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ウィザードブックシリーズ Vol.215

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トレードコーチとメンタルクリニック 無理をしない自分だけの成功ルール トレードコーチとメンタルクリニック
無理をしない自分だけの成功ルール

2014年2月発売/A5判 ハードカバー 542頁
ISBN978-4-7759-7181-9 C2033
定価 本体2,800円+税

『新版 魔術師たちの心理学』
『ポジションサイジング入門』
『魔術師たちの投資術』

著 者 バン・K・タープ
監修者 長尾慎太郎
訳 者  山下恵美子



自己変革の第一歩を踏み出し、内側に眠る真のパワーを発見
自分自身を変えて、スーパートレーダーへの旅へ出よう!

 SF映画の傑作『マトリックス』では主人公のネオが赤と青のカプセルの選択を迫られるシーンがある。「青いカプセルを飲めばここで終わり。ベッドで目覚め、あとは好きに。赤いカプセルを飲めば真実の世界を見せてやる」と言われる。もちろん、ネオは赤いカプセルを飲み、冒険が始まる。さて、もし赤と青のカプセルのどちらを飲むかと聞かれたら、あなたはどちらを選ぶだろうか?

 本書はあまたあるトレード指南書や投資ガイドとは趣を異にする。本書はネオが飲んだ赤いカプセルの役目を果たす。自分の人生において何が得られるのか、何が可能で何が不可能なのかといったプログラム化された思考から自分を解放する勇気さえあれば、本書はあなたを新世界へと導いてくれるはずだ。心にしみついた考えや信念や認識はトレードの意思決定に影響を及ぼし、当然手にすべき成功からあなたを遠ざけるかもしれない。自分の内面を見つめ、こうした根深い考えや信念や認識に新たな光を当てる。トレード結果を劇的に改善し、あなたの富を何倍にも増やす新たな方法を探す旅に出ようではないか。

 バン・K・タープ博士はトレーダーたちを最高のトレーダーにする手助けをしてきた。本書は彼の30年間のノウハウの集大成である。彼はトレーダーたちが3つの段階を経て、成長する姿を見てきた。

 第一段階は「タープ的思考」と呼ばれるものだ。ここでは、タープ博士が数多くのスーパートレーダーたちとのモデリングを通して開発したパワフルなルールを学ぶことができる。これらのルールはこれを適用する方法を理解しているトレーダーには大きなリターンがもたらされることが何度も証明されている。

 第二段階では、トレーダーとしての自己変革の最初の大きな第一歩を踏み出すことになる。まずはトレードや市場についてのあなたの固定観念と、それがどこから来たのかをじっくり観察してみよう。タープ博士の言葉で言えば、「あなたは市場をトレードしているのではない。あなたがトレードしているのは市場に対するあなたの信念である」。どの信念が健全で生産的なものなのか、またどの信念がそうではないのかもやがて分かってくる。そして、健全で生産的ではない信念からは解放され始める。これは赤いカプセルを飲んで自己変革の旅へと出るほんの始まりにすぎない。

 そして最後の第三段階では、マトリックスを超えた真実の世界に気づき始める。ネオのように、あなたはプログラミングされた自分を超えて、あなたの内側に眠る真のパワーを発見することになるだろう。本書ではタープ博士は、あなたがトレーダーとして、そして一人の人間として、飛躍的に前進するのに必要なツールを提供してくれる。

 本書は「うまくいく」トレード戦略やトレードテクニックの解説ではなく、あなたを自己発見の旅へといざなうものだ。その旅のなかで、タープ博士の手助けで自分が何者なのかが徐々に分かってくる。己の内面を見つめることで、あなたの意思決定に大きな影響を及ぼしている心に染み付いた考えや信念や認識から解き放たれることで、トレード成績を劇的に向上させ、スーパートレーダーへの第一歩となるヒントが満載されている!


本書への賛辞

「『タープ的思考』はトレードテクノロジーの最先端を走ってきた。今こそ、真実の世界に足を踏み入れ、トレードに変革をもたらすときだ。彼の『聖杯』システムはトレードの新たな領域と深い関係があることが分かってくるだろう。そして、トレードのエッジは精神性のなかにあることも分かってくるだろう。トレードを次のレベルへと発展させたい人にとっての必読書だ」
――リビー・アダムス博士(インターナショナル・アカデミー・オブ・セルフ・ナレッジの最高責任者)

「本書は自己の心理はあなたの敵ではなくあなたの見方であることを教えてくれるものだ。本書はまたリスクの考え方とマネジメントの方法も教えてくれる。勝てるトレードシステムを開発したいのなら本書を読むことだ。私は本書をトレーダーのトップ10の必読書に加えた」
――レーン・J・メンデルゾーン(トレーダープラネット・ドットコムの創始者)

「偉大なシステムとは、同じ方法を使えば同じ結果を再現できるシステムのことを言う。バン・タープのシステムはまさにこんなシステムだ。実際の人間が実際の結果を出す。われわれが探していたのはこんなシステムではないだろうか。市場で常にお金を稼ぎたいのなら、本書を読んで自分を変革することだ」
――D・ジェイニー・ギル(マイクロソフトの元世界調達上級部長)

「本書はバンのこれまでの本とは趣を異にする。これは彼自身の旅を描いたものだ。トレードや自己変革の話を通して、『トレードメタファーを通じての変革』の意味が分かってくる。インスピレーションに富み、実践的ガイダンスと応用法も教えてくれる本書は、あなたとあなたのトレードの改善に大いに役立つはずだ」
――マルコム・プライヤー(『ファイナンシャル・スプレッド・ベッティング・ハンドブック』の著者)

