『相場心理を読み解く出来高分析入門』
――旧題: アームズ投資法
ISBN 4-7759-7068-2
A5判/定価 本体 4,800円+税
著者 リチャード・W・アームズ・ジュニア
監訳 中原駿
翻訳 杉本裕之
目次 |
出来高が分かれば、相場が分かる
「投資で成功するカギ(もしあればの話だが)とは、感情的にならずにいられる
能力だ。そのような態度は、自信を通じてのみ達成される。自信は知識によって
のみ得られる。知識は研究やたゆまぬ努力、経験で手に入れることができる。本
書は、私が30年間に培った知識と経験を伝授しようとするものだ」(イントロ
ダクションより)。
リチャード・アームズ氏がその革新的な理論を発表してから、市場に対する投 資家の見方は変わった。彼のテクニカル分析技術には巨大なインパクトがあった ためだ。その証拠に、出来高対応チャートは、一般に人気を得ているほとんどの 株式・先物分析ソフトに採用されている。今やアームズ指数は、ウォール街で最 も重要なテクニカル・ツールのひとつになっているのだ。
アームズ氏が説得力あふれる言葉で語る、主要投資戦略についての考察を読み 進むめば、今、最も信頼されている長期予測手法である出来高分析が、だれにで もマスターできる。この分析方法は「値動きの理解には出来高が非常に大きな役 割を果たす」というアームズ氏独自の理論に基づいたもの。出来高は市場の感情 に影響されていることを教えてくれる方法である。ほかにも、「出来高対応チャ ートと『パワーボックス』の意味」や「EMVや出来高調整済み移動平均(VA MA)とその未発表情報」など、トレーディングに関する様々な原理がわかりや すく紹介されている。
簡潔な分析手法とユニークなアプローチによって発明された、洗練された投資 戦略は、相場の素人が読んでも理解できるものだ。投資を経験した方になら… …。その効果は言わずともわかるだろう。
【関連情報】
著者のアームズ氏の発行する法人契約者向けのウィークリーレター
8月号
9月号
原書:『Trading Without Fear』 |
中国版:『股票成交當量分析』 |
→オススメの一冊としても紹介されています。→VOL.54
目次
日本語への序文 監修者まえがき まえがき イントロダクション 第1章 なぜテクニカル分析なのか? 第2章 アームズ・インデックス 計算法 指数理論 相場への応用 第3章 出来高対応チャート 方法 典型的なチャート例 第4章 EMV(イーズ・オブ・ムーブメント) ボックス比率 中値の動き EMVの計算 計算結果の補整 EMVの最適化 相場への応用 第5章 出来高調整済み移動平均(VAMA) 単純移動平均計算 VAMAの計算法 適用法 移動平均パラメーターの最適化 第6章 市場の潮汐――価格と出来高の特徴 潮、波、さざ波 潮を見極める理由 値動きから潮を見る 出来高でトレンドを見る 第7章 市場の潮汐――出来高対応チャートとEMV 出来高対応チャート EMV 第8章 市場の潮汐――VAMAとサイクル VAMAで流れを見る サイクル 第9章 市場を見極める 強気相場の特徴 弱気相場の特徴 相場の天井の特徴 相場の底の特徴 第10章 長期アームズ・インデックス 買い過剰・売り過剰のチャート例 正確さ、敏感度、即時性 補整に注目 第11章 どの株を買うか 底打ち後最初の上昇場面 出来高の急増 強気相場半ばでの買い 強気相場終盤での買い 弱気相場の上昇場面での買い 第12章 買いのメカニズム サーチ・プログラム 買いのタイミング どれだけ買うか 第13章 株を買ってから 目標値 サイクル 保ち合い場面で売る 典型的な天井パターン 損切りの場合の売り 第14章 空売りの方法 何を売るか 相場終盤での売り 空売りのタイミング 空売りの方法 第15章 空売りした株を買い戻す 利食いの買い戻し 損切りの買い戻し フィアー・シンドローム 第16章 その他の市場 先物市場 株式指数先物 アームズ・インデックス 第17章 結論
本書は出来高分析にその生涯を賭しているリチャード・アームズ・ジュニアの現時点(2001年11月)における最新作にして最高傑作である。リチャード・アームズは本書にもその方法が掲載されているTRIN(Short Term Trading INdex=アームズ・インデックス)の発明者として有名であるが、本書は過去リチャード・アームズが開発した手法を一望し総括しているという意味では単にアームズの最高傑作と言うことのみならず、出来高分析に関する最良の書、と言うことができよう。出来高分析に余り興味のない読者でも一読すればリチャード・アームズが実践を通して会得した数々の箴言・相場観察法に改めて蒙を開かれるものと思われる。実際のところ、監修者もこの翻訳を通じて再読・熟読し、リチャード・アームズの相場観察法・箴言に改めて感ずるところ多であった。
