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長期的投資の醍醐味「100倍株」の見つけ方
正しい銘柄を買い、保有し続ける

長期的投資の醍醐味「100倍株」の見つけ方 正しい銘柄を買い、保有し続ける 著 者 トーマス・ウィリアム・フェルプス
監修者 長岡半太郎
訳 者 藤原玄

2022年9月発売/A5判 上製本 358頁
定価 本体 3,800円+税
ISBN978-4-7759-7304-2 C2033

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著者紹介目次

市場が10年間閉鎖されることが分かっているつもりで株を買う
市場ではお金は愚かな者から賢明なる者へと移る!

トーマス・フェルプスは本書で、バイ・アンド・ホールド戦略を用いて富を100倍に増やす秘訣と戦略を明らかにしている。今日人気となっている短期的なトレンドトレードとは異なり、フェルプスの極めて論理的で、ラディカルでさえある方法論は、株式市場で複利マシンを見いだし、その株式を買い、少なくとも10年以上の長きにわたって保有し続けることで、読者も「100倍株」の恩恵にあずかれることに焦点を当てている。

長期投資に関心のある人には必携とも言えるこの手引書において、フェルプスは当時の大企業がどのように賢明なる長期的投資家に利益をもたらしたかを詳しく分析している。本書を読めば、読者は限りない成長を示し、あっという間に利益を増大させる有益なビジネスモデル(企業)を見いだし、それに投資する方法を学ぶことになる。

同じ重量の金(ゴールド)よりも価値がある本書は、読者と読者のその子や孫たちが長期的な富を手にする道筋を明らかにしてくれている。古典的だが、極めて重要で有用な方法論を用いることで、読者は賢明に企業を選択し、投資資金が膨らんでいく様子を目にすることだろう。真に堅実な手法とは、いくら時が経ようが、市場がどんなに変わろうが、有効であり続けるということだ。

「本書は、1つの銘柄に1万ドルを投資し、保有し続けるだけで、株式市場で100万ドルを生み出すことができる何百ものチャンスにまつわる物語――事実でありフィクションではない――である」――トーマス・フェルプス(序文より)


著者紹介

100 TO 1 IN THE STOCK MARKET : A Distinguished Security Analyst Tells How to Make More of Your Investment Opportunities by Thomas William Phelps トーマス・ウィリアム・フェルプス(Thomas William Phelps)
個人投資家、新聞・雑誌記者、コラムニスト、アナリスト、ファイナンシャルアドバイザーとして40年以上にわたり金融界で活動した。投資の世界における彼の輝かしいキャリアは1929年の株式市場の大暴落の直前に始まり、1970年代まで続いた。1927年、ウォール・ストリート・ジャーナルの記者としてキャリアを歩み始め、後に編集者、編集長を務めた。1936年からバロンズ・ナショナル・ファイナンシャル・ウイークリーの編集者となった。1949年から1960年まで、ソコニー・モービルオイルで会長補佐および経済部門長を務めた。その後、1970年の引退まで資産運用会社スカッダー・スティーブンス・アンド・クラークのパートナーを務めた。1992年没。

原題:100 TO 1 IN THE STOCK MARKET : A Distinguished Security Analyst Tells How to Make More of Your Investment Opportunities by Thomas William Phelps


目次

監修者まえがき
発行人まえがき
序文

第1章 求めよ、さらば与えられん
第2章 シンドバッドのダイヤモンドの谷
第3章 象から学ぶ
第4章 レミングは大衆のあとを追う
第5章 先見性か、粘り強さか
第6章 親愛なる故グローブ・アンド・ラトガーズのためなら死ねる
第7章 天まで伸びる木はない
第8章 異議を唱え、勝つ方法
第9章 オッズを割り出す
第10章 利益の質は歪んでいる
第11章 SECが存在しても操作は行われる
第12章 ランダムウォークを観察してみよう
第13章 経験がひどい教師となることもある
第14章 なぜコンピューターが世界を運営しないのか
第15章 道徳的投資
第16章 全能のエゴと全能のドル
第17章 インフレを抑える薬はない
第18章 正しい銘柄選択
第19章 ビッグウィナーはどこで見つかるのか
第20章 都会生活の喧騒から逃れる
第21章 遅すぎることはない
第22章 次世代への激励
第23章 次に船に乗り遅れないようにする方法
第24章 実践「正しい銘柄を買い、保有し続ける」
第25章 自分でやるのか
第26章 価値観
第27章 株式を成長させるものは何か
第28章 実質成長――見つけ方と評価方法