「成功するトレードとはトレードそのものよりもそのトレーダーと大きな関係がある。このことをずっと以前に発見したタープは、高次元の意識状態にあるトレーダーたちはトレードだけでなく、人生においても成功者になる確率が高いことをわれわれに教えてくれる。この新たな意識レベルに達するにはどうすればよいのか。物理的、感情的、精神的幸福を手に入れるにはどうすればよいのか。それを知りたい人は本書を読むことだ。本書はあらゆる人にとっての必読書だ。特にスピリチュアルコミュニティーの友人たちに勧めたい本だ。物質と精神との関係をかくも深く分析したバン・タープの洞察力には恐れ入るばかりだ」
――スチュアート・ムーニー(『アメリカン・ブッダ』の著者兼デイトレーダー)

「トレードのメンタル面に移行するのは私にとっては簡単だ。しかし、ほかの人にとってはそれほど容易なことではない。そこで本書の出番というわけだ。自分を成功から遠ざけるバイアスや信念、環境といったものを克服してトレーダーとして成功した人々の話には共感できる。彼らはいかにしてこれらを克服したのだろうか。それはすべて本書に書かれている」
――トム・バッソ(『トム・バッソの禅トレード』の著者)


著者紹介/バン・K・タープ博士(Dr. Van K. Tharp)

バン・タープ・インスティチュートの社長。長年にわたりトレーダーや投資家のコーチおよびコンサルタントとして活躍。スキルと教育法を駆使した彼の教え方には定評がある。『タープ博士のトレ-ド学校ポジションサイジング入門 スーパートレ-ダ-になるための自己改造計画』『魔術師たちの心理学新版 トレードで生計を立てる秘訣と心構え』『魔術師たちの投資術 経済的自立を勝ち取るための安全な戦略』『ディフィニティブ・ガイド・トゥー・ポジション・サイジング・ストラテジー』『ファイナンシャル・フリーダム・スルー・エレクトロニック・デイ・トレーディング』はベストセラーとなる。1975年にオクラホマ大学ヘルスサイエンスセンターで心理学の博士号を取得。神経言語プログラミング(NLP)の専門家、タイムラインセラピスト、NLPモデラー、NLPのアシスタントトレーナーでもある。NLPの専門知識を使って、常に利益を上げる数々のトレードモデルや投資モデルを開発

原書:Trading Beyond the Matrix

タープ博士の成功するトレーダーのモデル作りに大きく貢献した2人

トム・バッソ

エド・スィコータ


目次

監修者まえがき
謝辞
まえがき ダグ・ベントレー
序文――変革を理解する バン・K・タープ博士
レベル1――トレードゲームの変革
レベル2――マトリックスを理解し、自分自身を再プログラミングする
レベル3――マトリックスを超えてトレードする
本書の応用方法

第1部 トレードゲームの変革――基本を理解しよう バン・K・タープ博士

古いルールと新しいルール
第1部の内容

第1章 130%を超えるリターン――でもそれはほんの始まりにすぎなかった デビッド・ウィトキン
トレードを学ぶ
タープ的思考の基礎
どの教訓も同じではない
最終的には勝ちビー玉が出るようになった

第2章 タープ的思考の自動化 ローレンス・ベンスドープ
トレードは人に頼らず自分でやる
他人をトレーニングする
なぜこういったことが可能なのか
補足

第3章 銀行の貸付係から経済的に自由なトレーダー兼投資家へ リック・フリーマン
最初の心理的な変化
トレードゲームについて私が学んだこと
トレードゲームを理解する
では、正の期待値を持つシステムはどうやれば手に入るのか
機能するシステムを手に入れる
トレード心理
私の人生はどう変わったか

第4章 陸軍少佐からシステム専門家へ ケネス・ロング(数学博士)
私は何を学び、どう変わったか
信念の力
統計学に基づくトレード
極端な状態をトレードする
リワード・リスク・レシオの評価
R倍数
ポジションサイジング戦略とビュレット
システム、ターゲット、市場を評価するためのSQNパフォーマンス
市場分類戦略
変革
システムのパフォーマンスが向上
市場状態ごとに異なるシステム
詳細な記録とトレード分析
根拠に基づく管理
ストレスの軽減
パフォーマンス
毎月リバランスする長期システム
週に1度ポートフォリオを調整した週次スイングトレード
毎日の終わりのデータを使ったパターンスイングトレード
ライブのトレードワークショップの結果

第5章 タープ的思考を使ってブローカーからフルタイムのトレーダーへ マーティン・ホーシー
私の新たな冒険
ノースカロライナへ
トレードの再開
今の自分

第6章 タープ的思考をあなたのトレードに取り入れよう バン・K・タープ博士
分野1――成功するトレードの原理を完璧に理解する
パート1――トレードを学ぶことは骨が折れるが、それは教えることができる
パート2――自分自身を知る
パート3――過ち
パート4――目標とポジションサイジング戦略
パート5――確率とリワード・リスク・レシオの評価
パート6――システムと市場
タープ的思考を学ぶためのステップ

第2部 心理的変革――マトリックス内の最高レベルで機能する自分を作る バン・K・タープ博士

第7章 信念――マトリックスの基本 バン・K・タープ博士
信念はあなたの人生を変えるほどの影響を持つ
私は経験をどう作りだすのか
あなたはあなたのなかを流れる思考に気づく人
信念の階層
あなたの信念を変える
あらゆるものはあなたが与えた意味を持つ

第8章 感覚と身動きできない感情の驚くべき世界 匿名
転機
自己破壊モデル
感情を受け入れる
今の自分
編集者から一言――目覚めを測る測度としての感情の解放

第9章 あなたは対立する部分の集合体 バン・K・タープ博士
練習――パーツパーティー
部分間で交渉する練習
CBOEのフロアトレーダーとのインタビュー
バン・タープ博士とのワーク
対立する部分に対処する
それから何が変わったか
今の自分(数年後)

第10章 内なるガイダンス――奇跡への旅 バン・K・タープ博士
私の旅
神との対話
ディクシャ(ワンネスブレッシング)
私とミツィーとの関係
私の今の内なるガイダンス
変革した元エンジニア教授を再び訪れる
私とドゥルガーとの関係の発展
神とのワンネス
神との絆
関係の性質が重要
これはあなたやあなたのトレードにとってどんな意味があるのか
最近起こったこと
奇跡1――マザー・ミーラの2回目のブレッシング
奇跡2――恐怖を基にしたスピリチュアルな信念を払いのけることができた

