでに多様な商品とサービスを提供していましたが、トレーダーとしてグレードアップすることを望む顧客たちは、さらに多くの選択肢とさらに多くの手法を求めていたのです。だれかがトレーダーやマネジャーを競わせてみたらどうかというアイデアを出しました。わたしたちはそれを従来にはないアプローチで実現してみようと考えました。その小さな種が大きな計画へと発展したのです。トップトレーダーたちがそれぞれの資金を元手に直接対決する、トレーディングにおける究極の“虎の穴”のようなコンテストを開催しようと思い立ったのです。そのコンテストでは、真のプロが見かけ倒しの連中から選り分け、真にベストの中のベストにチャンピオンの栄誉を与え、その究極の勝者をワールドカップチャンピオンと呼ぶことにしました。

 目指すことがだんだんと具体化してくるにつれ、絶対に成功させるようという決意も高まりました。リアルタイム、リアルマネーでのトレーディングコンテストという斬新な企画によって一流の競技者たちを集め、最高の先物トレーダーを決するイベントにするのです。アマチュア、プロを問わず、最高のトレーダーを正確に決定する方式を開発することができれば、勝者たちに資金運用やモデル開発の機会を提供することができます。そして、さまざまなチャンピオンからのインプットとアイデアを活用することによって、わが社の顧客が求めている新しいトレーディングパラダイム、戦略、および代替投資商品を提供することができるようになるのです。

 当初は簡単に考えていました。計画を公表し、イベントをプロモートし、成果を記録し、トロフィーを渡し、結果を発表する。いったいどこが難しいのか?  わたしたちはすぐに思い知らされました。規則や規制、スポンサーや経費、ロゴやグラフィクス、スプレッドシートやニュースレター、弁護士、政府機関、トロフィーの金型、広告宣伝、アカウントフォーム、ドキュメント、断り書きなどが必要でした。この種のトップレベルのイベントを開催するには、膨大な資源を注ぎ込むことが必要であることをすぐに学びましたが、開催する決断をしたことを後悔したことは一度もありません。わたし個人にとって、ワールドカップ・トレーディング・チャンピオンシップは、常に充実感と高揚感を与えてくれるものです。この間、数々の新しいコンセプトと貴重な教訓を有能な競技者たちから学んでいます。そして今回ついに、この本によってその興味深い物語、戦略、教訓を広範な読者の皆さんと共有することができることになったのです。

 1984年2月15日に第1回ワールドカップチャンピオンシップが開催されて以来、このトレーディングコンテストという栄光ある実験は、何人かを例に挙げれば、あの比類なきラリー・ウィリアムズ、チャック・ヒューズ、ジョン・ミルズ、ロバート・ブロックなど、世界一流のトレーダーたちとの親交を育んできました。毎年コンテストの進捗状況をつぶさに追跡してきましたが、そのスキル、忍耐力、復元力、そして、ある場合には、その大胆な奔放さに驚嘆しました。

 今から思えば、1984年の最初のコンテストは、現在わたしたちが知っているコンテストとはおよそかけ離れたものでした。当時は参加者も少なく、世間の注目を集めることもありませんでした。今コンテストは多額の賞金と名声の懸かったビッグビジネスに成長しました。当時のコンテスト期間は4カ月半。現在のチャンピオンシップは丸1年。トレーダーたちは季節的なアップダウンを経験しながらそれぞれの根性を試すことになります。

 最初の勝者ラルフ・カッサゾーネが264%のリターンを上げたときには本当に感銘したことを覚えていますが、そんなに高いパフォーマンスが毎年再現されることが可能だろうかと心配もしました。ラルフがその翌年にまた参戦し、1283%という驚くべきリターンを上げたとき、そういうレベルのパフォーマンスが再び見られることがあるだろうかと気をもんだものです。そのわずか2年後、ラリー・ウィリアムズが、考えられない1万1376%という気が遠くなるようなリターンを達成したのです。先物取引には限界がないことを思い知らされたのです。

 1987年は、ラリーの運用資金がトントン拍子に膨れ上がるのを見ながら、充実感と高揚感につつまれていました。8月末に7桁のハードルを超えたことに気がついたとき、わたしは普段ならしないようなことをしました。  それまで、そんな芸当を成し遂げた顧客は一人もいませんでした。ラリーの投資口座は10000%以上膨らんでいたのです。それだけでなく、第2位を大きく引き離していたのに、ラリーは1日に最高1000枚の債券を取引していました。この時点で、社の利益には反していましたが、ラリーに取引を少し抑えるようすすめる電話をしました。この驚くべきパフォーマンスを危険にさらし続けるのはバカげている、と伝えたのです。彼は毎日わたしに膨大な金額の手数料を支払っていました。取引せずに運用資金を正月まで寝かしておけば、驚異的なフィニッシュを飾り、彼自身とワールドカップの両方に最高の栄光をもたらすことができるのです。

