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2014年12月発売/A5判 286頁
ISBN978-4-7759-7191-8 C2033
定価 本体3,800円+税
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VPA(出来高・価格分析)は、伝説的トレーダーであるリバモアやワイコフが使って、莫大な資産を築いてきたテクニックだ。この100年以上にわたって何も変わっていないVPAを使えば、「スマートマネー」に追随することができるようになる。
これに日本古来のローソク足パターンを組み合わせれば、市場の将来の方向性、価格はどのくらい動くのか、その方向は本物なのかも分かるようになるだろう。
出来高と価格とローソク足パターンの融合によって、今は、アキュミュレーション(買い集め)なのか、ディストリビューション(売り抜け)なのか、売りのクライマックスなのか、買いのクライマックスなのか、新しいトレンドが始まるのか、インサイダーは買っているのか売っているのかなども分かるようになる。
また、出来高を見ることによって、支持線と抵抗線の真の意味が分かり、保ち合いや本物のブレイクアウトを見極めることができるようになる。このほかにも、ダイナミックトレンドとトレンドライン、VAP(ボリューム・アット・プライス。価格帯別出来高)など、新しいパワフルな概念を紹介する。
もちろん、VPAの数多くの実例を詳しく見ていく。株式市場や株価指数、FX市場、先物市場、ティックチャートを使ったコモディティーなど。あらゆる市場で、ティックチャートから時間ベースのチャートまで、さまざまなチャートを使って細かく説明する。VPAがうまく機能することが確信できるようになるだろう。
トレードでは主だったインディケーターは2つしかない。1つは価格、もう1つは出来高だ。どちらも1つだけでは弱く、何も教えてはくれないが、2つを一緒に使えば最強の組み合わせになり、絶大な力を発揮する。VPA(出来高・価格分析)のパワーを知れば、なぜこんな素晴らしいものを今まで使わなかったのだろうと思うはずだ。
VPAを使えば、市場が動く前に市場を読むことができるようになる。これを知れば、あなたは驚きのあまり愕然とするだろう。そして、あなたは真実に気づく。2つの簡単なインディケーターを使うだけで、市場の次の動きを予測するパワーと知識を手に入れることができるという真実に。
一言で言えば、VPAは市場のDNAを知る手掛かりを与えてくれるものだ。その素晴らしいパワーを手に入れたあなたは、自信を持ってトレードできるようになり、感情とストレスからは永久に解放される。あなたはトレードを楽しむことができるようになる。なぜなら、シンプルなロジックと出来高および価格のパワーによって、市場が次にどう動くかが分かるからだ。
謝辞と無料情報サイト
本書は私にとって非常に思い入れの強い本で、長年プランを温めてきたものだ。そして、ついに完成した。
本書を読めば、1つの分析的トレードテクニックが、私のトレードに絶大な影響を及ぼしたように、あなたのトレードにも絶大な影響を及ぼすと思っている。私がこのテクニックに出合ったのは何年も前のことだ。ちょうど私が初めてトレードに興味を持ち始めたころで、私はこのテクニックをちょっと面白い方法で知った。もちろん、当初は大金を失ったが、このテクニックを知り得たことには感謝している。このテクニックを学習することで、私の人生も、私のトレードキャリアもがらりと変わった。本書があなたにとって人生を変えるきっかけになってくれればと願っている。
このトレードテクニックとはどういうもので、なぜそんなに特別なものなのだろうか。このテクニックが使われ始めて100年以上たつが、過去の伝説的トレーダーは全員がこのテクニックを使ってきた。にもかかわらず、今日ではこの非常に効果的な分析テクニックを無視する(あるいは、知らない)トレーダーが多い。それがなぜなのかは、私には分からない。このテクニックは私の16年にわたるトレードと投資の中核をなしてきた。今でもそうである。これはとてもパワフルで、いろいろな意味で「理にかなっている」。私が本書を書いた目的は、あなたにもこのパワフルさを実感してもらいたいからである。