付録


監修者まえがき

 本書は金融紙の記者やアナリストやファイナンシャルアドバイザーなどを長く努めたトーマス・ウィリアム・フェルプスが著した“100 to 1 in the Stock Market : A Distinguished Security Analyst Tells How to Make More of Your Investment Opportunities”の邦訳である。本書の原書が最初に発行されたのは半世紀も前のことになるが、今でも一般読者からの人気は非常に高く、この訳書は昨年復刻された版を元に訳出されている。

 復刻版の発行者が「願わくはもっと早くに本書に出合えていたらと思う」とまえがきに書いているが、これを読む多くの方がきっと同じことを感じるだろう。私も著者のアイロニーがきいた文章を大変興味深く読み、株式投資における彼の卓見に感銘を受けた。  ここで、私が個人的に特に気に入り、備忘録として本文から抜き出して控えた文を、以下にいくつか挙げさせていただく。

 これらはどれも重要な示唆に富んでいるが、そのすべてにおいて、良い銘柄を選んだあとはそれを迷わず保持しなさい、という著者の主張が背景にある。これは、特にアメリカ株式市場のように継続的な成長が見込める市場では半世紀前も現在も絶対の真理である。

 しかし現実には、今も昔も多くの人が、口では株式投資で利益を上げたいと言いながら、実際には価格の変動に右往左往することに日々楽しみを見いだしているようだ。本来ならば、自分が保有する投資対象の本質的な価値に棄損が見られないならば、赤の他人の評価であるそのときどきの株価などどうでもよいことのはずだ。株価の変化やチャートを頻繁に眺めて、喜怒哀楽の感情を上下させるのは投資ではなく、単なる小金持ちの道楽である。

 『その後のとなりの億万長者――全米調査からわかった日本人にもできるミリオネアへの道』(パンローリング)が明らかにしたように、投資で財を成した人は、そうしたワクワクドキドキする娯楽ゲームを楽しんで金銭を浪費し続けた人ではなく、地味な戦略を立て、それを長期的に淡々と実践した人々である。そして、私たちにはそのどちらの道も選ぶ自由が与えられている。

2022年8月

長岡半太郎


発行人まえがき

 私が本稿を書いている時点で、本書は絶版となっており、アマゾンで売られている新品の最低価格がなんと683ドルだ。傷みがあり、かび臭く、カバーを欠いたものでさえ73ドルである。市場の「知恵」を理解する者ならば、このような高値(レビューの数も増えている)は、その内容に大きな価値があることを示していると認識するだろう。トーマス・フェルプスの教えを吸収し、実践に用いるならば、683ドルでも大いにお買い得で、長期的な財政状況やライフプランを劇的に改善させる可能性がある。時速150キロを超える速球を正確に打ったり投げたりするといった大金を稼げる才能に恵まれないわれわれのような者たちにとっては、極めて成功している事業の利益を共有すること以上に富を増やす優れた方法は存在しない。

 本書の驚くべき点は、その堅実な教えがおよそ半世紀以上にわたって有効であり続けることだ。もちろん、株価や本書で取り上げられている有名企業は1970年代初頭からは変化しているが、本書のアドバイスや機知は今でも心に響くものがある。それどころか、今ほどフェルプスのアドバイスが必要とされている時代はない。金融メディアの猛攻撃と、より早く広く行き渡る新しいサイクルに打ちのめされた投資家たちは、大きなリターンを獲得する鍵である投資方針を維持することが難しくなっていると感じている。本当の富を手にするためには、長期的な勝者に投資し、税金のかからない複利成長を求めて保有し続けなければならない。これこそが、かのウォーレン・バフェットが地球上で最も裕福な人物の1人となった投資法だ。

 本書で時代遅れとなった重要な点が1つある。それはインターネットのおかげで投資情報の入手方法が劇的に変化したことだ。現代の読者たちは、本書で年次報告書やその他資料の入手方法を指摘している部分については無視して構わない。企業の利益や業績や予想などは、ヤフーファイナンスやグーグルなどの検索エンジンを用いれば容易に見つけることができる。大量に存在するより小規模の革新的なウェブサイトについては言うまでもない。インターネットのおかげでフェルプスがわれわれと共有してくれた知恵を適用するのがより容易になっているのだから、これは喜ばしいことだ。重要なのは、それらの数値の扱い方を理解することであり、それこそが本書が大いに役立つ点だ。フェルプスの教えは永久に不滅である。

 何十年も株式市場に投資し、他者の資金を何百億ドルも運用している者たちも同じように感じるだろうが、願わくはもっと早くに本書に出合えていたらと思う。投資対象を注意深く吟味するための計画と忍耐力と最も重要な指標が満たされているかぎり、自分の知見にこだわる力を持ち続けることの価値を理解するには時間がかかる。この明確さと判断力は株式市場だけでなく、われわれが取り組むあらゆる物事でも重要だ。ストレスを減らし、より大きな報いへと導いてくれることだろう。