 ラリーは穏やな口調でこう言いました。「ジョエル、今やめるわけにはいかないよ。100万ドルは超えたけど、この先どこまで行けるかやってみたいんだ」と。わたしはそれ以上返す言葉もありませんでした。彼はトレーダーなのです。トレーダーはトレードしてこそトレーダー。そういうことなんです。

 はたして、それから数週間後の9月、ラリーは運用資金を倍増させていました。1987年10月の株価暴落前の時点で彼の投資口座残高は200万ドルを超えていました。しかしその暴落によって彼の資金も一緒に暴落しました。ところが驚いたことに、彼の投資口座が100万ドルを下回ったのはわずか数日間だけでした。素晴らしいリカバリーを示し、110万ドルという驚異的な成績でコンテストを終えました。本書において、ラリーは1987年におけるこの勝利について初めて自ら詳細に語ってくれています。彼が語るあの厳しい航海における心理的な側面に皆さんも魅了されるはずです。わたしたちはだれも1987年のことを忘れることはないでしょう。ラリー、感動をありがとう。

 いまだにラリーに迫る成績を上げる者は現れていませんが、まねのできない偉業を成し遂げた、並はずれたトレーダーは何人かいました。1998年と1999年にロバート・ブロックは5つの部門で上位3に入るという快挙を成し遂げましたが、果たしてそんな人物が再び現れるかわたしには分かりません。そして、2002年にジョン・ホルシンガーがやったように、二つの投資口座でそれぞれ608%増と304%増で1位と2位をつかむようなことが再現されるまでにはしばらくかかるでしょう。どちらにしても、面白いところは、どうなるかなどだれにも絶対に分からないということです。思いがけないところからまったく無名のトレーダーが現れ、わたしたちの参考になる、独自のユニークな手法を駆使して新たな好成績を収めることになるでしょう。

 この20余年、実にバラエティーに富んだ参戦者が現れ、バラエティーに富んだ手法を駆使し、さまざまなマーケットでトレーディングを展開してきました。ただし手法的に大きく見れば、2種類のトレーダーに分類することができます。過去の価格データを分析してシステマチックな戦略を構築するテクニカルトレーダーと、需要と供給に影響を与える各種要因を分析して投資判断を下すファンダメンタルトレーダーです。全体として見れば、一部の例外はあるものの、ワールドカップコンテストではシステマチックトレーダーのほうが成功しているようです。システムトレーディングが適切に執行されれば、トレーディングから感情がおおかた排除され、トレーダーの最大の敵である、恐怖心と強欲心が取り除かれることをわたしは目にしてきました。

 システムトレーダーは、ドローダウン(一定期間にわたる運用資金の減少のこと――資産が最大のときと回復する前の最小のときとの資金額の差で表される)が起こることを想定しており、利益を手にするにはドローダウンを乗り切ることが必要であることを認識しています。ファンダメンタルな投資テクニックを使用する場合、3〜4回連続して負けたあとでは仕掛けにくくなることがあります。ドローダウンが想定されているシステムに従うことによって、その種のためらいをなくすことができます。システムトレーディングは、一つの鉄則に要約されます。トレードのプランを構築し、そのプランに従ってトレードする、ということです。システムトレーディングによるワールドカップチャンピオンシップの勝者たちは、このシンプルなルールが大きな見返りをもたらすことを証明しています。

 ワールドカップチャンピオンシップの構成上の魅力のひとつに、あらゆるテクニックが歓迎され、すべてのトレーダーたちが対等な立場で競い合うことがあります。昨年のチャンピオンであっても、扱いは初参加者とまったく変わりません。

 1983年のわたしたちのアイデアをもとにしたこの枠組みが、トレーディングの標準になったことを誇りに思います。現在では、先物と先物・オプション、株式と株式・オプション、そして為替という各部門において競うことができます。参加者たちは、業界の代表的な出版社やトレーディング用ソフトウエアやデータのプロバイダーを含む、数多くの有名スポンサーによって提供されるディスカウントやプレミアムを受けることができます。このワールカップのコンセプトは日本においてライセンス供与され、「ロビンス・タイコム先物チャンピオンシップ」という形で2001年から開催されています。