ただし、本書を現代的なシステムの本として読むと失望する。その意味で本書は古典的である。古典的というのはシステムの具体例を詳述している、と言うことのみではない。トレンドを長期的に見ること、最適化を行っていること、統計的・データ重視の観点がより少ないこと、マネーマネジメント・勝率・プロフィットレシオなどのトレーディング・データが欠落していることなどが上げられよう。モダンなシステム・本はこれらすべて(あるいは大部分)を内包しているものだ。実際、読者がTRINの勝率やドローダウンを知りたくともこの本に答えはないし、移動平均の最適化などは正直言って筆者もあまり好むところではない。しかしながら、それを見て本書の価値を減ずる必要はない。アームズは1930年代生まれでいまだ現役の、相場の長老・達人なのである。システムの構築と検証は読者や後進の仕事とすればよいのだ。問題は本書にあるTRINや出来高チャートの有効性、読物としての中身である。
その点で心配はまったくない。観察法・箴言については本書9章以下は過去印刷された相場観察にかかわる本の中でも出色の出来であると断言できるし、少なくとも長期トレンドを重視する投資家にとって有益であろう。また株式や指数先物の短期トレーディングを目指すものにとってもTRINとその観察法を知ることによって本書購入の意義は十分にあるものとみなせるだろう。米国の先物・株式市場においてアームズ・インデックスは人口に膾炙しているし、短期トレーディングの第一人者であるラリー・ウィリアムズはTRINを重要なシグナルとして自己の短期トレーディングに活用している。またウィザードの一人であるリンダ・ブラットフォード・ラシュキの敬愛する上司が、ルーティーン・ワークとしてマーケットの終値、騰落レシオ、プット/コール・レシオなどとともに、アームズ・インデックスの10日間移動平均線を毎日記録していたことを記憶している読者もいるかもしれない。TRINはそれほどまでに現在の相場の達人たちにも愛されている手法なのだ。彼らが使っている以上、少なくとも米国の相場については統計的に有意義な妥当性を持っていると推察できる。
TRINは1967年にバロンズに掲載され、米国では瞬く間に流布されたが、本邦で正当に評価されたかというと疑問である。実際のところ筆者も出来高分析がほとんど役に立たない、というより出来高が客観的に把握できない為替相場出身ということから出来高分析そのものに懐疑的であったことを素直に告白しなくてはならない。しかし、近年アームズ・インデックス(TRIN)が商品や株式市場で有効であることやアームズの出来高分析が極めて示唆に富んでいることを再発見し、先物・株式市場において分析を開始している。結論としてはある程度確実な出来高を把握できるのであれば、TRINは有効であるということだ。
またトレーディングは試行錯誤の連続、いわば失敗のゲームであるから、その実践の中で鍛えられたメソッドや観察法のなかには多くの「生き残る」ポイントが述べられている。本書のなかで筆者が成功例だけでなく失敗例も記述し、すべてがうまくいくわけではないことを強調しているのは好感が持てるし、長年生きながらえてきた相場観察法は骨太かつ筋肉質な思考を含んでいる。その意味であらゆる相場参加者にとって何らかの示唆を与えうるものとしてぜひ一読を勧めたい。そして読者もこの監修者の感動の一部でも共有できたらこれ以上の幸せはない。
2001年 中原 駿
テクニカル分析は、日本の米相場で始まったケイ線がそのルーツになっています。
そのため、私の分析手法がこの伝統と由緒ある日本という市場で受け入れていただけることを大変誇りに思い、日本語版の出版を心から喜んでいます。
本書の分析手法は本来、米国市場のために開発されたものです。米国の証券・商品市場で何年にもわたって応用され、成功を収めてきました。しかし、その原理は普遍的なものです。
価格は需給の微妙なバランスの変化に応じて動き、そのバランスは世界中の何百万もの人々の心理的行動に応じて変わります。このような、恐怖と欲望の間のバランスは、価格と出来高という2つの要因に反映されます。これは、どのような市場でも、いつの時代でも、また、どこの国についても言えることです。本書で紹介する方法によって、価格と出来高の相互作用がよりよく見えるようになるでしょう。
本書で紹介するのは、相場の流れやその背景にある出来高の動きを、感情に流されず客観的に見る方法です。今日のように、金融市場同士が連動していると、国境のようなものはほとんど意味がありません。東京の動向がすぐさま欧州や米国に波及してしまうからです。本書の手法を使えば、互いに連動し、ダイナミックな動きを続ける市場をより分かりやすく見ることができるはずです。日本の読者、投資家の皆さんに私の投資手法を知っていただくことができ、喜びにたえません。
2001年8月 米ニューメキシコ州アルバカーキにて
リチャード・W・アームズJr.