第11章 TfMによる経験 ピーター・ウェクター
「私」は「神」という言葉に関する問題を持っている
5つの変革
まだ理解していないリトルiがいくつか現れた
議論
過ちへの対処
議論
本章を終わるにあたって
補足

第12章 あなた自身の世界を作る バン・K・タープ博士
自分自身を極めるための9つのステップ
ステップ1――自分は対立する部分の集合体
ステップ2――各部分からアイデンティティーレベルの信念を25から30個引き出す
ステップ3――それぞれの信念に対して信念チェックパラダイムを行う
ステップ4――投影とあなたの影の部分を見つけよ
ステップ5――感情解放によって感情を解放せよ
ステップ6――人生を振り返り、現れた信念をリストアップせよ
ステップ7――問題をリストアップし、その基となる原因(信念や感情)を見つけよ
ステップ8――あなたの内なるガイダンスと常に交信し続けよ
ステップ9――部分を取り除くか、あるいはそれらがあなたとともに働くことができるようにせよ

第3部 意識レベルを変えることでマトリックスを超える バン・K・タープ博士

私たちの最も強力なツール
変革によるスーパートレーダーへの旅

第13章 変革の旅をどう高めていったか キム・アンダーソン
元凶を見つける
変革の加速
変革の柱1――恐怖を取り除く
変革の柱2――ハイアーパワーに接触する
変革の柱3――私の人生における目的
変革の柱4――コントロールに対する願望を取り除く
大金持ちになることへの無意識の恐怖を手なずける
以前と現在の比較
強化された変革モデル
結論

第14章 エンジニアからスピリチュアルな戦士へ――トレードの旅 匿名
時間表1――下り坂を転げ落ちる
時間表2――穴から這い出る
どこからともなくやって来たメッセージ
退職したらすぐにプロの投資家になるという目標
本当の問題を抱えているのか、それとも暗闇のなかに悪魔を見ているだけなのか
スーパートレーダープログラムの参加者に出会う――彼らのようになりたい!
変革1――過去の投影の痛みを捨てる
最初の状態
変革するために何をしたか
変革した状態
幕あい――だれにでもお金を儲けるチャンスはある
変革2――温和な宇宙を体験する
最初の状態
変革するために何をしたか
変革した状態
変革3――自分の目標を認識する
最初の状態
変革するために何をしたか
変革した状態
変革4――自分に合ったビークルを見つける
最初の状態
変革するために何をしたか
変革した状態
変革5――感情状態の積極的な管理者になる
最初の状態
変革するために何をしたか
変革した状態
結論――最後に勝者となる

第15章 プロトレーダーの旅――マトリックスを超えて カーティス・ウィー
初期のトレード
バン・タープ・インスティチュートとの出合い
重要な教訓1――責任を持つ
重要な教訓2――思考、感情、行動を自由自在に操れる
重要な教訓3――私の思考は私のものではない
重要な教訓4――内なるガイダンスを信じる
重要な教訓5――世界が完全であることを理解する
重要な教訓6――自分の目標を知る
重要な教訓7――自分を作り変える
今の自分

第16章 「ただ在る」状態でトレードする タン・グエン
変革への旅
分野1――不安や心配
分野2――辛抱強さのなさ
分野3――失敗することや間違うことのへの恐れ
分野4――圧倒される
分野5――自分はいつも正しいのだと信じる傾向がある
分野6――プランやシステムなしにトレードする
私はこれをどのようにして達成したのか
今の自分
編集者注

第17章 意識レベルを向上させるために バン・K・タープ博士
「ただ在る」状態でトレードするための練習
「ただ在る」状態でトレードする
レベル4の変革
意識レベルを上げることに対する質問

第18章 旅は続く バン・K・タープ博士
分野3――トレードや投資のための個人的なビジネスプランを作成する
分野4――トレードに対する準備ができているか
分野5――トレードの過ちを理解する3

付録
用語解説



監修者まえがき

 本書はトレーダーのメンタルトレーニングで有名なバン・K・タープ博士が著した“Trading Beyond the Matrix : The Red Pill for Traders and Investors”の邦訳である。タープ博士が書いたものの邦訳としてはすでに『新版 魔術師たちの心理学』『魔術師たちの投資術』『タープ博士のトレード学校 ポジションサイジング入門』の3冊がパンローリングから刊行されている。トレードの心理を扱った相場書は希少なので、これらを手に取ったことのある方も多いことだろう。しかし、本書をそれらの延長線上に位置づけて読んだら仰天することになる。なぜなら、本書は相場書というよりは、広義のセルフヘルプとスピリチュアリティ(霊性)に関して書かれた啓蒙書だからである。

 一般に私たちはだれでも認知バイアスを持っている。これには例外はなく、人によって程度が異なるだけである。それが極端な場合は社会生活に支障を来すこともあるが、ほとんどの場合は特に問題とはならない。日常生活では合理的な判断・行動が常に必要なわけではないからだ。だがマーケットにおいては、他者が合理的な行動を取るなかで自分が非合理的な行動を取れば、意図せざる損失を被ることになる。認知的不協和の発生である。この不快感を軽減する方法はいくつかあるが、本質的に問題を解決しようとすれば、自分自身もしくは自分の行動を変えるしかない。

 実際に自分自身を変えるのは大変で成人ではほとんど不可能であるが、もし問題がトレードに限定されているのなら、表面的な行動さえ変えれば良いのだから話は簡単である。機関投資家の運用現場では、これを組織デザインと分業制度、ミッションのエージェンシー化によって解決している。これは日本人が得意とする分野で、したがって各担当者のメンタルな問題はパフォーマンスにはまったく影響を与えない。一方で、自分ひとりですべてをこなさなければならない個人投資家の場合は、多くは数学(特に統計学)をはじめとした科学的な思考を心がけることでもって、トレードにおける自分の行動を律してきた。