 しかし、2000年初頭、このワールドカップには欠けている部分があると思いました。このコンテストで頭角を現した有能な人たちが、わたしの証券会社の顧客を含むトレーディングコミュニティと、それぞれの専門能力を共有するための場が必要だということです。そしてこの場合も、ちょっとしたアイデアの宝石から、大きな、多面的な計画が生まれました。

 最初に登場したのが、ワールドカップチャンピオン専用のウエブサイトです。わたしは、シカゴ商品取引所のピットでTボンド(30年物債券)のブローカー兼トレーダーとして20年近くの経験を有する古い友人であるチャック・フランクの助けを得て、WorldCupAdvisor.com を立ち上げました。このサイトの目的は、一部のコンテスト勝者たちの実際のトレーディング活動をリアルタイムに公開して見せることです。つまり、過去のワールドカップチャンピオンたちが、何をするか、どのようにするか、そしてどれほど迅速に決断を下すかを“生”で皆さんに見てもらい、学んでもらうのです。前述したウィリアムズ、ブロック、ヒューズ、およびミルズを含む、最も経験豊富なトレーダーの多くの協力が得られたことはとても幸運でした。このサイトの誕生時に確立した中心的なスタンスが現在でもほとんど損なわれていないことにわたしは非常に誇りを持っています。そして、運営していくなかで、わたしたちは何人かの新しいトレーダーを加えました。ワールドカップの舞台以外でその投資能力を立証したオースチン・パサモンテのような、数多くの“コンテスト未参加”のアドバイザーを加えてメンバーを増やしました。

 2000年9月18日にラリー・ウィリアムズは WorldCupAdvisor.com “ライブアップデート”口座に同氏にとって初の資金を投入し、レースに参加しました。現在、10を超える“ライブアップデート”口座が開かれており、購読者はさまざまな投資スタイルと相場を見ながら学ぶことができます。トレーダーたちは、すべてを披露しています。皆さんは、チャンピオンたちの口座内容――彼らが入れる注文、保有しているポジション、手仕舞ったポジション、および解説――をひとつ残らず実際に見ることができ、業界の最高峰の人たちから学ぶことによってセンスとノウハウを磨くことができます。

 さらに今回、本書によって、この真に世界一流のトレーダーたちの、手本となるアイデア、コンセプト、および手法を、さらに広範なトレーディングコミュニティの皆さんと共有することができることになりました。さまざまな種類のトレーダーたちによる競い合いを長年見てきて、チャンピオンたちに共通する特徴や習慣があることに気がつきました。どんな個人投資家からでも、アクティブなトレーダーからでも、ワールカップチャンピオンたちの勝利からでも、敗北からでも、なんらかの貴重な教訓を学ぶことができると、わたしは痛感しています。彼らがその過程で犯した過ちの多くはすべてのトレーダーに共通するものです。そして、そこから挽回し、勝利へ到達するまでの動きはきわめてパワフルなものであり、どんな投資家でも、トレーダーでも、その考察からヒントを得ることができるでしょう。

 ほぼすべてのワールドカップチャンピオンたちが、それぞれの最大の過ちから最も貴重な教訓を学んでいます。そこであきらめたり、敗北に打ちひしがれることなく、冷静に自らの過ちを分析し、絶対に再びミスを犯さないようにするためにその分析結果を役立てるのがチャンピオンです。最初のセクションでは、ジョン・ホルシンガーとデビッド・キャッシュが、負けることによって――彼らは大きく負けました――学んだ最高の教訓と、最終的には素晴らしいリターンを達成した方法に関して説明しています。長年のトレーダーとして、わたしはホルシンガーとキャッシュの経験に強く共感しました。皆さんも必ず共感されることと思います。

 パート2では、カート・サカエダ、ニール・ペプリンスキー、チャック・ヒューズが、それぞれのシステムを構築した方法と理由について説明し、かかるシステムを持つことがいかに重要であるかを力説しています。コンピューター、インターネット、そして高速で便利なソフトウエアプログラムの登場によって、チャートの監視とテクニカルな投資テクニックがかつてないほど簡単に、効果的に利用できるようになりました。  パート3では、2人のチャンピオントレーダーたちが、使用したユニークなテクニカルアプローチを明らかにします。

 パート4では、プロのアドバイザー、オースチン・パサモンテに執筆してもらい、今日の短期トレーダーに最適な、氏独自のユニークなスイング・トレーディングテクニックを明らかにします。

