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ウィザードブックシリーズ Vol.216

高勝率システムの考え方と作り方と検証 リスクが少なく無理しない短期売買 高勝率システムの考え方と作り方と検証
リスクが少なく無理しない短期売買

2014年3月発売/A5判 ハードカバー 310頁
ISBN978-4-7759-7183-3 C2033
定価 本体7,800円+税

『コナーズの
短期売買入門』

『コナーズの
短期売買実践』

『コナーズの
短期売買戦略』

著 者 ローレンス・A・コナーズ
監修者 長尾慎太郎
訳 者  山口雅裕

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目次 | 監修者まえがき | 第1部 立ち読みページ

ギャップ、押し目、トレンドフォロー、ボリンジャーバンドを利用した目からウロコの売買法 “驚異の新オシレーター”コナーズRSIと短期売買の魅力! あふれ出る新トレード戦略と新オシレーターとシステム開発の世界的権威!

 ロングセラーで今なお多くのトレーダーにとってバイブル的な存在として輝き続けている『魔術師リンダ・ラリーの短期売買入門』(パンローリング)の共著者であるローレンス・コナーズは、システムや戦略や新しいオシレーターを次々と考案する天才である。

 本書は、コナーズがPDFで発売している7戦略を1冊にまとめたものである。ギャップを利用した株式トレード法をはじめ、短期での押し目買い戦略、これから日本でもますます増えるETF(上場投信)を利用したトレード手法、ナンピンではない買い下がり戦略の奥義伝授、人気の指標であるボリンジャーバンドを利用した売買法、そして新しいオシレーターであるコナーズRSIに基づくトレードなど、初心者のホームトレーダーにも理解しやすい戦略が満載されている。

 本書には、高度な数学的知識もPC技術も必要のない。本書を参考にして、自分の性格に合ったもので、自分にできることに特化してシステムを作り、トレード技能を磨けば、心理的な負担も裁量トレードで必ず経験する迷いも大幅に軽減されるだろう。

 止めどもなくあふれる戦略と新オシレーター考案とシステム開発で「生ける伝説」となったコナーズは、あなたを「欲しいものを手に入れる」(エド・スィコータ)人にさせてくれる!


著者紹介/ローレンス・A・コナーズ (Laurence A. Connors)

資産運用会社のLCAキャピタルとマーケット調査会社であるコナーズ・リサーチのCEO(最高経営責任者)。投資業界で30年以上の経験があり、1995年以降に投資情報の提供会社のコナーズ・グループを含め、売上高数百万ドル規模の投資関連企業2社を築き、コナーズ・グループは2009年にアントレックス非上場企業指数から10大急成長私企業の1社に二度選ばれた。1982年にメリルリンチに入社し、後にDLJの副社長になった。彼の考えや洞察はウォール・ストリート・ジャーナル、ニューヨーク・タイムズ、バロンズ、ブルームバーグのテレビとラジオ、ブルームバーグ誌など、数多くでメディアに引用されたりしている。
著書には『魔術師リンダ・ラリーの短期売買入門』(リンダ・ブラッドフォード・ラシュキとの共著)
コナーズの短期売買実践』『コナーズの短期売買入門』『コナーズの短期売買戦略』『コナーズRSI入門』(いずれもパンローリング)などがある。

シーザー・アルバレス (Cesar Alvarez)
コナーズ・リサーチの調査責任者。カリフォルニア大学バークレー校から電気工学とコンピューターサイエンスの理学士、コンピューターサイエンスの理学修士を修得している。

マット・ラドケ (Matt Radtke)
コナーズ・リサーチの上級リサーチャー。ミシガン州立大学卒業。

原書:


目次

監修者まえがき

第1部 ギャップを利用した高勝率の株式トレード法[第2版](立ち読みページ)
 第1章 ギャップトレードの簡単な歴史
 第2章 ギャップとは何か?
 第3章 株式のギャップトレード
 第4章 指値注文を置くギャップトレード
 第5章 ギャップの大きさの重要性
 第6章 ギャップリバーサルでの手仕舞い
 第7章 株式のギャップを利用したオプションのトレード
 第8章 追記、および現実のトレードでギャップリバーサルを利用する方法
 付録 RSIの計算法

第2部 押し目買い戦略
 第1章 押し目買いについて
 第2章 押し目買いのルール
 第3章 検証結果
 第4章 手仕舞いの役割
 第5章 デイトレードで行う押し目買い
 第6章 押し目買いを利用したオプションのトレード
 第7章 終わりに
 付録 RSI、ヒストリカルボラティリティ、ADXの計算法