過去30年間、私が編み出したテクニカル分析の手法は、自分が、そして(私は株式ブローカーだったので)自分の顧客がより良い判断を下せるように工夫したものだった。最初にアームズ指数(その後、短期売買指数として知られることになる)を考案したとき、後にこれがこれほど広く使用され、受け入れられるとは思いもしなかった。同じく出来高対応チャートも、当初は個人的な売買判断のために開発したものだった。その後、出来高対応チャートの原理を数値に置き換える方法としてEMV(イーズ・オブ・ムーブメント)を考え付いた。こうした投資手法を考案するうち、(株式市場は周期的な動きを見せるが)日柄よりも出来高の増減を加味したほうが理解しやすいという事実が分かってきた。このことが、後に「出来高の循環性」を認識するきっかけになる。
新たな投資手法を考案するたびに著書で発表してきたが、その内容はほとんど共通性を持たないものだった。また、各書とも特定の手法とその計算法の紹介に主眼を置いており、実際の相場戦略には多くのページを費やしてこなかった。本書は、これまでの著書の内容をまとめて各投資手法を統一し、独立したひとつの手法として統合すべきだと考えた末の知の結晶である。
その手法とは、"実際の売買経験に基づくテクニックを現実の相場に適用させる"ことを、これまで以上に目指すものだ。
テクニカル分析とはすでに完成し、固定化したものではなく、常により良い手法を求めて前進し続ける探求の過程である。出来高対応チャートのように、応用面でこれから試すべき課題が多く残されている新手法には、特にこのことが当てはまる。出来高対応チャートの導入以来、非常に多くのテクニックが試されてきた。採用されたものも、捨て去られたものもあった。
このうち、実践に使えると判断されたものとしてVAMA(出来高調整済み移動平均)がある。VAMAは、著書の内容としては、本書で初めて紹介するものだ。こうした新たなテクニックや応用方法が見つかったことも、本書を著した動機となっている。
本書を執筆した3番目の動機は、一部のテクニックの有効性がハッキリした一方で、別のテクニックが以前より色褪せたものとなった結果、過去に紹介した手法の適用方法に変更部分が出てきたことにある。例えば、出来高対応チャートのパワーボックスは、これまでの著書では明示していなかった。そればかりか、単独の指標として最も有意義である可能性があるからこそパワーボックスが重要なのに、このことを強調も説明もしていなかった。この理由だけでも、新しい本を一冊書くものとしては十分だろう。
次のページからは、これらの要因をひとつのテクニックとしてまとめ、説明していく。
このテクニックは、私自身が資産管理に利用しているテクニックだ。どのような市場にも通用するような真の手法を見つけるため、多くの時期のさまざまな市場や株式を見ていこう。
これらの手法が実際の相場でどのように適用されるのか、そして、その結果はどうなるのかを見るのだ。これを適切に応用することができれば、読者はより大きな利益を得ることができるはずだ。
「恐怖」--彼らは練達の著名なビジネスマンや銀行家、弁護士、大立て者、科学者、そして医師だった。振る舞いは穏やかで超然としていた。ジョークを交わしながら話に興じていた。だが、その裏で、彼らは恐れていたのだ。
その講演会では、私が講義をすることになっていた。だが、それはよくある講演会と違い、内容も昼食時の普通のスピーチなどではなかった。食事の後でも、居眠りをしている聴衆などいなかった。
その日は、ダウ工業株30種平均が516ポイント安で引け、1日の下げ幅としては史上最大を記録したわずか2日後の1987年10月21日だった。その前日と前々日、出来高は過去最高となった。月初からは34%超、つまり900ポイント以上下げていた。確かに、この2日間で下げの大半を戻してはいたが、その上げぶりは、とうてい基調の回復を確信できるようなものではなかった。市場は依然、混乱の中にあったのだ。