 そして最後のセクションでは、伝説のラリー・ウィリアムズが、1987年ワールドカップコンテストで驚嘆すべき成績を達成した経緯について初めて口を開き、率直に語ってくれています。ラリーの正直かつ率直な言葉は、あらゆる経験レベルのトレーダーたちの心を引きつけるでしょう。

 また新たな年のワールドカップコンテントの開催に向けて、わたしは今までと同じようにトレーディングマーケットに魅了され、情熱をかき立てられています。マーケットは大きなチャレンジの対象ですが、さまざまなレベルで報いを得られる場所です。マーケットは変動が激しく予測不能ですが、必要な知識と規律を備えてさえいれば、力強い味方になってくれます。皆さんが本書からその両方を得られることを心から願っています。これらの注目すべきトレーダーたちの興味深い発想をじっくりとご堪能ください。それぞれに貴重な洞察が含まれ、皆さんご自身の投資スタイルの形成に役立つことと思います。

ジョエル・ロビンス(ロビンス・トレーディング・カンパニー社長)




■ラリー・ウィリアムズの伝説的パフォーマンスを振り返る

 トレーディングの世界で、ラリー・ウィリアムズのような人間が再び現れるかどうか、わたしには分かりません。1987年ワールドカップ先物トレーディングチャンピオンシップにおける彼のパフォーマンス――1万1376%のリターン――は伝説になりました。あらゆるスーパースターやタイトルホルダーと同様、ラリーは、打ち負かすべき目標になりました。現在まで、だれもそれを達成することはできていません。おそらくいずれはだれかが成し遂げるでしょう。

 しかし、ラリーが際立っているのはその数字だけではありません。ラリーをよく知っている人たち――そしてワールドカップの真っただ中に彼と常に接触していた人たち――と同様、何がラリーを真の伝説にしているかを、わたしは知っています。勝ち目のないとき、大幅にドローダウンしているとき、厳しい誹謗中傷にさられているとき、そんなときにも絶えることのない情熱と自分自身を追い込んでいく意欲です。

 ラリーがあのコンペティションに参加したとき、彼はすでにベテランのトレーダーでした。彼はすでに先物と株式取引に関する評判の本を何冊も書いていおり、セミナーでは人気の講師でした。しかし、ワールドカップチャンピオンシップは、トレーディングの腕を試し、世間の注目を大きく集める舞台を彼に提供したのです。それから起こったことは歴史的事件でした。1986年12月15日、彼はコンペティション用の口座に最低必要額の1万ドルを用意し、カリフォルニア州ソラナにある彼のオフィスから1月初旬にトレーディングを始めました。1987年12月31日、彼の口座残高は111万4607ドルにまで膨れ上がっていました。

 しかし、それらわずかな数字だけでは、重要なことはほんとど伝わらず、ラリーとほかのトレーダーとの違いについても何も語ってくれません。一時、ラリーの口座は210万ドルという驚くべき額に達していました。ほかのトレーダーならそこでトレーディングをストップしていたでしょう。わたしもラリーにそうするよう助言しました。内心そこでストップしないなんて頭がおかしいと思いました。しかし彼は、トレーダーはトレードするからこそトレーダーだという考えでした。

 ラリーはトレーディングを続け、口座残高を140万ドル減らし、100万ドル以下にしてしまったのです。経済的にも、精神的にも、その種の損失から立ち直ることができるトレーダーはほとんどいません。ラリーは違いました。彼はトレーディングを続け、信じられない成績で1年を終えたのです。

 トレーディングでビッグになると、とかく標的になります。残念なことに、ラリーもその例外ではありませんでした。根拠のないうわさがまん延し、評論家たちは彼のパフォーマンスにケチをつけようとしました。彼はアラ探しと時の試練に耐え抜きました。最後には、投資に関する純粋な才能、規律、そして荒馬乗りばりのトレーディングが勝利を収めたのです。

 光栄なことに、以降のページにおいて、彼の歴史的な偉業の山と谷について、そしてそれが彼の精神と私生活に強いた代償について初めて明らかにすることに、ラリーが同意してくれました。1981年から2000年にCBOTでTボンドのブローカーを務め、WorldCupAdvisor.com のマネージングディレクターであるチャック・フランクとの率直かつ刺激的なインタビューにおいて、ラリーは、勝利、敗北、誹謗中傷、そしてトレーディングを続けることの重要性について語っています。