第3部 VXXのトレンドフォロー戦略
 第1章 ボラティリティのトレードについて
 第2章 VXXでのトレンドフォローのルール
 第3章 検証結果
 第4章 見本のポートフォリオの結果
 第5章 VXXのトレンドフォロー戦略を用いたオプションのトレード
 第6章 終わりに

第4部 ETFでのギャップトレード――決定版
 第1章 ギャップトレードの簡単な歴史
 第2章 ギャップとは何か?
 第3章 下へのギャップで買い、上へのギャップで空売りをする
 第4章 指値注文を使ってギャップで買う――良い戦略をさらに改善する
 第5章 ギャップリバーサルで手仕舞う
 第6章 レバレッジ型ETFを使い、ギャップリバーサルでトレードをする
 第7章 ETFのギャップでオプションをトレードする
 第8章 ギャップリバーサルで実際にETFをトレードする

第5部 コナーズRSIに基づくレバレッジ型ETFのトレード
 第1章 レバレッジ型ETF
 第2章 コナーズRSI
 第3章 レバレッジ型ETFのトレード戦略のルール
 第4章 手仕舞いの役割
 第5章 検証結果
 第6章 レバレッジ型ETFの戦略に基づくオプションのトレード
 第7章 終わりに

第6部 ETFの買い下がりトレード (立ち読みページ)
 第1章 はじめに
 第2章 ETFの買い下がり戦略のルール
 第3章 買い下がりの比率
 第4章 手仕舞いの役割
 第5章 検証結果
 第6章 ETFの買い下がり戦略に基づくオプションのトレード
 第7章 終わりに

第7部 ボリンジャーバンドを利用したトレード――数量化された指針
 第1章 ボリンジャーバンドと%bを利用したトレードについて
 第2章 ルール
 第3章 検証結果
 第4章 手仕舞いの役割
 第5章 ボリンジャーバンドと%bを利用したデイトレード
 第6章 ボリンジャーバンドと%bを利用したオプションのトレード
 第7章 終わりに


監修者まえがき

 本書はローレンス・A・コナーズ(通称ラリー・コナーズ)が著した“Connors Research Trading Strategy Series”の邦訳である。ラリー・コナーズと言えば、すでに『魔術師リンダ・ラリーの短期売買入門』『コナーズの短期売買入門』『コナーズの短期売買実践』『コナーズの短期売買戦略』(いずれもパンローリング刊)の4冊の邦訳がある。どれも出色の相場書であるが、本書もその例に漏れず読者の期待を裏切らない秀作である。ここで読者の方の理解を容易にするために、ラリーの著書に見られる顕著な特性を以下に整理してみる。  なんだ、全部当たり前のことばかりじゃないか、と思われるかもしれないが、これらは現実には100冊に1冊くらいにしか見られない稀有な属性である。一方でほかの大多数の書籍・雑誌にあるような浮薄な夢や希望は本書には書かれていない。相場の世界で語られる夢や希望は、実際にはほとんどがファンタジーの世界にのみ存在する妄想の産物、絵に書いた餅である。バラ色の未来をうたったり、著者の成功譚を自慢げに語ったりするのはそれぞれの書き手の自由であるが、事実に基づかない話や再現性に乏しい話は、おとぎ話にしても投資家・トレーダーにとってはちっとも面白くないし、読むだけ時間の無駄だ。

 逆に、目的地に至る堅実な方法論を求める人にとって、ラリーの著書を読むのはとても楽しいものになるだろう。私も読んでいるうちに、自分ならこの部分は具体的にはこのように応用して……などと考えて、気分が高揚してくるのを感じる。私たちにとって夢や希望を持てるような相場書とは、客観的な事実に立脚し実行性のある投資・トレード戦略を解説してある本書のような書籍のことを指す。

 監修者の立場を離れて感想を正直に書くと、短期売買に関しては、両ラリー(ラリー・コナーズとラリー・ウィリアムズ)の書いたものさえ手元にあれば、もはやほかの著者の本は読む必要はないのではないかとすら思える。以前に『コナーズの短期売買入門』が出版されたときに、「株式を売買するシステムトレーダーにとって最高の教科書」だと私は評したが、短期売買にフォーカスした本書は「株式やETFで短期売買を行うトレーダーにとって最高の教科書」であると言える。

 翻訳にあたっては以下の方々に心から感謝の意を表したい。山口雅裕氏は正確かつ迅速な翻訳を行っていただいた。そして阿部達郎氏にはいつもながら丁寧な編集・校正を行っていただいた。また、本書が発行される機会を得たのは、パンローリング社の後藤康徳社長のおかげである。