 しかし著者らは第三の道を選んだ。認知的不協和の存在から来る不快を軽減するために、プロセスを変えるのではなく自分の認識体系の方を入れ替えるのである。著者らはその認識体系を「信念(belief)」、それを矯正する新たな認知バイアスを「タープ的思考」と呼び、この原理に通じれば精神が解放され、神と対話することになる(らしい)。本書は、トレードにおけるメンタルトレーニングの領域をはるかに超えて行き着くところまで行ってしまった人たちの記録である。私自身はここに書かれたような超自然的なモノの存在を信じないし、たかがゼニ儲けのために神様を持ち出すのはむしろ不謹慎なんじゃないのか?といった疑問も感じるのだが、唯一絶対神を持たない私たち日本人と違って、彼らには科学よりも宗教のほうが、自らを統制するものとしては受け入れやすいのかもしれない。

 翻訳にあたっては以下の方々に心から感謝の意を表したい。山下恵美子氏には、正確で分かりやすい翻訳をしていただいた。そして阿部達郎氏には丁寧な編集・校正を行っていただいた。また、このような尖った趣向の本が発行される機会を得たのは社長である後藤康徳氏のおかげである。

 2014年1月

長尾慎太郎




まえがき――ダグ・ベントレー(北アメリカ・ワンネス・ガイド)

 人生において本当に達成したいこと――それは金銭的に裕福になり、成功することである。これは近代社会に生きるだれにとっても時間と労力を費やすだけの価値のあるものである。私たちは学校で懸命に勉強し、懸命に働く。これは金銭的な成功を収めるのに必要な進歩を成し遂げるためである。欧米諸国では成長して成功を手に入れる方法は無数にある。しかし、幸運で物事がスムーズに進む人がいる一方で、もがき苦しむ人がいる。これはなぜなのだろうか。努力だけではけっして補えない部分がある。成功と失敗を分かつものとは一体何なのだろうか。

 人間は成長すると、外的部分と内的部分との相互関係に気づくようになる。人はストレスや恐怖や悲しみにさらされると肉体的に不健康になる。さらに細かく観察すると、外的世界は私たちの内的世界を反映するものであることが分かってくる。内的世界は、人生とはかくあるべきだという私たちの信念を映し出す鏡のような気がする。われわれは成功に値する人物なのか。愛されるに値する人物なのか。成功するのか。失敗するのか。私たちはこうしたことに対して明確な態度を取る。したがって、私たちが私たち自身に対して持っているすべての考えは毎日の生活で起こることに影響を及ぼす。人間関係に影響を及ぼし、成功するかどうかにも影響を及ぼし、幸福にも影響を及ぼす。とにかく、私たちの生活のあらゆる部分に影響を及ぼすのである。

 2人の人物を例に取って考えてみよう。2人とも同じ情熱を持ち、同じ意欲を持ち、同じ知性を持つ。1人は、やることなすことすべてうまくいくと思っている。なぜなら、成功に見合うだけのことをやっているからだ。もう1人は、いつも失敗すると思っている。なぜなら、成功に見合うだけのことをやっていないからだ。その結果どうなるかというと、1人は成功し、もう1人は失敗する。つまり、自分について信じていることが起こるということである。しかし、2人ともそのことには気づいていない。

 では、これを解決するにはどうすればよいだろうか。この内的世界に気づいて、無意識の信念パターンというものが分かるようになるにはどうすればよいのだろうか。それは簡単だ。目覚めればよいのだ。まずは自分の内側で何が起こっているかに気づくことから始めよう。

 人間は太古の昔から旅をしてきた。旅は意識を開花させるプロセスであり、それによって人は本当の自分というものになっていく。旅は自分の奥深くに眠る内的状態に気づかせてくれ、自分の真実というものを知る機会を与えてくれるものだ。そして、自分の内部を垣間見たそのときから、本物の自分になり、内なる人格というものが機能し始める。

 これがお金を稼ぎ、成功するのとどんな関係があるのか、と聞きたくなることだろう。答えは簡単だ。一瞬一瞬において自分自身のことによく気づいているとき、あなたは他人やあなたの置かれた状況と調和していることになる。この状態は、心を超えて自然に発生してくる知性というものに接する機会を与えてくれるものだ。いわゆる直感というやつである。タープ博士はこれを、ただ在る状態でトレードする能力と呼んでいる。ゾーン状態にあること、と呼ぶ人もいる。しかし、これにはもっと深い意味がある。この内なる知性は、ブッダからスティーブ・ジョブスまで、この地球上に存在した偉大なるすべての人間の才能を結集したものなのである。

 この深い内なる世界に接することができた人々は創造力豊かで知性にあふれていた。彼らが狙ったものは成功裏のうちに成し遂げられた。遭遇する新たな状況における自分自身に気づくようになると、毎日が限定的な信念を超えて自分自身の成長を発見する日々だった。このプロセスは自動的で努力を要しないものだった。ただ、彼らに起こったこと。それだけだ。彼らが偉大なことを成し遂げられたのは、内なるものが開花して、神の愛が彼らを包みこんだからである。

 何と魅力的なことなのだろう。あなたもこうなりたいと思うか。そうなら、参加することだ。

 ここで話していることは簡単にできることではない。毎日やれるような簡単なものではない。それはあなたに与えられるものなのだ。

 古代人は真の成功の秘訣は意識のなかに存在することを理解していた。内なる自分を開花させた人は大成功し、そうでなければもだえ苦しむ。人間を開花させるには神経生物学的変化が必要だ。あなたの体のなかに眠っている精神的エネルギーを目覚めさせなければならないわけである。しかし、それがいったん目覚めると、内なる自分は自然に開花し、あなたを気づきと意識のもっと高い次元へと押し上げてくれる。