『ラリー・ウィリアムズの短期売買法【第2版】』


■ワールドカップ・アドバイザー紹介

  1. ジョン・ホルシンガー(John Holsinger)
    ジョン・ホルシンガーは、2002年ワールドカップ先物チャンピオンシップで、608%という途方もないリターンでタイトルを獲得しながら、システムデザイナーで友人のマイク・ディーチェとのパートナーシップ・アカウントで304%という見事なリターンで第2位になり、前人未到の“ダブル”タイトルを達成しています。ホルシンガーは、商品投資顧問業者で、バージニア州アレキサンドリアにあるポトマック・アドバイザーズ社の社長兼主席トレーダーです。公認会計士でもあります。

  2. デビッド・キャッシュ(David Cash)
    デビッド・キャッシュは2001年、最初の参戦でワールドカップ先物チャンピオンシップで優勝し、エリートトレーダーの仲間入りを果たしました。キャッシュの優勝パフォーマンスは53%と記録的には低いものだったが、トレーディングにとって特に難しい年に潮をつかみ、第2位の2倍以上のアカウント増加率を達成しました。キャッシュは、エンジニアであり、トレーディングを本格的に始める前は、NASAのジョンソン・スペース・センターにおいて1994年と1995年のスペース・ステーション・プロジェクトに従事しました。現在テキサス州オースチン在住しています。

  3. ニール・ペプリンスキー(Neil Peplinski)
    ニール・ペプリンスキーは、1998年に初参加し、95%リターンで非プロ部門で優勝。トップクラスのトレーダーの仲間入りを果たしました。総合優勝者と僅差の戦いを演じました(4.35%の差)。ペプリンスキーは、商品投資顧問業者であり、シカゴ地区に在住しています。

  4. チャック・ヒューズ(Chuck Hughes)
    チャック・ヒューズは、3つのアカウントが100%を超えるパフォーマンスを達成した、激烈な戦いが展開された1999年ワールドカップ先物チャンピオンシップにおいて優勝しました。315%のリターンによって同年総合タイトルを獲得しました。また1994年の初参戦以来、計5個のトロフィーを獲得しています。ヒューズは商品投資顧問業者であり、元エアラインパイロットです。いくつかの自習用トレーディング教材の著書であり、ニュージャーシーに在住しています。

  5. カート・サカエダ(Kurt Sakaeda)
    カート・サカエダは、2000年ワールドカップ先物チャンピオンシップにおいて、他者を圧倒する595%のリターンで優勝しました。なにしろ第2位が138%だったのです。2001年に、ユニークなシーズナル・トレーディング・メソッドを使用してカムバックをし、63%で第7位と健闘しました。サカエダは、商品投資顧問業者であり、シカゴ地区在住。2個のワールカップ・トロフィーを獲得しています。

  6. ジョン・ミルズ(John Mills)
    ジョン・ミルズは、1989年の非プロ部門における優勝を含め、ワールドカップ先物チャンピオンシップで4回トロフィーを獲得しています。ミルズは、商品投資顧問業者で、さまざまな先物商品と外国為替のトレードを行っています。オハイオ州に在住しています。

  7. ロバート・ブロック(Robert Bloch)
    ワールドカップ先物チャンピオンシップにおけるロバート・ブロックの成績は比類のないものです。ハイライトは、1999年における179%リターンでの非プロ部門における優勝、同年における216%でのプロ部門での第2位です。彼は、1998〜2002年の5年間のうちの4回トップ10以内に入るアカウントを少なくとも二つ持ち、トップ3に与えられるブル・アンド・ベア・トロフィーを6個獲得しています。ブロックは商品投資顧問業者であり、在住地カリフォルニアの銀行で5000万ドルの債券ポートフォリオを運用しています。

  8. オースチン・パサモンテ(Austin Passamonte)
    オースチン・パサモンテは、WorldCupAdvisor.com と CoiledMarkets.com の両ウエブサイトで購読者に対して毎日、証券、先物、オプションのトレーディングに関する豊富な知識を提供しています。パサモンテは、アクティブなトレーダーであり、商品投資顧問業者です。ニューヨークに在住しています。

  9. ラリー・ウィリアムズ(Larry Williams)
    ラリー・ウィリアムズは、ボラティリティの高い1987年に1万ドルの口座を111万4607ドルに増やし、ワールドカップ先物チャンピオンシップを一躍有名にしました。1万1376%というリターンは、ワールカップ史上最高のパフォーマンスです。それ以後、再参戦はまだ実現していません。カリフォルニアに在住しています。



■訂正とお詫び

本書に以下の誤りがございました。訂正してお詫び申しあげます。

■関連図書


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