 2014年2月
長尾慎太郎



第1部 ギャップを利用した高勝率の株式トレード法[第2版]

 第1章 ギャップトレードの簡単な歴史

 私たちは第4部の『ETFでのギャップトレード――決定版』を書いて間もなく、この第1部の『ギャップを利用した高勝率の株式トレード法[第2版]』を書くことになった。下記に第4部の序文を引用しているが、それが適切だと考えたためである。

 あなたがすでに、『ETFでのギャップトレード』を読んでいるのならば(アメリカでは各部がそれぞれ別々に売られている)、ギャップでのトレードと言っても、ETF(上場投信)と株とでは違いがあることを知っているだろう。考え方としては同じだが、詳細に立ち入ってトレードを見ると、目立った違いが2つある。

  1. 株では、ギャップの大きさが非常に重要である。ETFのギャップトレードでは、リターンは概してギャップの大きさにそれほど影響を受けていない。しかし、株ではギャップの大きさでリターンに差が出るので、1章を割いて説明する。
  2. ギャップを利用する売買で指値を入れる水準は、ETFのときよりもかなり遠くにする必要がある。
 株でのギャップに関する私たちのリサーチは12年間(2001〜2012年)に及び、ETFの場合よりも長い。これは、ETFの銘柄数が急激に増え始めたのが2006年だったため、その時期から検証を始めたためだ。

 先に進む前に、『ETFでのギャップトレード』の序文を載せておきたい。ギャップリバーサルでのトレードについて、ほかの資産クラスでも過去を振り返っておくほうが適切だと思われるからだ。

 その後、第2章に移る。そこでは、初心者向けにギャップトレードについて説明する。すでにギャップトレードの基本を理解している人は、第3章から読んでもらいたい。そこでは、ギャップトレードを行うための厳密なルールと、過去12年の統計に基づく検証結果について述べる。

 『ETFでのギャップトレード――決定版』からの抜粋

 伝説的な研究者であり、プロトレーダーであるラリー・ウィリアムズは、1980年代初期に商品のトレード戦略を発表し、それを「ウップス」と名付けた。彼のリサーチの根底には、特に月曜日に下にギャップを空けて寄り付く商品は反転して上げる傾向がある、という基本的な考えがあった。彼はそこに統計的なエッジ(優位性)があることを発見した。

 彼がリサーチを発表して数年後の1990年に、当時は無名だったトービー・クラベルという商品トレーダーが、『デイ・トレーディング・ウィズ・ショート・ターム・プライス・パターンス・アンド・オープニング・レンジ・ブレイクアウト(Day Trading with Short Term Price Patterns and Opening Range Breakout)』という本を出版した。クラベルはその本で、ギャップを含む多くの異なる価格パターンを調べて、それらのパターンを利用したときの過去のリターンを示していた。本が出版されると、私はそれをむさぼり読んだ。当時の私はまだDLJ証券で働いていて、自分でトレードをするという目標に向かっている最中だった。そのころ、信用できるトレード本はほとんどなく、数値データで裏付けられた戦略を紹介している本となると、さらに少なかった。私のようなトレーダーにとって、クラベルの本を手にしたのは本当に幸運だった。彼は私たちの多くが目にしていたものを統計で裏付けていた。すなわち、彼はチャート上で見られるパターンがトレードで使えるということを統計で証明してみせたのだ。彼はその後、世界最大級のCTA(商品取引顧問業者)を設立し、自分のリサーチに基づいて、過去20年にわたって変動が少なく一貫したリターンを上げ続けている。

 私は特に1990年代に、幸運にもウィリアムズとクラベルの2人と何度か会話をする機会に恵まれた。市場に対する私の考えについて、多くの下地を作ってくれた彼らを私は見習いたいと思っている。2人とも大衆とは逆にトレードすることに焦点を合わせることを好み、リスク管理が成功のカギだと考えている。そして、最も重要なことだが、2人とも自分たちのリサーチが統計による検証でしっかりと裏付けられていることに、信じ難いほどのこだわりを持っている。

 この戦略ガイドでは、人気があるひとつの戦略、「ギャップリバーサルでのトレード」を取り上げ、それを株に当てはめて、2001〜2012年にギャップでどのようなパフォーマンスが得られたかを示す。ラリー・ウィリアムズとトービー・クラベルが商品市場で20年前に発見したように、ギャップリバーサルは株式市場でも有効だということが分かるだろう。ギャップを空けたあとのリバーサル(反転)で利益を狙う戦略はトレーダーが真剣に考慮すべき優れた戦略であり、それを示す統計的に有力な証拠がある。