心をオープンにして、VPA(出来高・価格分析)のシンプルなロジックとパワフルさを受け入れてもらいたい。
「Volume Price Analysis(出来高・価格分析)」は私が名付けたものだ。ほかではお目にかかることはないはずだ。私がこの名前を使うのは、出来高、価格、分析という3つの簡単な言葉がまさにこのテクニックを正確に表しているからだ。要するに、トレーダーとしての私たちがある程度の確かさで知りたいのは、「価格が次にどこに行くか」である。
この答えを与えていれるものがVPAである。
VPAはどんな市場にも、どんな時間枠にも適用でき、どんな投資対象にも使える。将来の値動きを出来高を使って確認・予測することで、私はこれまで成功してきた。本書を読めば、あなたのトレードアプローチも永久に変わると思っている。前にも言ったように、ただVPAというシンプルなロジックを心をオープンにして受け止めてほしい。本書を読み終えるころには、チャートを読めるようになり、値動きを瞬時のうちに予測できるようになるだろう。
初めて値動きが分かるようになったとき、それはあなたの人生を変える瞬間だ。あなたは最もパワフルなトレードテクニックを手中にしたことを実感するはずだ。
あなたはロジックと、価格と出来高の関係に基づいてトレードの意思決定を行うため、自信がつき、冷静になれる。しかし、前にも言ったように、これは何も新しい概念ではなく、謎めいたものは何もない。
あなたがこれから学ぼうとするテクニックは、過去の伝説的トレーダーによって使われてきたアプローチに根ざしたものだ。彼らの時代にはコンピューターもインターネットもなかった。すべては手動で行われた。彼らは手で描いたチャートを使い、テープから価格を読み取った。今ではこれらはすべて電子チャートで自動的に行われるのだから、私たちは本当にラッキーだ。私たちのやるべきことは、価格と出来高の関係を読み取ることだけである。そのためには良い教師が必要だ。
私がその教師になって、本書でいろいろなことを教えていきたいと思う。
ところで、私はなぜ出来高と価格との相互依存関係を重視するようになったのだろうか。これは私にとってとても高いものについたが、今にして思えばトレードの旅を出来高で始められたことは、私にとってとてもラッキーだったと思っている。多くのトレーダーは長年にわたって違うアプローチをいろいろと試してきた。期待どおりの結果を出せずに、1つ失敗するたびに幻滅を感じ、また次のアプローチを試す。こうして堂々巡りを繰り返す。
思えば私は非常にラッキーだった。だから、この幸運をあなたと共有したいと思っている。もしあなたが初心者なら、あなたはラッキーだ。長く無益な旅をして痛みを感じることを避けることができるからだ。もちろんベテラントレーダーも大歓迎だ。本書はきっとあなたの期待に応えてくれるはずだ。そして、トレードの本をもう1冊読もうという気にさせてくれるはずだ。
これから私の話をするが、人物の名前は実名だ。彼らの多くはまだトレードの世界にかかわっている。
1990年代の終わり、私は年金と投資はなぜ株式市場で起こっていることを反映していないのだろうと感じていた。そのときの市場は上昇トレンドだった。インターネットが普及する前は、頼れるものは新聞しかなかった。あれは1998年1月のことだった。トレードで大儲けしたあるトレーダーの記事をサンデー・タイムズで読んだ。彼は自分のメソッドを教える人を募集していた。彼の名はアルバート・ラボスだ。
それから2週間後の日曜日の早朝、私は希望を胸に抱いた何百人という人々で埋め尽くされたHMSプレジデント号の一室にいた。プレジデント号は1918年に建造された有名な対潜Qシップで、テムズ川のブラックフライアーズ橋近くに係留されている。私は小切手帳を片手に、提供してくれるものはどんなものでも受け入れようという思いでそのイベントに赴いた。
イベントは最初から謎に包まれていた。まず、ラボスは「スパイ」がいたら出ていくようにと言った。彼はスパイがだれなのか、なぜここにいるのか知っていた。あとで分かったのだが、スパイとは大手銀行から来ている人たちで、彼の秘密のトレードテクニックを盗みに来ている人たちのことだった。こうしたマーケットメーカーたちによって組織されているカルテルに取り込まれるのを案じてのことだった。