 古代人は、目覚めたいと真剣に思ったとき、目覚めた人を求めて長い旅に出た。そして、その目覚めた人を探し当てたとき、彼らは目覚めを求める人に目覚めのエネルギーを伝授してくれる。

 このエネルギーの伝授はディクシャと呼ばれ、人が与えられるたぐいまれで最も貴重な恩恵と考えられていた。エネルギーを伝授されるものは達人のガイダンスのもと、長い間学習してようやくエネルギーを伝授されるのである。

 ディクシャは、求めようとして簡単に求められるものではなく、この近代社会ではつい最近まで知られることはなかった。しかし、このディクシャが今戻ってきたのだ。成長し、目覚めを求める人であればだれでも手に入れることができるようになった。

 ディクシャは崇高なものだが、宗教的な枠組みにはとらわれない。それはあなたの精神的エネルギーを呼び覚ます神聖なエネルギーの伝授であり、脳の不活性な部分を活性化させることで脳がバランスよく機能するような変化をもたらすものである。その結果、ディクシャを与えられた人々は目覚め、知性が増す。これは目覚めの自動的なプロセスであり、終わりのない成長の旅であり、日々の生活のなかでの発展をうながすものである。

 つまり、あなたは自分自身を見つめ、自分の限界を発見することができるようになるわけである。しかし、この旅は手助けがなければ非常にのろく、途中で挫折させるかもしれない障害に満ちあふれたものになる。しかし、この旅に神の力が注ぎ込まれれば、深淵なる内なる癒しが自然に始まる。この癒しによって、妨げとなる信念のシステムを固着させ、懸命にがんばっているのに私たちを成功から遠ざけるようなものから自然に解放される。このプロセスは本書の第2部で詳しく説明されている。

 人々が目覚めを開花させるにつれ、大きく成長し、内なる神聖な領域に自然に触れることができるようになる。日々の生活のなかで求めること、あるいは起こってほしいと思うことを経験するようになる。それはいとも簡単に優美に実現される。そして、人々は人生がうまくいっていることを実感する。人生が流れるように動きだし、ただ在る状態でトレードできる喜びにあふれる。いきなり、苦悩とはおさらばして、物事を達成することが楽しい旅になる。

 人生は楽しまなければならない。人生は経験に満ちたものでなければならない。しかし、これを達成するためには、意識を開花させ、成長させる必要がある。今、この地球上にはディクシャによって目覚めを手に入れた人々が何百万人もいる。彼らは、人生は驚きに満ちたものであり、成長と喜びの経験であるという現実に気づきつつある。

 そんな1人がバン・タープだ。彼は目覚めを手に入れたばかりではなく、他人も目覚めさせようと努力している人物だ。彼は、内面世界を成長させることで外的世界で大きな成功を達成させるために実業家たちを手助けしている。

 本書では驚くべき旅、スーパートレーダーへの旅を目の当たりにすることだろう。あなたが求める成功を手にいれるためには、偉大な洞察力と教えが必要だ。あなたが人生で情熱を燃やすことを達成できることを願ってやまない。そして、目標達成への旅が喜びにあふれ優美なものになることを願っている。





序文――変革を理解する

 トレーダーたちのコーチを始めてかれこれ30年経つ。ときどきこう聞かれることがある。「バン・タープはこんなに優れたトレードコーチなのに、どうして自分でトレードしないのか?」。それは、トレードやトレードの成功から得るお金は人生で最も大切なものという大前提があるが、これは私には当てはまらないからだ。私の使命は人々がもっとよくなるように変革させることである。私はこれをトレードメタファーを通してやっているだけである。私は、人々の生活がどう変わったかについて人々から寄せられるコメントに生きがいを感じる。例えば、私が最近いただいたコメントには次のようなものがある。

「あなたのプログラムは私のトレードに役立っただけでなく、ビジネスのうえでも役立った。あなたとプログラムをやり始めてからというもの、これほど平和で心の解放感を感じたことはない。これは私が日々の生活で行うことのすべてに役立っている」――H・T(ジョージア州アトランタ)

「あなたのワークショップに参加する前は、私は欲望の塊だった。でもワークショップを終えた今、これまでよりももっと内なる自分と整合性を持ち、なりたい自分になれたような気がしている。また、ワークショップに参加する前は、幸福テストで20点だったが、2回クラスを受けたあとは63ポイントも上がって、ほぼ完璧な83点に達した。本当にありがとう」――T・H(バージニア州フランクリン)

「あなたが私の人生に及ぼした影響は計り知れない。あなたは私の人生をがらりと変えてくれた。今では何もかもが変わった。これはまさに神様からの贈り物だ。本当にありがとう……私はもうひとりじゃない。本当の幸せをつかむ道を見つけることができたから。人生における使命が今でははっきりしている。喜びに従うこと。それが私のやるべきことである。人生をもう一度やり直す。そんな気持ちだ」――D・M(カナダ・ケベック市)

「あなたのワークショップに参加してから、どんな夢もかなうような気が再びするようになった。セールスの仕事にこのテクニックを応用し始めてから、この27年間のキャリアのなかで最高の手数料を手にすることができた。1カ月に20万ドルも稼いだ。これまでの自己最高額の何と3倍だ。新たなトレードキャリアでもこれを実現する。そのときが待ちきれない思いでいっぱいだ」――E・M(ワシントンDC)

「バン・タープという物腰の柔らかいテディーベアに偶然出会ったときから私の人生は変わった。私の人生はいきなり、金銭的に恐怖の人生から喜びと冒険の人生へと変わった。私が変わったことで、結婚生活も考え方も大きく改善された」――J・G(バージニア州)

 自己変革に関するこうしたコメントこそがバン・タープ・インスティチュート(VTI)という車を走らせるエンジンなのだ。なぜなら、前にも言ったように、私たちの使命は人々にトレードを通して自己変革させることだからである。だから私はこうしたコメントに生きがいを感じるし、私のスタッフも同じだ。