 私が経営するリサーチ会社では、株でのギャップを12年間にわたって調べた。この期間には2003〜2006年、2007年、2009年、2010年、2012年の強気相場、2001〜2002年、2008年の弱気相場、2011年の横ばい相場が含まれている。3種類の非常に異なる相場が含まれるので、この戦略がどれほど有効かを検討するのに、これ以上にふさわしい期間はおそらく望めないだろう。私たちは上へのギャップと下へのギャップを調べた。対象にしたのは、流動性がある何百もの銘柄(過去21取引日に、平均で最低100万株の出来高があったすべての銘柄)である。私たちはこれらのギャップによるセットアップがどのようなパフォーマンスを示したかを、多くの異なる手仕舞いを使って示すつもりだ。それらの手仕舞いには、日中の手仕舞い(デイトレード)、よく使われている指標の上と下で引けたときの手仕舞いのほかに、買ったその日に高値引けしただけの場合をも含めている。

 過去12年の検証では、株でのギャップトレードに私たちが導入したフィルターを追加すると、一貫して利益を上げることができた。このリサーチを通してそのことを示していきたい。


第6部 ETFの買い下がりトレード

第1章 はじめに

 2008年に、私たちはTPSという「買い下がり」戦略を発表した。TPSとは次の頭文字だ。

●T タイム(時間)
●P プライス(価格)
●S スケールイン(買い下がり)

 トレードでカギとなるこれら3つの要素(時間、価格、買い下がり)を組み合わせると、トレード結果がかなり向上することが多い。TPSは私たちが教えてきた戦略のなかで、今でも最も人気があるもののひとつだ。この第6部では、この戦略を買い下がりトレードと呼ぶことにする。

 買い下がりトレードは何十年も前の投資界に起源がある。有能なマネーマネジャーたちは何世代にもわたって、これをうまく使ってきた。

 私が買い下がりトレードについて初めて知ったのは1985年だった。メリルリンチで最大の資金を運用して最も成功したブローカーのひとりから教えてもらったのだ。彼の顧客にはロサンゼルスの実業界の「名士」が含まれていた。そのうちの1人はさらに政府の上級閣僚になり、別の1人はロサンゼルスの市長になった。さらに、成功を収めてフォーブズ400に載った人も何人かいた。このブローカーは投資がどういうものかを理解していたし、何よりも株式をいかに買い下がるべきかを理解していた。そのため、ロサンゼルスで大成功を収めた人々のなかには、何十年も彼のアドバイスを頼りにしていた人もいる。

 彼と親しくなるにつれて、彼は私にどの銘柄を買うべきかや、もっと重要なことだが、どのような買い方をすべきかを親切にも助言してくれるようになった。

 私は彼が初めて推奨してくれた銘柄をいまだに覚えている。それはLPX(ルイジアナ・パシフィック)だった。当時のLPXは長期で持つバリュー株として非常に魅力的であり、彼がそれを買うべき理由を説明し終えるころには、私は説得されていた。彼は私の顧客でその株を保有するのにふさわしい人たちすべての分を、すぐに買ったほうがいいと言った。そして、話の終わりに彼はあることを言い、私はそれ以来ずっとそれを守っている(そして、それがこの第6部の中心になってもいる)。彼は、「みんなのためにその株を買ったら、今夜は帰宅して、明日それが下がることを期待するんだね」と言ったのだ。そのとき、私はとまどった。いったいどうして、株価が下がるのを願うのかと私は尋ねた。すると、彼は不思議なことを言った。「そうなれば、君は明日、もっと安値で買い増すことができるだろう」と。

 記憶が正しければ、LPXはあまり下げなかった。そして、結局はかなりの上昇をした。私たちは底値近くで買ったのだった。もっとも、それはたいてい、手腕によるものではなく、運が良かったにすぎないのだが。その銘柄に対する彼の洞察は極めて正確だった。だが、もっと重要なことがある。彼がまいてくれた種は、18年後にさらに成長したということだ。

元企業弁護士のヘッジファンドマネジャー

 私たちが運営するTradingMarketsの会員の1人は有名な法律事務所で顧問弁護士として成功を収めていたが、2003年にその仕事を捨てて、ヘッジファンドのマネジャーになる決心をした。彼は専門知識を生かして他人の資金を運用して2%の手数料と20%の成功報酬を得るために、キャリアを大転換したのだ。

