発行書籍一覧 > 現代の錬金術師シリーズ一覧 > ← / →
著者 久保田博幸
定価 本体2,800円+税
A5判 ソフトカバー 288頁
2010年3月13日発売
ISBN 978-4-7759-9095-7 C2033
本書は、2012年6月に「改定版」が出版されました。
債券は株式や通貨、商品と並ぶ取引市場のひとつだ。ところが、個人トレーダーの運用対象として考えると、株式には現物株や日経225などの株価指数先物、通貨にはFX(外国為替証拠金取引)、商品には原油や金などの先物があるのに、債券には“ない”。
いや、けっしてないのではない。東京証券取引所には日本初の金融先物として1985年に上場された長期国債先物――通称「JGB先物」――があるのだ。
JGB先物は金融市場のプロからは指標として重視され、内外の機関投資家にはヘッジ・運用市場として活発に利用されている。しかし、日経225やFXに比べて、マイナーな印象があるのも否めない。
その理由のひとつは、売買単位の大きさだろう。JGB先物は単価100円・利率6%・期間10年の“仮想”国債を1億円単位で取引する。価格が1銭動くと、1単位当たり1万円の損益が発生する計算だ。1日で1円以上動くこともあるので、多くの個人トレーダーにとっては、かなりハイリスク・ハイリターンな投資対象となるわけだ。
また、JGB先物を個人向けに取り扱う証券会社がほとんどないのも、地味な印象をもたらす理由のひとつであろう。
しかし、著しく増加する債務残高と一向に改善されない財政赤字を反映して「日本国債の価値下落」が、より強く懸念されている。最近ではミニ先物や差金決済取引(CFD)など、個人トレーダーに手が届きやすい金融商品も登場してきた。“目の前にある機会”に参加する環境が整いつつあるのだ。
本書の執筆者は、草創期から14年以上にわたってJGB先物ディーラーとして活躍し、今も最前線で情報を配信する債券アナリスト。いわばJGB先物の「生き字引」である。
トレーダーの視点から債券・国債・JGB先物の仕組みと市場構造について分かりやすく解説してもらうだけなく、経験者だからこそ語れるトレードで生き残るためのコツとJGB先物の激動の歴史を惜しみなく紹介してもらった。
この市場でのトレードに必要とされる知識やノウハウが網羅された本書から、JGB先物の魅力と可能性を知ってもらいたい。
◎著者HP「債券ディーリングルーム」 http://fp.st23.arena.ne.jp/
◎財務省「国債金利情報」 http://www.mof.go.jp/jouhou/kokusai/kinri/index.htm
◎東京証券取引所「日報」 http://www.tse.or.jp/market/data/daily/index.html
はじめに
第1章 JGB先物の魅力
知られざる巨大市場
JGB先物は日本債券市場の指標
日本の鏡
簡単な損益計算例
データの入手
JGB先物を理解するために
第2章 債券の基礎知識
2-1 債券とは
債券理解の基本3要素
債券価格の単位
債券価格と利回り
利回りは債券の尺度
単利と複利
現在価値
デュレーション
修正デュレーション
イールドカーブ
イールドカーブの利用法
利回りを決める仮説
市場分断仮説2-2 債券市場と短期金融市場
発行市場
流通市場
債券市場参加者
短期金融市場
日本の債券レポ市場
債券現先市場2-3 債券価格の変動要因
なぜ債券価格は動くのか
景気と物価
原則と現実
株価と長期金利
日本銀行の金融政策
第3章 国債の基礎知識
3-1 国債の発行
発行目的による分類
期間別の種類
国債の入札
入札の仕組み
コンベンショナル方式3-2 現物市場
現物市場の参加者
店頭市場
日本国債の安全性
プライマリーバランス
第4章 JGB先物の仕組み
4-1 JGB先物とは
JGB先物の受渡日
JGB先物の価格と売買単位
JGB先物の標準物
ヘッジ取引
ミニJGB先物4-2 取引所取引
価格形成
立会時間
制限値幅4-3 決済と証拠金
損益計算例
SPAN証拠金
追加証拠金
最終売買日まで契約を維持した場合
チーペスト銘柄4-4 JGB先物プレーヤー
ヘッジファンド
CTA
証券会社と銀行
裁定取引
リーマンショックの影響
第5章 JGB先物市場を知る
5-1 ディーラーの1日
朝の確認事項
前場の確認事項
後場の確認事項
大引け後の確認事項5-2 JGB先物のデイトレード
基礎知識を取り込む
デイトレーダーは順張りで臨む
必要なのは勝率
得意なパターンを見つける
パターン分析
テクニカル分析
パターン分析の例
感性の必要
パニック
波
固定観念
冷静沈着
ロスカットルール
スランプ脱出法
視点
情報が命
天才ディーラーの共通点
巨額損失事件にみる悪いディーラー例
金融危機への対応5-3 JGB先物市場の歴史
戦後初の国債発行
シンジケート団と売却自粛
JGB先物上場へ
プラザ合意
黒電話の時代
債券ディーリング全盛時代
バブル崩壊
一進一退の展開に
3年ぶりの金融緩和
運用部ショック
ゼロ金利政策の解除
量的緩和政策
レンジ内での一進一退続く
10年国債で初めての札割れ
債券のミニバブル
量的緩和政策とゼロ金利政策の解除
サブプライム問題
2008年の金融経済危機さいごに
付録A JGB先物オプション
オプション取引とは
損益パターン
プレミアムの価値付録B 海外の債券先物
世界の取引所の変遷
米国の国債制度
ドイツの国債制度
米国債の先物市場
独国債の先物市場
まずは債券の基礎から学ぶ必要があり債券募集業務を担当した。しかし、JGB先物取引が開始されることを知り、なぜか債券先物取引という世界に非常に興味を持ち、数少ない参考図書を揃え、関連のセミナーに、休暇を取ってまで参加した覚えがある。
JGB先物への私の関心が会社にも伝わったのか、JGB先物が上場されてから1年後の1986年10月に債券売買業務を担当することとなり、現物債とともにJGB先物を売買する債券ディーラーとなった。それから14年以上にわたり債券ディーラーを続けることとなった。その間には、債券のディーリングが全盛期を迎え、売買が活況となった時代があった。しかし、それは長く続かず、次第にディーラーは減っていった。
それでも14年の長きにわたってディーラーを続け、その後もJGB先物に絡んだ仕事を続けているのも、私のJGB先物に対する情熱といったものが衰えなかったためではないかと思う。いつかはJGB先物の本を書きたいと思っていたところ、パンローリングさんから執筆依頼があった。喜んで受けさせていただき、完成したのがこの本である。
私のJGB先物への思いが少しでもこの本から伝わってくれれば幸いである。
CFDサヤ取り入門 |
実践 生き残りのディーリング |
ETF |
グローバル化時代の資産運用 |
日本クレジット総論 |
ラリー・ウィリアムズの短期売買法【第2版】 |
最強のポイント・アンド・フィギュア分析 |
ニンジャトレーダー入門 |
魔術師リンダ・ラリーの短期売買入門 |