 最近気づいたのは、人々は3つの変革段階を通して変化させることができるという事実である――.肇譟璽疋押璽爐諒儚廖↓⊃念、凝り固まった感情、葛藤にまつわる心理的な変革、十分な変革を経て、意識レベルが大きく変わるレベル3の変革。

 これら3つの変革段階がはっきりしたとき、人々が成功するのに何が最も必要なのかを私はこれまで以上によく理解できた。本書ではこれからこれら3つの変革段階を解説していく。

 しかし、その前に本書のタイトルについて少し話をしておこう。私は初めて『マトリックス』という映画を見たとき、ものすごく気に入った。気にいったのはアクションではない。メタファーである。最近もう一度見直して気づいたのだが、細かい部分はほとんど覚えていないのに、メタファーだけはしっかり記憶していたのだ。

 メタファーとは、われわれはみんなプログラミングされていることを示唆するものだ。われわれの住む世界はプログラミングによって形成された幻想の世界だ。そして、ある段階でわれわれはそれに気づき、もっと良いものがあるのではないかと思う。この段階でわれわれには選択肢が与えられる。青いカプセルを飲めば、何も変化しない心地よい眠りに戻ることができる。この場合は、この本を本棚に戻し何もしなくてもよい。一方、赤いカプセルを飲むこともできる。モーフィアスはこう言う。「不思議の国の正体をのぞかせてやろう」。この場合はこの本を読んで、提案されることをやる。そうすればあなたの人生は永遠に変わるだろう。

 私たちは自分の信念によってプログラムされている。信念とは、両親から、教会から、学校から、友だちから、そしてメディアから植えつけられるものだ。私たちは自分の信じるものを信じる。そしてそれが私たちの現実を形成する。これについては本書の第7章で詳しく解説する。しかし、赤いカプセルを飲めば(あなたにとっては本書を意味する)、これらの信念がマトリックスのなかの高い次元で機能するかどうかの探求が始まる。

 映画『マトリックス』では、ネオはコンピューターのように再プログラミングされるが、あなたの信念があなたをどうプログラミングし、そのプログラミングがあなたに合っているかどうかを知ることで、あなたもネオと同じように自分を再プログラミングすることができる。再プログラミング始めたとき、あなたはマトリックスのなかの高い次元で機能し始めるのだ。

 それでは3つの変革段階をもっと詳しく見てみることにしよう。

レベル1――トレードゲームの変革

レベル1はトレードゲームの変革だ――ビッグマネーが勝つルールから、目先の利くトレーダーに大きなエッジをもたらすルールへの変革。この新しいルールは、スーパートレーダープログラムに参加するみんなにトレーニングの基礎として理解してもらいたいタープ的思考という概念からなる。これらのルールについては本書の第1部の総まとめである第6章で解説する。これらのルールのほとんどは私のルールではなく、偉大なるトレーダーたちと成し遂げたモデリングから得られたものだ。しかし、これらのすべてを重視するプログラムを持つ者は私たち以外にはいない。

私の上級ワークショップの1つでは、われわれの人生は「ゲーム」そのものという概念を教える。ゲームとは、ゲームがどんなときに勝って、どんなときに負けるのかを定義するルールを持つ2人以上のプレーヤーの相互作用と定義することができる。私は「トレードゲーム」という概念を、トレードの大局観を記述するシンボルとして用いる。

金融市場は巨大なゲームの一部であると私は思っている。ルールを設定し、作成し、変更する最高レベルにはビッグマネーがいる。ビッグマネーは自らのルールを作り、あなたを含めた個人トレーダーが何をしているかにかかわらず利益を得る。彼らはあなた方のようなスモールトレーダーとはけた外れに巨大な存在だ。ビッグマネーは米国政府をコントロールする。財務長官がどこの出身で、任期を終えたあとどこに行くかはご存じのはずだ。財務省の最後の6人の秘書官のなかにはゴールドマンサックスと太いパイプを持つ2人の要人が含まれていた。それにニューヨーク連銀の元総裁が1人と、世界銀行のチーフエコノミストが1人だ。ほかの2人はいずれも元CEO(最高経営責任者)だ。これらの人物に関しては物議がかもしだされたが、一般大衆には無視される。

さらに、お金を刷るFRB(連邦準備制度理事会)は政府からは独立しているが、世界の大富豪たちによって非公式に所有されているのが事実だ(FRBの構成に関しては詳しくは、G・エドワード・グリフィンの『ザ・クリーチャー・フロム・ジェキーII・アイランド[The Creature from Jekyll Island : A Second Look at the Federal Reserve]』[第4版]を参照のこと)。米国の所得税導入とFRBの設立がほぼ同時期だったことは興味深い。そして今、FRBはそれを所有する人々、すなわち巨大銀行にお金を与えることで経済を活性化しているのである。

また、今本当に起こっていることや米国の将来にとって何が重要なのかを除くあらゆることを議論する2大政党制を作ったのもビッグマネーたちだ。これはどの国も同じかもしれない。例えば、今最も重要な問題は財政支出だ。しかし、各政党は金持ちが高額の税金を払うことが公平かどうかをについて議論している。

このゲームは映画『マトリックス』のなかのプログラミングに少し似ている。私たちはみな自分の信念によってプログラミングされており、私たちの信念はこのゲームをやるべきだと私たちに言う。つまり、マトリックスのなかでスーパーヒューマンレベルで役目を果たすには大衆と戦う必要があるということである。だれもがシステムの一部である。なぜなら、彼らはシステムの信念を採用しているからだ。たとえその信念が彼らを支持しなくても、彼らはそのシステムを支持する。

モーフィアスが言った次の言葉を覚えているだろうか。「みんなシステムに慣らされすぎている。あまりにもシステムに依存しているため、彼らはそれを守るために戦わざるを得ないのさ」

トレードは簡単ではないが、トレーダーになるのは簡単だ。トレード口座はだれにだって簡単に開くことができるからだ。ちなみに私の妻は今100ドル足らずしか入っていないトレード口座を持っている。