 彼のファンドよりもはるかに大きく、新人マネジャーもベテランマネジャーも擁するファンドが、スペースを提供して必要な設備もすべて面倒を見ると直ちに申し出てくれたという。それはこの業界ではよくあることで、双方に有益であることが多い。マネジャー側はスペースと設備だけでなく、ほかのマネジャーたちとの関係を築く機会も得られる。施設を提供する大手ファンド側も、専門分野が異なるマネジャーから新鮮なアイデアを得ることができる。うまくいけば、みんなが得をするのだ。

 彼は自分の仕事に関する最新情報を私に伝えながら、学んでいたことを親切にもいくらか教えてくれた。彼にとって、成功しているヘッジファンドマネジャーの多くがどういう運用をしているかを直接見る機会に恵まれたことは特に重要だった。

 業界をより深く知るようになると、彼はある日、私に電話をしてきた。私たちはその春に底入れして、新たな強気相場に入った市場について話し合っていた。そのとき、彼は私が18年前に聞いたこととまったく同じことを言った。そこで成功しているマネジャーの多くはそれぞれ独自の方法で運用をしていたが、彼らのほとんどに共通する点がひとつあるという。彼らはあるアイデアを調査して、その銘柄を買い始めるべきだという確信を得ても、すぐに「全力買い」はしなかった。彼らは一部(一定割合)を買った。そして、家に帰って、その銘柄が下がって、もっと安値で買えることを願ったという。

 価格がそのまま上げ続けたら、彼らはそのポジションを維持して利益を得た。

 価格が下げたら(2002年の間はごく普通のことだった)、彼らはさらに安値でポジションを増やす機会に恵まれた。そして、意図していたポジションサイズに達するまで、株価が下げるたびに買い続けた。その銘柄にふさわしい価値と考える水準まで上げると、彼らは利益を確定した(2003年とその後の数年は、彼らの多くが順調にそうできる環境にあった)。どんな戦略でも同じだが、この戦略を使っても必ずしも利益が得られたわけではない。しかし、判断が正しかったときには、彼らはしばしば非常に大きな利益をものにできた。そして、極めて安値で買った1つか2つの銘柄が大幅に上昇をして大喜びをした(そして、彼らの顧客も非常に満足をした)。彼らはほとんどの人がするように、「全力買い」をするのではなく、より望ましい株価になるとポジションをさらに増やして、株価が上げたところで利食うことを目標にした。

 私たちはこの考え方に基づいて、2008年に独自の買い下がりトレード戦略(TPS)を考案した。うれしいことに、今日まで(2013年3月)、この戦略はうまく機能し続けてきただけでなく、大幅に発展させることができた。

 先に進む前に、買い下がりと倍賭けの違いを確認しておこう。買い下がりには多くの方法があるが、中心は配分した資金の一部(全部ではない!)でポジションを取れるようにすることだ。価格が上がったら、有利な立場になる。下がったら、そのポジションに配分した資金を使い切ることを目標に、安値で買い増す。

 倍賭けは極めて強気の手法で、買い下がりとはまったく異なる。倍賭けをするときには、最初から配分した資金のすべてでポジションを取る。そして、価格が下げたら、しばしば信用取引でポジションを2倍に増やす。

 どちらの手法も、価格はいずれ上がるという確信に基づいている。違いは、トレードをするうえでの資金管理にある。買い下がりのほうが緩やかで、慎重なトレード手法である。また、価格がさらに下がった場合でも痛手を被りにくい。この証券は、売られ過ぎだから買いたい、と考えることが許される。そして、もっと売られ過ぎになったら、私が用いている買い下がりの比率(この点はあとで説明する)に応じて、下げたら買いという手順を繰り返すことができる。特に勝率に基づく検証結果を見れば分かるが、ETF(上場投信)のトレードではこちらのほうが優れたトレード法であることが多い。

 トレーダーである私たちは、前に取り上げたマネジャーたちのように何カ月や何年もポジションを維持し続けることを目標にしていない。私たちは効率的に仕掛けのタイミングを計って、できるだけ早く手仕舞いたいと考えている。買い下がりトレードに関するこの第6部では、その方法を詳しく説明する。ETFとは株式のバスケットのことで、通常は個別株式よりも安全である。ここではETFに焦点を当てるだけでなく、利益が出る確率が高いと実証された手法を使った買い下がりについても説明する。

 この第6部では、流動性が高いETFを売買するための厳密なルールに加えて、このトレード手法に役立つ検証結果のすべてを提供するつもりである。流動性が高い主要ETFの検証結果は一貫していて、多くの買い下がりの変数では、10年以上にわたって勝率が90%を超えていることが分かるだろう。

 では、予備知識が得られたので、買い下がりトレードを学ぼう。


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