私が依頼を受けたのは講演の前日だった。当初予定していた講演者が土壇場でキャンセルしたのだ。不思議なものだ。市場アナリストであり、株式市場のテクニカル分析に関する著書や記事を書いている私のような人間がこんな特別な日に招かれるとは。このグループに招待されたことなど、これまで一度たりともなかったのに。
会場に入ると、ウエイターたちがまだ広く空いたテーブルにサラダを配っていた。バーテンダーのいない角のバー・コーナーに向かうと、知り合いが何人かいた。彼らと話すうち、私は彼らがあたかも何も心配していないかのように振る舞っているが、内面では、心底不安でいることが見てとれた。別に彼らはブローカーでも、市場関係者でもない。だが、突然、株価のニュースが新聞の一面を飾らない日はなく、ウォール街にパニックの影が忍び寄っているのは明らかだった。人々は、これが1929年の大恐慌の再来かもしれないと考えていたのだ。メディアには暴落の文字が踊り、あたかも大暴落が進んでいるか、そのうわさが伝えられているかのような騒ぎだった。もちろん、この会場にも恐怖感が満ちていた。
世界中の株式市場を震わせているのと同様の恐怖感だ。
デザートが出されるころ、私は聴衆に紹介された。「みなさん」と、私は切り出した。「暴落などどこにもありません。私たちが体験しているのは、長期の上げ過ぎに対する典型的なパニック売りなのです。その証拠はすでに何カ月も私たちの目の前にあるのですが、投資家の多くがこれから目を背けています。今、市場は薬を飲まされていますが、それは、ずっと必要だったものを飲んでいるにすぎません。そろそろ効き目が出てくるころでしょう」
その後、これまで5年間続いてきた強気相場の推移について話した。私はテクニカルの専門家なので、PER(株価収益率)やイールド(利回り)には触れず、値動きと出来高について話をした。市場のトレンドがより急激な値動きのトレンドへと加速し、その後、さらに激しいものにとって代わられたこと、出来高が毎月増加してきたこと、市場にはビッド(買い気配)が見境いなく入っていたことを指摘した。さらに、私自身がこれまで数カ月発行してきたニュースレターから、市場が買われ過ぎの状態にあることを警告した部分をいくつも引用した。
そして、パニック、暴落、弱気相場について述べ、それぞれの違いを明らかにしてみた。
パニックとは、短期間に急激な値動きを見せ、通常は急速に終息する。特徴としては、大商いで値動きレンジも大きく、相場の天井で終わるのが常だ。つまり、行き過ぎた相場の自律修正である。
暴落はパニックと違い、相場が繰り返し上昇を試みたものの、これを達成できなかった場合に起きる。市場の状況が不健全で、実際、内部に問題を抱えているときなどに見られる。後から振り返ると、暴落が大きな景気減速の前兆になっていたなどということがあるが、パニックの場合これはない。ただ、当然ながら、暴落が起きている時点でそれを認識することはできない。
弱気相場はパニックよりも、「進度の遅い暴落」という感覚に近い。弱気相場の場合、突然始まるということはない。これは通常、天井を打った後に見られる。相場が頭打ちになる間に出来高が大きく膨れ上がり、その後下落へと転じるのだ。弱気相場は、値を削りながら数カ月間も続くことがある。
1987年10月のブラックマンデーは、パニックだったと思われる。相場は急速に高値から下落した。市場には電撃が走り、すべての売り手が出口を求めて一斉に殺到した。大商いの中で市場の秩序は崩壊したのだ。数日間で1年分の上げ幅が失われた。ここで最も重要なことは、この間の動きで相場が天井を打ってはいないという事実だ。確かに売買は数カ月にわたる大商いだったが、価格は上昇を続けていた。つまり、強力で長期的な抵抗線が現れる兆しなどなかったのだ。過去の例では、強気相場が終わるのは、買い方が吸収できないほどの売りが出されるときだ。買い方が売りのバリケードを突破しようとした後、ついに敗北を認めた場合、相場は下落し始める。暴落は、これと同じことが加速度的に起こるものだと言える。今回の講演で聴衆に対して、「現在見られる現象はパニックであり、暴落ではない」と私が言ったのは、こういうことだった。