これは長年にわたって言ってきたことだが、もしトレードが簡単なら、ビッグマネーが独占するはずだ。彼らは参入条件を厳しくして、普通の人がトレードできないようにするはずだ。おそらくは試験を課して大部分の人を締め出すだろう。例えば、今、ブローカーたちはシリーズ7(米国証券外務員資格試験)を受けなければならない。この試験に受かったところで、市場で成功するわけではないにもかかわらずにだ。

ビッグマネーのルールを知りたければ、1週間くらい金融メディアを見るとよい。彼らは次のようなことを言うだろう。

 私の経験から言えば、こうした古いルールはほとんどの人を市場での敗者にするものだ。私はトップトレーダーやトップの投資家たちとのモデリングを通して、彼らが何をし、どう考えるかを見てきた。その結果、新たなルールを発見した。これらのルールをタープ的思考と呼ぶ。これらのルールをタープ的思考と呼ぶのは、私がこれらのルールを考案したからではなく、私たちこそがこれらのすべてを重視する唯一の組織だからである。

 新たなルールは4つの基本的なルールからなるが、私たちはこれらのルールを多くのテクニカルルールや心理的ルールに分解した。レベル1の変革は、おそらくはあなたがトレーダーや投資家としてなすべき最も基本的な変革だ。新たなルールと概念については本書の第2部で詳しく解説する。

 レベル2――マトリックスを理解し、自分自身を再プログラミングする

 私は映画『マトリックス』の前提が大好きだ。なぜなら、「マトリックス」は人が思う以上に真実を表しているからだ。例えば、何かに名前を付け、それに形容詞や言い回しをあてがうと、世界に意味を与えることができる(例えば、犬、小さな犬、非常に活発な犬、良いペットになりそうな犬、しつけ教室に行く必要がある犬)。私たちは私たちの世界を言葉、思考、信念で形成する。これがマトリックスだ。

 そして、それを変えるには、赤いカプセルを飲まなければならない。 「青いカプセルを飲めばここで終わり。ベッドで目覚め、あとは好きに。赤いカプセルを飲めば、不思議の国の正体をのぞかせてやろう」

 赤いカプセルを飲むということは、つまり世界はあなたの信念によって形成されていることを知り、驚くべき可能性の世界が開かれることを意味する。無意味な信念を捨て、有益な信念だけを採用することで、あなたは自由に自分を変革できるのだ。

 私が本書を書いた意図は、本書をトレーダーや投資家にとっての赤いカプセルにすることである。本書を本棚に戻して再び眠りにつき、市場で成功するために必要なことを好きに思いめぐらせるのもよし。本書を読んで、不思議の国の正体を見つけるのもよし。どちらを選ぶかはあなたの自由だ。

 不思議の国の正体を見つけるためには、やらなければならないことがいくつかある。まず最初に、あなたの信念をチェックする必要がある。あなたは市場をトレードするのではない。あなたの市場に関する信念をトレードするのだ。だから、あなたの信念が役に立たないものなら、困ったことになる。トレードや投資をしない人も含め、みんな市場に対する信念を持っている。信念を細かくチェックしてみると、そのほとんどが役に立たないものであることが分かってくるはずだ。

 あなたの信念をチェックしてみよう。それぞれの信念によって、あなたは何をするようになり、何をしなくなっただろうか。例えば、市場で成功するための秘訣は良い銘柄を選択することだと信じているとすると、どういうことになるだろうか。信念を持たなければあなたは何者なのか。あなたの信念は役に立つものなのだろうか。

 あなたの信念が役に立たないものだとすると、あなたはいつでもそれを役に立つものと取り替えることができる。その信念に感情が入っていないかぎり、これは簡単だ。感情が入っているとその信念は捨てられない。感情を取り除くまでその信念から解放されることはない。そこで、不思議の国の正体を見つけるために次にやらなければならないことは、役に立たない信念を後生大事に抱え込ませ、それから解放されないようにする感情をチェックすることである。

 不思議の国を旅していると、自分のいろいろな側面(部分)が見えてくる。例えば、次のような部分だ。

 おそらくあなたはこうした部分を数えきれないくらい持っていることだろう。それぞれの部分は信念を持っており、あなたにとって肯定的な意図を持っている。しかし、これらの部分は矛盾し、何もできない状態にあなたを追いやってしまう可能性がある。スーパートレーダーを目指すあなたの仕事の1つは、これらの部分を一掃し、あなたの心をワンネス(すべての魂がつながった次元。すべてが一体)と平穏へと向かわせることである。

 私たちのトレーダー教育にはこういったワークが含まれる。あなたのトレードに関する信念を見て、あなたが勝者になることに貢献しないものはすべて排除することを想像してみよう。あなたを制限するすべての信念を排除することを想像してみよう。そして、宇宙(神)があなたに反対するためにあなたは勝つことができないことを示すような宇宙に関する信念を排除することを想像してみよう。最後に、矛盾が生じないように、あなたの部分をすべて一体化することを想像してみよう。これが強力な自己変革なのである。本書の第2部では、レベル2のさまざまな変革の影響を紹介する。

 レベル3――マトリックスを超えてトレードする

 映画『マトリックス』にはもう1つ面白いシーンが登場する。映画の終盤で、ネオは彼のプログラミングをついに破る。彼はマトリックスのなかでできないようなことができるようになる。これが変革の最終段階だ。つまり、意識レベルを変えることでマトリックスを超えてトレードするということである。意識とはあなたの気づきレベルのことを言う。役に立たない1000の信念を変えたり取り除いたりすることでこれは達成可能だ。50個から100個のあなたの部分を一体化させることで達成できるかもしれない。

 しかし、人によってはもっと簡単に達成できることもある。あなたの人生を支配している5つの重大な問題を変革してみよう。そうすれば、そのプロセスを理解でき、何でも達成することができる。しかしここで、意識レベルを上げるということが何を意味するのかもう少し詳しく見ていくことにしよう。