次に、トム・ウィリアムズという人が紹介された。ウィリアムズは弱視だと聞いたが、彼が白い杖を持っていたかどうかはよく覚えていない。彼は元「シンジケートトレーダー」だとも言われた。しかし、今日にいたるまで、「シンジケートトレーダー」とは何なのか、何をする人なのか、よく分からずじまいだ。でも、そのときはとても印象的に聞こえた。宣伝の合間にいろいろなチャートが提示され、ラボスはエリートトレーダーグループを探しているのだと言った。スペースには限りがあるため、トレーニングを受けられるのは選ばれたごくわずかな人たちだけだと彼は言った。
そこにいた人たちの多くは、私も含めて、是が非でもトレーニングに参加したいと思った。この「一生に一度の機会」に受け入れられた私は喜びでいっぱいで、2週間のコースに喜んで5000ポンド支払った。
ちょっと怪しげな話だと思った人がいたとすれば、あなたは正しい。でも、ラボスは超有名な新聞に広告が載っていたし、私は彼を信じて疑わなかった。私は彼から学びたいと心から思った。
2週間のコースの間に小論文を1本書き、エドウィン・ルフェーブルの『欲望と幻想の市場』(東洋経済新報社)を読むことを勧められた。これはジェシー・リバモアの自伝的物語だ。これはトレーダーや投資家の必読書だ。
この2週間を通じて私が得た最も重要なメッセージは、すべての金融市場は操作されているというものだった。値動きが本物なのか偽物なのかを知る唯一の方法。それが出来高だった。出来高は隠すことができない。だれもが見ることができる。
出来高の話に納得した私は、夫のデビッドにもラボスのコースを取るように勧めた。
今にして思えば、このコースは4〜5日に凝縮することができるようなものだったため、かなり高いものだった。しかし、デビットと私は価格と出来高の基本的な原理を習得し、それ以来、これら2つの要素を私たちのトレードと投資手法に組み込んだ。その間、私たちはありとあらゆる市場をうまくトレードし、この5年間は70のウェブサイトのネットワークを通じて、私たちの知識と経験を教えてきた。
本書は、この知識をもっと詳しく次世代のトレーダーや投資家たちに伝える良い機会を与えてくれるものだ。そのなかにあなたも入っていることを願うばかりである。
また、本書を特徴づけているのは、著者が「市場は大口投資家によって操作されている」と考えていることである。したがって、本文中の出来高分析の解説は、すべてその文脈上で行われている(アンクル・ジョーの例え話は秀逸である)。ここで、そうしたエキセントリックな認識が正しいか否かといえば、実は客観的には正しくはない。ただ、正しいものがいつも役に立つものであるとは限らないのと同様に、正しくないものが無用であるとも限らない。
現に本書で説かれたモノの見方はけっして精確ではないが、トレードにおいては極めて有用である。なぜなら、著者の提供するレンズはかなり大胆にデフォルメされた映像を結ぶが、私たちはそれに従うことで、自然に多数派の逆を行き、忍耐強くトレードを行えるようになるからである。つまり、それは投資やトレードにおいて多くの人が陥るメンタルな問題を巧妙かつ的確に避けることができる優れたヒューリスティックなのだ。 大変興味深いことに、著者はマーケットに初めて臨むにあたって、怪しげなトレードセミナーに参加し、正体不明の講師からどう見ても胡散臭い話を聞いて、それに基づいてトレードを始めた。それにもかかわらず本人がトレードで成功できたのは、「マーケットは常に操作されている」という概念モデルが、結果として彼女を的確な方向へと導いたからに相違ない。私がそのように断言できる根拠のひとつは、本書のトレード手法は私が若いころに好んで使ったトレード手法の一つとほとんど同じものであり、そのアドバンテージをよく知っていることにある。書籍に書かれたことでそれが多くの人の知るところとなったことは少しだけ悔しい気もするが、自信を持ってお勧めできる技術であることは疑う余地がない。
翻訳にあたっては以下の方々に心から感謝の意を表したい。翻訳者の山下恵美子氏は大変読みやすい翻訳を、そして阿部達郎氏は丁寧な編集・校正を行っていただいた。また本書が発行される機会を得たのはパンローリング社社長の後藤康徳氏のおかげである。
2014年11月長尾慎太郎