『トレードシステムはどう作ればよいのか 2
トレーダーが最も知りたい検証のイロハ』
2013年11月発売/A5判 310頁
ISBN978-4-7759-7179-6 C2033
定価 本体5,800円+税
『トレードシステムは どう作ればよいのか 1』 |
著 者 ジョージ・プルート
監修者 長尾慎太郎
訳 者 山下恵美子
System Tester
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「株式や債券の投資戦略やトレードシステムであれば、β(ベータ)さえ取っていれば支離滅裂なことをやっていてもランダムに50%以上は当たるのだが、先物市場や為替市場(FX)を取引対象とするトレードシステムの場合は、デタラメをやっていると手数料を考慮すれば50%以上の確率で負けるのである。結果として、株式や債券の場合は、まったく儲かりそうにない投資戦略やトレードシステムでも、それが役立たずだと判明するまでには長い時間がかかる」(「監修者まえがき」より)――。このような時間の浪費をリアルトレーダーはどのように避け、短縮することができるだろうか。そのヒントをシステム開発と評価の世界的な権威が教授してくれる。
本書の内容とは、ケリーの公式とオプティマルfとの関係、短期バイアスの見つけ方、CCIとほかのオシレーター系インディケーター、エクセルのVBAによるシステムの検証とトレード、タートルシステムの再考、2つの固定比率ポジションサイジング、トレンドは依然としてわれわれの友だちか、フューチャーズ・トゥルースのトップ10常連システム、パラメーターはどう設定すればいいのか、など。
われわれトレーダーが検証に向かうとき、何を重視し、何を省略し、何に注意すればいいのか――それらについて示唆に満ちた本書は、実践的システムトレーダーにとってブレイクスルーへの第一歩となるだろう!
原書 |
ジョージ・プルート(George Pruitt)
フューチャーズ・トゥルースCTAの研究部長で、『フューチャーズ・トゥルース』誌の編集長。ジョン・R・ヒルの部下。メカニカルシステムの開発、分析、実行およびトレーディングの25年の経験を持つ。1990年、コンピューターサイエンスの理学士の学位を取得してノースカロライナ大学アッシュビル校を卒業。副専攻は数学。数々の論文を『フューチャーズ』誌や『アクティブトレーダー』誌で発表してきた。『アクティブトレーダー』誌の2003年8月号では表紙を飾った。著書に『究極のトレーディングガイド』『勝利の売買システム』(いずれもパンローリング)がある。本書『トレードシステムはどう作ればよいのか』はプルートが12年にわたって『フューチャーズ・トゥルース』のために書いてきた論文や研究をまとめたもの。
ジョン・R・ヒル(John R. Hill)
トレードシステムの検証と評価を行う業界最有力ニュースレター『フューチャーズ・トゥルース』誌の発行会社の創業者兼社長。同誌は、世界初の検証専門誌として、世界中のトレードシステムを客観的な立場から検証し、ランキング付けを行い、プロのトレーダー・投資家だけでなく個人投資家にも高い評価を受けている(http://www.futurestruth.com/)。
2006年第1号 | 『天才数学者はこう賭ける』――ケリーの公式とオプティマルf |
2006年第2号 | 1996年に開発された2つの適応型システムはこの10年をどう乗り切ったか |
2006年第3号 | やつらが戻ってきた! ジョージが選んだトレンドフォロワー |
2006年第4号 | パターン認識――パターンスマッシャーによる短期バイアスの見つけ方 |
2006年第5号 | 複雑なパターンの見つけ方――あなたのコンピューターを有限状態マシンにしよう |
2006年第6号 | 建玉明細リポート |
2007年第1号 | 商品チャネル指数(CCI)とほかのオシレーター系インディケーター |
2007年第2号 | S&P500デイトレードシステムのパフォーマンスの低さはマネジメントのせいか |
2007年第3号 | パート1 エクセルのVBAによるシステムの検証とトレード |
2007年第4号 | パート2 エクセルのVBAによるトレードアイデアの検証 |
2007年第5号 | パート3 エクセルのVBAによるトレードアイデアの検証――インディケーターで検証の幅を広げよう |
2008年第1号 | パート4 エクセルのVBAによるトレードアイデアの検証――VBAの検証プラットフォーにサーモスタットシステムを組み込む |
2008年第2号 | とりとめのない話――できただろうに、していただろうに、するべきだったのに…… |
2008年第3号 | データ――これほど頭を悩ますものはない |
2008年第4号 | 日中データでVBシステムテスター「ガジット」を使う |
2008年第5号 | ピットとこれまでのトレード方法よ、さらば |
2009年第1号 | 優先的段階探索法とボブ・パルドの『アルゴリズムトレーディング入門――自動売買のための検証・最適化・評価』(パンローリング)の再考 |