 だからこそ、本書の機知と知恵、そしてそれがもたらす利益を享受してほしい。

 2014年11月

 マーシャル・グリックマン(元証券マン兼『ザ・マインドフル・マネー・ガイド』の著者兼エコー・ポイント・ブックス・アンド・メディア発行人)

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序文

 本書は、1つの銘柄に1万ドルを投資し、保有し続けるだけで、株式市場で100万ドルを生み出すことができる何百ものチャンスにまつわる物語――事実でありフィクションではない――である。

 たった1つの適切な銘柄を選び出すことも、適切な投資タイミングを計ることも不要だった。1932年以降、32年間に毎年異なる銘柄を1つ買うことができていたら、投じた1ドルは1971年までに100ドル以上に増えていたことになる。

 直近の100倍株は1967年時点で1971年の市場価値の1%で入手できた。本書では、1971年の価値が44年前の取得価格の100倍以上となった365超の銘柄をリストアップしている。これを見れば、大きな上昇以前にそのような銘柄がどのように見えるか、そして次の潜在的なビッグウィナーを前もってどのように認識できるかが分かる。

 本書は明日に目を向け、小口投資家も大口投資家も、初心者もプロも、あらゆる投資家が投資成果を改善する一助となることを目指したものだ。

 私は本書で言及した人々の助力に大いに感謝している。本書向けにチャートを複製し、社内の膨大な調査記録を利用させてくれたスカッダー・スティーブンス・アンド・クラークにとりわけ感謝している。それがなければ本書の価値は半減していただろう。

 わが妻、クリスティン・リード・フェルプスへ。本書のタイトルを決める協力をしてくれたこと、そして私が調査と執筆に時間を費やすなか、我慢をいとわず、霊感を与えてくれたことに感謝して本書を捧げよう。

トーマス・W・フェルプス


第18章 正しい銘柄選択

 適切な銘柄を買い、保有し続けることが富を築く方法であることを理解するのと、それを実践するのはまったく別物である。

 どのようにして適切な銘柄を買えばよいのだろうか。

 イソップ寓話を今日風に変えて、キリギリスが夏の終わりにアリにアドバイスを求めることにしよう。キリギリスは「君は安泰だね」とアリに言った。「冬に備えて家を建て、食糧も蓄えている。僕は楽しんでるけど、夜は寒くなってきたから心配だよ。どうすればいい」

 アリはこう答えた。「簡単だよ、ゴキブリになって冬に食べ物と暖かい場所が見つかりそうな家に忍び込むんだ」

 「ありがとう」とキリギリスは言った。だが、「どうやってゴキブリになるんだ」と疑問に思った。

 「基本計画を教えてあげるよ。詳細を詰めるのは君だ」とアリは言った。

 基本計画とは適切な銘柄を買い、保有し続けることだ。詳細を自分で詰めろと言われると、寒い季節にキリギリスと寝ることなりかねない者もいるだろう。

 適切な銘柄を買うことと、十分に理解して保有し続けることのどちらが難しいか私には分からない。計算上は、新聞の株式欄にピンを刺すだけでは、たとえ将来が過去と同じくらい素晴らしいものであるとしても、100倍に上昇する銘柄が見つかる可能性は100に1つもない。そして、ひとたび株式を買えば、ウォール街の最高の知能を持つ者がそれを売り、別の何かを買うよう説得しようとしてくるだろう。少なくとも短期的には彼らが正しいことも多い。彼らが正しいことが続くと、次に彼らのアドバイスを無視することが難しくなる。そして、保有する100倍株が2倍になると、彼らはそれを売却するようアドバイスするかもしれない。これこそが、彼らがギャレットに対して行ったことだ。

 だが、われわれは1万ドルの投資から富を生み出すという問題を2つに分けているので、まずは適切な銘柄を選択するという最初の問題について検討してみよう。

 合理的な選択を行うために、われわれ投資家は将来について何らかの仮定を行うか、その仮定を受け入れるかをしなければならない。さもなければ、最も多くのミルクを出した参加者に賞金が贈られることを知らずに馬に賭けた者と同じように、われわれは敗者に賭けることになるかもしれない。

 将来について賢明な仮定を行うためには、イベントの傾向を把握するよう努めなければならない。それには、さまざまな種類の有価証券の価値を比較し始める前に、通貨、金利、インフレ、債券か株式か、そして政治情勢全般を検討することが含まれる。

 要は現実的な想像力だ。つまり、現在は問題ではないが、やがて自分にとって重要になることを理解する能力である。


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