講演の終わりにあたって、私は、現在の市場が恐怖と欲望の微妙なバランスの上に成り立っているとしたうえで、状況をじっと見据え、ほかの市場参加者の感情に流されずにこれを利用できる者こそが利益を得られると指摘した。私は、市場の恐怖感、つまり一般の人々が感じている恐怖が行き過ぎなのではないか、と述べた。「だれもが欲に駆られているなら、その時は恐れを知るべきだ。だれもが恐れているなら、欲望に身を任せていい。数カ月前、人々は非常に強欲で、株と見れば手当たり次第に買い漁ろうとしていた。現在はだれもが恐れを抱き、今度は自分の株を見境なく捨て去ろうとしている。今こそ流れに逆行すべき時なのだ」
本書では、恐怖と欲望について多くを語ることになる。この2つの強烈な感情に押し流されないために、知識がどう役立つのかを見ていこう。他人の恐怖と欲望を認識したうえで、私たち自身が持つこの2つの感情をどうコントロールしたらいいのか、そして、この知識をどう利用すればいいのかを学んでいこう。恐怖は私たちの敵でなく、友人となり得る。他人が恐怖感を抱いているのが見えれば、それは私たちの利益につながるからだ。
欲望もまた仲間になり得る。他人の欲望が過剰になっているときを見定め、自分自身の欲望が暴走するのを避けることができればいいのだから。まさに、これから私たちは、恐れず投資を行う方法を学ぶ。これは、警戒心を持たずに投資する、ということとは違う。また、成功への欲求を捨てて投資しろということでもない。恐怖と欲望を失敗の原因でなく成功の糧としろ、ということなのだ。警戒感を抱くのは健全だが、パニックに陥るのは有害だ。
成功への欲求は重要だが、無節操な強欲は目を曇らせる。
ここで書いたように、恐怖、欲望という言葉にはネガティブな含みを与えるべきではない。欲望とは、(私の言葉では)単に人々を投資へと向かわせる力のことだ。恐怖とは、人々を投資から遠ざける力のことである。欲望という言葉が嫌なら希望と言い換えてもいい。
投資で成功するカギ(あればの話だが)とは、感情的にならずにいられる能力だ。そのような態度は、自信を通じてのみ達成される。自信は知識によってものみ得られる。知識は研究やたゆまぬ努力、経験によって手に入れることができる。本書は、私が30年の間に培った知識と経験を伝授しようとするものだ。読者は熟考し、努力することが求められる。私は、できるかぎり多くの経験を分け与え、読者が自信を持てるように計らうつもりだ。だが、成功こそが最も多くの自信を与えてくれる。本書で紹介した手法は、私に成功をもたらしてくれた。そして、読者にとっても役立つ可能性があるのだ。
本書は、論理的に連続して書かれており、前章が次の章の土台となっている。そのため、これに沿って読み進むのが望ましい。途中を読み飛ばした場合、通読したときほどの効果は期待できないだろう。ただし、読者がアームズ指数、出来高対応チャート、EMVについて熟知している場合、これらの章は割愛しても構わない。
第1章は市場に関する経験の有無にかかわらず、全員が一読すべきだろう。この章は、その後に続く各章の基礎となるもので、これから投資をしようとする者が本書のアプローチの有効性を確信するにはほかのどの章を読むより役に立つからだ。第2章から第4章は、過去の3作で扱った手法について述べている。つまり、アームズ指数、出来高対応チャート、そしてEMVである。第5章は、新たな手法であるVAMAについて書かれている。これを著書で紹介するのは初めてで、これまではある雑誌の記事で簡単に触れたことがあるにすぎない。この章には必ず目を通してほしい。
本書はテクニカル分析、しかも、ある特定の分析方法について書かれた著書である。ファンダメンタルズ分析については一切言及していない。次章では、この理由を述べよう
出来高・価格分析の完全ガイド |
スイングトレードの法則 |
魔術師リンダ・ラリーの短期売買入門 |
フルタイムトレーダー完全マニュアル |
→お申し込みはトレーダーズショップからどうぞ!!