2009年第3号 | タートルシステムの再考――タートルトレーディングアプローチに対する洞察 |
2009年第4号 | 2つの固定比率ポジションサイジング――fixed fractional と fixed ratio |
2010年第1号 | 本コーナーのアーカイブから選んだ3つのシステム――これらがなした貢献(フューチャーズ誌とSFO誌で発表) |
2010年第2号 | トレードステーションのカスタマイズした取引時間帯を使って日中の動きをとらえよう |
2010年第3号 | ラッセルデイトレードシステムでリターンを向上させる方法 |
2010年第4号 | トレンドは依然としてわれわれの友だちか |
2011年第1号 | パワー全開のラッセル・デイトレーダーには調整が必要か |
2011年第2号 | 3冊の本のレビュー |
2011年第3号 | パターン認識――短期バイアスの見つけ方(2006年に書いたコーナーの再考) |
2011年第4号 | フューチャーズ・トゥルースのトップ10常連システムはどのシステムか |
2012年第1号 | 仮説は間違っていた! |
ところで、フューチャーズ・トゥルース社が主にカバーしているのは、金融先物を含む世界の先物市場である。ここで、先物市場の特性のひとつは、投資におけるβ(ベータ)が期待できないことである。これがもし株式や債券といった有価証券であれば、それらを買って持っているだけで株価が上がったり、利息が得られたりする。つまり何もしないでもプラスの利益が期待できるのである。しかし先物市場で取引されている銘柄の場合はそうではない。例えば金(Gold)を100グラム買って、後生大事に金庫にしまっておき、1年たってから取り出しても、それは100グラムのままである。有価証券と違って売買対象そのものが時間と共に変化したりしないのだ。よって先物市場で利益を上げたければ、買って持っているだけではダメなのである。
この市場構造の違いは、投資やトレードで利用されるトレードシステムのありようにも影響を与えている。株式や債券の投資戦略やトレードシステムであれば、βさえ取っていれば支離滅裂なことをやっていてもランダムに50%以上は当たるのだが、先物市場や為替市場(FX)を取引対象とするトレードシステムの場合は、デタラメをやっていると手数料を考慮すれば50%以上の確率で負けるのである。結果として、株式や債券の場合は、まったく儲かりそうにない投資戦略やトレードシステムでも、それが役立たずだと判明するまでには長い時間がかかるが、先物やFXの場合は欠陥があればすぐにそれと知れることになる。
別の表現をすれば、そこでは淘汰のプロセスが非常に早く回っているのである。逆に言えば、そういった高頻度で厳しい選択過程を経て生き残ったトレードシステムには、一見単純に見えるものであっても、それが優れているだけの構造的かつ堅牢な理由があることになる。世に在るトレードシステムのほとんどはまがい物であるが、先物市場で長年使われたものは本物である。プルートは、そうしたトレードシステムについて前書と本書で驚くべき報告を行った。
なお、原書は13年分の解説を集めただけあって非常に大部なものである。このため翻訳にあたっては13年間を2つに分けており、本書はその後半部分に該当する。原書の前半部分は『トレードシステムはどう作ればよいのか 1』として、パンローリングからすでに刊行済である。読者におかれては本書と合わせ、ぜひ前半もお読みいただきたい。
翻訳にあたっては以下の方々に心から感謝の意を表したい。翻訳者の山下恵美子氏は分かりやすい翻訳を、そして阿部達郎氏は丁寧な編集・校正を行っていただいた。また本書が発行される機会を得たのはパンローリング社社長の後藤康徳氏のおかげである。
2013年10月長尾慎太郎
過去5年は、住宅ブームに株価の大暴落、そしてグローバル市場の崩壊など、いろいろな出来事が起こった。システムの多くが完全なる敗北を喫するなか、2008年はうまくいったが、2009年には利益のほとんどを市場に返してしまったシステムもあった。この時期の市場データは実に多様だ。これらのデータを使えばトレードシステムを成功に導くことができるのではないかと私は思っている。これらのデータは将来性のあるシステムとそうでないものを見分けるのに役立つ。しかし、この時期を乗り越えられたからと言って、将来的にも堅牢なパフォーマンスを上げ続けることができるのだろうか。もちろん、将来のパフォーマンスなんてだれにも分からない。しかし、何らかの判断基準は必要であり、歴史はまったく同じとはいかないまでも繰り返す。表1を見てみよう。ここから見えてくるものがあるはずだ。
この表はマルチマーケット・システムが過去5年の間にトップ10に入った頻度を示している。シンプル・ハーモニーは21回もトップ10入りしている。この表を見ると、どの号ででトップ10に入っていないかも分かる。
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