 今は亡きデヴィッド・ホーキンズは世界有数の精神科医の1人だった。彼の意識レベルは非常に高く、患者に対して奇跡的な治療を行っていたが、心理学の博士号を目指すために病院を閉鎖した。彼の博士号のテーマは、人間の意識レベルの測定だった。彼の論文は『パワーか、フォースか』(三五館出版)という本になって出版された。

 同書では彼は1から1000までの対数を使って人間の意識を表現している。1000が人間が達成できる最高の意識レベルだ。ホーキンズはこれまでに意識レベルの1000を達成した者はほんの数人(例えば、イエス・キリスト、ブッダ、クリシュナなど)しかいないと言っている。さらに彼は、過去5000年の間の人類の平均的な意識レベルは200を下回る、とも言っている。意識レベルの200はプラス思考とマイナス思考とを分ける境界線だ。ホーキンズによれば、ガンジー(例えば、ガンジーがハンガーストライクをやるとする。通常、インドの囚人がハンガーストライクをやると、英国は好きにやらせて餓死させる。しかし、ガンジーには英国が彼を餓死させないような何か[彼の意識]があり、それはインド人全体に大きな影響を及ぼした)の意識レベルは700で、この意識レベルによって平均的な意識レベルが175の英国軍を打ち負かしたということだ。これこそがパワー(高い意識)とフォースとの違いを示す力である。

 あなたの意識レベルを上げてもガンジーの助けにはならない。それはトレーダーとしてのあなたを助けることになる。もし低い意識レベルでトレードしているとすれば、おそらくあなたは恐怖や強欲や絶望によってトレードしていることになる。もしあなたが受容や静穏レベルでトレードするとすれば、どう変わるだろうか。その違いは絶大だ。

 バン・タープ・インスティチュートの目標の1つは、トレーダーたちに意識レベルを飛躍的に向上させることである。1年に1000から5000の役に立たない信念を取り除くことができたとき、その影響の大きさを想像してみてほしい。これによってあなたの意識レベルは数百ポイントは上がるはずだ。私のスーパートレーダーの候補者の多くは意識レベルを大幅に向上させた。本書の第3部では彼らの話をいくつか紹介する。

本書の応用方法

 本書を、私たちのさまざまなワークショップやプログラムについて書かれているのではないかと期待して読んでいる人もいるだろう。それも当然だ。なぜならこれらのスーパートレーダーへの旅はすべて、この5年の間私たちとともにワークをしてきた人々がたどってきた道だからだ。彼らのほとんどはスーパートレーダーの候補者(つまり、彼らはまだバン・タープ・インスティチュートのスーパートレーダープログラムを受講中ということ)かプログラムの卒業者だ。つまり、彼らは自分たちがやってきたことについて語ることがたくさんあるということである。

 しかし、本書の大部分は心理的な変革についての話である。私たちが使うすべてのテクニックは本書で分かりやすく説明している。したがって、少なくともスーパートレーダープログラムでは、あなた自身が自分でやれないことは何もない。

 本書には重要な情報が欠けているのではないか、本書は私のためのものではない、本書は私には合わない、と思う人もいるかもしれない。本書はおそらくはあなたのほかの信念も刺激することだろう。本書を読み進めていくうちに、「これは信じられない」と思うものが出てくるかもしれない。そんなときはおそらくはあなたが正しい。なぜなら、その特定の信念があなたの現実を形成するからである。しかし、その信念を信じる前に、本書で提供する信念チェックパラダイムに沿って信念をチェックすることを忘れてはならない。そのほとんどはあなたを制約し、あなたに行動できないようにし、真の幸福からあなたを遠ざけるものであることに気づくはずだ。

 まずは、タープ的思考の基本を学んでもらいたい。これらの原理は本書の第1部の序論で解説している。これらの原理は非常にはっきりしているので、あなたを阻む心理的な問題がなければ、あなたに合う偉大なシステムを設計できるはずだ。これができないと思う人のために、第2部の序論では心理的な原理を提示している。

 次に、第9章ではあなたがどんな部分を持っているのかをどうやって決めたらよいのかを学習する。第9章の練習問題をやることであなたがどんな部分を持っているのかが分かってくるはずだ。あなたの持っているどういった部分があなたのトレードを支配しているのかを理解したら、それぞれの部分が持つ20の信念を見つけるのは簡単だ。これらの信念を信念チェックパラダイムでチェックする。信念チェックパラダイムについては詳しくは第7章を参照してもらいたい。

 200以上の信念をこのパラダイムでチェックしたら、どの信念が役に立ち維持すべきで、どの信念が役立たずで排除すべきかは簡単に分かるはずだ。役に立たない思念は、そのなかに感情が含まれていなければ、役に立つものと簡単に取り替えることができる。

 感情の含まれた信念をたくさん持っている場合、第8章の感情解放メソッドが役立つ。この方法を使って、感情の含まれた信念を取り除こう。

 内なるガイダンスについての章もまたステップ・バイ・ステップで説明している。強力な内なるガイダンスを構築するには、内なるガイダンスを信じられなくするようなものを排除する必要がある。これは、第11章のTfM(変革瞑想)テクニックを使えば簡単だ。さらに、第10章では内なるガイダンスとの絆を深めるための方法も提示している。

 第3部では私の生徒たちが実際に経験した変革の旅を紹介する。こうした旅がなぜ重要なのかが理解できるとともに、こうした旅のあとではどういったことが起こるかも分かるはずだ。

 各部の最後の章は、実用的な応用について説明している。その部に出てくるタープ的思考、手順、その部に関するQ&Aが含まれているので、総まとめとして利用してもらいたい。チェックリストは私のスーパートレーダーたちに提供するものとまったく同じであるため、含めるかどうか迷った。しかし、私の使命は変革を促すことであり、このチェックリストが読者に何らかの変革の効果をもたらすのではないかと思っている。もしそうなら、私は多くを成し遂げたことになる。

バン・K・タープ博士


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